三重県のM&A動向や事例は？相談先・実施のメリット・注意点も解説！
近年三重県では人口減少が問題視されているのが現状で、その動向に伴う後継者不在などの問題を解消するため、事業継続を目的としたM&Aが盛んです。本記事では三重県のM&Aの動向や事例、相談先や実施のメリット、注意点などを解説します。
目次
三重県の産業構造とＭ&Ａの動向
広大な山林に恵まれているうえに海に面した地形である三重県では、農業や水産業などの産業が著しく発展しています。
一方で人口減少の動向に伴う後継者不在などの問題を解消するため、事業継続のためのＭ&Aが積極的に行われているのが現状です。
では三重県のＭ&Aをさらに深掘りするため、産業の特徴やＭ&Aの現状と動向を解説します。
三重県の産業の特徴
前述で解説したように三重県は豊かな山林を有しているうえに広大な海にも面しているため、水産業や農業が盛んな都道府県です。
温暖な気候が特徴的で、その気候を活かして南勢地域や鈴鹿山麓では全国第3位の生産量を誇る茶葉である伊勢茶が栽培されています。
茶葉の栽培だけでなく、広大な水田を有する伊勢平野ではコシヒカリなどの有名ブランド米が生産されているのも特徴的です。
また三重県では製造業も盛んで、自動車製造業や輸送用機械器具製造業、電子関係などの産業が発展しています。
三重県のＭ&Aの現状と動向
三重県では現在人口減少が問題視されているうえに、各企業の社長の平均年齢も上昇傾向にあります。
そのような動向に起因し、多くの企業が後継者不在などの問題を解消して事業を継続するためのM&Aが多数行われているのが現状です。
三重県でM&Aを行う際の基本的な流れ
三重県では人口減少の動向による後継者・労働力不足を解消するため、M&Aが盛んに行われていますが、実際にどのような流れで手続きが行われるのでしょうか。
では三重県でM&Aを行う際の基本的な流れを紹介します。
①M&Aの検討・専門家への相談
三重県でM&Aを行う際には現状でM&Aを行うべきかを十分検討し、取引を開始するのであれば専門家への相談を進めます。
M&Aの必要性を検討する際には自社の状況を的確に把握し、現状での問題点を解決できるM&Aの施策を検討しましょう。
M&Aの必要性を確認し、具体的な施策なども立案した時点でM&A仲介会社などの専門家に相談すれば、スムーズ且つ正確に取引を進めてくれます。
②M&A売却価格・条件・課題などを検討
実際にM&Aの取引が開始し、仲介会社などの専門家への相談・依頼が完了すれば、M&Aの売却価格や条件、課題などを検討します。
M&Aの売却価格を検討するためにも、市場の相場の動向を把握して価格を検討しましょう。
細かな売却価格を設定する場合には専門家に依頼して自社の企業価値評価を行い、適切な価格設定をするのも重要です。
またM&Aを行う際に譲渡する資産や権利の範囲、引き継がれる従業員の雇用条件なども十分確認して取引を進めましょう。
さらにM&Aの実施により改善したい課題なども検討し、その課題・問題を解決できる施策を検討するのも重要です。
③交渉相手を選ぶ
売却価格や条件、M&Aに取り組む課題などが決定した時点で交渉相手の選定に進みます。
交渉相手を自社のみで見つけるのは大変なので、最適なマッチングを行うためにも仲介会社などの専門家に依頼するのがおすすめです。
交渉相手の選定においては自社の企業価値を的確に把握したうえで、最適な価格での買収を検討してくれる企業を選択しましょう。
また売却後も効率的な事業継続を促進するために、価格だけでなく取引相手の十分なリサーチを行って将来性のある企業へ売却するのも重要です。
④秘密保持契約の締結
M&Aの交渉相手が決定した時点で、売り手・買い手企業の双方で秘密保持契約を締結します。
M&Aは企業の業績やノウハウ、資産など重要な情報が交換され、それらの重要な情報が競合他社に漏れれば重大な事態に発生しかねません。
情報漏洩を事前に予防し、健全な取引を行うために秘密保持契約の締結を徹底しましょう。
⑤相手企業との交渉開始
M&Aにおける秘密保持契約が締結すれば、次に相手企業との交渉を開始します。
本格的な交渉に進む前に売り手・買い手双方の経営者同士がトップ面談を行い、M&Aに関する方向性や指針を決定するのが一般的です。
トップ面談が完了し、M&Aの方向性が決定した時点でお互いの意志を表明する、意向表明書を発行します。
意向表明書の発行は義務ではありませんが、発行により売り手に買収の意欲をアピールできるのがメリットです。
⑥基礎情報開示
取引相手企業との交渉が開始すれば、次に売り手・買い手双方の効率的な情報共有を行うために基礎情報の開示を行います。
基礎情報開示の手続きは一般的に買い手と仲介会社のみで行われ、売り手企業の関係者は参加しません。
一方で売り手は情報漏洩を防ぐためにも、事前に仲介会社との秘密保持契約の締結が必要です。
⑦デュ―デリジェンスの実施
基礎情報開示が完了し、M&Aにおける売り手・買い手双方の重要情報などが共有されれば、次に買い手企業が財務的な側面から売り手側を監査するデュ―デリジェンスを行います。
M&Aでは取引完了後に売り手側の帳簿などに記載されていない、簿外債務や突発債務が発生するケースも多いです。
そのような事態が発生すれば買い手側は買収費用に加え、債務の発生義務も生じます。
一方で事前にデュ―デリジェンスを行い、売り手側の財務状況などを監査すれば簿外債務や突発債務などの支払い義務を回避できます。
⑧最終契約締結
デュ―デリジェンスを行い、売り手側の財務状況の確認が完了した時点で最終契約締結を行って取引の最終段階である最終契約締結へと進みます。
最終契約締結は基本合意締結とは異なって法的な拘束力を持ち、一度決定すれば変更できないので契約内容を確認しながら手続きを進めましょう。
⑨クロージング
取引の最終段階である最終契約が締結すれば、実際に取引内容を実行するクロージングを行います。
クロージングでは従業員や事業に関連する資産や権利などが売り手側から買い手側に移動するので、変化の動向に伴う混乱が予測されます。
混乱を防いで効率的な事業引継ぎを行うためにも、事前に入念な計画を立ててM&Aに備えましょう。
三重県でM&Aを行うメリットとデメリット
近年三重県では後継者不在などの問題を解消し、効率的な事業承継を行うためのM&Aが盛んです。
ではM&Aを行うメリットやデメリットを買い手側・売り手側双方の立場から解説します。
売却側
三重県でM&Aを行えば、売却側は数点のメリットを得ることが可能です。
では売却側のメリットを紹介します。
メリット
従業員の雇用を確保できる点が、三重県でM&Aを行った際に売却側が得られるメリットです。
三重県では近年人口減少の動向に伴う後継者不足により、倒産・廃業するケースも多く見受けられ、その動向に伴って従業員も職を失います。
そこで後継者不在により廃業する前にM&Aを行って他社に事業を引き継げば、他社に事業を引き継げるうえに従業員もそのまま雇用される動向が強い点がメリットです。
デメリット
M&Aを行えば、売却側は経営に関する権限が縮小される点がデメリットです。
例えば事業売却のスキームにより一部の事業のみを売却すれば、売却した事業の経営権を失います。
一方で事業譲渡や事業売却などのスキームにより売り手が買い手に事業全体を引き継げば、売り手は事業に関する全ての権利を失いまます。
このようにM&Aにより売却側は経営権が縮小されるとともに、M&Aのスキーム次第で経営権の譲渡範囲も変動する点も把握しましょう。
買収側
三重県のM&Aでは、売却側同様に買収側にもいくつかのメリットやデメリットが発生します。
ではM&Aにおける買収側のメリットとデメリットを紹介します。
メリット
優秀な人材を確保できる点も、三重県でM&Aを行う際に買収側が得られるメリットです。
既存の事業を買収するのではなく新規事業を立ち上げれば、新規従業員も雇用して運用ノウハウも指導・教育しなければいけません。
そこで既存の事業を買収すれば、売り手企業の事業をそのまま引き継いで業務になれた優秀な人材も確保できます。
そのような人材を確保すれば、事業買収後も効率的な事業運営が可能です。
デメリット
三重県でM&Aを行う際には、買収側は簿外債務や突発債務を引き継ぐ可能性がある点がデメリットです。
前述のようにM&Aでは、取引完了後に売り手の帳簿に記載されていない債務である簿外債務や突発債務が発生する可能性もあります。
このような債務が取引完了後に発生すれば、買い手に債務の支払い義務が発生するのが現状です。
このような事態を防いで健全な取引を行うためにも、買収側は事前のデュ―デリジェンスを徹底しましょう。
三重県のM&Aの成功事例
三重県では事業継続を目的とした事例のM&Aが積極的に行われていますが、実際にどのような動向のM&Aが行われているのでしょうか。
では三重県のM&Aの成功事例を紹介します。
①第一交通産業とタカモリタクシーのＭ&A
2020年3月にはタクシー・ハイヤー事業や不動産運営事業などを手掛ける第一交通産業が、三重県の地元タクシー企業であるタカモリタクシーの全株式を取得して子会社化しました。
このＭ&Aは、第一交通産業が三重県での事業シェアを拡大するために手掛けた事例です。
②松坂興産とベルテクスコーポレーションのＭ&A
2022年12月には三重県松坂市に本拠を構え、主にコンクリート製品の製造を手掛ける松坂興産が、道路や農地整備の他に幅広い事業を展開するベルテクスコーポレーションよりコンクリート製造事業を譲受しました。
このＭ&Aは松坂興産が生産体制を強化するために手掛けた事例です。
③シェアリングテクノロジーと名泗コンサルタントのＭ&A
2018年2月には害虫駆除や水回り修理などのサービスに関するマッチングサイトを運営するシェアリングテクノロジーが、三重県で地域密着型の不動産事業を展開している、名泗コンサルタントの株式を取得して子会社化しました。
このＭ&Aはシェアリングテクノロジーが企業価値を高めるために手掛けた事例です。
④オートバックスセブンと高森自動車整備工業のＭ&A
2020年4月にはカー用品業界大手のオートバックスセブンが、三重県の4つの工場で板金・車検業務などを手掛ける高森自動車の全株式を取得して子会社化しました。
このＭ&Aは、オートバックスセブンが三重県での事業基盤を確保するために手掛けた事例です。
⑤ZTVとアイティ―ビーのＭ&A
2014年4月には三重県津市や尾鷲市でカーブルテレビ事業を手掛けるZTVが、伊勢市や鳥羽市にて同事業を展開していたアイティ―ビーを吸収合併して会社名をZTV伊勢放送局に変更しました。
このＭ&AはZTVが事業シェア拡大のために手掛けた事例です。
⑥桑名信用金庫と三重信用金庫のＭ&A
2019年3月には三重県で事業資金の貸し付けなどを手掛ける桑名信用金庫が、同業者の三重信用金庫を吸収合併しました。
このＭ&Aは桑名信用金庫が経営基盤を拡大して収益拡大を図るために手掛けた事例です。
⑦やまぜんホームズと安寿会のＭ&A
2016年7月には戸建て注文住宅の設計・施工を手掛けているやまぜんホームズが、居宅介護支援事業を手掛ける安樹会の事業を買収しました。
このＭ&Aは、ヤマゼンホームズが事業シェア拡大のために手掛けた事例です。
三重県でのＭ&A案件の探し方
三重県でＭ&Aを成功させるためにも、最適な案件を見つけて取引を進めなければいけません。
では三重県でのＭ&A案件の探し方を解説します。
①M&Aの経験と知識が豊富な仲介会社に相談する
三重県でのＭ&Aを成功させるためにも、M&Aの経験と知識が豊富な仲介会社に相談しましょう。
自社のみで最適な案件や取引相手を見つけるのはとても困難で、時間と手間がかかるのが現状です。
そこでＭ&Aを専門的に手掛ける仲介会社に相談すれば、豊富な経験と知識、幅広いネットワークを活用して自社に最適なマッチングを手掛けてくれます。
②金融機関に相談する
銀行や信用金庫などの金融機関に相談するのも、三重県での効率的な案件の探し方の1つです。
銀行や信用金庫などの金融機関の中には、Ｍ&Aの財務面に関する知識を有している機関も多く、専門分野であれば丁寧に相談に乗ってくれます。
特に自社を担当している銀行や信用金庫であれば自社の業務・財務状況にも詳しく、自社に最適な案件や取引相手に関する相談も手掛けてくれます。
しかし、金融機関は財務面の相談のみを受け付けており、仲介会社とは違ってマッチングや手続きには関与できない点も事前に把握しましょう。
③公的支援機関に相談する
三重県でＭ&Aの案件を効率的に探す方法として、国や県が運営する公的支援機関に相談するのも有効な手段です。
では三重県でＭ&Aに関する相談を積極的に受け付けている公的支援機関を紹介します。
三重県事業承継・引継ぎ支援センター
中小企業のＭ&Aを専門的に受け付けている公的機関が、三重県事業承継・引継ぎ支援センターです。
同機関は国からの委託事業として設置され、公益財団法人三重県産業支援センターが運営しています。
主に親族内や社内の事業承継に関する契約や相談受付、Ｍ&A支援や後継者マッチング事業など幅広い事例の相談を受け付けている機関です。
また相談の途中過程で仲介会社などの専門家に依頼する場合には、各業者が定める料金が発生する点も把握しましょう。
三重県商工会議所
三重商工会議所もM&Aの相談を積極的に受け付けてくれる、会員制の交易経済団体です。
三重県には12の商工会議所と41の商工会があり、親切・丁寧にM&Aに関する事例の相談を受け付けています。
会員であればM&Aに関するさまざまな相談を受け付けてくれますが、非会員の場合には相談内容が限定される場合がある点も把握しましょう。
三重県信用保証協会
三重県の中小企業を財務面からサポートしてくれる、公的保証機関の三重県信用保証協会もM&Aに関するさまざまな相談を受け付けています。
同機関は中小企業や起業者のための公的な保証人となり、起業や投資に関する積極的な支援を手掛ける公的機関です。
保証人としてのサポートだけでなく、M&Aや事業承継などに関する相談も親切・丁寧に受け付けてくれます。
三重県よろず支援拠点
三重県よろず支援拠点は、小企業や中小企業の運営に関する相談を積極的に受け付けてくれる公的機関です。
機関内に宅地建物取引士や中小企業診断士など、専門的な資格・知識を有した相談員が在籍しているので、M&Aの多様な状況に適したアドバイスが期待できます。
定期的なセミナーを開催しているうえに相談も無料なので、気軽に利用できるのもメリットです。
三重県でのＭ&Aを成功させるためのポイント
三重県でM&Aを成功させれば効率的な事業引継ぎや事業シェア拡大も可能ですが、実際にどのようなポイントに注意すれば取引を成功させることができるのでしょうか。
では三重県でのM&Aを成功させるためのポイントを、売却側・買収側双方の立場から解説します。
売却側
売却側は買収側の選定を慎重に行うのも、三重県でのＭ&Aを成功させるためのポイントの1つです。
事業を継続させるために売却しようと思っても、先行きが不透明な企業に買収して倒産すれば意味のないM&Aになります。
このような事態を防いで確実に事業を継続させるためにも、事前に相手企業のリサーチを行って運営・経営状況が安定した企業への売却を進めましょう。
買収側
三重県でのM&Aを成功させるためにも、買収側は事前のデュ―デリジェンスを徹底するのも重要なポイントです。
前述のようにM&Aでは取引完了後に、売却側の帳簿に記載されていない簿外債務や突発債務が発生するケースが多く見受けられます。
簿外債務や突発債務が発生すれば、買収側は買収金額に上乗せして負債も支払わなければいけません。
取引完了後の経費を最小限に抑えるためにも、事前のデュ―デリジェンスを徹底して売り手側の財務状況を入念に監査するのも重要なポイントです。
三重県でＭ&Aを行う上での注意点
三重県でM&Aを成功させるためには、いくつかの注意点に留意しなければいけません。
では三重県でのM&Aを行ううえでの注意点を売却側・買収側双方の立場から解説します。
売却側
M&Aを成功させるためにも、売却側は手続きに必要な情報をきちんと開示しましょう。
粉飾や簿外債務、従業員への賃金未払いなどの事項を隠したまま取引すれば、取引成立後に訴訟問題などの大問題に発展しかねません。
このようなリスクを回避して健全な取引を行うためにも、M&Aの手続きに必要な情報をきちんと開示して取引を進めましょう。
買収側
統合プロセスを慎重に進める点が、M&Aを成功させるために買収側が注意しなければいけないポイントです。
M&Aでは2つの事業が統合されるので、今までとは異なる人間関係や環境で働かなければいけない事例も多く見受けられます。
したがってM&Aが完了して統合を急ぎ過ぎてしまえば、急な人間関係や環境の変化の動向に耐えきれずに従業員が退職するケースも多いです。
このような事態を防いで従業員の退職やモチベーション低下を回避し、M&Aのシナジー効果を高めるためにも統合プロセスを慎重に行って従業員の混乱を防ぎましょう。
三重県でのM&A相談は専門家へ！
本記事では三重県のM&A動向や事例を紹介し、相談先や実施のメリット、注意点も解説しました。
現在三重県では人口減少が問題視されており、その動向に伴って多くの企業が後継者や労働力不足に悩まされています。
そのような状況下M&Aを行えば効率的に事業を引き継ぐことができますが、M&Aには法務や税務、財務などに関する専門的な知識が必要です。
そこで法務や税務、財務などに詳しい実績豊富な仲介会社に相談すれば、スムーズに手続きが進むのでご利用をご検討ください。
またM＆Aでも三重県の効率的な事業売却・買収が可能ですが、さらにスムーズな引継ぎや買収や売却を行うのであれば事業承継がおすすめです。
事業承継を活用すれば、自社親族内の後継者を擁立できれば簡単に手続きが完了します。
さらに親族や従業員内に後継者がいなくても、第三者企業から最適な後継者の擁立ができるのも事業承継のメリットです。
特に近年は事業承継に特化している仲介会社も多いので、一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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