デイサービス・通所介護のM&A事情を調査!業界動向や事例・価格相場は?
皆さんはデイサービス・通所介護におけるM&A事情がどのようになっているか気になりませんか?深刻な人手不足が慢性化している中、M&Aを計画する企業も多いです。今回の記事では、デイサービス・通所介護におけるM&A事情を解説します。
目次
デイサービス・通所介護業界の現状とM&Aの動向
デイサービス・通所介護業界は少子高齢化社会によって慢性的な人手不足の状態に陥っていますが、だからこそ需要が高まっている業界でもあります。
今後の成長が見込めると同時に人手不足を解消しない限り、現状を打破するのは難しいでしょう。
それでは、デイサービス・通所介護の業界の現状とM&Aの動向について説明します。
デイサービス・通所介護業界の特性
デイサービス・通所介護とは、要介護者がいる自宅に介護職員が出向き、日帰りで介護や機能訓練等を行うサービスです。
自宅にいながら介護職員が介護サービスを行うので家族が介護をする負担を減らすことができますし、要介護者の孤独感の解消や認知症予防もできます。
身体機能の向上や維持を図るための機能訓練もできることから、自分でできることは自分でできるようになるでしょう。
こうした要介護者の自立生活を支援すると共に、家族の負担を軽減するのが大きな目的です。
デイサービス・通所介護業界の現状
デイサービス・通所介護業界は、年々少子高齢化が進行していると同時に需要が増している傾向にあります。
しかし、実際は要介護者の増加、そして深刻な人材不足が課題となっているのが現状です。
厚生労働省が発表した「介護給付費等実態統計(令和2年度)」によると、令和2年度末時点で要支援を含む要介護認定者の人数は約682万人でした。
2000年には約256万人でしたが、2020年には約3倍になっているのです。
そして最大の課題と言えるのが、深刻な人手不足です。
デイサービス・通所介護を初めとする介護職は需要が高まっているにもかかわらず、他の業種と比べると給与の相場や労働条件が低い上に離職率が高いのがデメリットです。
元々介護サービスを行う従業員は有資格者でなければならないので、資格の取得を目指す人も少なくなっているでしょう。
デイサービス・通所介護業界のM&Aの動向
現在のデイサービス・通所介護業界のM&Aの動向として、人材不足を補う目的と新規参入目的のM&Aが活発に行われていることが挙げられます。
そもそもデイサービス・通所介護施設を運営する場合、配置人数の基準を満たさなければなりません。
必ず生活相談員や介護職員、看護師を一定数常勤させなければなりませんが、M&Aを行うことによって相手企業の優良な人材をそのまま登用できるのがポイントです。
M&Aによる事業拡大もできる上に、今後の成長も見込めることから新規参入を狙うケースも多くあります。
新規事業を立ち上げるよりも、M&Aによって既存の事業を手に入れることができればスムーズに事業展開を行うことができるでしょう。
デイサービス・通所介護業界のM&A成功事例
デイサービス・通所介護業界のM&A成功事例は、以下の通りです。
①ポラリスとMACHIKO
②アルトとサンライフケア
③揚工舎とまんまる
④幸房の子と元気な介護
⑤パナソニック エイジフリーとユニマット リタイアメント・コミュニティ
⑥グッドタイムリビングと舞浜倶楽部
それでは、デイサービス・通所介護業界のM&A成功事例をご紹介しましょう。
①ポラリスとMACHIKO
株式会社ポラリスは2021年8月に、事業譲渡によってMACHIKOのデイサービス事業を譲受しました。
その後、事業拡大によって歩行・リハビリを中心に行う自立支援特化型デイサービスを全国展開しています。
②アルトとサンライフケア
2022年1月にメイホーホールディングス株式会社の子会社であるアルトは、事業譲渡によって愛知県のサンライフケアが手掛けているデイサービス事業を譲受しました。
子会社のアルトは介護居宅サービスや居宅介護支援を手掛けており、M&Aによって品質の均一化および高品質などを図り、他社との差別化につなげる狙いがあります。
③揚工舎とまんまる
揚工舎は2021年6月に、まんまる(現ヨウコーキャッスル三鷹)の子会社化を決議しました。
株式譲渡により、事業拡大を図る揚工舎とまんまるが経営する介護付き有料老人ホームとデイサービスは立地面で合致すると判断したため、双方がM&Aに合意しました。
④幸房の子と元気な介護
元気な介護は2021年4月に、株式譲渡によって幸房の子の全株式を取得して完全子会社化しています。
元々元気な介護は訪問介護サービスやデイサービスなどの総合介護事業などを展開しており、幸房の子と他1社を同時に完全子会社化することによって介護サービスの取り組みを強化しています。
⑤パナソニック エイジフリーとユニマット リタイアメント・コミュニティ
ユニマット リタイアメント・コミュニティは2021年4月に、事業譲渡によってパナソニックエイジフリーが運営するデイサービス・ショートステイ施設計6ヶ所を譲受しました。
6ヶ所の施設を譲受することでサービス提供体制の拡充を図ります。
⑥グッドタイムリビングと舞浜倶楽部
グッドタイムリビングは2021年4月、株式譲渡によって舞浜倶楽部の99.75%の株式を取得して子会社化しました。
グッドタイムリビングは舞浜倶楽部とM&Aを締結することで安定した経営が見込めると判断しました。
デイサービス・通所介護業界のM&Aのメリット・デメリット
デイサービス・通所介護業界でM&Aを行うことによるメリットやデメリットは、売り手側や買い手側にもあります。
それでは、デイサービス・通所介護業界でM&Aを行うことによるメリットやデメリットについてご説明しましょう。
メリット
デイサービス・通所介護業界でM&Aを行うことによるメリットは、売り手側と買い手側で違います。
それでは、 デイサービス・通所介護業界でM&Aを行うことによる売り手側と買い手側のメリットについてご説明しましょう。
売り手側
売り手側がM&Aを行うメリットとして挙げられるのが、後継者問題が解決できることです。
売り手側の企業に後継者がいない場合、現在行っている事業がなくなる可能性があります。
そうなる前にM&Aを行って事業を引き継いだり、さらなる成長が期待できたりと、今まで培ってきた技術や伝統などが無くなるのを防ぐことができます。
買い手側
買い手側がM&Aを行うメリットとして挙げられるのが、従業員を確保したり新規事業のへ参入したりできることです。
デイサービス・通所介護業界は常に人手不足の状態が続いている以上、既に事業を展開している企業を買収することによって質が高いサービスが提供できるスキルやノウハウを持った従業員や有資格者が確保できます。
また、新規条業としてデイサービス・通所介護の事業を立ち上げても、軌道に乗るまで多くの時間やコストがかかります。
しかし、M&Aで買収することによってスムーズに事業が展開・拡大ができるのがポイントです。
デメリット
デイサービス・通所介護業界でM&Aを行うことによるデメリットは、売り手側と買い手側で違います。
それでは、 デイサービス・通所介護業界でM&Aを行うことによる売り手側と買い手側のデメリットについてご説明しましょう。
売り手側
デイサービス・通所介護業界で売り手側がM&Aを行う場合、必ずしも希望通りの条件で売却できるとは限りません。
買い手側と話し合った末に合意して契約を締結しなければならないので、お互いの条件がが近づいて合致しない場合はいつまで経っても売却できないのがデメリットです。
さらに、売却した後も企業に残って働く場合、以前のような権限を持って経営することもできなくなります。
買い手側
デイサービス・通所介護業界で買い手側がM&Aを行う場合、事業を買収するための多額の資金が必要になります。
また、経営統合プロセスが上手くいかなかったとき、M&Aを行ったことに対して大事な人材から反発される可能性もあるでしょう。
さらに、企業が求める条件に合う事業を展開していてM&Aを計画している法人企業が見つからないときもあるのもデメリットです。
デイサービス・通所介護業界のM&Aの買収・売却価格相場
これからデイサービス・通所介護業界でM&Aを検討している場合、買収・売却価格の相場を知ることが大切です。
それでは、デイサービス・通所介護業界におけるM&Aの買収・売却価格の相場についてご説明しましょう。
価格相場
デイサービス・通所介護業界におけるM&Aの価格相場は、企業の価値を算出するところから始まります。
企業価値を算出したところで相手企業と価格交渉を行い、最終的な金額で合意していく流れとなります。
価値の算出方法
デイサービス・通所介護業界におけるM&Aの価格の算出方法は、基本的に賃借対照表上の資産・負債項目を時価で評価し直して差し引いた「時価純資産+営業権」を算出して企業価値とみなします。
営業権はのれんとも呼ばれており、将来的に価値が生み出されるものの大きさを表します。
基本的にのれんは営業利益の2年~5年分とされているので、時価純資産が7,000万円、営業利益が3,000万円、のれんが3年分だった場合、「7000万円+3,000万円×3=1.6億円」となります。
デイサービス・通所介護業界のM&Aの手順
デイサービス・通所介護業界におけるM&Aの手順は、以下の通りです。
①戦略策定
②委託契約
③本格的な戦略策定
④会社売却・買収の手続き
⑤基本合意書の締結
⑥デューデリジェンス
⑦最終条件交渉・契約締結
⑧クロージング
それでは、デイサービス・通所介護業界におけるM&Aの手順についてご説明しましょう。
①戦略策定
最初にM&Aの専門家に相談して戦略策定を行っていきます。
M&Aを行うときは専門的な知識を要する場面が多いので、事業の売却や買収を検討し始めたら、専門家に相談して戦略策定を行いましょう。
②委託契約
M&Aをサポートしてくれる専門家に相談して、この仲介会社なら安心できると思ったらM&A仲介会社と委託契約を締結しましょう。
M&A仲介会社は売り手側と買い手側の間に入って仲介してくれるので、中立的な立場からM&Aが完了するまでサポートしてくれます。
③本格的な戦略策定
M&A仲介会社と委託契約を締結したら、本格的な戦略策定を行っていきます。
企業価値を算出したり、売却先・買収先の選定や交渉の打診を行い、交渉相手が見つかったら双方合意の下で秘密保持契約を締結します。
そして企業のトップ同士の面談を行い、経営理念や将来のビジョン、相性などを確認しながら条件交渉を行うのがポイントです。
④会社売却・買収の手続き
条件交渉を行い、お互いに提示した条件に合致したら会社売却・買収の手続きを行います。
⑤基本合意書の締結
お互いが買収・売却の内容に合意したら、基本合意書の締結を行います。
今までの交渉で決められた内容が記載されますが、基本合意書自体に法的な拘束力はありません。
⑥デューデリジェンス
デューデリジェンスとは買い手側の企業による買収リスクを洗い出す監査調査のことです。
専門家によってデューデリジェンスが行われるので、他に不透明な部分がないか徹底的に洗い出されます。
⑦最終条件交渉・契約締結
デューデリジェンスを行って特に何も問題がないと判断された場合、最終条件交渉・契約締結を行います。
もしもデューデリジェンスで問題が見つかった場合は、価格の引き下げや新たな条件が追加される可能性があります。
全体的なM&Aにお互いが合意したら最終契約を締結してM&Aを成立させましょう。
⑧クロージング
クロージングによって、株式または経営権の引き渡しと対価の受け取りを行います。
ただ、クロージングは前提条件を満たさなければならないので、最終契約締結から一定期間を空けてからクロージングを行うのが一般的です。
デイサービス・通所介護業界のM&Aの注意点
デイサービス・通所介護業界におけるM&Aを行う場合、さまざまな注意点があります。
それでは、デイサービス・通所介護業界におけるM&Aの注意点についてご説明しましょう。
早い段階から準備を開始する
M&Aを成功させるためにも、売り手側、買い手側双方で早い段階で準備を始めることが大切です。
買い手側に交渉するために自社への理解を改めて深めたり、専門家に早めに相談したりするのがおすすめです。
買い手側は買収の目的をハッキリさせ、希望する事業は何か、自社にマッチする事業なのか総合的に判断しましょう。
契約内容をよく確認する
相手が提示してきた契約内容は、後で後悔しないようにしっかりと確認しましょう。
交渉したときの金額が記載されているのか、交渉した内容通りになっているのかなど、全ての記載内容に間違いがないかチェックしましょう。
事前にデューデリジェンスを行う
買い手側は事前に売り手側の企業のデューデリジェンスを行いましょう。
事前にデューデリジェンスを行うことによって問題が発覚する可能性があるので、その問題を反映した条件交渉などもできるのがポイントです。
税金対策を入念に行う
M&Aを行った場合、所得税や復興特別所得税、個人住民税、消費税、不動産所得税、登録免許税といったさまざまな税金が発生します。
この場合、税金対策を入念に行う必要性があるでしょう。
M&Aの専門家に相談する
M&Aを行う際は専門的な知識が必要になる上に複雑な手続きを行うため、あらかじめ専門家に相談するのがおすすめです。
プロの専門家であればM&Aをスムーズに進めるためのポイントを熟知しているため、心強い味方になってくれるでしょう。
デイサービス・通所介護業界のM&Aは専門家に相談しよう!
これからデイサービス・通所介護業界におけるM&Aを検討しているのであれば、専門家に相談するのがおすすめです。
デイサービス・通所介護業界におけるM&Aは需要が高いので、人手不足の解消や新規事業への参入といった目的でM&Aを検討する企業も多いでしょう。
そんな時こそ、専門家に相談してスムーズにM&Aを進めてみてはいかがでしょうか。
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