M&Aで後継者不在を解決する方法とは?他の選択肢も調査!

後継者不在問題で頭を抱えている中小企業が多く、その対策としてM&Aを実施する例が多数見られています。
しかし、M&Aのメリットなどを知らないままだと失敗する可能性が高いです。
後継者不在に悩む企業に向けて、M&Aのメリット・デメリットなどを解説します。

目次

  1. 後継者不在でのM&Aはデメリットしかないのか
  2. 後継者不在で行われる事業承継の選択肢
  3. 後継者不在でもM&Aで事業承継を行うメリット・デメリット
  4. 後継者不在の企業を買収したい企業は意外に多い
  5. 後継者不在の企業がすべき対策
  6. 後継者不在でのM&Aの進め方
  7. 後継者不在でのM&Aは専門家に相談しながら行おう

後継者不在でのM&Aはデメリットしかないのか

後継者不在の状態が続き、解散による清算を行ったり、倒産に追い込まれたりするケースが多々見られています。

しかし、後継者不在の問題はM&Aで解消することも可能です。

とはいえ、後継者不在をM&Aで解消するのにもデメリットがあるのではないかと考える方もいます。

後継者不在の問題を抱えている中小企業がM&Aの選択を取れるように、M&Aの利点を解説します。

中小企業の後継者不在問題が増加

中小企業では後継者不在問題が増加しています。

後継者不在問題が続いているために、年々社長の平均年齢も上がりつつあります。

社長の平均年齢推移
出典: www.tsr-net.co.jp

2015年の段階では社長の平均年齢は60歳でしたが、わずか5年で平均年齢が約2歳上の62.49歳まで上がっているのが現状です。

それだけ後継者不在の状態が続いている企業が多いことを押さえておきましょう。

後継者を育てるのは簡単にはいかない

後継者不在に悩む中小企業の多くは、後継者の育成で苦戦しています。

従業員の中から選んだとしても、本人が後継者になることに同意していないケースが一定数見られています。

そのため、身内に後継者になってもらおうとしても、経営者として十分なスキルを教えることに苦労していることが多いです。

注目される後継者不在でのM&A

後継者不在を解消する目的で、M&Aの利用を検討している企業が増えつつあります。

後継者不在でそのまま廃業に追い込まれる企業も多いですが、M&Aなら経営権を売却先の企業に任せられます。

また、売却先の企業で自社で積み上げてきたノウハウや事業が活かされるため、間接的に社会貢献を続けることが可能です。

後継者不在で行われる事業承継の選択肢

後継者不在に追い込まれた中小企業は、主に以下の4つの選択肢を取ることになります。

  1. 役員・従業員や親族への事業承継
  2. 廃業
  3. IPO
  4. M&A

以下で詳細を解説します。

①役員・従業員や親族への事業承継

後継者不在で行われる中小企業の選択肢として、役員・従業員や親族への事業承継があげられます。

自社の事業のことをよくわからない他人に事業を譲るよりも安心感があります。

しかし、この事業承継で経営者が得られる金銭的リターンはほぼないと考えてください。

②廃業

後継者不在で行われる中小企業の選択肢として、廃業という選択肢があげられます。 

諦めて廃業という選択肢を取ると、後継者探しに奔走する必要がなくなります。

また、廃業は自分の意思で判断しやすいです。

しかし、廃業後に借金が残る場合は経営者が負担を負うことになる点に注意してください。

③IPO

後継者不在で行われる中小企業の選択肢として、IPOという選択肢があげられます。

IPOは証券取引所を通じて株式を公開し、不特定多数の株主に株式を売り出す方法のことです。

IPOなら自社のネットワーク外からも後継者が探せるようになります。

④M&A

後継者不在で行われる中小企業の選択肢として、M&Aという選択肢があげられます。

M&Aなら大きな売却益を出しつつ後継者不在問題の解消がしやすいです。

また、IPOのように審査に合格しないと実行できないものではないため、M&Aでの後継者不在問題の解消がおすすめです。

後継者不在でもM&Aで事業承継を行うメリット・デメリット

後継者不在問題を抱えている中小企業がM&Aを行う際には、M&Aのメリット・デメリットを押さえておく必要があります。

後継者不在の状況で行うM&Aのメリット・デメリットを知っておくと、適切な流れでM&Aを進めることが可能です。

後継者不在の状況で行うM&Aのメリット・デメリットを解説します。

後継者不在の状況で行うM&Aのメリットとして以下のものがあげられます。

  • 後継者選択の幅が広がる
  • 事業の方針に沿った後継者の相手が見つけやすい

一方で、後継者不在の状況で行うM&Aのデメリットとして以下のものがあげられます。

  • 後継者を見定めるのに時間がかかる
  • 株主に反対されるリスクがある

以下で詳細を解説します。

メリット

後継者不在の状況で行うM&Aのメリットとして、後継者選択の幅が広がる点があげられます。

身内や自社の社員の中だけだと、後継者になり得る人材が限られてしまいます。

M&Aなら外部の人材も選択肢に含めることが可能です。

また、事業の方針に沿った後継者の相手が見つけやすい点もメリットとしてあげられます。

選択肢が広い分これまでの事業の方針を変えないで引き続き事業が展開でき、各所での反感を受けづらくなります。

デメリット

後継者不在の状況で行うM&Aのデメリットとして、後継者を見定めるのに時間がかかる点があげられます。

外部の人材から探すと、その人材の情報を知るところから始める必要があります。

そのため、後継者に適切な経営者を探すのに時間がかかりやすいです。

また、株主に反感されるリスクがある点もデメリットの1つとしてあげられます。

経営者側で納得できる人材でも、株主に納得してもらえるとは限りません。

そこの意見のすり合わせが難しいことを理解した上でM&Aを進めてください。

メリットだけでなくデメリットにも目を向けて良し悪しを判断しましょう。

後継者不在の企業を買収したい企業は意外に多い

後継者不在の企業を買収したい企業は意外と多いです。

廃業に追い込まれている企業の中には、優れたノウハウや技術、人材を抱えている企業が多数見られています。

それらを手に入れ、事業の拡大・発展のために活用したいと考えている企業が多い傾向にあります。

そのため、買収側の企業としてもM&Aの需要が高いです。

後継者不在の企業を買収するメリット

後継者不在の企業を買収するメリットを知っておくと、自社を買収するメリットをアピールしやすくなります。

後継者不在の企業を買収するメリットとして以下のものがあげられます。

  • 新規市場への参入
  • 事業拡大が可能になる
  • 確保されているシェアを引き継げる

以下で詳細を解説します。

新規市場への参入

後継者不在の企業を買収するメリットとして、新規市場への参入ができる点があげられます。

買収側企業の扱う事業と近しい事業を取り扱っており、事業展開に活かせるものを持っていると高く評価されやすいです。

M&Aを交渉する際には、相手企業を分析して具体的な事業展開の案を提示してみてください。

事業拡大が可能になる

後継者不在の企業を買収するメリットとして、事業拡大が可能になる点があげられます。

事業展開だけでなく、買収側企業が行っている事業の強化にあたるM&Aも可能です。

シナジー効果にもさまざまな種類があるため、M&Aでシナジー効果が狙える取引先なのかを意識しておいてください。

確保されているシェアを引き継げる

後継者不在の企業を買収するメリットとして、確保されているシェアを引き継げる点があげられます。

M&Aで事業譲渡すると、それまでに確保してきた顧客との関係を維持できます。

買収側企業にとっても新しい顧客を短期的に確保することが可能です。

そのため、買収側企業・売却側企業・顧客の3者にとってウィンウィンな状況が作れます。

貴重な文化を引き継げるという貢献の仕方

後継者不在問題を抱えている企業がM&Aで事業を譲渡すると、貴重な文化を引き継げるという貢献の仕方ができます。

売却側企業にとっても、自社の文化を失わずに済みます。

それだけでなく、自社の文化を活かしたシナジー効果を生み出す可能性すらある点を押さえておきましょう。

後継者不在の企業がすべき対策

後継者不在企業ができる対策としていくつかの選択肢があることを説明しました。

後継者不在に追い込まれてしまった企業は、主に以下の対策を講じる必要があります。

  • 早い段階で事業承継の仕方を決め対策を始める
  • 買い手が魅力を感じる会社作りを行う

以下で詳細を解説します。

早い段階で事業承継の仕方を決め対策を始める

後継者不在の企業がすべき対策として、早い段階で事業承継の仕方を決め対策を始める点があげられます。

後継者不在の状況に追い込まれると、いくつか選択肢があることを説明しました。

どの選択肢を採用するとしても、M&Aの選択肢を視野に入れているなら早めに対策を行うことが大事です。

M&Aのタイミングを逃すと、理想的な取引を行うチャンスを失う可能性があります。

対策を講じるだけでなく、チャンスを逃さないためにも早めに対策を行うことが重要です。

買い手が魅力を感じる会社作りを行う

後継者不在の企業がすべき対策として、買い手が魅力を感じる会社作りを行う対策方法もあげられます。

買い手にとって魅力だと感じるアピールができると、それだけ企業価値が高くなって得られる利益も大きくなります。

また、より自社の持つノウハウなどを効果的に活かしてもらうことが可能です。後継者不在に向けた対策を施すことも大切です。

しかし、それ以上に自社にとってプラスとなるアクションを行う気持ちを重視しましょう。

後継者不在でのM&Aの進め方

後継者不在でのM&Aを検討している場合、M&Aの進め方を知っておく必要があります。

M&Aの進め方がわかるとM&Aで失敗しづらいです。

後継者不在でのM&Aの進め方として以下のものがあげられます。

  • M&Aの経験と知識が豊富なM&A仲介会社に相談する
  • 金融機関に相談する
  • 公的支援機関に相談する

以下で詳細を解説します。

M&Aの経験と知識が豊富なM&A仲介会社に相談する

後継者不在でのM&Aの進め方として、M&Aの経験と知識が豊富なM&A仲介会社に相談する方法があげられます。

M&Aは企業間で相談して内容を決めることが可能です。

しかし、M&Aについての専門的な知識がない場合、M&Aで失敗してしまうリスクがあります。

M&A仲介会社などの専門家を頼りにすると、業界・業種・地域のトレンドに沿ってM&Aを行えます。

後継者不在解消を理由として目的意識なくM&Aを行うケースが多いです。

そうならないためにも、不安な方はM&A仲介会社を利用してみてください。

金融機関に相談する

後継者不在でのM&Aの進め方として、金融機関に相談する方法があげられます。

普段利用している金融機関でもM&Aなどの経営にまつわる相談に乗ってくれるところもあります。

金融機関のほうが相談したいと考えている方はそちらの利用も検討してみてください。

公的支援機関に相談する

後継者不在でのM&Aの進め方として、公的支援機関に相談する方法もあげられます。

M&Aや経営全体などの相談・サポートに対応している公的支援機関もあります。

より専門的な内容を気軽に相談してもらいたい場合は、公的支援機関の相談がおすすめです。

M&Aの相談に乗ってくれる公的支援機関として以下のものがあげられます。

  • 事業承継・引継ぎ支援センター
  • 後継者人材バンク
  • よろず支援拠点

M&Aに特化した相談・サポートに対応しているところもあれば、経営での悩みならなんでも話を聞いてくれるところもあります。

自社で困っている内容や相談しやすさなどを軸に、公的支援機関の利用先を探してみてください。

公的支援機関はM&A仲介会社などと違って無料で相談してくれるところが多いです。

後継者不在でのM&Aは専門家に相談しながら行おう

後継者不在問題を抱えている中小企業は全国的に見て数が多く、年々増加傾向にあります。

後継者不在問題を解消するための方法がいくつかあり、M&Aで問題を解消することが可能です。

M&Aならステークホルダーへの影響も少なく、経営者にとってもそれなりに大きな額の売却益が入ってきます。

しかし、無計画にM&Aを進めると、後継者不在問題は解消できても結果的に損してしまう場合もあります。

後継者不在問題の解消だけでなく、企業としての成長が見込めるM&Aにすることが大事です。

そのため、後継者不在でのM&Aは専門家に相談して丁寧に準備を進めましょう。

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