警備会社のM&Aを徹底解説!動向や事例・相場・メリット・デメリットは?

近年は警備業界の市場規模が急速に拡大しており、その動向に伴い人員不足や後継者問題を解消するためのM&Aによる売却・買収が積極的に行われています。本記事では警備会社のM&Aの動向や事例、メリットやデメリットを紹介します。

目次

  1. 警備会社の現状とM&Aの動向
  2. 警備会社のM&A事例
  3. 警備会社のM&Aのメリット・デメリット
  4. 警備会社のM&Aの売却・買収相場
  5. 警備会社のM&Aを行う手順
  6. 警備会社のM&Aを成功させるポイント
  7. 警備会社のM&Aで警備員の人材を確保しよう!

警備会社の現状とM&Aの動向

前述のように警備会社の市場規模の動向は拡大傾向にありますが、実際の警備会社の現状やM&Aの動向はどのように推移しているのでしょうか。

そこでここからは、現状とM&Aの動向を詳しく解説していきます。

警備会社の特性

下記に警備業の特性の分類を表記しておきます。

・第1号業務:各種施設警備

・第2号業務:雑踏・交通誘導警備

・第3号業務:金品など運搬業務

・第4号業務:身辺警護

第1号の特性として分類されているのは、百貨店や病院、企業での事故や犯罪を防ぐための警備です。

第2号は道路工事や駐車場での交通誘導・警備、第3号は現金や貴金属などを運搬する際の警備業務を指します。

第4号は通称「ボディーガード」と呼ばれ、依頼人・契約者の安全を守ることが主な業務です。

警備会社の現状

近年発生した新型コロナウイルスの余波を受け、2020年以降は多くのテーマパークや商業施設が営業自粛したことにより、仕事の受注の動向も大幅に減少しました。

一方で2025年には大阪万博の開催が予定されていることもあり、今後その需要の動向が高まることが予測されています。

警備会社のM&Aの動向

事業拡大を目的とした警備会社によるM&Aによる売却・買収が増加しています。

また警備業界以外の業界からに参入する動向も急増し、警備業界市場での収益拡大を目指す企業が増えているのも現状です。

さらに異業種に対して積極的にM&Aを行う企業の動向も増加し、各企業ともさまざま手法で事業規模を拡大しています。

警備会社のM&A事例

多くの企業が事業拡大のために積極的にM&Aに取り組んでいます。

では今までに実際に行われた過去の事例を紹介しますので、自社で取り組む際の参考にして下さい。

①綜合警備保障とALSOKリース

2021年6月には総合的な警備を行い、特に金融機関での警備に特化している綜合警備保障がALSOKリースを買収しました。

このM&AはALSOKリースが特化している、警備機器や防災設備リースなどの分野に参入した事例です。

ALSOKリースの合併に関する書面

②セコムと共栄セキュリティーサービス

2020年5月には主に警備業を手掛け、警備関連サービスを提供しているセコムと共栄セキュリティーサービスが業務提携を行いました。

この提携は世間の防災ニーズに応えるため、協業によるさらなるシナジー効果を生み出すための事例です。

セコム株式会社と共栄セキュリティーサービスの業務提携に関する通知

③綜合警備保障とライフホールディングス

 020年4月には主に介護事業全般を運営するライフホールディングスの全株式が、綜合警備保障に買収されました。

この譲渡は綜合警備保障が、介護事業に参入する足掛かりとなった事例です。

らいふホールディングス全株式を綜合警備保障株式会社(ALSOK)に譲渡するお知らせ

④セコムとTMJ

2017年には主にコールセンター事業を運営するTMJがセコムによって完全子会社化されました。

この買収はセコムがTMJの保有する今まで培ったノウハウを活用し、警備事業との融合を計って業務効率を向上させたM&A事例です。

セコム株式会社の株式会社TMJの買収に関するお知らせ

⑤総合警備保障とケアプラス

2018年6月には在宅療養者向けに訪問医療サービスを展開していたケアプラスが、総合警備保障により買収されました。

この譲渡は買収による介護事業との連携により企業価値を高め、大きなシナジー効果を得たM&A事例です。

株式会社ケアプラスホームページ

⑥東洋テックと明成

2020年10月に奈良県の施設警備及び電気工事業の他に保守点検などを手掛ける明成が綜合警備の他に、ビル管理を主な事業とする東洋テックに買収されました。

この買収は明成の持つ電気工事業のノウハウを取得することで、自社警備業をさらに発展させた事例です。

東洋テックの連結子会社間の吸収合併および商号変更に関する通知

⑦セントラル警備保障とワールド警備保障

2021年6月に宮城県仙台市に本社を構えるワールド警備保障が、一般的な警備業他に輸送警備を手掛けているセントラル警備保障に買収されました。

この買収は、セントラル警備は東北地区での事業起点を作ることに成功した事例です

セントラル警備保障ホームページ

警備会社のM&Aのメリット・デメリット

高いシナジー効果を得られると同時にいくつかのメリットやデメリットが発生するのも警備会社のM&Aの特徴です。

では警備会社のM&Aにおける買い手側、売り手側それぞれの立場のメリット・デメリットを解説します。

メリット

警備会社でM&Aを行えば事業範囲の拡大や、事業のシェアを拡大させることができますが、他にどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここからは警備会社のM&Aにおける売り手側・買い手側双方のメリットを紹介します。

売り手側

警備会社のM&Aにおける売り手側の主なメリットを下記に表記しておきます。

・後継者問題の解消

・多額の譲渡益獲得

・従業員の雇用維持

・債務から解放される

・大手グループに参入できる

主に上記の4点がメリットとして挙げられますが、特に大きなメリットが後継者問題の解消です。

近年は警備業界においても、慢性的な人材不足や後継者不足に悩んでいる企業も増えています。

そこでM&Aを行い、他社に事業売却すれば人材不足や後継者問題を解決可能になり、廃業などのリスクを回避できます。

買い手側

警備会社のM&Aにおける買い手側の主なメリットを下記に表記しておきます。

・事業規模・シェアを拡大できる

・現状より多くのスタッフを確保できる

警備会社でM&Aを行う際の最大のメリットは、事業規模やシェアの拡大です。

M&Aを行えば自社がまだ営業できていないエリアへの事業拡大や、現状の事業と新規事業を組み合わせることで高いシナジー効果を得ることもできます。

デメリット

警備会社でM&Aを行えば多くのメリットを得ることができる反面、デメリットも発生します。

では警備会社のM&Aにおける売り手側・買い手側双方のデメリットを紹介します。

売り手側

警備会社のM&Aにおける売り手側の主なデメリットを下記に表記しておきます。

・時間の制約がある

・最適な会社を見つけるのが困難

・売却益が課税対象になる

・現状の取引先とトラブルになる

警備会社のM&Aのデメリットには主に上記の4点が挙げられますが、特に大きなデメリットとして挙げられるのが最適な取引先を見つけるのが困難な点です。

具体的には売却後も自社の社員を継続して雇用してくれるのか、高いシナジー効果を得られるのかなど、さまざまな観点から取引先企業を選定しなければいけません。

買い手側

 警備会社のM&Aにおける買い手側の主なデメリットを下記に表記しておきます。

・優秀な人材が去ってしまう

・期待通りのシナジー効果が得られない

・のれん代の毀損リスク

・計画通りに進行しない

・多額の資金の調達が必要

上記に警備会社のM&Aのデメリット4点を表記しましたが、その中でも大きなデメリットとして挙げられるのが多額の資金の調達が必要な点です。

大手企業であれば迅速な資金の調達も可能ですが、中小企業であれば銀行からの貸し付けも必要になります。

また中小企業を買収する場合でも、独自の技術を持った企業を買収する際には高額な費用がかかる場合もあります。

警備会社のM&Aの売却・買収相場

警備会社のM&Aを行えば、買い手企業はさまざまな効果を得ることができますが、実際にどのように費用相場を算出するのでしょうか。

では警備会社のM&Aの売却・買収相場の算出方法を紹介します。

売却相場

警備会社のM&Aにおける売却相場を簡単に把握できる算出方法として挙げられるのが、時価純資産プラス営業権法です。

この方法は時価純資産に実質利益を加算し、その数値を2~5倍にすることで売却相場を求めることができます。

買収相場

警備会社のM&Aにおける買収相場は売り手企業側の規模や収益性、資産価値によって相場が変動します。

したがって買収相場の明確な算出方法もないので、インターネット上に掲示されている過去の相場事例を参考にしながら買収価格相場を検討しましょう。

警備会社のM&Aを行う手順

施工管理会社でM&Aを行えば事業シェアの拡大や事業承継も行うことができますが、実際にどのような手順で取引を進めればいいのでしょうか。

では警備会社のM&Aを行う手順を解説します。

①M&Aの選定・交渉

最初にM&Aに選定先企業を決め、交渉を始めます。

交渉時にはまず各企業のトップ同士で面談を行い、M&Aを行うかどうかの最終判断を下します。

トップ面談完了後にM&Aを行うことが決定した時点で、買い手から売り手に対して意向表明書の提示を行い取引を進めるかどうかを確認しましょう。

②基本合意の締結

取引先の選定が完了し、交渉が開始すれば次に取引価格やM&Aのスキ―ム、デュ―デリジェンスの可否の確認など、基本合意の締結を行います。

一般的に基本合意締結は基本合意書で行われ、法的な拘束力は発生しません。

③デュ―デリジェンス

基本合意が締結すれば、次に買い手企業側が売り手企業側を財務・税務・法務などの側面から監査するデュ―デリジェンスを実施します。

買収や合併の場合は、売り手企業の全ての事業や資産を引き継ぎます。

したがって売り手企業側の税務状況を細かく把握しなければ、譲渡後に簿外債務や突発的債務が発生するかもしれません。

このような事態を予防するためにも、譲渡前のデュ―デリジェンスを徹底するのも重要なポイントです。

④最終条件交渉

次に基本合意書の内容をもとに、売り手側と買い手側の双方で最終条件交渉を進めます。

その際に事業譲渡の範囲や譲渡金額について交渉を行い、デュ―デリジェンスの結果に沿ってM&Aの最終条件を決定します。

⑤最終契約締結

最終条件交渉が締結すれば、次に最終契約締結を行います。

最終契約は法的な効力を持ち、一度契約すれば契約内容を変更することはできないので慎重に手続きを進めましょう。

この際にM&Aの契約内容が希望からかけ離れていれば、交渉を決裂するのも有効です。

⑥クロージング

最後に最終契約書の内容に沿って、人や金、物を動かし、操業開始に備えるためのクロージングを行います。

クロージングではさまざまな混乱や不慮の事態が予測されるので、事前に綿密な計画を練っておくのも重要なポイントです。

警備会社のM&Aを成功させるポイント

警備会社のM&Aを成功させれば自社のシェアを拡大し、収益性を高めることができます。

そこでここからは、警備会社のM&Aを成功させるポイントを解説します。

事前の準備をしっかりと行う

事前の準備をしっかりと行うのも、警備会社のM&Aを成功させるポイントの1つです。

M&Aは多額の資金が流動する企業間取引なので、取引には財務や税務に関する資料や手続きが必要になります。

それらの資料を事前に準備しなければ取引がスムーズに進行せず、最悪の場合には取引が破棄になることもあるので事前の準備が重要です。

契約内容をしっかりと確認する

警備会社のM&Aは他の業種のM&A同様に、譲渡金額や譲渡範囲などさまざまな契約を行います。

それらの事項をしっかり確認せずに最終契約締結まで進んでしまえば、後から契約内容を変更することはできません。

したがって取引完了後のトラブルを防ぐためにも、契約内容をしっかり確認しながら手続きを進めるのもM&Aを成功させるためのポイントの1つです。

自社の強みをアピールする

自社の強みをアピールするのも、警備会社でM&Aを成功させるためのポイントです。

自社の強みを相手企業にしっかりとアピールし、買収して得られるシナジー効果を明確にできれば、相手に高額請求することができます

また相手が強みをしっかりと理解した上で買収したいと思えば、取引を有利に進めることも可能です。

M&Aの目的を明確にする

M&Aには取引成立までに多くの時間がかかってしまうので、手続きが進んでいくうちに本来の目的を忘れてしまうことがあります。

M&Aの本来の目的を忘れてしまえば、取引完了後に円滑な経営が実現されません。

このような観点からも、M&Aの目的を明確にして取引を進めるのも警備会社でM&Aを成功させるためのポイントの1つです。

M&Aの専門家に依頼する

前述のようにM&Aにはデュ―デリジェンスも必要で、その際には財務や法務、税務に関する専門的な知識が欠かせません。

そのような複雑な手続きや交渉を自社のみで対応するのは困難なので、取引を円滑に進めるためにもM&Aの専門家に依頼するのも有効な手段です。

専門家に相談すれば最適な取引相手をマッチングしてくれるうえに、その後の交渉や手続きもスムーズに進めてくれます。

警備会社のM&Aで警備員の人材を確保しよう!

近年は警備業界においても慢性的な人材不足や後継者不足が続いており、後継者や人材の確保が問題視されています。

そこで有効的にM&Aを行えば人材不足を解消できると同時に、自社事業の拡大を計ることも可能です。

今後警備会社での人材を確保するためにも、本記事を参考にしてM&Aを成功させてください。

またM&Aでも効率的な警備会社の買収・売却を行うことができますが、さらにスムーズな買収・売却を行うのであれば事業承継がおすすめです。

事業承継を活用すれば、自社親族内の後継者を擁立できれば簡単に手続きが完了します。

さらに親族や従業員内に後継者がいなくても、第三者企業から最適な後継者の擁立ができるのも事業承継のメリットです。

特に近年は事業承継に特化している仲介会社も多いので、一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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