段ボール業界のM&A動向は?成功事例からメリット・デメリットまで解説!
EC業界・通販の需要拡大に応じて段ボール業界の需要も拡大傾向にあることから、事業拡大やグローバル展開を目的としたM&Aが活発化しています。
今回は、段ボール業界のM&A動向や成功事例、メリット・デメリットについて解説します。
目次
段ボール業界のM&A動向と課題
段ボールは、さまざまな用途で使用されるため、多くの業界に需要があります。
ここではそんな段ボール業界のM&A動向と課題について解説します。
段ボール業界の特色とは?
段ボール業界は、段ボールの製造・販売だけでなく、塗工紙・壁紙・ふすま紙などの加工紙製造業や重包装紙袋・紙器・段ボール箱などの紙製容器製造業を行う企業も含まれます。
さらに、段ボール業界は他業界と異なり大手企業と中小企業で業務が分かれていることが特徴的です。
大手企業は紙の加工から販売まで全て行う一環製造業者で、中小企業は専門分野に特化した個別製造業者になります。
段ボール業界のM&Aの現状と動向
段ボール業界は、ECサイトや通販の拡大によって段ボールの需要が拡大しています。
そのため、段ボール業界は需要増加に対応できる戦略立案を進めており、その一環としてM&Aも取り入れられています。
主に、大手企業が販売エリア拡大を目的に特定の地域の中小企業を買収するM&A事例は増加しています。
段ボール業界の今後のM&A動向として、事業拡大や商圏獲得を目的としたM&AやM&A専門家へ相談・依頼する企業などが増加してくことが予想されます。
段ボール業界の今後の課題
段ボール業界は、需要が増加していると同時に原価も高騰傾向にあります。
そのため、多くの企業が原価率の高騰による利益率の低下を課題として抱えている状態です。
また、段ボールや紙製品は差別化や値上げが難しいため、今後の動向として価格競争が激化する可能性があります。
ただ、価格競争にも限界があることからコストカット戦略の立案を進める企業が多くなることでしょう。
段ボール業界のM&Aの価格相場
段ボール業界のM&Aを検討している場合、自社や買収にかかる価格相場を知っておくことが大切です。
M&Aの価格相場を知ることは、M&Aを成功させるために大切な要因になります。
ここでは、段ボール業界のM&Aの価格相場について解説します。
買収相場
段ボール業界のM&Aの買収相場は、事業規模や純資産額、事業利益などによって異なります。
また、ダンボール業界のM&Aはシナジー効果やリスクなどがわかりやすいため、買収価格が算出されやすいという特徴があります。
売却相場
段ボール業界のM&Aの売却相場も、買収相場と同様にさまざまな要因で決定されます。
そのため、自社のM&Aを検討している企業は、M&Aの専門家に相談して自社価格の算出をしてみることをおすすめします。
段ボール業界のM&Aのメリット・デメリット
段ボール業界のM&Aを行う場合、どのようなメリット・デメリットがあるのか理解しておくことは大切です。
ここでは、段ボール業界のM&Aのメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
メリット
段ボール業界のM&Aのメリットは、売り手側・買い手側でそれぞれ以下のものがあります。
売り手側
- 売却益を獲得できる
- 自社を存続させられる
- 従業員の雇用を確保できる
- 事業拡大・企業価値向上を期待できる
- 個人保証から解放される
買い手側
- 事業拡大に繋がる
- 経営資源を獲得できる
- 商圏拡大になる
- 新規事業に低コストで参入できる
- 競合他社が減る
段ボール業界のM&Aには、以上のようなメリットがあります。
これからM&Aを検討していえる企業は、M&A専門家に相談して十分なメリットを得られるように戦略を検討していきましょう。
デメリット
段ボール業界のM&Aのデメリットは、売り手側・買い手側でそれぞれ以下のものがあります。
売り手側
- M&A相手が見つからない
- 希望の価格・M&A相手に売却できない
- M&A後にM&A相手が不祥事を起こす
- 取引先との関係が悪化する
- 従業員の待遇が悪くなる
買い手側
- 買収にコストがかかる
- シナジー効果が期待できない
- 従業員の大量離職
- 潜在債務が発覚する
- 節税対策にならない
段ボール業界のM&Aのデメリットは、自社に非常に大きな損失を発生させてしまうものが多くあります。
そのため、M&Aを検討している場合は以上のようなデメリットが発生しないように、M&A専門家に相談して慎重に進めていくことをおすすめします。
段ボール業界のM&Aのスキーム
M&Aには、いくつかスキームがありM&Aの目的や自社の状態に応じて、最適なスキームは異なります。
ここでは、段ボール業界のM&Aのスキームを主に6つ解説します。
①株式譲渡
株式譲渡とは、売り手側が自社株式を買い手側に譲渡して自社を承継するスキームです。
M&Aのスキームで最も用いられるもので、売り手側は約50〜100%の自社株式を買い手側に譲渡します。
買い手側はその譲受した株式の対価の支払いを現金で行います。
②株式交換
株式交換とは、売り手側が買い手側の完全子会社になることでM&Aを行うスキームです。
このスキームは組織再編の1つであり、買い手側は売り手側に株式の一部を譲渡し売り手側は買い手側に自社株式を全て譲渡します。
このスキームは、上場企業に対してM&Aを行う場合に用いられます。
③合併
合併とは、複数の会社をM&Aによって1つの会社にする場合に用いられるスキームです。
また、合併には以下2つの種類があります。
- 「新設合併」:合併する会社が全て解散し新たな会社に資産・権利を承継する
- 「吸収合併」:既存の会社に全て承継する
④事業譲渡
事業譲渡とは、一部の事業のみを譲渡するスキームです。
株式譲渡では自社全てを譲渡するのに対して、事業譲渡では1部の事業のみ譲渡します。
これは買い手側が赤字事業のみ避けて取引したい場合などに用いられます。
⑤事業承継
事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことです。
事業承継は、自社内に後継者がおらず、親族内承継・従業員承継が厳しい場合に用いられます。
事業承継によって、第三者から後継者を選定できます。
⑥会社分割
会社分割とは、売り手側が一部の事業のみを第三者に承継するスキームです。
また、会社分割には以下2つの種類があります。
- 「新設分割」:新設する会社に承継する
- 「吸収分割」:既存の会社に承継する
段ボール業界のM&A成功事例
これから段ボール業界のM&Aを検討している企業がM&Aを成功させるためには、これまでに行われたM&A成功事例を参考にすることが効果的です。
ここでは、段ボール業界のM&A成功事例を主に11個紹介します。
①旭段ボール×城西・城西パック
1つ目のM&A事例は、2022年1月に旭段ボールが城西と城西パックの株式を取得し子会社化させた事例です。
旭段ボールは、段ボール・印刷紙器・紙製緩衝材などの製造・販売を行うダイナパックの連結子会社であり、段ボールの製造・販売を行う企業です。
不動産事業を行う城西と段ボール製造・販売を行う城西パックをM&Aで買収することで、事業拡大・企業価値向上・新規事業獲得を目指しました。
今後の動向として、段ボール事業の基盤強化・不動産賃貸での段ボール利用などを進めていきます。
②石川製作所×関東航空計器
2つ目のM&A事例は、2017年8月に石川製作所が関東航空計器の全株式を取得し完全子会社化させた事例です。
石川製作所は地雷などの防衛機器や段ボール製機器の製造・販売を行う企業で、関東航空計器は航空自衛隊の飛行機・戦艦・車両向けに電子機器を製造・販売している企業です。
このM&A動向として、石川製作所は自社持つ機械技術と関東航空計器が持つIT技術を組み合わせて高い技術を獲得し事業拡大を目指しています。
③レンゴー×トッパンコンテナー
3つ目のM&A事例は、2018年7月にレンゴーがトッパンコンテナーの株式を取得し子会社化させた事例です。
レンゴーとトッパンコンテナーはどちらも段ボールやその他紙製品の製造・販売を行う企業なため、このM&Aによって品質向上・事業基盤の強化・サービス体制強化を図れます。
段ボール業界の動向として、ネット通販やECサイトの拡大による関東圏での段ボールの需要が拡大傾向にあります。
そのため、レンゴーは東京都に拠点を置くトッパンコンテナーをM&A・買収しました。
④レンゴー×ヒロパックス
4つ目のM&A事例は、2022年2月にレンゴーがヒロパックスの株式を取得し子会社化させた事例です。
レンゴーは、段ボールケースやプラスチック真空成形型、シール印刷物の製造・販売行うヒロパックスの事業に注目しました。
さらに、群馬県を中心に4つの拠点を保有しているヒロパックスと連携して営業や開発を進めることで、関東での事業拡大・包装ニーズの対応を図っています。
今後の動向として、関東圏での段ボール事業進出が加速していくことでしょう。
⑤レンゴー×武田紙器
5つ目のM&A事例は、2019年8月にレンゴーが武田紙器の株式を取得し子会社化させた事例です。
レンゴーは、段ボールケースの企画・販売を行う武田紙器を買収することで、グループ企業との連携強化・段ボール事業の拡充・SP事業の拡大を図っています。
段ボール業界のM&A動向として、段ボール事業の強化・拡大を目指して同業種同士でのM&Aを行う企業が増加しています。
そのため、レンゴーの動向としてM&Aを活発化させていくことでしょう。
⑥ダイナパック×小倉紙器
6つ目のM&A事例は、2020年1月にダイナパックが小倉紙器の全株式を取得し完全子会社化させた事例です。
ダイナパックは愛知県 名古屋市を拠点に段ボール・印刷紙器・軟包装材・紙製緩衝材などの製造・販売行っている企業で、小倉紙器は静岡県 静岡市を拠点に段ボール製品の製造・販売を行う企業です。
小倉紙器は、1960年に創業されてから高い営業実績を誇っているため、ダイナパックは企業価値向上を期待できるとしてM&Aを行いました。
今後の動向として、ダイナパックは東海圏から関東圏にかけて事業基盤を強化し、競争力の高い企業を目指していく方針です。
⑦大王製紙×芳川紙業
7つ目のM&A事例は、2021年10月に大王製紙が芳川紙業の全株式を取得し完全子会社化させた事例です。
大王製紙は「エリエール」というブランドで多くの顧客に浸透している大手製紙メーカーで、芳川紙業は段ボールケースの製造・販売を行う企業です。
今後の動向として、大王製紙は芳川紙業のノウハウを獲得し事業強化・拡大を目指し、芳川紙業は企業価値向上・商圏拡大を図ります。
⑧大王製紙×吉沢工業
8つ目のM&A事例は、2022年5月に大王製紙が吉沢工業の全株式を取得し完全子会社化させた事例です。
大王製紙は、段ボール製品やディスプレイ製品の製造・販売を行う吉沢工業とのM&Aによって生産拠点の確保による販路拡大・事業拡大を目指しています。
また、吉沢工業も大王製紙の営業力やノウハウを獲得することで、事業拡大・利益力の強化を期待できます。
⑨ラクスル×ダンボールワン
9つ目のM&A事例は、2022年2月にラクスルがダンボールワンの全株式を取得し完全子会社化させた事例です。
ラクスルは印刷の注文・受注を行うプラットフォームを提供している企業で、ダンボールワンは段ボール・梱包材専用のECサイトを展開している企業です。
ラクスルは、すでにダンボールワンの株式を49.9%保有していましたが、事業拡大や企業価値向上・ノウハウの活用を目的に残りの株式を買収しました。
今後の動向として、ダンボールワンのネットワークを活用した商品提供の効率化を進めていきます。
⑩トライウォール社×ローズウッド
10個目のM&A事例は、2018年10月にトライウォール社がローズウッドの株式を取得し子会社化させた事例です。
トライウォール社は、レンゴーの連結子会社であり産業用の強化段ボールの製造・販売・コンサルを行う企業です。
ローズウッドは、イギリスの重要資材物包装メーカーであり、ヨーロッパ圏を中心に向上を展開しています。
トライウォール社は、包装資材事業のグローバル展開を進めており、その一環としてイギリスでの事業拡大を目的にローズウッドとのM&Aを行いました。
⑪トーモク×遠州紙工業
11個目のM&A事例は、2018年10月にトーモクが遠州紙工業の全株式を取得し完全子会社化させた事例です。
トーモクは段ボール・紙器製造・販売を行っているため、同じく段ボール・紙器事業を展開する遠州紙工業とM&Aによるシナジー効果を期待しました。
トーモクの動向として、今後は事業拡大・販売強化・グループ会社との連携強化を図っています。
段ボール業界でM&Aを成功させるポイント
M&Aを成功させるポイントを知らずにM&Aを行ってしまうとデメリットが発生する確率が高くなります。
M&Aでメリットが得るためにはしっかりとM&Aを成功させるポイントを理解することが大切です。
ここでは、段ボール業界でM&Aを成功させるポイントについて解説します。
M&Aの目的を明確にする
段ボール業界でM&Aを成功させる1つ目のポイントは、M&Aの目的を明確にすることです。
M&Aを成功させるためには、M&Aの目的に応じた戦略立案やスケジュール管理が必要になります。
それらの要因をしっかりと検討してM&Aを進めるためには、M&Aの目的の明確化は非常に大切なポイントです。
そのため、経営陣や専門家へ相談して慎重に目的を明確化させることをおすすめします。
シナジー効果が期待できる企業に売却する
M&Aは、シナジー効果が期待できる企業に売却することも大切なポイントです。
お互いに事業拡大・経営資源の共有ができる企業とM&Aを行えれば、自社の企業価値向上や商圏拡大が期待できます。
そのため、M&Aの企業選定は慎重に進めていくことをおすすめします。
また、シナジー効果が期待できるような企業選びは、M&Aの専門家に相談することで気軽に行えます。
税金対策をしっかりと行う
M&Aは、基本的に現金による対価の支払いを行います。
M&Aの対価には税金が課せられるため、しっかりと税金対策を行わなければ売却益の多くを税金として支払うことになります。
そのため、役員退職金を活用した株式譲渡・第三者割当増資の活用・売却益を経費で相殺するなどの節税対策を検討しておくようにしましょう。
また、税理士などに相談して慎重に進めることも効果的な手段です。
相場を把握する
段ボール業界のM&Aの相場を把握しておくことも、M&Aを成功させるポイントの1つです。
自社の売却相場や買収相場を把握しておくことで、適正価格での効果的なM&A交渉が進められるようになります。
さらに、相手企業からも分析がしっかりとできていると判断されるため、自社の評価が高くなる場合があります。
実績や経験が豊富なM&A仲介会社を選ぶ
M&Aには、豊富な専門知識や業務が必要なため、実績や経験が豊富なM&A仲介会社を選び相談・依頼しましょう。
M&A仲介会社への相談は基本的に無料なため、誰でも気軽に行えます。
さらに、M&A業務のサポート・アドバイスを徹底してくれるため、本業務を行いながらスムーズにM&Aができます。
また、複数のM&A仲介会社に相談することで、自社に適したM&A相談先を見つけられるというメリットあります。
段ボール業界でM&Aを行う際の注意点
M&Aで高い利益を出すためにはM&Aを成功させるポイントだけでなく、注意点も理解しておくことが大切です。
M&Aの注意点を知ることでM&Aのデメリットを最小限に抑えられます。
ここでは、段ボール業界でM&Aを行う際の注意点について解説します。
デューデリジェンスは入念に行う
M&Aでは、デューデリジェンスは入念に行いましょう。
デューデリジェンスを怠ってしまうと、M&A売却企業の潜在債務や雇用問題を見逃した状態で買収してしまうデメリットがあります。
そのため、M&A仲介会社や企業の専門家に相談・依頼することをおすすめします。
情報漏洩には十分に注意する
M&A検討段階でM&Aに関する情報漏洩が起きてしまうと、従業員や取引先から誤解されてしまう可能性があります。
その結果、従業員の離職や取引先との契約解除による企業価値の低下で、M&Aが失敗してしまうリスクが高くなるため、十分に注意しましょう。
また、M&A情報を公開するタイミングは経営陣や専門家と相談して慎重に判断しましょう。
適正価格で取引を行う
お互いに十分な利益のあるM&Aを行うためには、適正価格での取引を行うことが大切です。
自社もしくはM&A相手どちらかが不利になるような価格でのM&A取引では、契約後にトラブルを招いたりM&Aによる効果が得られない可能性があります。
適正価格は専門家に相談することで算出させられるため、事前に相談しておきましょう。
段ボール業界のM&Aのご相談は専門家へ!
段ボール業界の動向としてM&A件数が増加傾向にあるため、これからM&Aを検討している企業も増加してくことでしょう。
ただ、M&Aには豊富な知識や注意点があり、失敗してしまうとさまざまなデメリットが発生してしまいます。
そのため、段ボール業界のM&Aを検討している企業は、M&Aの専門家に相談して慎重にM&Aを進めていくことをおすすめします。
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