電気機械器具卸業界のM&Aの動向をチェック!価格相場や事例・メリットは?
電気機械器具卸業では、人材不足や事業拡大などの課題に対処するべくM&A動向が活発です。当記事では、これまでに実施された売却・買収事例を交えながら電気機械器具卸業界のM&A事情を詳しく解説します。気になるM&A価格の相場やメリット・デメリットも解説します。
目次
電気機械器具卸業界の現状
ここでは、電気機械器具卸業界の主な業務内容と、多く見られる主なM&A動向を押さえた上で、業界を取り巻く現状・課題を確認しましょう。
電気機械器具卸業界とは
電気機械器具卸業界とは、電気機器、電子部品などの製品をメーカー・小売業者といった顧客に販売する業界のことです。
家庭で使用する冷蔵庫・洗濯機の卸を請け負う企業から工業用の電気機械器具卸を専門で担当する企業などさまざまなタイプ企業が存在します。
自動車製造や食品製造にも電気機械器具卸は欠かせません。「電気機械器具卸」はやや専門的な表現ではありますが、私たちの生活に重要な役割を果たす業界の1つです。
電気機械器具卸業界の動向
では次に、電気機械器具卸業界で多く見られるM&A動向をチェックしましょう。主なM&Aの動向・パターンは以下の通りです。
- 動向①:電気機械器具卸の事業規模・エリアを拡大するためのM&A
- 動向②:廃業を避けて電気機械器具卸業の存続を目指すためのM&A
- 動向③:大手企業・中規模企業が海外進出を狙ったM&A
- 動向④:管理業務を一元化してバックオフィスを強化するためのM&A
- 動向⑤:経営資源共有でシナジー効果を得るためのM&A
電気機械器具卸業界の課題
他の多くの業界でも言えることではありますが、電気機械器具卸業界は現状課題として、深刻な人材不足に悩まされています。
電気機械器具卸業界には、業務に対応できる技術が必要です。つまり簡単に採用を行えないという側面があり、既存の人材を確保できるM&A動向が活発化しています。
それだけでなく、業務の効率化や収益性向上も併せて目指さなければならない状況にあると言えるでしょう。
電気機械器具卸業界のM&Aの事例
ここでは、電気機械器具卸業界で過去実施されたM&A事例を8つ紹介します。当事者が掲げた目的・狙いに注目しながら各事例をチェックしましょう。
※さらに詳しいIR情報は、各事例の下部分に掲載のリンクから参照ください。
- 事例①:日立レールとThales S.A.
- 事例②:ハピネスデンキとサノヤスMTG
- 事例③:村田製作所とEta Wireless, Inc.
- 事例④:日本電産とロボテック
- 事例⑤:アンリツと高砂製作所
- 事例⑥:モルフォとパナソニック子会社
- 事例⑦:UTグループと東芝グループ会社
- 事例⑧:マブチモーターとElectromag SA
日立レールによるThales S.A.のM&A
売却企業 | Thales S.A. (フランスの大手電機企業、鉄道信号関連事業) |
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買収企業 | 日立レール (鉄道システム事業) |
M&Aの手法 | 買収 |
M&Aの目的 | ・鉄道信号事業のグローバル展開・拡大 ・事業成長の加速化 ・双方の強み共有・活用 ・地域・技術面でのシナジー効果創出 |
実施時期 | 2021年8月 |
譲渡価格 | 約2,150億円 |
ハピネスデンキによるサノヤスMTGのM&A
売却企業 | サノヤスMTG ※サノヤスホールディングス傘下 (建設機械事業、遊園地のアトラクション設計・製作事業、 化粧品・医薬品製造に使用する乳化装置の製造) |
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買収企業 | ハピネスデンキ (電気機械器具製造業、電気工事業) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・事業の基盤拡大 ・中長期的な当該事業の成長 ・収益の強化 |
実施時期 | 2019年12月 |
譲渡価格 | 非開示 |
村田製作所によるEta Wireless, Inc.のM&A
売却企業 | Eta Wireless, Inc. (端末送受信機能のRF回路消費電力を削減する「Digital ET技術」 ) |
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買収企業 | 村田製作所 (セラミックスをベースとした電子部品開発・生産・販売事業) |
M&Aの手法 | 買収 |
M&Aの目的 | ・双方の技術活用によるシナジー効果の創出 ・より優れたRF製品の提供 |
実施時期 | 2021年9月 |
譲渡価格 | 1.5億米ドル(約165億円) |
日本電産によるロボテックのM&A
売却企業 | ロボテック ※アメリカのモーションコントロール事業会社 (超低電圧ドライブの設計・開発・販売事業) |
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買収企業 | 日本電産 (モータ関連製品事業) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・パッケージソリューション提供の強化 ・シナジー効果の創出 ・収益力の向上 |
実施時期 | 2019年12月 |
譲渡価格 | 非開示 |
アンリツによる高砂製作所のM&A
売却企業 | 高砂製作所 (情報通信機器・通信制御機器・応用システム製品の 研究・開発・製造・販売事業) |
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買収企業 | アンリツ (電子計測器製造・販売事業) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・電気自動車・電池測定関連の事業拡大 ・電池測定市場への競争力強化 |
実施時期 | 2021年7月 |
譲渡価格 | 非開示 |
モルフォによるパナソニック子会社のM&A
売却企業 | PUX ※パナソニック子会社 (情報処理技術を利用したコンピュータ・ソフトウェア プラットフォーム企画・設計・開発事業) |
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買収企業 | モルフォ (「画像処理技術」の研究開発事業) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・双方の技術向上と業容拡大 ・画像処理・認識ソフトウェア関連事業の成長 ・シナジー効果の創出 |
実施時期 | 2019年11月 |
譲渡価格 | 8,000万円 |
UTグループによる東芝グループ会社のM&A
売却企業 | 東芝グループ会社3社 ①TBLSサービス (東芝グループのバックオフィス事業) ②東芝情報システムプロダクツ (購買代行サービス事業) ③東芝オフィスメイト (プリンティング・情報処理サービス事業 |
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買収企業 | UTグループ (製造分野へのエンジニア・設計開発技術者派遣事業) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・関係性の維持向上 ・双方の強みを共有 ・採用面での協力 ・キャリア形成支援の仕組みの連携 ・シナジー効果の創出 ・更なる企業価値とサービス向上 |
実施時期 | 2019年11月 |
譲渡価格 | 8億5,000万円 |
マブチモーターによるElectromag SAのM&A
売却企業 | Electromag SA (医療機器用のモーター製造事業) |
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買収企業 | マブチモーター (小型モーター製造販売事業) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・健康・医療用途領域における技術・ノウハウ共有 ・製品ラインナップ・開発能力の獲得と活用 ・重点取組事項の推進加速化 |
実施時期 | 2021年6月 |
譲渡価格 | 非開示 |
電気機械器具卸業界のM&A相場
電気機械器具卸業界でM&Aを行う場合、当事者はどのくらいの取引額相場を想定すれば良いのでしょうか。経営者にとって、M&A相場は特に気になる項目です。
ここでは、電気機械器具卸業界のM&A取引額相場の計算方法と知識を簡単に解説します。
相場金額の計算方法
まずは、M&A価格相場の計算方法を押さえましょう。相場の算出方法には複数のアプローチが存在しますが、例えば以下のような式を用いて算出するのが一般的です。
大まかな相場の計算方法 |
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M&A取引額相場 = 時価純資産 + 営業利益 × 2~5年分 |
ただし、相場算出の際は「のれん代」と呼ばれる見えない企業価値を正しく評価する必要があります。専門家に依頼してアドバイスを受けながら算出しましょう。
事業内容や規模・経営資源などによって大きく変動する
また、取引額相場は当事者となる電気機械器具卸会社の大きさや事業規模、取引実績や収益性といったあらゆる項目が影響を与えます。
そのため電気機械器具卸業界には一概に言える明確な数字が存在しません。
買収側にはメリットが多いので高額になりやすい
電気機械器具卸業界のM&Aは、比較的取引価格が高額になりやすい業界とも言われています。
電気機械器具卸業に関する優れた技術やノウハウ、事業に必要な設備を獲得できるなど買収側にメリットが多いことが理由です。
小規模事業者であっても、独自性のある製品やブランドを確立できていれば、より高値で取引される可能性が高くなるでしょう。
電気機械器具卸業界のM&Aのメリット
ここでは、電気機械器具卸業界のM&Aで得られるメリットを紹介します。売却側・買収側それぞれの視点でチェックしましょう。
売り手側のメリット
電気機械器具卸業界のM&Aで売却側が得られる主なメリットは、次の通りです。
売却側のメリット | ・株式や事業譲渡による売却益が得られる ・従業員の雇用を維持できる ・後継者問題を解決できる ・大手傘下に入れば経営が安定する ・経営者が個人債務から解放される |
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買い手側のメリット
電気機械器具卸業界のM&Aで買収側が得られる主なメリットは、次の通りです。
買収側のメリット | ・顧客や人材を獲得できる ・低コスト・低リスクで電気機械器具卸業界に参入できる ・効率的に事業拡大できる ・事業エリアを拡げられる ・売却側とのシナジー効果を期待できる |
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電気機械器具卸業界のM&Aのデメリット
では次に、電気機械器具卸業界のM&Aにおけるデメリットを確認しましょう。
M&Aは多くの恩恵が受けられる対処法ではありますが、考慮すべきデメリットも同様に存在します。メリット・デメリット両方をしっかり把握することが大切です。
上記と同様、売却側・買収側それぞれの視点でデメリットを紹介まとめます。
売り手側のデメリット
電気機械器具卸業界のM&Aにおける売却側の主なデメリットは、以下の通りです。
売却側のデメリット | ・理想通りの条件にならない場合がある ・不安を感じた従業員が退職するおそれがある ・取引先との関係が悪化するおそれがある ・会社経営における影響力が小さくなる ・マッチングに苦戦する場合がある |
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買い手側のデメリット
電気機械器具卸業界のM&Aにおける買収側の主なデメリットは、以下の通りです。
買収側のデメリット | ・期待通りのシナジー効果が得られない場合がある ・買収にかかる資金の調達が必要 ・売却側の簿外債務を引き継ぐおそれがある ・売却側従業員が待遇に不満を抱くおそれがある ・文化の融合にかなりの時間を要する場合がある |
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電気機械器具卸業界のM&Aの成功のポイント
ここでは、電気機械器具業界でM&Aを成功させるためのポイントを紹介します。
M&Aは多くのリスクをかけて行われるものです。以下5つのポイントに留意した上で売却・買収手続きを進めましょう。
- 自社の強みをアピールする
- 入念に準備をする
- M&A・事業承継先を注意深く選定する
- 譲れない部分を明確化する
- M&Aの専門家に相談する
自社の強みをアピールする
成功へのポイント1つ目は、自社の強みをアピールすることです。一度会社の現状を客観的に分析し、金属加工における得意分野や取引実績を資料にまとめましょう。
アピールポイントが明確な企業はM&Aによる効果を想定しやすく、相手候補に挙がりやすくなるため円滑にマッチングできる確率がアップします。
入念に準備をする
成功へのポイント2つ目は、入念に準備を行うことです。経営状況が悪化したり、後継者問題が発生したりしてからでは、マッチングに苦戦する可能性があります。
最悪の場合、廃業せざるを得なくなるかもしれません。できるだけ経営が安定している頃から準備を進め、適切なタイミングですぐに動けるようにしましょう。
M&A・事業承継先を注意深く選定する
成功へのポイント3つ目は、M&A・事業承継先を慎重に選定することです。マッチングできたからといって成功に直結するわけではありません。
ニーズや方向性が合致していないM&Aは、売却・買収後のシナジー効果が得られず損失になる可能性があります。事前に経営者会談で相互理解を深めましょう。
譲れない部分を明確化する
成功へのポイント4つ目は、譲れない部分を明確化することです。円満なM&Aを実現させるためには、当事者双方が合意できる条件でなければなりません。
当然すべての交渉が円滑に進むわけではないので、あらかじめ譲歩しても良い点と、譲れない点両方を決めておくと良いでしょう。
M&Aの専門家に相談する
成功へのポイント5つ目は、M&Aの専門家に相談することです。電気機械器具卸業界に限らずM&Aは税務・法務など専門知識が多くの場面で求められます。
個人で進めるとかなりの労力がかかるだけでなく、マッチングにも苦戦するかもしれません。
円滑にM&Aを進めるためには知識豊富なM&A仲介会社に相談し、アドバイスやサポートを受けるのがおすすめです。
電気機械器具卸業界のM&AはM&A仲介会社に相談して成功させよう
電気機械器具卸業界で人材不足の解消や海外進出、事業拡大を狙うにはM&Aが有効です。相手企業の既存資源を活用できるので、円滑に効果が得られるでしょう。
電気機械器具卸業界の知識が豊富な信頼できるM&A仲介会社に相談・依頼して、アドバイスを受けながら成功を目指しましょう。
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