人材派遣会社のM&A事情を徹底リサーチ!事例や相場・注意点は?
人材派遣会社のM&Aは年々活性しているので、今後も人材派遣会社のM&Aを検討する経営者や企業は多くなっていくでしょう。
ただ、事例やM&Aの相場や注意点を知っている方はあまり多くないので、詳しく気になっている方もいます。
目次
人材派遣会社の現状とM&Aの動向
人材派遣会社の現状とM&Aの動向は、現在どのようになっているのか気になります。
ここでは最初に、人材派遣会社の現状とM&Aの動向について解説します。
人材派遣会社の特性
人材派遣会社の特性として、人材派遣会社に登録している人が取引先に派遣させて、人材を提供するビジネスを行っています。
働く時は基本的に会社と雇用契約を結び、会社から給料を貰います。
しかし、派遣登録している人は、人材派遣会社に支払われた派遣料から給料が発生するという仕組みになっています。
人材派遣会社の現状
人材派遣会社の現状は、業界全体的に人材不足に陥っている状態です。
多くの人材派遣会社の動向として、即戦力の人材を獲得することが難しくなっているので、業績が良くても売却を行う中小企業が多くなっています。
そのため、中小企業の売却が活性化しているので、今後の動向は大手企業派遣会社への集中が進んでいくことでしょう。
人材派遣会社のM&Aの動向
人材派遣会社のM&Aの動向は、1990年代以降から2000年代以降にかけて急速に活性しており、2006年までにM&A件数が約5倍以降に増加しました。
また、2010年から2014年にかけての動向として少し件数は減少しましたが、その後2015年からまた増加傾向になり、業界全体でM&Aが活性化してきました。
そのため、人材派遣会社のM&Aの動向として、今後も活発になることでしょう。
人材派遣会社のM&Aの事例
人材派遣会社のM&Aについて詳しく知るためには、実際に行われたM&Aの事例を知ることが大切です。
ここでは、人材派遣会社のM&Aの事例を、主に6つ紹介します。
①Panasonicとテンプスタッフ
1つ目の事例は、Panasonicとテンプスタッフです。
大手電機メーカーのPanasonicは、2015年3月15日に人材派遣会社のテンプスタッフへ子会社のエクセルスタッフの株式の1部を譲渡しました。
M&Aの目的は、企業価値を向上させてアジアを代表する人材派遣会社を目指すことです。
また、ソフトウェアやネットワークの専門性を強化することに成功しました。
②UTグループとサポートシステム
2つ目の事例は、UTグループとサポートシステムです。
人材派遣会社のUTグループは、2020年3月2日に同じく人材派遣サービスを提供するサポートシステムの株式を全て買収し子会社化させました。
UTグループは、向上やIT、建設などさまざまな業界への技術者派遣をしています。
システムサポートは、関西をメインとしていたが近年では関東への進出や、食品業界向けの人材派遣も行っています。
このM&Aによって、より広範囲の業界・地域に人材派遣サービスを展開することに成功しました。
③クリエアナブキとライクスタッフィング
3つ目の事例は、クリエアナブキとライクスタッフィングです。
総合的な人材派遣サービスを提供しているクリエアナブキは、2018年3月1日に同じく人材派遣サービスを提供しているライクスタッフィングに大阪支店を譲渡しました。
このM&Aは、主に買い手側のライクスタッフィングが近畿での安定的な利益を獲得し、四国・中国地方での活動を活発化させることが目的です。
また、就業人口の増加も図ることに成功しました。
④アミーゴとグロップ
4つ目の事例は、アミーゴとグロップです。
アミーゴは、ペットショップ事業を展開している会社で、日本1のペットショップを目指すことを目的に人材派遣やラインソーシングなどを行う会社のグロップのペットショップを買収しました。
買収したことで、愛犬保護の取り組みを強化したり里親探しのノウハウを取得したりするなどのメリットが得られました。
また、グロップもこれまでペットショップに費やしていた資金を人材派遣サービスに使い、事業を成長させることに成功しました。
⑤データリンクスとリクルートスタッフィング
5つ目の事例は、データリンクスとリクルートスタッフィングです。
人材派遣サービスを提供するデータリンクスは、2016年4月1日にリクルートの完全子会社であり人材派遣大手のリクルートスタッフィングへ事業を譲渡しました。
主に、IT派遣と受託業務関連以外全ての人材派遣事業を譲渡することで、事業運営でのコスト増加などのリスクを回避させることが目的です。
⑥iDAとリンクアンドモチベーション
6つ目の事例は、iDAとリンクアンドモチベーションです。
リンクアンドモチベーションの子会社であるリンクスタッフィングが運営している国内人材紹介事業を、2022年1月1日にファッション業界に特化している人材派遣会社のiDAに譲渡しました。
主な目的は、国内人材紹介事業を強化させて経営資源を集中させることや利益の向上です。
また、人材不足や組織変革に伴うニーズの変化なども、M&Aを行った理由の1つです。
人材派遣会社のM&Aのメリット・デメリット
人材派遣会社のM&Aをするメリットとデメリットには、どのようなものがあるのか気になる方が多くいるでしょう。
また、売り手側と買い手側によって、メリット・デメリットも変わってきます。
人材派遣会社のM&Aを検討する場合は、しっかりと理解しておくことが大切です。
メリット
人材派遣会社のM&Aによるメリットには、売り手側と買い手側のそれぞれに以下のものがあります。
売り手側
事業や子会社などを売却することによって、コストを削減し主力事業への投資を活性化させたり、売却益の獲得、従業員の雇用存続したりするなどのメリットがあります。
そのため、事業内容が充実していても、人材不足や資金不足になっている場合は、M&Aを検討する場合が多くあります。
買い手側
買い手には、主に新規事業の拡大や新たな人材、ノウハウの獲得、将来的な収益の向上などのメリットがあります。
M&Aで取引される企業は事業は、決して価値が低いわけではないので、資金のある買い手にとっては大きな獲得です。
デメリット
人材派遣会社のM&Aによるデメリットには、売り手と買い手側のそれぞれに以下のものがあります。
売り手側
M&Aによって、事業規模や人材リソースが縮小するので、売上や企業価値が低下するというデメリットがあります。
また、売却益があまり獲得できないリスクなどもあるので、事前に理解しておくことが大切です。
買い手側
買い手側には、主に買収後業績があまり向上せず、M&Aによる効果をあまり得られなかったり、従業員の離職が目立ったりなどのデメリットがあります。
また、事業規模の拡大が原因で業績が傾いて、赤字になってしまうリスクも考えられるので、十分に注意が必要です。
人材派遣会社のM&Aの買収・売却相場
人材派遣会社のM&Aは、事業規模や企業価値によってさまざまな価格で取引されています。
そして、M&Aを検討する経営者の多くは、取引相場が気になっていることが多くあります。
ここでは、人材派遣会社のM&Aの買収・売却相場について、それぞれ解説します。
買収相場
人材派遣会社のM&Aの買取相場は、主に「純資産+営業利益×2~5年分で算出された金額」になります。
例として、純資産1,000万円+営業利益500万円×3年=4,500万円という相場が算出されます。
そのため、売り手側が提示してきた金額が適正であるか判断する時の参考にしておきましょう。
売却相場
人材派遣会社のM&Aの売却相場は、買収相場と同様に「純資産+営業利益×2~5年分で算出された金額」になります。
買収側は、価格を低く見積もってくる場合があるので、M&Aの際は適正価格で売却できるように相場を理解しておきましょう。
人材派遣会社のM&A手順
人材派遣会社のM&Aを行う場合、主に以下の手順で行います。
- M&A候補の選定
- 秘密保持契約締結
- 条件交渉
- 基本同意書の締結
- デューデリジェンス
- 最終契約締結
- クロージング
ここでは、以上7つの手順をそれぞれ解説します。
①M&A候補の選定
M&Aでは、最初にM&A候補の選定を行います。
M&A取引を行う相手企業は、とても多く存在しているので、その中から自社に適切な相手を見つける必要があります。
また、最適な相手を見つけるためには、リサーチや分析なども重要です。
②秘密保持契約締結
M&A候補の選定が完了したら、続いて秘密保持契約締結を行います。
M&Aでは、お互いの重要な情報まで公開するので、事前に秘密保持契約を締結しておかなければ、情報漏洩などのリスクが発生してしまいます。
そのため、M&A交渉を進める前に、締結するのが基本です。
③条件交渉
M&Aの方法や売却額、スケジュールなどをお互いの経営者同士が交渉し、お互いに最善の条件にします。
そのため、場合によっては譲歩して許容しなければいけない条件もありますが、お互いがM&Aによってしっかりと利益を得るためには大切なことです。
④基本同意書の締結
条件交渉が終わった段階で、基本合意書の締結を行います。
基本合意書には、主に売却予定金額やデューデリジェンス、スケジュールなどの情報が記載されています。
また、基本同意書には法的拘束力はなく、M&A取引の動向によっては決裂する場合もあるので、あくまでも仮の契約という状態です。
⑤デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、買収先企業がM&Aを行っても問題がないかや適切な取引価格を決めるために実施する調査のことです。
このデューデリジェンスでは、弁護士や公認会計士、税理士などの専門家の力も借り、徹底して行われます。
そのため、デューデリジェンスの動向によってはM&Aが成立しない可能性もあります。
⑥最終契約締結
デューデリジェンスが問題なく完了し、M&A取引が成立したら、最終契約書の締結を行います。
最終契約書が締結された時点で、ほとんどM&A取引は完了している状態です。
そのため、M&A取引の成功とも言えます。
⑦クロージング
クロージングとは、株式や事業の譲渡手続きや譲渡代金の支払い手続きなどのことです。
クロージングは、最終契約書締結後に実施されるものであり、クロージングが終了するとM&Aが完全に完了します。
人材派遣会社のM&Aを行う上での注意点
人材派遣会社のM&Aを成功させるためには、いくつか注意点があります。
そのため、これからM&A検討している方は、主に以下3つの注意点を意識しましょう。
M&Aの目的を明確にする
1つ目の注意点は、M&Aの目的を明確にすることです。
M&Aは目的を明確にしてしっかりと準備立てて行わなければ成功しにくく、ほとんど利益やメリットを得られない可能性があります。
そのため、M&Aを検討する場合は、徹底して目的を明確にしておきましょう。
デューデリジェンスを徹底して行う
2つ目の注意点は、ディーデリジェンスを徹底して行うことです。
デューデリジェンスを徹底して行うことによって、正確な買収価格を算出できてM&Aによるリスクを最小化させられます。
そのため、デューデリジェンスはM&Aを成功させるためにとても重要なので、手を抜かないように注意しましょう。
従業員の離職に注意する
3つ目の注意点は、従業員の離職に注意することです。
経営者や幹部などは、M&Aによる利益などを理解し交渉が進んでいくことが多くありますが、その会社に勤める従業員には理解されないことがあります。
M&Aをしっかりと従業員に理解してもらい、雇用や待遇などを保障しなければ、M&Aによって多くの従業員が離職してしまう可能性があります。
そのため、M&Aを行う旨をしっかりと従業員に説明し、理解させた上で行うことをおすすめします。
人材派遣会社のM&A成功のカギは早めの準備!
人材派遣会社のM&Aには、さまざまな利点が多くありますが、さまざまなデメリットや注意点も多いので、しっかりと理解しておくことが大切です。
また、事前準備を徹底することも、M&Aを成功させるためには重要なので、これからM&Aを検討している経営者は、十分に理解しておきましょう。
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