カフェのM&Aとは?買収・売却の成功事例や価格相場、業界動向も要チェック!
カフェ業界におけるM&A(合併・買収)は、近年注目を集めています。
この記事では、カフェのM&Aの動向と課題やメリット・注意点、成功事例や成功させるポイントなどM&Aの全てを網羅した内容を調査しました。
買収や売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
カフェのM&A動向と課題
カフェは新規参入が盛んで、全国には大規模なものから小規模なものまで幅広く存在しています。
また、カフェ業界はトレンドの移り変わりが激しく、動向を把握しておくことはとても重要なことです。
カフェ業界の特色・現状と動向・今後の課題について詳しく見ていきましょう。
カフェの業界の特色とは?
カフェの特色は何と言っても、購入スタイルです。
カフェは、カウンターでオーダーして、飲み物を受け取り自分でテーブルまで運ぶスタイルをとっています。
特に大きい店舗に多く見られ、昔から変わらぬスタイルで、現在のカフェ業界でもそのスタイルは定着しています。
一方、小規模なカフェでは「SNSなどを活用した宣伝」や「魅力的な商品」で人気店となる店舗など、独自のコンセプトを売り出すカフェの動向も強まっています。
カフェのM&Aの現状と動向
カフェの現状は、スターバックスやドトールなどといった「低価格なチェーン店」と、個性を追求している「こだわりの喫茶店」が主流です。
また、コーヒーだけではなく紅茶や日本茶の販売も増加していて、より幅広く顧客を取り込む 動向があります。
さらに、別事業にも参入し、カフェ&本屋などとコラボレーションカフェも最近では良く見る動向かもしれません。
新規参入がしやすいので、常にライバル店との競争状態にある現状です。
カフェのM&Aの今後の課題
競争力が高いカフェ業界ですが、カフェのM&Aの今後の課題として以下が考えられます。
①コンセプトの追求
ターゲット層を決めて、どのような雰囲気のカフェにするかしっかり決めた上で、物件選びなどを実施する必要があります。
②メニューの充実度
魅力的なメニュー作りができているかどうかも、競合との差をつけるためには課題です。
移り変わりの激しい業界だからこそ、メニューのトレンドなどをしっかりと把握していく必要があります。
③店舗の内装がコンセプトにあっているか
コンセプトに合った店舗を選択することも大切です。
例えば、レトロのカフェのM&Aをする場合、内装もレトロでアンティークな雰囲気のお店かどうか確認する必要があります。
カフェのM&Aスキーム(手法)
M&Aスキーム(手法)とは、売り手と買い手がM&Aを実行するための手法のことです。
カフェのM&Aで買収・売却をする場合、大別して「居抜き」とM&Aの「株式譲渡」もしくは「事業譲渡」があります。
それぞれどのような違いがあるのか詳しく解説します。
居抜き
カフェの内装や設備、什器などはそのままの状態で、次の利用者に店舗を引き渡すことを「居抜き」と言います。
そのままの状態で引き渡すので原状復帰工事費用を省けることがメリットです。
賃貸物件のカフェの場合、賃主の承認が必要になるので、把握しておきましょう。
株式譲渡
売り手が株式会社であれば株式の50%超〜100%を買い手に譲渡し、経営権を譲り渡すことを「株式譲渡」と言います。
比較的簡単な手続きで経営権の譲渡が可能なので、よく用いられる手法です。
個人事業としてカフェを運営している場合は、株式ではないため株式譲渡は行えません。
売り手のメリット | 手続きが簡単、税負担が20%と少ない |
売り手のデメリット | 株主全員の同意がないと100%の株式譲渡ができない |
買い手のメリット | 手続きが簡単、事業運営がスムーズに進められる |
買い手のデメリット | 投資額が多くなる、対象会社のリスクを引き継ぐ可能性がある |
事業譲渡
事業譲渡とは、建物だけ引き渡すのではなく、ブランドや商標、ノウハウ、取引先などの形のない資産などもまとめて譲渡する方法です。
カフェ運営事業そのものを買い手に譲り渡します。
カフェ事業以外の事業にも進出していきたい場合などに良い手法です。
売り手のメリット | 会社をそのまま運営できる、株式100%でなくても譲渡可能 |
売り手のデメリット | 税負担が約34%と大きい、手続きの負担が大きくなる |
買い手のメリット | リスクを遮断できる、欲しい物だけ引き継げる |
買い手のデメリット | 手続きの負担が大きい、消費税が生じる |
カフェのM&A・買収・売却の価格相場
カフェのM&A・買収・売却を検討している経営者の方は、相場価格はいくらなのかと疑問に思うことも少なくありません。
「居抜き」と「M&A」の価格相場を解説します。
カフェのM&A・買収・売却を検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
居抜きの価格相場
平均的な小規模カフェ1店舗の売却は、100〜250万円程度が相場です。
場合によっては500万円以上の値段がつくこともあります。
値段が高くなりやすい事例
- カフェの立地条件(人通りの多い地区かなど)
- 通行者にとって視認性が高く入りやすい
- 店舗の大きさ(面積)
- 厨房設備が充実している
- 内装が綺麗
- 家賃が相場より安い
アパートやマンションと似ていて、相場は、築年数や立地、部屋の広さなどに、価格が左右されることが分かります。
M&Aの価格相場
M&Aでは有形と無形の資産を売却することから、居抜きよりも売却価格相場が高額となります。
賃貸物件の平均的な小規模カフェ1店舗の場合は、100万〜1,000万円台が売却価格相場の目安となります。
M&Aの売却価格に影響する項目
- カフェの収益性
- 事業の安定性と成長性
- ブランド性
- 名物メニューなどの有無
- カフェで働く人材力
- 経営上のリスクの有無
無形資産も価格に含まれてくるので、相場の幅が広くなっています。
まとめると、カフェのM&A・居抜きの相場は、以下の通りです。
〈小規模カフェ1店舗の価格相場〉
居抜き → 100〜250万円(好条件なら500万円以上にも)
M&A(株式、事業譲渡) → 100〜1,000万円
カフェのM&A・買収・売却事例
カフェのM&A・買収・売却事例を8つ紹介します。
- ①エディア×ティームエンタテインメントの買収・売却事例
- ②ダイヤモンドダイニング×商業藝術の買収・売却事例
- ③ランシステム×INCユナイテッドの買収・売却事例
- ④フジオードシステム×はらドーナッツの買収・売却事例
- ⑤MCJ×アイエスコーポレーションの買収・売却事例
- ⑥サンマルク×La Madragueの買収・売却事例
- ⑦アント・キャピタル・パートナーズ×イノダコーヒの買収・売却事例
- ⑧ロート製薬×カフェ・カンパニーの買収・売却事例
実際の事例を見ながら「検討しているものはどれに近いか」当てはめながら確認してみて下さい。
①エディア×ティームエンタテインメント
エディアがティームエンタテインメントの全株を7,100万円で取得し子会社化した事例です。(2018年2月)
エディアは、スマホゲームの運営会社で、ティームエンタテインメントは、ゲームやアニメの販売、コラボレーションカフェ運営会社です。
今後の動向として、エディアの新規事業の進出とコラボレーションカフェを活用したクロスメディア展開の実現を目指すでしょう。
②ダイヤモンドダイニング×商業藝術
ダイヤモンドダイニングが商業藝術の全株式を18億円で取得し完全子会社化した事例です。(2017年6月)
ダイヤモンドダイニング:飲食、アミューズメント事業は、商業藝術:カフェや和食店などを運営しています。
今後の動向として、両社が持つ経営資源を合算し、シナジー効果を獲得するでしょう。
③ランシステム×INCユナイテッド
ランシステムがINCユナイテッドの全株式8,000万円を取得し完全子会社化した事例です。(2017年4月)
ランシステムは、全国に180店舗展開する複合カフェ「スペースクリエイト自由空間」を運営しています。
一方、INCユナイテッドは、インターネットカフェ、ボディヘアサロンを運営しています。
今後の動向として、首都圏での店舗獲得と両社のノウハウを生かしたシナジー効果の発揮が期待されます。
④フジオードシステム×はらドーナッツ
フジオートがはらドーナッツの全株式を取得し完全子会社化した事例です。(2016年5月)
フジオートは、串家物語を始めとする飲食チェーンを運営しています。
一方、はらドーナッツは、豆乳とおからを使った身体に優しいドーナッツを販売する会社です。
今後の動向として、フジオートシステムが運営するカフェの事業強化が期待されます。
⑤MCJ×アイエスコーポレーション
MCJがアイエスコーポレーションの全株式19億5,200万円を取得し、完全子会社化した事例です。(2013年8月)
MCJは、パソコン関連企業の持株会社です。
一方、アイエスコーポレーションは、複合カフェを全国で74店舗展開している会社です。
今後の動向として、MCJは複合カフェ事業への進出が期待されます。
⑥サンマルク×La Madrague
サンマルクがLa Madragueの全株式を取得し、完全子会社化した事例です。(2022年12月)
サンマルクは、サンマルクカフェなど外食自重を国内831店舗を展開している会社です。
La Madragueは、抹茶マドラグという京都を代表する喫茶店を運営しています。
今回のM&Aでサンマルクカフェは、外食事業拡大を目指しました。
⑦アント・キャピタル・パートナーズ×イノダコーヒ
アント・キャピタル・パートナーズがイノダコーヒーの全株式を取得し完全子会社化した事例です。(2022年9月)。
アント・キャピタル・パートナーズは、未上場株式等への投資業務などを行なっています。
一方、イノダコーヒは、京都市内に喫茶店を9店舗運営する創業80年の老舗会社です。
本M&Aは、イノダコーヒに後継者がいないことによって行われたものです。
⑧ロート製薬×カフェ・カンパニー
ロート製薬がカフェ・カンパニーの主要な株主となり資本業務提携を実施した事例です。(2021年8月)。
ロート製薬は、医薬品や化粧品などの製造販売を展開する会社です。
一方、カフェ・カンパニーは、飲食店舗の企画運営事業や地域コミュニティ事業を展開する会社です。
本M&Aにより、ロート製薬の生産技術力とカフェ・カンパニーの企画力による両社の事業成長を図り、世の中への発信を加速させ健やかで楽しく美味しい食で会社へ貢献していく体制の強化を目指します。
カフェのM&Aのメリット
カフェのM&Aのメリットを売却側と買収側に分けて解説します。
売却側のメリット
カフェのM&Aにおける売却側の主なメリットには、以下の通りです。
・従業員の雇用を守ることができる
中小企業などが上場企業や大手の傘下に入ることで、従業員にとってより良い労働環境や安定した雇用体制を提供できます。
・技術やノウハウが伝承される
廃業だと長年培われてきた技術やノウハウが失われるのに対し、M&Aだと技術やノウハウも買収側に受け継ぐことになります。
・経営に専念できる
他社に事業を譲渡することで、経営陣は特定の事業に専念する機会が生まれ、経営リソースの最適化が期待されます。
・リスク回避
業界の変化や競争激化などによるリスクを回避するため、他社に事業を引き継いでもらうことで、戦略的な動きができます。
・スケールメリットの利用
買収企業がより大規模で効率的な運営体制を持っている場合、売却企業はこれを利用して事業の拡大やコストの削減が期待できます。
上記のメリットを、売却企業が事業の最適な方向に進むためにM&Aを活用する際に考慮しましょう。
買収側のメリット
カフェのM&Aにおける買収側の主なメリットは、以下の通りです。
・市場シェアの拡大 買収により、市場での存在感やシェアを拡大できます。
・顧客基盤の強化 買収先が持つ顧客層や忠誠度の高い顧客を取得し、自社の顧客基盤を強化可能です。
・ブランド強化 買収により、新しい地域や市場で既存のブランド力を高めれます。
・効率向上とコスト削減 統合によって業務プロセスを効率的に統一し、コストを削減できます。
・専門知識の取得 買収先が持つ特定の専門知識や技術を取り込むことで、競争力を向上させられます。
・新規事業分野への進出 買収によって新たな事業分野や市場に進出し、多様性を持ったポートフォリオを構築できます。
M&Aは売却側と買収側のメリットを熟知した上で、行うようにしましょう。
カフェでM&Aを成功させるポイント
カフェでM&Aを成功させるポイントは、以下の通りです。
- M&Aの目的を明確にする
- シナジー効果が期待できる企業に売却する
- 税金対策をしっかりと行う
- 相場を把握する
- 実績や経験が豊富なM&A仲介会社を選ぶ
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
M&Aの目的を明確にする
M&Aの目的を明確化させることは、企業が戦略的な統合を進め、業界内での競争力を向上させるために不可欠です。
これにより、市場シェアの拡大や新たな技術の取得など、具体的な目標が定まり、交渉がスムーズに進むことに繋がります。
シナジー効果が期待できる企業に売却する
カフェのM&Aにおいてシナジー効果を最大化するためには、まず双方の企業が補完的な強みを持つことが重要です。
例えば、売却側が優れた製品開発能力を持ち、買収が強力な販売網を有している場合、両社の統合により新製品の市場投入が効果的に実施でき、収益が向上されるでしょう。
税金対策をしっかりと行う
カフェのM&Aで税金対策を強化するためには、買収対象の会社の資産と負債を詳細に調査し、買収価格を正確に評価することが大切です。
そうすることで、将来的な税務リスクを最小限に抑えることが可能です。
相場を把握する
カフェのM&Aにおいて、重要なポイントの一つは市場の相場を正確に把握することです。
競合他社の評価や最近の取引価格を調査し、業界全体の動向を把握することで、適切な評価が可能となります。
これらの情報を総合的に考慮することで、カフェのM&Aにおいて妥当な価格設定や戦略的な意思決定ができるでしょう。
実績や経験が豊富なM&A仲介会社を選ぶ
カフェのM&Aにおいて、実績や経験が豊富なM&A仲介会社を選ぶことは非常に重要です。
なぜなら、過去の成功事例はその会社が交渉力や戦略的アプローチを持っていることを示すものになるからです。
さらに、カフェ業界における専門知識を有する会社は、市場動向や評価基準に精通しており、売買価格の適切な設定やリスクヘッジに貢献します。
そのため、経験豊富な仲介会社は、法的な手続きや調査プロセスにおいてもスムーズな進行をサポートし、取引の成功に導く重要な役割を果たします。
カフェでM&Aを行う際の注意点
カフェでM&Aを行う際の注意点は、以下の通りです。
- デューデリジェンスは入念に行う
- 情報漏洩には十分に注意する
- 適正価格で取引を行う
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
デューデリジェンスは入念に行う
デューデリジェンスとは、買収対象のカフェの財務状況や契約条件、法的な取り決めなどを細かく調査することです。
カフェのM&Aにおいて、デューデリジェンスを入念に行うことは極めて重要です。
デューデリジェンスをしっかり行うことで、入念な取引に関わる不確実性を最小限に抑え、円滑な移行プロセスを確立できます。
デューデリジェンスのポイントは、以下の通りです。
- 資産と負債の評価
- 契約の条件や制約
- 潜在的なリスクや問題
情報漏洩には十分に注意する
カフェのM&Aにおいて、情報漏洩は慎重に対処すべき注意点の一つです。
機密性の高い情報、例えば財務データや戦略的計画などは、厳格に管理しなければいけません。
これらの対策がしっかりと講じられることで、M&Aプロセス全体が順調に進み、信頼性が確保されます。
適正価格で取引を行う
カフェのM&Aにおいて、「適正価格で取引を行う」ことは重要な注意点です。
適正価格で取引を行うことは、慎重な財務評価によってビジネスの本質的な価値を把握し、市場状況や将来の成長見通しを考慮した上で、売買価格を公正かつ持続可能な水準で確定することを指します。
過大または過小な評価は、取引後の成功や持続可能な成長を妨げる可能性があるので注意しましょう。
カフェのM&A相談は専門家へ!
この記事では、カフェのM&Aの動向と課題やメリット・注意点、成功事例や成功させるポイントなどM&Aの全てを網羅した内容を調査しました。
カフェのM&Aにおいて、「カフェのM&Aは専門家に相談すること」をおすすめします。
M&A専門業者の場合、特有の業界慣習や法的課題に明るく、潜在的なリスクを見逃さずに取引ができるからです。
専門家の協力を得ることで、円滑で失敗しないM&Aを実行できるでしょう。
また、カフェのM&Aを成功させるポイントを参考にしながら、M&Aを進めてみてください。
- M&Aの目的を明確にする
- シナジー効果が期待できる企業に売却する
- 税金対策をしっかりと行う
- 相場を把握する
- 実績や経験が豊富なM&A仲介会社を選ぶ
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