クリーニング業界のM&A事情を徹底解説!最新動向や事例・価格相場は?
近年の少子高齢化の動向に伴う後継者不足の問題により、クリーニング業界においても活発なM&Aが行われているのが現状です。本記事ではクリーニング業界のM&A事情を徹底解説し、最新動向や事例・価格相場も紹介します。
目次
クリーニング業界の現状とM&Aの動向
近年の少子高齢化の動向に伴う後継者不足の問題により、クリーニング業界においても活発なM&Aが行われているのが現状です。
本記事ではクリーニング業界のM&A事情を徹底解説し、最新動向や事例・価格相場も紹介します。
クリーニング業界とは
衣類やタオルなど、一般的な衣類を洗濯して利益を得る普通洗濯業をメインに事業展開する業界をクリーニング業界といいます。
普通洗濯業は日本標準産業分類により「衣類その他の繊維製品及び皮革製品を原型のまま選択する事業社並びに選択物の引き渡しを行う事業所」と細かく定義されています。
一方のリネンサプライ業は、「繊維製品を洗濯し、これを使用させるために貸与して使用後に回収してさらに貸与することを繰り返す事業所」と定義され、事業形式の細かな違いによって業態が分類されているのが現状です。
クリーニング業界の市場規模
1世帯当たりの洗濯代を推移し、その数値に全世帯数をかけ合わせればクリーニング業界における大まかな売り上げを把握することができます。
具体的には2000年には10,562円にも上っていた1世帯当たりの洗濯代が、2015年には5,579円まで減少しているのが現状です。
そしてこの数値に伴って2015年のクリーニング業界における市場規模を計算したところ、3089憶円という数値が検出されました。
この数値は2000年のクリーニング業界における市場規模の5,008憶円と比較すると、約40%以上も市場規模が縮小した動向が見受けられます。
さらに今後懸念される人口減少や少子高齢化の動向によって、業界内での生き残りをかけた競争の激化が予測されるのが現状です。
クリーニング業界のM&Aは増加傾向
前述のように少子高齢化による後継者不足による観点から、個人営業のクリーニング店がM&Aを行って事業継続を手掛ける動向のケースが近年多く見受けられます。
一方大手クリーニング業者は、上記のような個人営業のクリーニング店を積極的に買収して勢力を拡大しているのが現状です。
さらにスーパーやコンビニ、駅ビルなどの商業施設内への店舗拡大を強化しており、その動向に伴って今後も小規模経営のクリーニング店の買収の動向は高まる見込みが示されています。
一方でクリーニング業界から他業界へM&Aを行うケースや、他業界からのM&Aが行われるケースは報告されていないのが現状です。
クリーニング業界がM&Aを行うメリット・デメリット
クリーニング業界でM&Aを行えば、後継者不足を解消した上で事業継続できるなどのメリットもありますが、同時にデメリットも発生するのが現状です。
ではクリーニング業界がM&Aを行うメリットやデメリットを紹介しましょう。
メリット
クリーニング業界でM&Aを行えば、売り手側が従業員の雇用を維持・継続できるのもメリットの1つです。
後継者不足により廃業すれば従業員は職を失って路頭に迷ってしまいます。
そのような事態を予防するためにも事前にM&Aを行い、他社に事業承継を行えば既存の従業員の雇用はそのまま継続され、職を失う心配もありません。
一方買い手側のメリットとして挙げられるのが、優秀な人材を事業と一緒に確保できる点です。
クリーニング会社の中には染み抜きのような特殊なスキルや、公的な資格である「クリーニング師」を有する従業員が在籍している企業も多く見受けられます。
そのような企業をM&Aで買収すれば、優れた技術力を持った優秀な人材を事業と一緒に確保することが可能です。
デメリット
クリーニング業界のM&Aでは、売り手側が経営権を失ってしまう点がデメリットの1つです。
一部事業のみの承継であれば経営権を完全に失ってしまうこともありませんが、個人経営のクリーニング店であれば経営権を失ってしまいます。
さらに指定された地区内で以前同様のクリーニング業を営むことが規制されたり、一定期間内は事業開始できない点もデメリットです。
一方買い手側のデメリットとして挙げられるのが、M&Aに多額の資金がかかってしまう点です。
M&Aは多額の資金が流動する企業間取引で多額の資金がかかるので、今後の運営資金の状況も予測しながら金額を設定しなければいけません。
さらにM&Aには法務・税務・財務に関するさまざまな手続きも必要で、それらの動向に伴って取引自体に時間がかかってしまうのもデメリットです。
クリーニング業界のM&Aの事例
クリーニング業界でM&Aを行うことにより、売り手・買い手企業の双方ともに大きな効果を得ることができますが、実際にどのような事例のM&Aが行われているのでしょうか。
そこでここからは、クリーニング業界のM&Aの事例を紹介します。
株式会社ナックと株式会社トレミーのM&A
2021年には美容・健康事業を展開し、健康食品やオリジナルブランドの化粧品を通信販売で積極的に販売している株式会社ナックが、トレミーの全株式を取得しました。
トレミーはスキンケア商品をはじめ、多様な化粧品受託製造を手掛ける会社です。このM&Aはナックが自社の製造・販売力強化のために行った事例です。
株式会社トーカイと株式会社白洋舎のM&A
2021年には白洋舎の子会社でモップ・マットの製造やレンタルを行うレンテックスの全株式の90%が、株式会社トーカイに譲渡されました。
白洋舎はクリーニング事業やレンタル事業を積極的に手掛けていた企業でしたが新型コロナウイルスの影響により、近年は経営悪化が続いていました。
このM&Aは白洋舎がそのような状況を打破し、事業を継続するために行った事例です。
株式会社きょくとうと株式会社二葉のM&A
2021年には主にクリーニング業を展開している株式会社きょくとうが、クリーニング店舗の運営に関わる事業を展開している二葉株式会社が首都圏で展開しているクリーニング取次所を譲受しました。
このM&Aはきょくとうが関東地区におけるシェアと営業効率の拡大を計った事例です。
株式会社トーカイと有限会社ドリームライフのM&A
2018年7月には株式会社トーカイが、福祉用具貸与事業や住宅改修事業を展開する有限会社ドリームライフを会社分割のM&Aにより承継しました。
このM&Aは株式会社トーカイが四国地方における事業シェアの拡大・販売促進を計った事例です。
クリーニング業界のM&Aの価格相場
クリーニング業界でM&Aを行えば、後継者問題に関係なく事業の引継ぎができるうえに事業を拡大することもできますが、M&Aの価格相場はどのように算出するのでしょうか。
ではクリーニング業界のM&Aにおける価格相場の計算方法を紹介します。
M&Aの相場価格算出方法
クリーニング業界のM&Aの価格相場を算出するためにも、明確な相場の算出方法を用いての算出が重要です。
そこでここからはM&Aの相場価格の算出方法を紹介します。
コストアプローチ
企業の純資産を基準に企業価値を定める方法の事例の1つがコストアプローチです。
的確な数値を算出するためにも、企業の帳簿価格に的確に準拠しながら企業価値評価を行います。
さらに帳簿価値や損益を加味した時価純資産などでは明確に算出できない、ノウハウや人材、顧客などの営業権のような事例も加算する方法です。
インカムアプローチ
M&Aを行い、企業を買収することで将来的に得ることができる収益やキャッシュフロー、今後の事業展開による収益性の向上を見込んで算出する方法がインカムアプローチです。
この方法は別名「収益還元法」とも呼ばれ、M&A後の収益の配当額も企業価値の1つの事例として算出します。
現状のみの企業価値ではなく将来的な視野で収益性を見込み、そのうえで確かな企業価値相場を算出する方法です。
マーケットアプローチ
対象企業と同業種の一部上場企業の企業価値や時価総額との比較で算出された数値である、マルチプルを参考に企業価値を算出する方法がマーケットアプローチです。
マルチプル法は別名DCF法とも呼ばれ、大企業やスタートアップ企業の企業価値を算出する際に多く利用されています。
一方で一般的なクリーニング業界のM&Aではあまり利用されず、コストアプローチ法が利用されている場合が多いです。
個人事業のクリーニング会社のM&Aにおいてはあまり使用されない企業価値算出法ですが、明確な指標を把握したうえでM&Aを進めやすい画期的な方法といえます。
慎重に算出する
クリーニング業界のM&Aの価格相場を適格に算出するためにも、慎重に企業価値評価を算出するのも重要なポイントです。
自社のみで企業価値評価を行うこともできますが、算出方法が難しいのでミスも多くなるうえに多くの時間を費やしてしまいます。
このような事態を回避し適格に評価値を算出するためには、財務に関する専門的な知識が必要になるので専門家に依頼するのも有効な手段です。
特にM&Aの仲介会社に算出を依頼すれば、スムーズ且つ的確に自社の企業価値評価を行ってくれるうえに、最適なマッチングも行ってくれます。
したがってM&Aの価格相場を慎重に進めて取引を成功させるためにも、仲介会社のような専門業者への依頼もおすすめです。
クリーニング業界のM&Aを行う上での注意点
クリーニング業界でのM&Aを成功させ、確かな成果を得るためにも買い手側・売り手側双方とも注意しなければいけないいくつかのポイントがあります。
ここからはクリーニング業界のM&Aを行ううえでの買い手側・売り手側双方の注意点やその他の注意点も解説します。
買い手側の注意点
クリーニング工場では、衣類の洗浄という業務上の都合から特殊な洗剤が使用されています。
特に土壌汚染の原因の1つとして指摘されているテトラクロロエチレンと呼ばれる溶剤は、近年強化されている環境対策の動向により厳しい法規制が設けられているのが現状です。
このような観点からも、M&Aの期間中などに売り手側の工場が壊された際には、取引完了後に買い手企業が国からの土壌汚染調査業務が課せられる点も注意しなければいけません。
また売り手企業側が従業員への賃金未払をしたり従業員の賃金が最低基準を下回っていれば、M&A後に買い手企業が十分な対策をしなければいけない点も注意点の1つです。
また賃金のみならず、売り手企業の従業員の有給未取得や、残業代未払いなどの問題があれば買い手側が対策を講じなければいけません。
売り手側の注意点
クリーニング業界のみならず、M&Aを行う売り手企業の中には経営状態が悪化している企業も多く見受けられます。
そして稀に従業員への賃金未払が発生するケースもありますが、そのような状況でM&Aを行えば、買い手企業側に法務・人事的なリスクを指摘されて買収価格を大幅に下げられてしまう点も注意しなければいけません。
このような事態を回避し、高額で売却するためにもM&A前に人事・労務関連の管理を徹底しましょう。
さらにM&Aにおいて、売り手側の新しい設備は資産として算出されますが、経年劣化や損傷が激しい設備・資産は処分対象と見なされ負債とされる可能性もあります。
もちろん負債として計上されれば企業価値評価も当然ながら下がってしまい、買収金額が下がってしまうのも注意点の1つです。
M&Aの実績と知識が豊富な専門家に相談する
M&Aの実績と知識が豊富な専門家に相談するのも、クリーニング業界のM&Aを行う際の注意点の1つです。
M&Aを自社のみで行うこともできますが、複雑な手続きや取引が多いので自社のみで対応すれば時間や手間がかかってしまいます。
一方でM&Aの実績や知識が豊富な専門家は法務や財務、税務に関する幅広い知識を有しているので、依頼すれば迅速且つ丁寧に取引を進めてくれるので安心です。
しっかりと事前準備を行いクリーニング業界のM&Aを成功させよう
クリーニング業界のM&Aを行えば後継者問題に関係なく事業を引き継ぐことができるうえに、買い手企業は収益性を高めることができます。
一方で他の業種のM&A同様にクリーニング業界のM&Aでは複雑な取引や手続きが多く、取引成立に多くの手間と時間がかかってしまうのが現状です。
このような観点からも、専門の仲介会社への依頼など事前準備を整え、クリーニング業界でのM&Aを成功させてください。
またM&Aでも効率的なクリーニング業界での企業買収・譲渡を行うことができますが、さらにスムーズな買収・譲渡を行うのであれば事業承継がおすすめです。
事業承継を活用すれば、自社親族内の後継者を擁立できれば簡単に手続きが完了します。
さらに親族や従業員内に後継者がいなくても、第三者企業から最適な後継者の擁立ができるのも事業承継のメリットです。
特に近年は事業承継に特化している仲介会社も多いので、一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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