プラスチック製品製造のM&Aの動向は?売却・買収の相場や活用事例もご紹介!

現在は石油価格の高騰が原因して思うように業績を伸ばせず、M&Aを活用して生き残りを図るプラスチック製造企業が増えています。そこで本記事ではプラスチック製造企業のM&Aの動向について詳しく解説を行い、売却・買収の相場や活用事例やポイントも紹介しましょう。

目次

  1. プラスチック製品製造の現状とM&Aの動向
  2. プラスチック製品製造のM&Aの活用事例
  3. プラスチック製品製造のM&Aのメリット・デメリット
  4. プラスチック製品製造のM&Aの売却・買収相場
  5. プラスチック製品製造のM&Aを行う手順
  6. プラスチック製品製造のM&Aを成功させるポイント
  7. プラスチック製品製造のM&Aは事前の準備をしっかり行おう!

プラスチック製品製造の現状とM&Aの動向

株式譲渡
Pexels

廃棄したプラスチック製品を焼却処理する際に発生するダイオキシンや、廃棄した際に残るマイクロプラスチックが人体や生態系に悪影響を及ぼすことが近年明らかになりました。

このような環境問題に起因して、日本国内の重要産業の1つである科学分野の販売額が減少しているのが現状です。

このような動向に対応するため、各企業は効果的なM&Aを活用し、環境問題に抵触しない新製品開発に積極的に取り組んでいます。

プラスチック製品製造業界の特性

プラスチック製品製造業界の特性は、プラスチック素材の製品の製造販売を行う点です。

高密度ポリエチレンやポリエチレン、ポリスチレンをはじめとした多様な素材を活用して生産業務を行います。

素材それぞれで特性が異なり、製造する製品次第で使用する素材も異なるのもポイントです。

プラスチック製品製造の現状

前述のようにプラスチック製品製造業界の動向は、原材料である石油価格の高騰により厳しい状況が強いられています。

またプラスチックを廃棄する際に環境基準に抵触する有害物質が発生することから、環境基準に抵触しない新たな製品開発が求められているのが現状です。

このような観点からも、M&Aに取り組んで企業の継続・発展のために積極的にM&Aを活用する企業も増えています。

プラスチック製品製造のM&Aの動向

プラスチック業界のM&Aでは海外の企業と取引をすることが多くなっています。

その際に慎重に契約内容を確認せずに取引を行い、契約締結後にトラブルに発展してしまうケースも多く見受けられます。

一方近年の石油価格の高騰や環境問題に起因して、プラスチック業界のM&Aをプラス的に考える企業が増加しているようです。

プラスチック製品製造のM&Aの活用事例

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現在は事業存続や発展のために積極的にM&Aに取り組む企業も増えていますが、プラスチック業界では実際にどのようにM&Aが活用されているのでしょうか。

そこでここからは、プラスチック製品製造のM&Aの活用事例を紹介します。

①清水化成品工業とヤマキュウ

清水化成品工業は2016年10月にヤマキュウの株式取得を行い、連結子会社化しました。

ヤマキュウはトラックやバス、建設機械用の独自の部品供給用ルートを持つ企業です。

このヤマキュウを発砲プラスチック素材の商品開発・販売を行う、清水化成品工業が子会社化することにより強化プラスチックなどの技術開発を手掛けるようになりました。

②ダイセルとトヨタ合成

2017年5月には、お互いに約10億円の株式を取得することでダイセルとトヨタ合成が資本業務提携を行いました。

トヨタ合成は国内で多くのシェアを持つ電機機器・輸送メーカーで、一方のダイセルは自動車や医療、電子などの部門で幅広いシェアを持つ国内屈指の化学品メーカーです。

この社が提携することにより新素材開発に関わる動きが促進され、フューエルキャップやエアバッグなどの開発・供給力も促進されました。

③朝日印刷とマレーシアの印刷会社

医薬品や化粧品包材の製造・販売をメインに事業を展開しているのが朝日印刷です。

2019年8月にこの朝日印刷がマレーシアのHarleigh Sdn.Bhd社とShin-Nippon Industries Sdn.Bhd社のそれぞれの65%の株式を取得しました。

朝日印刷はマレーシアで一定のシェアを確保しているこの2社を買収することにより、海外製造拠点確保や、シェアを拡大することに成功しました。

④ザ・パックとカンナル印刷

2017年には紙袋や紙器、段ボールの生産・販売を行うザ・パックが、カンナル印刷の89.6%の株式を取得しました。

このM&Aにより、ザ・パックは医療用パッケージの生産・販売を行っているカンナル印刷を買収して医療市場への参入・市場拡大させることに成功します。

⑤ニチアスと日本ラインツ

断熱材やフッ素樹脂製品、自動車部品などの製造・販売を手掛けている日本のメーカーがニチアスです。

2016年2月には、日本ラインツの自己株式以外の約25億円の株式をニチアスが取得しました。

このM&Aにより、ニチアスは自動車部分の開発・製造を行っている日本ラインツを買収することで自動車部品市場への参入に成功しました。

⑥中央化学と北京の合成樹脂製食品容器製造・販売子会社

2017年11月には、中央化学は北京の子会社である北京雁栖中央化学有限公司の全出資持分を北京の合成樹脂製食品容器製造会社に譲渡しました。

北京雁栖中央化学有限公司は合成樹脂製食品容器や、それに関連する資材の製造・販売を手掛けてきた企業です。

⑦大石産業とパルプモウルド包装材製造・販売子会社

2017年8月に大石産業は連結子会社である大連大石包装有限公司の出資全持分を、山葉電機有限公司に譲渡金約1億3300万円で譲渡しました。

大連大石包装有限公司は2003年の操業開始以来、パルプモウルド包装材の製造・販売を行ってきた企業です。

この譲渡により大石産業は海外事業の的確な整理を行いました。

⑧大石産業と柳沢製袋

2019年5月にはパルプモウルド・重包装袋・フィルム・段ボールの分野で広いシェアを持つ大石産業が、埼玉の柳沢製袋の55%の株式を取得しました。

このM&Aにより大石産業は関東地区での製造拠点や販売市場を確保することに成功しました。

プラスチック製品製造のM&Aのメリット・デメリット

M&A依頼
RonaldCandonga

プラスチック製品製造業界でM&Aを活用すれば、事業を存属させることができるうえに今後の事業展開も広がるでしょう。

ではプラスチック製品製造のM&Aのメリットやデメリットを紹介します。

メリット

プラスチック製品製造のM&Aのメリットは、事業の売り手側・買い手側の立場の違いによって異なります。

では売り手側・買い手側企業のそれぞれのメリットのポイントを紹介しましょう。

売り手側

M&Aにおける売り手側の一番のメリットは、今まで自社で培った技術を継承できる点です。

プラスチック関連企業の中には近年の環境問題や石油価格相場の高騰の動向により、厳しい経営を強いられている企業も少なくありません。

そして結果的に廃業・倒産に追い込まれてしまい、今まで培った技術が消滅してしまうこともあります。

一方でM&Aを活用して事業承継を行えば、廃業や倒産のリスクを回避して長年培ってきた技術の継承に成功できるのも重要なポイントです。

さらにM&Aで事業承継を行えば従業員が職を失う恐れもなくなるなど、雇用を確保できるのもメリットです。

さらに後継者問題に悩むこともなく、スムーズに事業承継できるのもM&Aのメリットといえます。

買い手側

プラスチック業界においては企業ごとの製造機器の種類によって顧客が分かれています。

そこでM&Aを行って事業承継や買収を行えば、他社特有の技術を取得して新規顧客を獲得できるのが買い手側のメリットです。

また他社の技術を習得することにより、新しいビジネスを展開できるのもポイントといえます。

さらにM&Aで事業承継をしたり買収を行ったりすれば、現状よりも幅広いジャンルの仕事を受注できるのもメリットです。

デメリット

プラスチック製品製造業界でM&Aを行えば多くのメリットを得ることができますが、一方でいくつかのデメリットも発生します。

ではプラスチック製品製造でのM&Aのデメリットを紹介しましょう。

売り手側

自社事業の継続のためにM&Aで大企業に事業承継を行う動向も多く、事業を売った側は経営者の権限が小さくなるのがデメリットです。

M&Aにて事業承継後は経営権が完全に買い手企業側に譲渡され、経営方針や社内人事などの決定権もなくなってしまいます。

またM&Aにおいて、売り手企業側は買い手企業側の労働条件に合わせなければならないので、ストレスを感じてしまうのもデメリットです。

特に中小企業においては経営者の人柄や単純な労働条件に魅力を感じる従業員も多く、そのような場合に経営者や労働条件が変更してしまえばモチベーションも下がってしまうでしょう。

買い手側

M&Aを行い他社の事業を承継すれば、買い手企業側の従業員は今まで接点のない人と仕事をするのでストレスを感じてしまうのもデメリットです。

ストレスを感じるだけならまだしも、場合によって従業員同士のトラブルにも発展して社員の退職に繋がってしまうこともあります。

このような事態を防ぐためにも、M&A完了後には定期的な人事交流を設けましょう。

またM&Aを行うためには、多額の資金が必要なのも買い手側のデメリットです。

実際にM&Aで事業承継を行い多額の資金を投入しても、結果的に失敗するケースも多く見受けられます。

多額の資金を無駄にしないためにもM&A実行の目的を明確に立て、最適な取引相手を選出しましょう。

プラスチック製品製造のM&Aの売却・買収相場

算出方法
stevepb

近年は事業継続のためにM&Aを行って事業承継を行うプラスチック製品製造企業も多くありますが、実際にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。

ここからはプラスチック製品製造のM&Aの売却・買収相場を紹介します。

売却相場

プラスチック製造・販売業界を支えている企業の半分以上が非上場企業ですが、一概に売却相場の動向を特定することはできません。

一方で売却相場を限界まで把握し、適正価格相場で売却するためにも企業価値評価の動向を明確に算出しましょう。

買収相場

プラスチック製品製造業界におけるM&Aでの買収相場の動向も一概に特定することはできません。

一般的に買収後のシナジー効果が高くなると想定されるほど、買収にかかる費用相場も大きくなります。

したがってM&Aの買収に多くの費用がかかっても、後からかかった費用を十分に回収できる企業を選択しましょう。

プラスチック製品製造のM&Aを行う手順

専門家 相談
bertholdbrodersen

プラスチック製品製造業界では、事業承継のために積極的にM&Aに取り組む企業も増えています。

では実際にM&Aを行う際の手順について詳しく解説しましょう。

①M&Aの選定・交渉

最初にM&Aを行う目的や意味を明確に定め、取引相手企業の選定と交渉を行いましょう。

自社に最適な取引先を選定して交渉を進めるためには専門的な知識が必要な場合が多いので、その際にはM&Aの専門家へ相談するのもおすすめです。

②基本合意の締結

次に取引価格や独占交渉権の確認、デューデリジェンスへの協力、M&Aスキームなどを確認する基本合意を締結します。

一般的に基本合意は基本合意書のような書面で行われますが、合意書には法的な拘束力は一切発生しません。

そしてこの後に行われるデューデリジェンスによって売り手企業側の監査が進みます。

③デューデリジェンス

次に買い手企業側が売り手企業側の財務状況や法務面な問題がないかを確認する、デューデリジェンスを実行します。

的確なデューデリジェンスを実行すれば、取引後の簿外予算や想定外の負債などを事前に把握して取引を円滑に進めることが可能です。

そしてデューデリジェンスを行えば相手企業の全容を把握したうえで取引ができるので、事業承継後のトラブル回避にも繋がります。

④最終条件交渉

次に基本合意書で締結した内容をもとにして、最終条件に関する交渉を進めます。

この段階で最終的な譲渡の範囲や取引金額を設定し、その後にデューデリジェンスの結果を加味してM&Aにおける最終条件交渉を実施します。

⑤最終契約締結

最終条件交渉が完了した後に、最終契約書に契約内容を記載する最終契約を締結します。

最終契約は基本合意書とは異なり法的拘束力を持ち、締結完了後は内容の変更を行うことができないので慎重に締結を行いましょう。

⑥クロージング

最終契約書の内容をもとに、実際にM&Aを進める作業がクロージングです。クロージングまでの流れが完了すれば、手続き上のM&Aが終了したことになります。

プラスチック製品製造のM&Aを成功させるポイント

ポイント
Tumisu

プラスチック製品製造事業でM&Aを成功させることができれば、効率的な事業承継が可能になって利益の最大化にも繋がるでしょう。

ではプラスチック製品製造のM&Aを成功させるためのポイントにはどのような点が挙げられるのでしょうか。

事前の準備をしっかりと行う

事前の準備をしっかり行わなければ、プラスチック製品製造でM&Aを成功させることはできません。

M&Aにおける事前準備とは事業承継計画の策定などが挙げられ、事前に策定しなければM&Aの目的も不明瞭になってしまいます。

さらに余裕があれば、債務圧縮や承継問題の調整なども行うことで、スムーズに取引を進めることができるでしょう。

契約内容をしっかりと把握する

契約内容をしっかり把握するのも、M&Aを成功させるポイントの1つです。

特にデューデリジェンス後の契約内容は完全な売り手企業側の資料になるので、その結果を参考にして契約を進めていきましょう。

その際にそれぞれの契約事項・内容をしっかり把握することで、契約完了後のトラブルも回避できるのもポイントの1つです。

自社の強みをアピールする

プラスチック製品製造のM&Aにおいて、自社の強みをアピールできればM&Aを成功させることができるのもポイントです。

M&A時に自社特有の強みを積極的にアピールし、相手企業側に承継後の強いイメージを持たせることができれば、高額で買収される可能性も高くなるでしょう。

M&Aの目的を明確にする

プラスチック製品製造では単純に後継者を探しているのか、企業の成長のために取り組むのか、その目的や動向はさまざまです。

そして目的の違いによってM&Aの手法も異なります。

したがって自社がM&Aに取り組む目的を明確にし、その目的に適した手法でM&Aを進めるのも重要なポイントです。

M&Aの専門家に相談する

他のどの業種とも同様に、プラスチック製品製造のM&Aでは専門的な知識が必要な場合が多く、素人では対応できない手続きもあります。

一方でM&Aの専門家に相談すれば、M&Aの複雑な手続きや相手企業側との交渉にも対応してくれるので安心です。

またM&Aの専門家に相談すれば、自社に最適な取引相手も選出してくれるでしょう。

このようにM&Aの専門家に相談するのも、M&Aを成功させるためのポイントの1つです。

プラスチック製品製造のM&Aは事前の準備をしっかり行おう!

書面で契約を交わし握手をする2人の男性
officestock Unsplash

現在はプラスチックの原材料である石油価格の高騰や、環境問題に起因してプラスチック製品製造は厳しい状況を強いられています。

しかし効果的なM&Aを行い、事業承継に成功すれば確実に自社事業を継続させることも可能です。

プラスチック製品製造のM&Aには複雑な手続きも多くありますが、本記事を参考にして事前の準備を行い取引を成功させてください。

またM&Aによる事業売却・買収でも効率的な事業の引継ぎを行うことができますが、さらにスムーズな引継ぎを行うのであれば事業承継がおすすめです。

事業承継を活用すれば、自社親族内の後継者を擁立できれば簡単に手続きが完了します。

さらに親族や従業員内に後継者がいなくても、第三者企業から最適な後継者を擁立することができるのも事業承継のメリットです。

特に近年は事業承継に特化している仲介会社も多いので、一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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