アドバイザリー契約の仕組みを徹底解説!契約形態や報酬などチェック!
アドバイザリー契約の仕組みを詳細に解説。専任契約と非専任契約の違い、報酬体系の理解、成功報酬や着手金の詳細、契約書締結の流れや目的、注意点などを徹底的に説明します。M&Aの流れにおけるアドバイザリー契約の重要性、契約書の作成方法、契約形態の選択方法も提供。
目次
アドバイザリー契約とは?
アドバイザリー契約は、M&Aの流れにおいて、専門的な知識や経験を持つ外部の専門家や事業者からサポートを受けるために締結される契約です。
この契約により、M&Aの専門会社が売却側や買収側の企業に対して、候補企業の探索、企業価値の評価、書類の作成、交渉の代行など、M&Aに関連する様々な業務をサポートします。
アドバイザリー契約の仕組み
アドバイザリー契約は、M&A(合併・買収)プロセスにおいて、専門的な知識や経験を持つ外部の専門家や事業者からサポートを受けるために締結される契約です。この契約により、M&Aの専門会社が売り手や買い手の企業に対して、候補企業の探索、企業価値の評価、書類の作成、交渉の代行など、M&Aに関連する様々な業務をサポートします。
アドバイザリー契約の主な目的は、M&Aプロセスを効率的かつ効果的に進めるための専門的なサポートを提供することです。これには、戦略立案、交渉相手の探索、デューデリジェンス、条件交渉、各種契約書の作成、資金調達、M&A後の統合プロセスなどが含まれます。
契約形態には2つのタイプがあり、それぞれの契約形態にメリットとデメリットが存在します。専任契約という契約形態では1つのアドバイザー会社とのみ契約し、情報漏洩のリスクを軽減できますが、非専任契約という契約形態では複数の会社と契約することで、より多くの選択肢を得られます。
アドバイザリー契約が必要な理由と目的
M&Aは専門的な知識と経験が必要なため、多くの企業にとっては外部の専門家のサポートが不可欠です。
アドバイザリー契約の目的は、最適な交渉相手の探索、M&Aのストラクチャー選択、契約書の作成、デューデリジェンスの実施など、M&Aに関連する多岐にわたる業務を効率的に進めることにあります。これにより、M&Aの成功率を高め、企業の成長や戦略的な目標達成に貢献することが目的です。
アドバイザリー契約の契約形態と交渉形式
アドバイザリー契約はM&Aの目的において、企業が専門的なサポートを受けるために重要な役割を果たすことから、契約形態と交渉形式の把握は重要です。ここでは、これらの契約形態と交渉形式の詳細について、その特徴や注意点を解説します。
契約形態
アドバイザリー契約には、主に「専任契約」と「非専任契約」という二つの契約形態が存在します。これらの契約形態は、M&Aの流れにおいて、売却側や買収側が専門的なサポートを受けるためにM&Aアドバイザーと結ぶ契約の種類を指します。
専任契約
これは、売却側または買収側が1つのM&Aアドバイザーとのみ契約を結ぶ形態です。この契約形態の主なメリットは、情報漏洩のリスクを軽減できることと、専任のアドバイザーが高いモチベーションでサポートを提供することです。
これにより、M&Aの成功率を高めることが期待できます。しかし、デメリットとしては、選んだアドバイザーの業務に関わる能力やコミュニケーションなどの相性に問題があった場合、契約期間内に他のアドバイザーと契約を結べない注意点が挙げられます。
非専任契約
これは、売却側または買収側が複数のM&Aアドバイザーと同時に契約を結びます。この契約形態のメリットは、複数のアドバイザーからの情報やサポートを受けられることで、より多くの選択肢を得られる点です。
また、複数のアドバイザーの中から最も信頼できるアドバイザーを選ぶことが可能です。しかし、デメリットとしては、情報漏洩のリスクが高まることや、複数のアドバイザーとの調整が必要になるため、管理が複雑になるという注意点があります。
交渉形式
アドバイザリー契約における交渉形式は、M&Aの流れにおいて、どのように交渉が進められるかを定める重要な要素です。主に「アドバイザリー方式」と「M&A仲介方式」の二つの形式があります。
アドバイザリー方式
これは、売却側企業と買収側企業がそれぞれ別のM&Aアドバイザーと契約を結びます。この方式の特徴は、各アドバイザーがそれぞれの依頼企業の利益を最大化することに専念する点です。
依頼を受けたアドバイザーは、依頼企業の利益を最大化するために尽力し、好条件での成約に至る可能性が高まります。この方式は特に大規模な取引や上場企業のM&Aに適しています。
しかし、双方のアドバイザーがそれぞれのクライアントの利益を主張するため、交渉が長期化したり、時には交渉が決裂したりするリスクもあります。
M&A仲介方式
これは、売却側企業と買収側企業が同一のM&A仲介会社と契約を結びます。この方式の特徴は、仲介会社が中立的な立場から双方の利益を考慮し、M&Aの成立を支援する点です。
仲介会社は、双方の目的を把握し、利益のバランスを考慮しながら交渉を進めます。この方式は中小企業のM&Aに特に適しており、双方が納得できる条件での合意形成が期待できます。しかし、双方の要望に完全に応えることは難しく、一定の妥協が必要になる注意点があります。
アドバイザリー契約の内容
アドバイザリー契約は、M&Aの目的において企業が専門家やアドバイザリー会社と結ぶ重要な契約です。この契約には、業務内容と範囲、機密事項の範囲と開示条件、相手企業との直接交渉の禁止、報酬と費用に関する条項が含まれます。ここでは、アドバイザリー契約の内容について解説します。
業務内容と業務範囲
アドバイザリー契約では、M&Aアドバイザーが提供するサービスの具体的な内容と範囲が定められます。これには、候補企業の探索、対象企業の調査、株価算定、条件交渉などが含まれることが一般的です。契約において業務範囲を明確にすることは、M&Aの流れの透明性を保ち、目的に向けた双方の期待を一致させるために重要です。
機密事項範囲と開示条件
アドバイザリー契約では、機密情報の範囲とその取り扱いに関する条件が規定されます。これには、情報の開示可能範囲や秘密保持義務、情報漏洩時の賠償責任などが含まれることがあります。これは、M&Aの流れ中に交換される機密情報の保護を確実にするために不可欠です。
相手企業との直接交渉禁止
多くのアドバイザリー契約では、当事者同士の直接交渉が禁止されています。これは、M&Aアドバイザーを通じてすべての交渉が行われることを保証し、プロセスの整合性を保つためです。ただし、直接交渉が許されるケースもありますが、その場合は中間報酬額が高く設定されることが一般的です。
報酬と費用について
アドバイザリー契約における報酬体系は、M&A業者や契約形態によって異なっています。一般的な報酬項目には、着手金(契約締結時に発生する費用)、中間報酬(M&Aの進捗に応じて発生する費用)、成功報酬(M&A成約後に発生する報酬)があります。成功報酬は、取引金額に応じて変動する「レーマン方式」が採用されることが多くあります。
アドバイザリー契約書とは
アドバイザリー契約書は、M&Aの目的において、企業が専門家やアドバイザリー会社と結ぶ契約書です。この契約書は、M&Aの手続きや調査を仲介会社に委託する際に締結され、業務範囲、契約期間、報酬、秘密保持などの重要な事項を定めます。ここでは、アドバイザリー契約書とはどのようなものか解説します。
M&Aアドバイザリー業務委託契約書の内容
M&Aアドバイザリーとの契約書の内容には、主に次の6点が含まれます。
①業務範囲と内容
アドバイザリー契約書には、アドバイザーが行う業務の範囲と内容が明記されます。これには、株式取得、M&A対象会社の探索、情報収集、資料作成、実務手続きの助言、契約書の作成などが含まれることが一般的です。
②契約期間と中途解約への備え
契約書には契約の有効期間が定められ、どのような状況下で契約が解除されるか、または更新されるかの条件も記載されます。中途解約の場合の取り決めも含まれることがあります。
③着手金と報酬・費用
契約書には、アドバイザリーを行う対価として支払われる着手金、コンサルティング料、その他の費用に関する詳細が記載されます。これには、支払いのタイミングや方法、報酬の計算基準などが含まれます。
④秘密保持契約書終結
アドバイザリー契約には、秘密保持に関する条項が含まれます。これにより、契約の一環として提供された情報が第三者に漏洩されないように保護されます。
⑤第三者への再委託禁止
契約書には、アドバイザリー業務をアドバイザーから第三者に再度委託することを禁止する条項が含まれることがあります。これにより、契約の品質と秘密保持が保たれます。
⑥アドバイザリー契約の解除時期
契約書には、どのような状況で契約が解除されるかについての条項が含まれます。これには、契約違反や特定の条件の不履行などが含まれることがあります。
アドバイザリー契約の流れ
アドバイザリー契約の流れは、M&Aの流れの重要な部分を占め、複数の段階を経て進行します。以下は、アドバイザリー契約の主なステップを詳細に解説します。
①M&A仲介会社を選び交渉を開始
第1の流れとして、適切なM&A仲介会社を選定し、アドバイザリー契約を締結することから始まります。この段階で、M&Aの目的や方向性を明確にし、専門家との相談を通じて戦略を立てます。
②M&A売却価格・条件・課題などを検討
第2の流れとして、売却価格、取引条件、潜在的な課題などを検討します。この段階では、企業価値の評価や、M&Aにおける重要な条件の設定が行われます。
③M&A仲介会社を通して交渉相手紹介
第3の流れとして、M&A仲介会社は、ノンネームシートや企業概要書を用いて、適切な買収側企業を探索し紹介します。このプロセスには、秘密保持契約の締結が含まれることが一般的です。
④秘密保持契約の締結
第4の流れとして、交渉相手が見つかった段階で、秘密保持契約(NDA)を締結します。これにより、M&Aに関する情報の漏洩を防ぎ、プロセスの安全性を保証します。
⑤相手企業との交渉開始
第5の流れとして、秘密保持契約締結後、具体的な交渉が開始されます。この段階では、トップ面談や意向表明書の提示が行われ、M&Aの基本的な枠組みが形成されます。
⑥基礎情報開示
第6の流れとして、基本合意に達した後、売却側は買収側に対して必要な基礎情報を開示します。これには、財務状況、事業計画、組織構造などの詳細が含まれます。
⑦デューデリジェンス実施
第7の流れとして、買収側は、売却側の提供した情報を基にデューデリジェンス(企業調査)を実施します。このプロセスでは、財務、法務、事業などの各面から詳細な調査が行われます。
⑧最終契約締結
第8の流れとして、デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な契約条件が決定され、最終契約が締結されます。この契約には、取引価格、支払い条件、その他の取引条件が含まれます。
⑨クロージング
第9の流れとして、最終契約の締結後、クロージング(取引の完了)が行われます。この段階で、資産の移転、支払いの実行、その他の必要な手続きが完了し、M&Aの流れが正式に終了します。
アドバイザリー契約の費用・報酬について
アドバイザリー契約における費用と報酬は、M&Aの目的において重要な要素です。ここでは、契約の費用・報酬について詳細に解説します。
着手金
着手金は、アドバイザリー契約を締結する際に最初に支払われる費用です。この金額は、依頼する業務の規模や契約形態によって異なり、数十万円から数百万円の範囲で設定されることが一般的です。着手金は、アドバイザーが業務を開始するための初期費用として機能します。
中間報酬
中間報酬は、M&Aの流れの特定の段階、例えば基本合意が得られた場合などに支払われる報酬です。この報酬は、成功報酬の一部として支払われることが多く、成功報酬の10%程度が一般的な相場とされています。
成功報酬
成功報酬は、M&A取引が成立した際に支払われる報酬です。この報酬は、取引の成立という明確な成果に基づいて支払われるため、M&Aの規模や成果に応じて変動します。一般的には、取引金額の一定割合(例えば1〜5%)が成功報酬として設定されることが多くあります。
基本的な費用の計算方法
アドバイザリー契約における費用の計算方法は、契約形態やアドバイザー会社によって異なっています。着手金は契約締結時に一括で支払われることが多く、中間報酬は特定のマイルストーンが達成された際に支払われます。
成功報酬は、M&A取引の成立時に取引金額の一定割合として計算されることが一般的です。これらの報酬は、契約締結前に明確に合意され、契約書に記載されることが重要です。
アドバイザリー契約を行う上での注意点
アドバイザリー契約は、M&Aの目的において重要な役割を果たしますが、契約を締結する際にはいくつかの注意点があります。ここでは、アドバイザリー契約を行う上での注意点を解説します。
業務委託する内容と範囲を明確にする
1つ目の注意点として、アドバイザリー契約では、業務の内容と範囲、目的を明確に定めることが重要です。これには、候補企業の探索、対象企業の調査、株価算定、条件交渉、デューデリジェンス、契約書の作成などが含まれます。明確な業務範囲の設定は、後の誤解を防ぎ、双方の期待を一致させるために不可欠です。
アドバイザリーとの相性
2つ目の注意点として、アドバイザーとの相性は、M&Aの成功に大きく影響します。アドバイザー選定時には、その専門性だけでなく、コミュニケーションスタイルや企業文化との相性も考慮する必要があります。
中途解約のトラブルに備える
3つ目の注意点として、アドバイザリー契約には、中途解約の条件を明記することが重要です。交渉途中での解約が発生した場合、双方に問題が生じないように、解約の一定期間前に事前通知するなどの条件を設定することをおすすめします。
M&Aアドバイザーの第三者再委託に注意する
4つ目の注意点として、アドバイザリー契約では、M&Aアドバイザーが業務を第三者に再委託することが禁止されている場合が多くあります。再委託により情報漏洩のリスクが高まるため、契約書に再委託の禁止条項が含まれているかを確認することが重要です。
アドバイザリー契約を結ぶM&A仲介会社・相談先の選び方
M&Aにおいて、適切なアドバイザリー契約を結ぶためには、信頼できるM&A仲介会社や相談先を選ぶことが重要です。ここでは、選定の際の主要なポイントを解説します。
①豊富な知識と実績がある
M&A仲介会社を選定する際、最も重要な要素の1つが、その会社が持つ専門知識の深さと過去の実績です。特に、多岐にわたる業種や市場でのM&A取引経験が豊富な会社は、複雑なM&Aの流れを効率的に進め、目的を達成するための洞察力と経験を提供できます。
過去の成功事例、取引の種類、扱った業種の多様性などを詳細に調査し、会社の専門性と実績を評価することが重要です。また、特定の業界や市場における深い知識がある会社は、その分野でのM&Aにおいて特に価値ある洞察を提供できる可能性があります。
②手数料・報酬体系がわかりやすい
M&A仲介会社の手数料や報酬体系は、透明性があり、契約形態ごとに理解しやすいものでなければなりません。着手金、中間報酬、成功報酬などの費用構造が明確で、追加費用が発生する注意点がないかを事前に確認することが不可欠です。
特に成功報酬の計算方法や、取引が成立しなかった場合の費用負担については、明確な説明を受けることが重要です。また、報酬体系が自社の予算や取引の規模に適しているかを検討することも重要な注意点です。
③相手企業へのアプローチ方法
仲介会社が採用する相手企業へのアプローチ方法は、M&Aの成否に大きく影響します。同時並行で複数の候補企業にアプローチする方法は、複数の選択肢を同時に検討できるため、最適な取引相手を発見できます。
一方で、1社ずつ慎重にアプローチする方法は、特定の候補に集中して交渉を進められますが、時間がかかる注意点があります。自社のニーズや戦略に合わせて、最適なアプローチ方法を提供する仲介会社を選ぶことが重要です。
④地域や専門性・業種の強み
特定の地域や業種に特化しているM&A仲介会社は、その分野における深い知識や豊富なネットワークを持っています。地域密着型の仲介会社は、その地域の市場動向や企業文化に精通しているため、地域特有のニーズに合ったサポートを提供できます。
また、特定の業種に特化した仲介会社は、その業界の特性や課題を深く理解しており、業種特有のM&A戦略を提案できる可能性があります。
⑤担当者との相性が良い
M&Aの流れは、担当者との密接なコミュニケーションに大きく依存します。そのため、担当者との相性は非常に重要です。初回の面談や相談を通じて、担当者が自社のビジョンやニーズを理解し、適切なアドバイスを提供できるかを評価することが重要です。
また、担当者が信頼できる人物であるかどうか、コミュニケーションがスムーズかどうかも、M&Aの流れの成功に大きく影響します。信頼関係を築ける担当者を持つ仲介会社を選ぶことで、M&Aの流れを円滑に進められます。
アドバイザリー契約は信頼できるM&A仲介会社を選ぼう
アドバイザリー契約は、M&Aの流れにおいて非常に重要な役割を果たします。この契約を成功させるためには、自社の目的にあった信頼できるM&A仲介会社の選定が重要です。適切な仲介会社を選ぶことで、M&Aの目的を達成し、企業価値を最大化することが可能です。
仲介会社の選定にあたっては、その会社の知識の深さ、過去の実績、手数料や報酬体系の透明性、アプローチ方法、地域や業種における専門性、そして担当者との相性を慎重に評価するといった注意点を把握することが重要です。
これらの要素を総合的に考慮し、自社のニーズに最も合ったM&A仲介会社を選ぶことが、アドバイザリー契約の成功につながるでしょう。
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