回路基板業界のM&Aをチェック!メリットや注意点・事例まで徹底解説!
回路基板業界のM&Aを進める場合、他の業界では見られない注意点がいくつかあります。十分な知識がないとトラブルに発展する可能性が高いです。今回は、回路基板業界のM&Aを検討している法人・組織に向けて、回路基板業界のM&Aのメリットや注意点などについて解説します。
目次
回路基板業界のM&Aの動向と現状
回路基板業界のM&Aを進める前に、業界でM&Aがどのような状況にあるのか把握するべきです。
そこで、回路基板業界のM&Aの動向と現状を解説します。
回路基板業界とは
回路基板は電子機器などに搭載されている機能を実行するために必要な基盤のことです。
回路基板業界はその回路基板の製造を生業とする業界のことです。
インターネットの技術の促進やIoTの需要の増加などにより、回路基板業界は需要が拡大傾向にあります。
電子回路基板製造業との違い
電子回路基板製造業は半導体集積回路などの組み立てを行う事業所のことです。
電子部品・デバイス・電子回路製造業が中分類に位置しています。
そこから4つの小分類に分けられ、そのうちの1つが電子回路製造業です。
さらに、再分類まで分けたうちの1つが電子回路基板製造業に該当します。
それに対し、回路基板業界はもっと広い範囲の回路基板を扱う業界です。
電子機器の中には基盤に電子回路が実装されていないものもあります。
回路基板業界ではそういった基盤も扱います。
今後も安定した需要が見込まれる業種
回路基板業界は今後も安定した需要が見込まれる業種です。
スマホの普及やIoT技術の進化などが目立っており、直近だと5Gの無線通信技術も回路基板が関わっています。
回路基板は新しい通信技術に必要不可欠なものです。
通信技術の進化を辞めることがない限りは、回路基板は継続して高い需要が維持できるものと言えます。
ちなみに、電子回路基板製造業も同じく成長状態にある業種です。
特に高密度きばにゃフレキシブル基盤などの技術が求められている状態にあります。
IoT技術が衰えることがなければ、電子回路基板製造業が軸となって業界を伸ばしていくと予想されます。
高性能時代ゆえ技術力強化のためのM&Aは増加傾向
高性能な製品を求める時代になっています。
そのため、電子回路だけに限らず回路基板業界は、技術力強化のためのM&Aが増加傾向にあります。
M&Aを行うと、電子回路などに関わる相手企業の持つ新しい技術力を手に入れることが可能です。
単に企業としての規模を大きくするだけで行うものではありません。
技術面での新しいノウハウを身に付けるためにM&Aを行うケースが多いことを頭の中に入れておいてください。
回路基板業界がM&Aを行うメリットとデメリット
M&Aを進める前に、回路基板業界がM&Aを行うメリット・デメリットをまとめます。
売り手側と買い手側の両者にメリット・デメリットがあるため、それぞれ解説します。
売り手側
まずは売り手側のメリット・デメリットを解説します。
回路基板業界でのM&Aにおける売り手側のメリットとして以下のものがあげられます。
- 独自の技術を承継できる
- すでに抱えている取引先・顧客との関係の維持が可能
- 後継者問題から解放される
- 従業員の雇用を安定させられる
一方で、回路基板業界でのM&Aにおける売り手側のデメリットとして以下のものがあげられます。
- 自社の資産が無駄になる場合がある
- 顧客のターゲットがほとんど一致していない
以下で詳細を解説します。
メリット
回路基板業界のM&Aを行うと、独自の技術が承継できます。
技術力が優れていても、会社の存続が難しい場合に、M&Aによって独自の技術を無駄にせずに済みます。
また、すでに抱えている取引先・顧客の関係の維持が可能です。
廃業で取引先に迷惑をかけることを避けたい場合にM&Aは適しています。
他にも、後継者問題や従業員雇用問題の解消も見込めます。
デメリット
回路基板業界のM&Aを行うと、自社の資産を無駄にしてしまうこともあります。
M&Aを行った結果、買い手側の企業が自社の資産を有効活用できず、失敗に終わることも珍しくありません。
また、下調べしないままM&Aを進めると、顧客のターゲットが自社の商品と噛み合わないこともあります。
相手の抱えている顧客が自社のものに興味を持ってもらえるかどうかでM&Aの相手を選ぶのが理想的です。
買い手側
この章では買い手側のメリット・デメリットを解説します。
回路基板業界でのM&Aにおける買い手側のメリットとして以下のものがあげられます。
- 新しい販路が獲得できる
- 新しい技術に対する設計力・提案力の向上が見込める
- 資材の調達力強化に繋がる
- 生産・管理効率化によるコストカットができる
一方で、回路基板業界でのM&Aにおける買い手側のデメリットとして以下のものがあげられます。
- 組織文化のすり合わせに時間がかかる
- 負債などの経営リスクも引き継ぐことになる
以下で詳細を解説します。
メリット
回路基板業界のM&Aを行うと、 新しい販路が獲得できます。
大手の取引先との販路獲得が実現するケースも多いです。
また、新しい技術に対する設計力・提案力の向上が見込めます。
設計力・提案力が向上すると、新しい製品を生み出しやすく、企業の売り上げにも直結しやすいです。
他にも、資材の調達力強化や生産・管理の面でコストカットが実現できる点がメリットとしてあげられます。
デメリット
回路基板業界のM&Aを行うと、 組織文化のすり合わせに時間がかかってしまう場合があります。
それぞれの企業ごとの文化があるため、従業員同士の摩擦が起きる可能性も否定できません。
また、売り手側の資産と同時に負債も抱えることになり、経営リスクの悪化に繋がることもあります。
事前に相手の企業の財務状況がどうなっているのか確認することが重要です。
回路基板業界のM&Aによる事業承継成功事例
回路基板業界のM&Aによる事業承継成功事例を参考にすると、M&Aに成功しやすくなります。
以下の4つの回路基板業界の事業承継の成功事例を紹介します。
- KYOCERA AVXとローム(タンタルコンデンサ事業)のM&Aスト
- 佐鳥電機とSM Electronic TechnologiesのM&A
- 巴川製紙所と昌栄印刷のM&A
- ダイセルとグンゼ(電子部品用フィルム事業)のM&A
以下で詳細を解説します。
KYOCERA AVXとローム(タンタルコンデンサ事業)のM&A
アンプ・抵抗器などを扱うローム株式会社は、タンタルコンデンサ事業をKYOCERA AVX社に譲渡しました。
KYOCERA AVX社は電子部品の製造・販売を行う企業です。
主に特定領域の業務に注力する目的で行われています。
佐鳥電機とSM Electronic TechnologiesのM&A
佐鳥電機はSM Electronic Technologies社の株式を取得して連結子会社化しました。
インド市場の電子部品の分野の成長は今後も大きなものになると判断し、事業承継に踏み切りました。
佐鳥電機の電子部品事業の更なる飛躍が期待されています。
巴川製紙所と昌栄印刷のM&A
巴川製紙所はICカードの製造などを行う昌栄印刷の株式を取得して子会社化しました。
ICカードを基盤に、新しい製品開発を目的として事業承継を進めました。
昌栄印刷は特殊印刷技術と情報加工技術を持っています。
そこを活用してシナジー効果による事情拡大を今後も行っていくことが予想されています。
ダイセルとグンゼ(電子部品用フィルム事業)のM&A
グンゼ株式会社はダイセル株式会社と事業承継契約を結び、電子部品事業部フィルム部門を引き渡すこととなりました。
事業承継により、グンゼ株式会社で扱う電子部品事業はタッチパネル部門のみとなりました。
とはいえ、電子部品事業部フィルム部門の顧客に対しては、ダイセル株式会社に丁寧にリーチを行っています。
回路基板業界のM&Aの相場
回路基板業界のM&Aの相場を事前に把握しておきましょう。
相場を理解しておかないと、機会損失を生み出してしまう可能性があります。
そのため、ここでは回路基板業界のM&Aの相場について解説します。
企業価値評価を算出する
企業価値評価を算出し、M&Aの価格交渉の判断材料にするのが一般的です。
M&Aの価格相場を知りたいと考えている方も多いですが、実際は価格相場と言える価格は存在しません。
そのため、価格相場を基にM&Aの価格交渉を持ちかけることが難しいです。
互いの会社の財務状況や技術力の需要の高さなどのさまざまな要因で価格が決まります。
相場価格がない場合に企業の価値の算出方法がわからないと考えている方に向けて、企業価値評価の算出方法を紹介します。
企業価値評価の算出方法は主に以下の3つです。
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
- コストアプローチ
以下で詳細を解説します。
インカムアプローチ
インカムアプローチは企業の持つ収益力の高さを基に企業価値を算出する方法です。
DCF法と呼ばれる計算方法が使われ、将来の企業価値を現在価値に置き換えて算出する方法になっています。
将来の収益性まで加味できるため、実際の価格相場を参考にするのと同じ要領で金額が算出しやすいです。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチは市場による評価を基準に企業価値を算出する方法です。
市場株価法や類似会社比較法による計算が行われます。
上場企業であれば株式時価総額、非上場企業であれば類似した上場企業との比較で価格が算出できます。
価格相場は参考にできなくても、類似企業を参考にできることは覚えておきましょう。
コストアプローチ
コストアプローチは貸借対照表の純資産を基準に企業価値を算出する方法です。
総資産から負債を差し引くと純資産が導き出せ、その数値をそのまま企業価値として使います。
ただ、この方法だと将来性を加味した企業価値が算出できない点に注意してください。
また、本来の価格相場のようにさまざま要素を踏まえた算出ができない点も参考にしづらい部分になっています。
回路基板業界のM&Aを行う上での注意点
回路基板業界の事業承継を行う際の注意点を知らない状態でM&Aを進めると、損するM&Aになりやすいです。
そこで、回路基板業界の事業承継を行う際の注意点を解説します。
回路基板業界の事業承継を行う際の注意点として以下のものがあげられます。
- 技術力を高めておく
- 化学物質利用と管理体制
- 専門家・技術者の流出に注意する
- 原材料調達先の今後に不安はないか確認する
以下で詳細を解説します。
技術力を高めておく
回路基板業界の事業承継の注意点として、電子回路などに関わる技術力を高めておくことがあげられます。
回路基板業界は製造が主軸にあるため、技術力の重要度が高くなります。
M&Aで成功させるなら、技術力の向上を特に意識しましょう。
特にIoTや自動運転などの電子回路に関わる技術の向上は念頭に置いておいてください。
化学物質利用と管理体制
回路基板業界の事業承継の注意点として、化学物質利用と管理体制を意識することがあげられます。
危険な有害物質の規制の動きが世界的に広がっており、製品開発の中で特定の化学物質が使えない場合もあります。
法規制に引っかからないためにも、化学物質に対する配慮を怠らないようにしてください。
専門家・技術者の流出に注意する
回路基板業界の事業承継の注意点として、専門家・技術者の流出に注意することがあげられます。
M&Aで人材が流れていくことは避けられません。
しかし、専門家・技術者の人材が流れていくと、業績が大きく傾いてしまう可能性があります。
原材料調達先の今後に不安はないか確認する
回路基板業界の事業承継の注意点として、原材料調達先の今後に不安はないか確認することがあげられます。
電子部品に使われる希少性の高い鉱石が取引において悪用されるケースが増えています。
そのため、鉱石の採掘が制限される動きが強化されており、確実に材料が調達できる保証はありません。
念のために、原材料調達先について考えておいてください。
回路基板業界のM&Aは経験豊富な専門家に相談しながらすすめよう
回路基板業界のM&Aは経験豊富な専門家に相談しながら進めましょう。
企業間でM&Aを進めてもよいですが、専門家に相談したほうが注意点を意識しながらM&Aを進めやすいです。
また、価格相場もなく、複数の要素が絡み合って金額が決まります。
その点を考えても、専門家の意見を取り入れるべきです。
回路基板業界のM&Aに詳しい専門家に相談する
M&Aを相談する際には、回路基板業界のM&Aに詳しい専門家に相談してください。
回路基板業界は開発技術への配慮や化学物質の取り扱いなどが求められます。
その点を踏まえ、回路基板業界でM&Aを行うなら、専門家に話を持ちかけてみることをおすすめします。
まとめ
回路基板業界のM&Aは他の業界と異なり、開発技術と化学物質の取り扱いの重要性が大きいです。
そのため、他の業界と比べて企業間だけで注意点を気にしつつM&Aを行うのが難しいです。
回路基板業界の知識を身に付けて企業間でM&Aを進めるケースも少なくありません。
しかし、安全性を考慮しつつ適正な価格でM&Aができることを踏まえ、M&A時には専門家に相談しましょう。
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