ウェディング業界のM&Aを徹底チェック!動向や事例・成功のポイントは?
多くの人の憧れであるウエディング業界は少子化の影響で生存競争が激化しています。そんな中、収益拡大のためのM&Aは必須戦略となりつつあります。当記事ではウエディング業界のM&A事例を参考に今後の動向を解説します。メリットや成功のポイントも併せて確認しましょう。
目次
ウェディング業界の現状とM&Aの動向
ウエディング業界は少子化や未婚化、結婚の多様化の影響により市場規模が急速に縮小しています。
円安、節約指向による婚礼規模の縮小にくわえて、挙式を行わずフォトウエディングを挙式の代わりとする「なし婚」や新婚旅行を兼ねた「海外ウエディング」などの台頭により、さらに市場規模の縮小は加速していくことが予想されます。
変化が激しいウエディング業界の市場規模や業界の特徴に触れながら、今後の動向を確認します。
ウェディング業界とは
ウエディング業界は挙式や披露宴を行うための関連サービスをトータルサポートする事業を展開する業種のことを指します。
ウエディング業界には他業界と比較し2つの大きな特徴が存在します。
1つ目はリピーターは存在せず、新規顧客のみを対象とした事業という点です。
2つ目は1年を通して常に収益をあげ続けることが難しいという点です。
挙式や披露宴は参列者が集まりやすい土日や祝日に集中して行われ、春や秋に繁忙期が集中する傾向にあり、リソースのさき方に大きな特徴がみられます。
少子化による婚姻件数の減少および婚礼数の減少
ウエディング業界では婚姻件数の減少に伴って、婚礼数の減少が市場規模縮小に拍車をかけています。
厚生労働省「人口動態統計速報」によれば、2020年の婚姻件数は525,507組を記録し、過去最低が更新されました。
また、婚姻率においても、4.3で過去最低を記録しました。
このように、過去と比較しても未婚化がかなり進行しており、結婚式や披露宴の機会も必然的に少なくなってきてしまっています。
それにより、ウエディング事業所における案件数も大幅に減り、直接的な収益減少を避けられない状況に成っています。。
事業の拡大・収益改善のためM&Aは増加
上記のような背景から、ウエディング業界において、事業拡大、収益改善のためのM&Aは増加しています。
顧客数が減少しているウエディング業界のM&Aでは競合他社を取り込み利益・シェア拡大を図る目的で行われる場合がほとんどです。
周辺事業を取り込み、自社で完結させることでコスト削減および、利益回収速度の効率化を図っています。
M&Aの手法として株式譲渡や事業譲渡がありますが、ウエディング業界におけるM&Aでは事業譲渡が選択される場合が多いです。
なし婚や海外ウエディングのニーズの多様化に対応するべく、映像制作会社やレンタルドレス事業などの隣接事業を行う会社を取り込む事例も増加しています。
ウェディング業界でのM&Aによる売却・譲渡成功事例
実際に行われたウエディング業界のM&A事例を確認しましょう。
紹介するのは以下の7事例です。
近年の動向からも、シェアの拡大だけでなく、親和性の高い業界同士でのM&Aも積極的に行われています。
この点にも注目しながら読み進めてください。
エスクリによるフジ・メディアHDの子会社化
2015年12月、エスクリはフジ・メディア・ホールディングスはストーリアの全株式を取得し完全子会社化しました。
エスクリは東京や名古屋を中心に全国に17つ結婚式場を運営し、婚礼プロデュース事業を展開しています。
結婚式場を2つ保有しているストーリアを買収することで、さらなるマーケットシェア拡大、収益向上を図った事例です。
松屋による連結子会社の合併
2020年12月、松屋は、連結子会社である4社の合併を発表しました。対象はアターブル松屋ホールディングス、アターブル松屋、アターブル松屋フードサービス、アターブルイーピーエヌです。
アターブル松屋グループは、婚礼宴会事業を運営していましたが、新型コロナの感染拡大を受け、業績が悪化していました。
この状況をうけ、アターブル松屋グループは構造改革を実施。不採算店舗の撤退などをはじめとした運営の効率化を図ることで、ホールディングスカンパニー体制を見直し合併に至ったと考えられています。
くふうカンパニーによるフルスロットルズの子会社化
くふうカンパニーは、2019年6月にフルスロットルズの株式51%を取得し、子会社化を実現しました。
くふうカンパニーは「みんなのウエディング」などの情報サイト運営から結婚式当日のサービスまで、トータルに手がけられる体制づくりに注力しています。
輸入ブランドを中心とするウェディングドレス販売で実績を持つフルスロットルズをグループに迎えることで各社のサービス資産・知見を結集、多様化するニーズへの対応・競争力の強化を図る目的で子会社化が実現しました。
カヤックによるサンネットの株式譲渡
株式会社カヤックは2018年2月に子会社のプラコレを通じて、サンネットの株式を取得しました。
サンネットは沖縄を中心にウエディング事業を行っています。
株式譲渡によって、カヤックの沖縄でのウエディング事業進出と、さらなる収益性の向上を目的にグループ会社化しました。
近年の沖縄観光市場の拡大の動向に伴い、「沖縄リゾートウェディング」など、旅行ウエディング事業へ参画し、グループ全体としての企業価値向上と、持続的な組織力の強化を図ったものとされています。
長沼によるタキオンからの事業譲渡
2020年4月、株式会社長沼は子会社のダイヤモンド・ノットを通じて、タキオンから事業運営を譲り受けました。
長沼は長沼静きもの学院の運営をはじめとした、エステティック事業、美容室運営、きもの販売、レンタル事業などを行っています。
譲渡された乃木會館運営事業は結婚式をはじめとする人生儀礼全般の企画・販売から施行までをトータルして行う総合婚礼式場です。
長沼の展開する事業との親和性の高さから、グループ事業拡大とウエディングに関連する周辺新規事業への進出を狙ったものとされます。
IBJによるウインドアンドサンの株式譲渡
2016年6月、婚活・結婚支援サービス事業を手掛けるIBJは式場送客デスク 「ウェディングnavi」を運営するウインドアンドサンを子会社化しました。
IBJは広告による顧客獲得力を大幅強化し、既存のサービスにおける成婚カップルを「ウェディングnavi」にスムーズに送客することでさらなる収益拡大を見込んでいます。
既存事業に式場送客デスクという特化型媒体を介して、スムーズな流動性を強化。サービス提供の高速化を図り、収益性の向上を図った株式譲渡といえます。
パートナーエージェントによるMクリエイティブワークスの子会社化
2020年3月、パートナーエージェントは、フォトウエディングサービス事業などを行うMクリエイティブワークスを完全子会社化しました。取得価額は2億1,400万円と発表されてます。
パートナーエージェントは婚活事業、カジュアルウエディング事業、結婚式2次会事業などを行うウエディング業者です。
これまでパートナーエージェントが提供してきた、婚活からカジュアルウェディングに加えて、フォトウエディングなど多様化するニーズに対して、幅広くシームレスに対応するサービスの実現を成功させることが目的とされています。
ウェディング業界でのM&Aのメリット
ウエディング業界では買収側主導で明確な目的をもってM&Aが行われる事例が多いです。
ウエディング業界でのM&Aではどんな恩恵を受けることができるのでしょうか。
ここではウエディング業界におけるM&Aのメリットを売却側、買収側、双方の視点から解説します。
売却側企業のメリット
売却側企業のメリットは以下の通りです。
- 後継者不足の解決
- 個人保証・担保の解消
- 従業員の雇用先の確保
- 譲渡・売却益の獲得
- 式場、会場の取り壊し費用など廃業に伴う費用の回避
上記のどれも重要なメリットではありますが、事業撤退に伴う費用を回避しながら撤退を行えることは非常に大きなメリットといえます。
事業そのものは引き継がれるため、後継問題も解消され、従業員の雇用を守ることも可能です。
譲渡・売却益でその他事業への再投資、効率化を図れる点などを含めると売却側のメリットは少なくありません。
買収側企業のメリット
一方で、買収側のメリットは以下の通りです。
- 事業拡大によるシェアの拡大・収益の効率化
- 多様化するニーズへの対応幅の拡大
- 周辺に事業を取り込むことでのコストの削減
- 収益回収の高速化
買収側の最大のメリットは事業拡大、シェア獲得による収益の効率化を図れることです。
多様性が広がりを見せるウエディング事業では、動向に合わせて自社で対応できる事業の幅を増やす必要があります。
ランニングコストをいかに抑えるかの視点も重要です。
周辺事業をうまく取り込みながら顧客のニーズに応え、関連会社で対応することで収益回収の高速化が図れることが大きなメリットといえます。
ウェディング業界でのM&Aの費用の相場
ここでは婚礼・ウエディング業界のM&A・売却・買収の相場を解説します。
M&Aを行う上で最も気になるのは費用の問題ではないでしょうか。
規模や立地、収益の観点から企業価値算定についても詳しく解説していきます。
規模や立地・収益により異なる
ウエディング業界のM&Aは保有する事業の価値がそれぞれ異なるため一概に相場を断言することは不可能です。
そのため、取引される事業による規模や立地、収益性、将来性から相場を算出するしかありません。
また、企業価値評価によって自社の企業価値を算出し、M&Aをおこなった際にどの程度の費用が掛かるかは大まかに予想することが可能です。
ウエディング業界においては複数の施設を保有している場合が多いため、DCF(Discounted Cash Flow)法をベースにさまざまな算定方法を組み合わせて算出します。
企業価値算定はM&A仲介会社に算出を依頼するのがおすすめ
上記の方法により、ある程度の企業価値評価を算出することは可能です。
しかし、現在のウエディング業界は時代とともに多様化しているため、簡単に算出できるものではありません。
ウエディング業界は他の業界に比べて、将来の予測が立てづらい面が多いです。
企業価値算定を行うには、動向を正確にとらえてい専門家に任せるのが現実的といえます。
ウェディング業界でのM&Aの成功のポイント
ここでは、ウエディング業界でM&Aを成功させるために抑えるべきポイントを5つ紹介します。
- 前もって綿密な計画を立てる
- M&Aの目的・希望を明確にする
- 魅力的購入価値のある会社にする
- エリアやターゲット・強みを正確に把握する
- M&Aの専門家に相談する
前もって綿密な計画を立てる
ウエディング業界のM&A成功のポイントの1つ目は前もって綿密な計画を立てることです。
M&Aの準備には、「自社の状況分析」「業界の動向確認」が重要です。
自社の売上や利益などの状況をきちんと分析し財務諸表にまとめることによって、買い手にも好印象を与えることができ、M&A取引がスムーズに進みやすくなります。
また、動向の変化によっては、買い手に買収のメリットが伝わりづらく、事業譲渡までの期間が長くなったり、場合によってはM&Aの機会を逃してしまう可能性もあります。
そのため、売却を検討されている場合は早めに専門家に相談し、専門家のサポートを受けながら綿密に計画を立てることがM&Aを成功させるポイントです。
M&Aの目的・希望を明確にする
2つ目のポイントは、M&Aの目的・希望を明確にすることです。
M&Aを行う目的は企業によりさまざまです。
また、目的によって理想的な買い手企業も大きく異なります。
M&Aの目的が不明確ままでは、相手企業との交渉決裂や実施後に後悔するなど、失敗する確率が高まります。
初期段階で目的を明確にしたうえで、M&A・事業承継の方向性を定めることがM&Aを成功させる重要なポイントです。
魅力的購入価値のある会社にする
3つ目のポイントは魅力的購入価値のある会社にすることです。
少しでも高く売るためには、その企業自体が魅力的である必要があります。
例えば、独自のドレスショップを運営していることや、海外ウエディングも対応できるなど、独自の強みが魅力購入価値につながります。
買収することで事業の拡大を図れるのか、買収側のニーズにマッチしているのかなどを想像しやすくしておくことで、会社自体の購入価値を高め、M&Aを成功させる大きなポイントとなります。
エリアやターゲット・強みを正確に把握する
4つ目のポイントはエリアやターゲット・自社の強みを正確に把握することです。
3つ目のポイントにもつながりますが、双方にメリットがなければM&Aは成立しません。
結婚式場のアクセス・規模・立地・優秀なウェディングプランナーの存在などは、買い手側がチェックするポイントです。
そのエリアにどれだけの見込み客がいるのか、収益性はどの程度なのか、将来性はあるのかなど、買収企業との交渉材料を増やす必要があります。
したがって、エリアの特性や自社の強みをしっかりと把握してからアピールすることはM&Aを成功させるうえで重要となります。
M&Aの専門家に相談する
5つ目はM&Aの専門家に相談して進めることです。
M&Aを進めるうえでは、法律や財務、税務など非常に幅広い専門知識が必要になります。
しかし、情報を外部へ漏らしたくないとの想いから、外部の専門家に相談するのを渋るケースも存在し、うまく取引がまとまらないケースが大半です。
M&Aは成約するまで多数のプロセスを必要とし、基本合意と最終合意の2回の契約の締結にくわえて、その間にデューディリジェンス(買収監査)も行います。
自社の人員のみで事業譲渡を行った結果、金銭面や条件面で後々大きなトラブルになってしまう場合も少なくないです。
これらの複雑なプロセスを考えると、M&Aに精通した専門家に相談して進めるのが理想的なM&Aを成功させるポイントといえるでしょう。
M&A仲介会社では、M&Aの検討段階から相談に乗ってもらえるため、まずは問い合わせるてみることをおすすめします。
ウェディング業界でのM&Aを成功させよう
ブライダル業界は市場規模の縮小化により活発にM&Aが行われている業界です。
多様化するニーズに対しての生き残り戦略の1つとしてM&Aを実施する動向が見られます。
今回紹介した事例やポイントを参考に、M&A仲介会社のサポートも得ながらM&Aを成功させましょう。
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