北陸地方のM&A動向や現状・成功事例は?産業構造からメリットまで徹底解説!
地場産業や電子部品・回路製造業が栄える北陸地方では、多くの企業で後継者問題を抱えているのが現状です。当記事では、過去のM&A成功事例に触れながら、北陸地方のM&A動向を解説します。M&A案件の探し方や仲介会社の選び方、注意点も併せてチェックしましょう。
目次
北陸地方の産業構造とM&Aの動向
最初に北陸地方の産業構造と特徴を確認した上で、多くの企業で見られる主なM&A動向を解説します。北陸地方の産業における基本的な知識から押さえましょう。
北陸地方の産業構造
日本海側に位置する北陸地方は世界有数の工業集積地帯と言われ、電子部品やデバイス・電子回路製造業が盛んです。
職人技術が結集した伝統工芸品や織物、陶磁器、漆器、鋳物、医薬品といった地場産業も有名で、地方の文化を活かした産業が発展している点が特徴です。
ただ、北陸地方では多くの企業で経営者の高齢化による後継者問題を抱えています。廃業を避けるためには各企業では対処が求められる状況と言えるでしょう。
北陸地方のM&Aの動向
北陸地方では、上記のような課題解決を目指すM&A動向が拡大しています。成功すれば事業や技術、雇用を維持できるなど多くの恩恵が受けられるためです。
北陸地方で見られる主なM&A動向・パターンを以下にまとめます。北陸地方では、後継者問題の解決や同業種による事業拡大を目指す売却・買収が特徴的です。
- 動向①:経営者高齢化による後継者問題を解決するためのM&A
- 動向②:エリア外企業が北陸地方での事業拡大を目指すためのM&A
- 動向③:北陸地方でスケールメリットを得るための同業種によるM&A
- 動向④:エリア外企業が東北地方の企業が持つ技術を獲得するためのM&A
北陸地方でM&Aを行うメリットとデメリット
ここでは、北陸地方でM&Aを実施するメリットとデメリットを確認しましょう。M&Aは多くの恩恵が受けられるため魅力的ですが、考慮すべきデメリットも同様に存在します。
トラブルを軽減させるためにもメリット・デメリット両方を正しく把握した上で、具体的なM&Aの手続きを進めましょう。売却側・買収側の視点に分けて解説します。
売却側
最初に、北陸地方のM&Aにおける売却側のメリットとデメリットを解説します。
メリット
北陸地方におけるM&Aで売却側が得られる主なメリットは、以下の通りです。人材面や経営面、資金面の課題を総合的に解決できます。
- 後継者不在の問題を解決できる
- 経営者が売却による利益(対価)を受け取ることができる
- 大手の子会社になることで安定した経営を実現できる
- 技術者や人材不足による廃業を阻止できる
- 経営者個人が抱える連帯保証人などの債務を解消できる
デメリット
北陸地方のM&Aにおける売却側のデメリットは、次の通りです。条件は他社との交渉で決まるため全て理想通りになるとは限りません。評価額が下落する可能性もあります。
- 既存の従業員や顧客・取引先が反発するおそれがある
- 必ずしも理想の条件で株式・事業譲渡できるとは限らない
- マッチングに苦戦し相手企業がなかなか見つからないケースもある
- 期待した金額よりも低い取引価格になる可能性もある
買収側
次に、北陸地方のM&Aにおける買収側のメリットとデメリットをまとめます。
メリット
北陸地方におけるM&Aで買収側が得られる主なメリットは、以下の通りです。売却側企業の事業設備や人材を有効活用できるので、円滑に事業拡大を目指せるでしょう。
- M&Aに成功すれば売却側企業との相乗効果が生まれる
- 売却側企業が保有する人材やノウハウ・技術を獲得できる
- 東北地方で事業拠点を増やせる
- 多大なコストをかけずに事業参入できる
デメリット
北陸地方のM&Aにおける買収側のデメリットは、次の通りです。M&Aが済んだからと言って直ちに効果が得られるわけではありません。さまざまな対処や施策が必要です。
- 株式や事業を取得する際の対価(資金)が必要になる
- 買収してもM&A前に見込んだ通りの効果が得られない場合もある
- 売却側従業員が新しい事業方針等に違和感を覚える可能性がある
- 売却側企業の簿外債務が発覚するおそれがある
北陸地方のM&Aの売却・買収成功事例
ここでは、北陸地方で過去実施されたM&Aの売却・買収成功事例を7つ紹介します。人材問題解決や技術の獲得など、企業が掲げた狙いに注目しながら各事例をチェックしましょう。
※詳しいIR情報は、各事例下部分に掲載のリンクから移動し参照ください。
- 成功事例①:中山福とグリーンパル
- 成功事例②:NTNと羽咋丸善
- 成功事例③:東部ネットワークと魚津運輸
- 成功事例④:スキットとアヤト
- 成功事例⑤:アルビスとオレンジマート
- 成功事例⑥:オージックグループと広進工業
- 成功事例⑦:日医工とエルメッドエーザイ
①中山福とグリーンパル
売却企業 | グリーンパル (園芸用品・家具・建具・インテリア用品の製造販売) ※新潟県三条市 |
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買収企業 | 中山福 (キッチン・ダイニング用品・ホームユース製品の商社) ※大阪府大阪市 |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・自社オリジナル商品の開発 (買収側の経営戦略の一環) ・新しい市場の創造 ・さらなる成長拡大 |
実施時期 | 2018年1月 |
譲渡価格 | 非開示 |
②NTNと羽咋丸善
売却企業 | 羽咋丸善 (ベアリング・石油継手・建設機械部品等の鍛造) ※石川県羽咋市 |
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買収企業 | NTN (軸受・ドライブシャフト・精密機器商品等の製造・販売) ※大阪市北区 |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・能登地区における軸受の一貫生産体制強化 ・産業機械用軸受の競争力強化 ・売却側の技術ノウハウ・販売方法の継続 ・顧客との取引維持 ・産業機械事業のさらなる拡大 |
実施時期 | 2018年10月 |
譲渡価格 | 非開示 |
③東部ネットワークと魚津運輸
売却企業 | 魚津運輸 (工業ガス輸送・セメント輸送・その他毒物劇物輸送・貯蔵) ※富山県魚津市 |
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買収企業 | 東部ネットワーク (物流・倉庫・運輸・運送、物流3PLアウトソーシング) ※神奈川県横浜市 |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・グループ・当該会社における業容拡大 ・事業基盤の活用 ・水素輸送の増強 ・更なる戦略的投資と企業価値の向上 |
実施時期 | 2022年10月 |
譲渡価格 | 非開示 |
④スキットとアヤト
売却企業 | アヤト (印刷・情報通信 ・企画、デザイン・クリエイティブワーク) ※富山県小矢部市 |
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買収企業 | スキット (選挙ポスター・圧着ハガキ・ポケットフォルダー、 紙製ノベルティ・OPP封筒・車両広告) ※福井県福井市 |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・売却側の経営者高齢化のため ・直受注の営業ノウハウ吸収 ・取引先の拡大 ・売上市場エリアの拡大 ・新事業参入 |
実施時期 | 2020年8月 |
譲渡価格 | 非開示 |
⑤アルビスとオレンジマート
売却企業 (消滅会社) | オレンジマート (富山市における4店舗の食品スーパーマーケット事業) ※富山県富山市 |
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買収企業 (存続会社) | アルビス (食品小売業) ※富山県射水市 |
M&Aの手法 | 簡易合併 略式合併 |
M&Aの目的 | ・富山県内における食品売上高のシェア向上 ・スケールメリットの活用 ・出店エリアの拡大 ・店舗における収益性と生産性の向上 ・持続的な企業価値向上 |
実施時期 | 2020年9月 |
譲渡価格 | 非開示 |
⑥オージックグループと広進工業
売却企業 | 広進工業 (自動車部品切削加工業) ※富山県滑川市 |
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買収企業 | オージックグループ (金属部品加工事業) ※大阪府東大阪市 |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・グループの金属部品加工事業における業容拡大 ・売却側が持つ強みの活用 ・グループの経営管理ノウハウの共有 ・支援体制の構築による一層の成長 |
実施時期 | 2022年6月 |
譲渡価格 | 非開示 |
⑦日医工とエルメッドエーザイ
売却企業 | エルメッドエーザイ(エーザイの100%子会社) (ジェネリック医薬品の開発) ※東京都文京区 |
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買収企業 | 日医工 (国内最大規模のジェネリック医薬品メーカー) ※富山県富山市 |
M&Aの手法 | 資本業務提携 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・両社が保有する資産や強みの最大限の活用 ・シナジー効果の最大化 ・ジェネリック医薬品事業の拡大と成長 ・両社の収益拡大 |
実施時期 | 2018年3月 |
譲渡価格 | 非開示 |
北陸地方のM&A案件の探し方
M&Aは多くの専門知識が必要なため、専門家のアドバイスを受けながら進めるのが一般的です。検討・実施の際は、まず相談窓口を利用すると良いでしょう。
ここでは、北陸地方でM&A案件を探す際に有益な情報が得られる相談窓口を紹介します。公的支援機関を含め、5か所の窓口を押さえましょう。
- M&Aの経験と知識が豊富なM&A仲介会社
- 金融機関
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構北陸本部・関東本部
- 近畿経済産業局
- 中部経済産業局
M&Aの経験と知識が豊富なM&A仲介会社に相談する
M&Aに特化したサポートを受けるには、M&A仲介会社がおすすめです。M&Aの専門家が市場動向や会社状況を分析し、最適なM&A案件や手法を提案してくれます。
M&A仲介会社に依頼する際は、事前に料金体系を確認してから契約しましょう。M&A仲介会社の選び方は、後ほど詳しく解説します。
金融機関に相談する
地方銀行などの金融機関にM&A案件の相談をするのも良いでしょう。その土地の企業と多くの金融取引を持つので、地元の経営事情に則した助言が得られます。
M&Aの案件探しに加え、資金面でも有益なサポートが得られるでしょう。行員の中にはM&Aの知識に詳しい担当者が在籍するケースもあります。
ただしあくまでも金融機関であり、M&Aの手続きに特化した機関では無いので注意してください。
公的支援機関に相談する
国レベルで設置された公的支援機関に相談するのも良いでしょう。公的機関なので多くの相談サービスを無料で受けられる点が強みです。
もちろん地方にも設置されているので、都内まで出向かずとも気軽に利用できます。以下、M&Aの案件探しで有益な情報が得られる窓口・機関を3か所確認しましょう。
独立行政法人中小企業基盤整備機構北陸本部・関東本部
中小企業基盤整備機構では、北陸三県(富山県・石川県・福井県)における中小企業の経営に関する相談や専門家の派遣サービスを提供しています。
北陸の場合は北陸本部に相談すると良いでしょう。M&Aの案件探し、経営相談、資金調達、海外展開などあらゆる相談を受け付けています。
近畿経済産業局
福井県で案件探しのサポートを得るなら、近畿経済産業局を利用するのも良いでしょう。北陸3県はそれぞれ管轄の産業局が異なるので注意が必要です。
M&Aや事業承継の施策を含め、中小企業の幅広い支援策を提供してくれます。経営資金の相談や災害に関する特別相談窓口も利用可能です。
中部経済産業局
富山県と石川県でM&Aの案件探しや事業承継に関する相談を行う場合は、中部経済産業局を利用します。福井県の管轄(近畿)とは異なるので、注意してください。
北陸地方のM&A仲介会社の選び方のポイント
上記ではさまざまな相談窓口を紹介しましたが、M&Aの全般的なサポートを受ける際はM&A仲介会社の利用がおすすめです。
ただ、M&A仲介会社によって得意分野は異なるため、多くの効果を得るには自社の業種や状況と相性が良いM&A仲介会社を選ぶ必要があります。
以下、M&A仲介会社を選ぶ際に確認すべきポイントを4つ押さえましょう。
- 取り扱っている案件の規模
- 手数料・報酬体系
- 相手企業へのアプローチ方法
- 地域や専門性・業種の強み
①取り扱っている案件の規模
1つ目は、取り扱う案件の規模を確認することです。中小企業の案件を専門に扱う仲介会社もあれば、海外まで幅広く売却・買収案件を抱える仲介会社もあります。
自社が求めるM&Aと同規模の案件を中心に扱う仲介会社を選びましょう。あまりにも規模が異なると、関連企業を見つけるのに苦戦する可能性があります。
②手数料・報酬体系
2つ目は、手数料や報酬体系の確認です。M&A仲介会社に依頼する場合、着手金や中間金、成功報酬といった仲介手数料が発生します。具体的な金額は会社によってさまざまです。
このような料金がわかりやすい仲介会社に依頼しましょう。着手金が原則かからない「完全成功報酬型」でサービス提供する仲介会社もあります。
報酬体系は多くの場合Webサイトに記載されているので、まずは確認してみてください。不明な場合は一度問い合わせるのも良いでしょう。
③相手企業へのアプローチ方法
3つ目は、相手企業へのアプローチ方法を確認することです。仲介には1社ずつアプローチする方法と複数社に同時アプローチをかける方法が存在します。
一般的には後者の方がより円滑に相手企業が見つかると言われますが、いずれの方法も正解・不正解はありません。自社が求めるアプローチに対応できる仲介会社に依頼しましょう。
④地域や専門性・業種の強み
4つ目は地域や専門性・業種に強みがあるか確認することです。自社の求めるM&A手法や業種と相性が良い仲介会社に依頼しましょう。
そのためには、仲介会社の過去実績を調べる必要があります。相談前に直接問い合わせるか、M&A仲介会社のWebサイト等で過去の実績・案件を確認することが重要です。
できれば複数社を依頼候補として選出し、比較しながら絞り込むと良いでしょう。
北陸地方のM&Aの注意点
M&Aは多くの労力とリスクを払って行われるものです。売却・買収を行ったからといって必ず効果が得られるとは限りません。リスクを抑えた状態で進めましょう。
ここでは、北陸地方でM&Aを検討・実施する際に注意したいポイントを解説します。売却側・買収側の視点に分けて、どのような点に留意すれば良いかチェックしましょう。
売却側
北陸地方のM&Aで売却側企業が注意したいポイントは、以下の通りです。途中でM&Aの情報が洩れてしまうと従業員が退職し、事業が回らなくなる可能性もあります。
こうなると評価額も落ちてしまうため、M&Aが確定するまで情報管理を徹底しましょう。
- 交渉の際は当事者間で秘密保持契約を締結し情報管理を徹底する
- 会社に不利益な内容も隠さず相手企業に伝える
- 経営が安定している頃からM&Aの計画を立て始める
- 所得税や法人税の処理・対策を行う
- 不安に思った従業員が退職しないように注意する
- マッチングの際は専門家に依頼する
買収側
北陸地方のM&Aで買収側が注意したいポイントは、以下の通りです。M&A後に簿外債務が発覚すると買収側の損失が増えるため、デューデリジェンスを入念に行う必要があります。
売却側の従業員も新しい労働環境に不安になることが考えられるので、上手く配慮しながら円満なM&Aを目指すことが重要です。
- 売却側企業に在籍する従業員の処遇を確保する
- 売却側企業のこれまでの取引や契約に問題が無いか精査する
- 専門家に依頼しデューデリジェンスを入念に実施する
- 買収を行う目的や狙いを明確に設定する
- 円滑な手続きを目指すため知識が豊富な専門家に依頼する
北陸地方でM&Aを行うときは専門家に相談しよう!
経営者高齢化に伴う後継者問題の解決には、M&Aが有効な対処法です。培った技術や雇用を維持できるので、引き続き北陸地方の経済に貢献することができます。
廃業を選ぶと費用が発生するだけでなく従業員の雇用も失われるなど、負担が多くなる点を考慮しなければなりません。
それに比べ、多くの恩恵が受けられるのがM&Aですが、リスクが伴うため専門家のサポートは欠かせません。M&A仲介会社に相談しながら北陸地方のM&Aを成功させましょう。
M&A・事業承継のご相談ならM&Aエグゼクティブパートナーズ
M&A・事業承継については専門性の高いM&AアドバイザーがいるM&Aエグゼクティブパートナーズにご相談ください。
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