製麺会社のM&A動向や事例は?価格相場やメリット・注意点も解説!
競争が激化しやすい製麺会社では、独自の製麺技術の獲得や事業拡大で差別化を目指すM&Aの動きが顕著です。当記事では、過去の売却・買収事例を交えながら製麺会社のM&A事情を解説します。M&Aの価格相場やメリット、成功のための注意点も併せてチェックしましょう。
目次
製麺会社の現状とM&Aの動向
ここでは、製麺会社の主な業務内容と特性、業界を取り巻く現状課題を押さえた上で多くの企業で見られるM&A動向を解説します。
製麺会社の特性
製麺会社とは、文字の通り「麺」を製造する事業を行う業界のことで、主に飲食店の料理(ラーメンなど)やスーパーでの販売に使う麺を卸す製麺所を指します。
最近では、自家製麺技術を持つ飲食店もあるのが特徴です。
製麺会社の現状
製麺会社を取り巻く業界は、主に以下のような課題を抱えると言われています。
- 自家製麺にこだわる飲食店が注目されている
- 深刻な人材不足を抱えている
- 競争が激化しやすい業界
- 少子化に備えた販路開拓が必要
競争が激しい業界なので、商品である「麺」で差別化を図らなければなりません。そのため、各企業は独自の製麺技術獲得に注目しています。
店舗でのサービスやオリジナリティ商品の拡充が求められる業界と言えるでしょう。
製麺会社のM&Aの市場規模と動向
製麺技術獲得や事業拡大、経営難解消を目指すために、M&Aの市場規模・動向が業界で拡大しています。多く見られるM&A動向は、以下の通りです。
- 動向①:製麺技術を獲得するためのM&A
- 動向②:経営環境を改善するための業界再編M&A
- 動向③:大手傘下に入り経営難を解消するためのM&A
- 動向④:中小企業による事業規模拡大のためのM&A
- 動向⑤:顧客開拓やシナジー効果創出のための異業種によるM&A
製麺会社のM&A成功事例
ここでは、製麺会社で過去実施されたM&A事例を6つ紹介します。当事者企業が掲げた目的・狙いに注目しながら事例をチェックしましょう。
※より詳しいIR情報は、各事例の下に記載のリンクから参照ください。
- 事例①:丸太太兵衛小林製麺とヨシムラ・フード・ホールディングス
- 事例②:やなぎやのうえんといわぎん事業創造キャピタル
- 事例③:パシフィック製麺と日清STC製粉
- 事例④:サバ6製麺所と2PCG
- 事例⑤:西原商会と五島製麺
- 事例⑥:吉野家HDとせたが屋
①丸太太兵衛小林製麺とヨシムラ・フード・ホールディングス
売却企業 | 丸太太兵衛小林製麺 (北海道札幌市の製麺会社) |
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買収企業 | ヨシムラ・フード・ホールディングス (食品製造・販売) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・近隣会社との協業によるシナジー効果創出 ・経営ノウハウや中小企業支援プラットフォームの活用 ・ビジネスモデル・製造技術・ブランドの獲得 |
実施時期 | 2022年11月 |
譲渡価格 | 非開示 |
②やなぎやのうえんといわぎん事業創造キャピタル
投資先 | やなぎやのうえん (ラーメン屋「柳屋」の麺で使用する小麦栽培事業) |
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ファンド | いわぎん事業創造キャピタル (いわぎん事業創造キャピタル、岩手銀行、 日本政策金融公庫が共同出資して設立したファンド) |
M&Aの手法 | 無議決権優先配当株式引受 |
M&Aの目的 | ・小麦栽培面積を拡大 ・今後の事業成長が期待される ・さらなる地域農業の発展 |
実施時期 | 2021年2月 |
出資額 | 1,000万円 |
③パシフィック製麺と日清STC製粉
売却企業 | パシフィック製麺 (タイにおける小麦粉などの製造・販売・製麺会社) |
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買収企業 | 日清STC製粉(日清製粉グループ) (日清製粉の海外展開会社) |
M&Aの手法 | 資産買収方式 |
M&Aの目的 | ・東南アジアの製粉事業拡大加速化 ・海外事業展開への注力 ・土地・設備・機械等の取得 |
実施時期 | 2018年3月 |
譲渡価格 | 約18億円 |
④サバ6製麺所と2PCG
売却企業 | サバ6製麺所 (フジオフードグループ) (製麺会社) |
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買収企業 | 2PCGが設立したサバ6製麺所 (売却側社長が設立した同名の会社) |
M&Aの手法 | 事業譲渡 |
M&Aの目的 | 売却側グループが経営するラーメン屋 「天鳳」に経営資源を集中するため |
実施時期 | 2022年9月 |
譲渡価格 | 非開示 |
⑤西原商会と五島製麺
売却企業 | 五島製麺 (中華麺などを製造・販売する長崎県の製麺会社) |
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買収企業 | 西原商会 (業務用食品卸大手) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | 取引先の新規開拓 |
実施時期 | 2017年9月 |
譲渡価格 | 非開示 |
⑥吉野家HDとせたが屋
売却企業 | せたが屋 ( ラーメン屋「せたが屋」「ひるがお」等の飲食店舗運営) |
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買収企業 | 吉野家HD (牛丼店経営・フランチャイズ店舗経営指導) |
M&Aの手法 | 資本提携 |
M&Aの目的 | ・新たな価値の創造 ・グループの国内外での発展加速化 |
実施時期 | 2016年6月 |
譲渡価格 | 非開示 |
製麺会社のM&Aのメリット・デメリット
製麺会社のM&Aにおけるメリット・デメリットを確認しましょう。M&Aは多くの恩恵が受けられる魅力的な対処法ですが、注意すべき点も同様に存在します。
メリット・デメリット両方を正しく把握した上で、M&Aの手続きに入りましょう。
メリット
まずメリットから確認しましょう。売却側・買収側の視点に分けて解説します。
売り手側
製麺会社のM&Aで売却側企業が得られるメリットは、以下の通りです。
売却側のメリット | ・株式や事業譲渡による売却益が得られる ・従業員の雇用を維持できる ・後継者問題を解決できる ・大手傘下に入れば経営が安定する ・経営者が個人債務から解放される |
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買い手側
製麺会社のM&Aで買収側企業が得られるメリットは、以下の通りです。
買収側のメリット | ・顧客や人材・製麺技術を獲得できる ・低コストで製麺業界に参入できる ・効率的に事業拡大できる ・事業エリアを拡げられる ・売却側とのシナジー効果を期待できる |
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デメリット
次に、デメリットです。上記と同様売却側・買収側それぞれの視点でまとめます。
売り手側
製麵会社のM&Aにおける売却側のデメリットは、次の通りです。
売却側のデメリット | ・理想通りの条件にならない場合がある ・不安を感じた従業員が退職するおそれがある ・取引先との関係が悪化するおそれがある ・会社経営における影響力が小さくなる ・マッチングに苦戦する場合がある |
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買い手側
製麵会社のM&Aにおける買収側のデメリットは、次の通りです。
買収側のデメリット | ・期待通りのシナジー効果が得られない場合がある ・買収にかかる資金の調達が必要 ・売却側の簿外債務を引き継ぐおそれがある ・売却側従業員が待遇に不満を抱くおそれがある ・文化の融合にかなりの時間を要する場合がある |
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製麺会社のM&Aの買収・売却価格相場
製麺会社でM&Aを実施する際、取引価格相場はどの程度の金額を見込めば良いのでしょうか。経営者にとって、M&A価格相場は特に気になる項目です。
ここでは、製麵会社のM&Aにおける取引額相場と算出方法を簡単に解説します。
価格相場
製麵会社のM&Aは、ラーメン屋などの飲食店舗だとすると100万円から250万円程と言われていますが、一概に言える具体的な数字がありません。
価値相場は会社の大きさや事業規模、取引実績、収益性などの要素が多く影響を与えるためです。ケースバイケースなので、会社状況を正しく把握する必要があります。
価値の算出方法
具体的な数字はありませんが、大まかな相場を求めることはできます。その際は以下のような式を用いるのが一般的です。この方式は年買法(年倍法)と呼ばれます。
大まかな相場(価値)の算出方法 |
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M&A取引価格相場 = 時価純資産 + 営業利益 × 2~5年分 |
相場算出の際は「のれん代」と呼ばれる見えない会社資産の評価が必要です。専門知識が求められるので、専門家のサポートを受けながらの相場算出をおすすめします。
製麺会社のM&Aの手順
製麺会社でM&Aを実施する際の手順を8つのステップに分けて解説します。戦略策定からクロージングまで、M&Aにおける基本的な流れを確認しましょう。
- 戦略策定
- 委託契約
- 本格的な戦略策定
- 会社売却・買収の手続き
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンス
- 最終条件交渉・契約締結
- クロージング
①戦略策定
M&Aの準備段階として最初に実施するのが、戦略策定です。会社の状況を分析し、課題点を明確にした上で大まかなM&Aの方個性を設定します。
M&Aで効果が得られる見込みがある場合にのみ、手続きに入りましょう。
②委託契約
次に、委託契約の締結です。M&Aは多くの専門知識が問われるので、M&A仲介会社などの専門家に依頼して行われます。知識豊富な専門家のサポートを受けましょう。
M&Aの際に取り交わされる委託契約は、アドバイザリー契約とも呼ばれます。
③本格的な戦略策定
M&A仲介会社のアドバイスを受けながら、本格的な戦略策定と相手企業の絞り込みを行います。市場動向を分析し、今の状況に最適なM&A手法を見つけましょう。
経営者会談を行い、最も共感が得られた候補企業があればマッチング完了です。
④会社売却・買収の手続き
相手企業が見つかったら、本格的な売却・買収手続きに入ります。当事者間で、今回のM&Aにおける取引条件をまとめましょう。双方が合意できる内容を目指します。
売却側は、従業員の処遇など不安要素を明確にしておくと良いでしょう。
⑤基本合意書の締結
条件がまとまったら、基本合意書を締結します。基本合意書は、スケジュール、M&A手法、取引株式の種類・数量、譲渡価格、支払い方法を記載するのが一般的です。
基本合意書は双方のM&Aへの合意を示すもので、法的拘束力はありません。
⑥デューデリジェンス
次にデューデリジェンスが実施されます。デューデリジェンスとは、売却側の経営状況、資源や設備、人材や取引、負債やリスクといった項目を調査するプロセスです。
デューデリジェンスは、主に買収側が専門家に依頼して執り行われます。
⑦最終条件交渉・契約締結
デューデリジェンスが済んだら、最終条件交渉と契約締結です。基本合意書の内容とデューデリジェンス結果をもとに細かい条件調整を当事者間で行います。
最終契約書は法的拘束力を持つので、条件を確認してから取り交わしましょう。
⑧クロージング
M&Aの最後に行われる手続きが、クロージングです。契約書の内容に従い株式や事業の譲渡と対価の支払いが当事者間で行われます。
クロージングまで無事終われば、一連のM&A手続きは完了です。
製麺会社のM&Aを行う場合の注意点
ここでは、製麺会社でM&Aを実施する際に注意したい点を解説します。成功確率を上げるために、以下5つのポイントに留意しながら手続きを進めましょう。
- 事前の準備をしっかりと行う
- 従業員のモチベーション維持を徹底する
- 自社の強みをアピールする
- M&Aの目的を明確にする
- M&Aの専門家に相談する
事前の準備をしっかりと行う
1つ目の注意点は、事前の準備をしっかり行うことです。経営難や人材不足が起きてからでは、相手企業が見つからず廃業せざるを得なくなる可能性もあります。
経営が安定している時から計画し、適切なタイミングで動けるようにしましょう。
従業員のモチベーション維持を徹底する
2つ目の注意点は、従業員のモチベーション維持を徹底することです。M&Aで不安を感じた従業員が離職すると、M&Aに支障をきたす可能性があります。
従業員の処遇を確保した上で、M&Aが有益であることを理解してもらいましょう。
自社の強みをアピールする
3つ目の注意点は、自社の強みをアピールすることです。自社状況を客観的に分析し、得意分野や取引実績データをあらかじめ資料にまとめておくと良いでしょう。
アピールポイントが明確な企業は、相手候補に上がりやすくなります。
M&Aの目的を明確にする
4つ目の注意点は、M&Aの目的を明確にすることです。目的が曖昧な状態でM&Aを行うと、労力をかけるだけで、かえって損失になる可能性があります。
自社状況を分析し、ニーズや方向性が合致した企業とM&Aを行いましょう。
M&Aの専門家に相談する
5つ目の注意点は、M&Aの専門家に相談することです。製麺会社に限られたことではありませんが、M&Aは税務や法務といった多くの専門知識が求められます。
信頼できる経験豊富なM&A仲介会社に相談し、サポートを受けましょう。
製麺会社のM&Aは専門家に相談して成功させよう!
製麺会社で独自の製麺技術獲得や事業拡大を目指すには、M&Aが有効です。ただし、M&Aにはリスクが伴います。
製麺会社業界でM&Aを行う際は、実績があり経験豊富なM&A仲介会社に依頼し、アドバイスを受けながら売却・買収を成功させましょう。
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