中小企業の事業承継の方法は?種類や失敗しないポイントなどを徹底解説!
自社内に有力な後継者がいなくても、事業承継に成功すれば事業をそのまま残すことができるので、失敗せずに取引を成功させたいものです。そこで本記事では、中小企業の事業承継の方法について詳しく解説を行い、事業承継の種類や失敗しないポイントを徹底解説します。
中小企業の事業承継とは?
近年では自社事業を継続させるために事業承継に取り組む中小企業が増えていますが、実際にはどのような方法で事業承継に取り組んでいるのでしょうか。
中小企業で事業承継に成功すれば従業員の雇用を確保できるうえに、現状の顧客との取引も継続できます。
では中小企業の事業承継の詳細を詳しく解説しましょう。
中小企業の事業承継の現状
最近は後継者不足問題などに起因して多くの中小企業が事業承継に取り組んでいますが、実際にどのような現状が要因となって事業承継に取り組んでいるのでしょうか。
では中小企業の事業承継の現状を詳しく解説します。
中小企業の数が減少
近年は中小企業の廃業数が増加しており、2009~2014年の5年間の間に約40万社もの中小企業が減少したことが総務省のデータで明らかにされています。
その原因として前述までにも解説したような中小企業の後継者不足による廃業が挙げられています。
そして最終的に事業承継に取り組む前に、廃業してしまう中小企業も増えているのも現状です。
後継者の確保が困難
現在は多くの中小企業で経営者の高齢化が進んでいるにも関わらず、後継者の確保が十分にできていません。
特に近年は数十万社以上の企業の経営者が70歳以上なのに対し、6割以上の中小企業において後継者が決まっていないのが企業庁の調査で判明しています。
一方で過去に日本政策金融公庫が行った調査によると、後継者が決まっている中小企業は全体の12%程度にしか満たないのが現状です。
このような観点からも、近年は後継者不足などが原因で事業承継が進んでいないのが現状です。
事業承継の構成要素
事業承継を成功させることができれば、引き続き事業を継続することができますが実際に事業承継はどのような要素をもとにして行われるのでしょうか。
ここからは事業承継を行うために必要な構成要素を詳しく解説します。
経営承継
会社の経営権の全てを後継者に引き継ぐ方法を経営承継といいます。
経営承継では後継者の経営者と資質を十分に見極め、経営を任せられると判断した時点で後継者を決定するのです。
経営承継が完了すれば会社経営権は後継者に譲渡されるので、事前に準備しながら慎重に承継を進めていきましょう。
資産承継
事業を継続するために必要な資産を後継者に引き継ぐ方法を資産承継といいます。
資産承継で重要になるのが現経営者の所有している自社株の引継ぎです。
後継者は最低でも半分以上の株式を保有していなければ、有効な議決権を得られないので今後の経営への関与に問題が発生してしまいます。
このような問題を回避するために、個人事業主などの事業承継においては経営者自身が所有する不動産や設備などの資産引継ぎを明確にしておきましょう。
知的財産承継
経営においてはブランド力や組織力、技術力など可視化できない種類の資産の存在が企業の力を高めています。
この継承のような種類の可視化できない企業の強みを知的財産と呼び、会社の強みやオリジナリティとなって事業存続の強い力になっていくのです。
事業承継においては企業の強みになる知的財産の承継も重要な構成要素の1つであり、この種類の承継方法をスムーズに行うことで今後の事業も好転します。
中小企業の事業承継の相場
中小企業で事業承継を行う際の相場は、相続する財産の金額によって相場も変動します。
一般的には後継者が相続する財産0.5~1.5パーセント程度の金額が相場になっており、相続金額が高くなるにつれて仲介会社への報酬金額も増えていくのです。
例えば後継者が引き継ぐ土地や設備・建物の総資産額が2,000万円の場合には、10~30万円程度の報酬が相場となっています。
また事業承継を依頼する仲介会社によっても、報酬金額が変わっていくので事前に確認して依頼をしましょう。
中小企業の事業承継の種類・方法
中小企業の事業承継にはいくつかの種類があり、内容や手続き、方法なども異なっています。
また事業承継の種類によりかかる費用や手続きに必要な期間も異なるので、予算や新事業開始時期を事前に検討して取引を進めなければいけません。
では中小企業の事業承継の種類や方法を種類ごとに紹介しましょう。
親族内承継
理想的な種類の相続形態で、他社ではなく子息などの親族への継承を行う方法を親族内承継といいます。
以前事業承継はこの方法で行われることがほとんどでした。
しかし近年では後継者不足などの問題に伴い、全体の半分程度しかこの承継方法を行えていないのが現状です。
現在では経営者の子供などが高校卒業後に親の事業を手伝うのではなく、大学に進学する流れが一般化しています。
そして大学卒業後に一般企業に就職したり、医者や弁護士などの士業に就いたり、親の事業を継がないケースが増加しているのです。
このような傾向に伴って、親族内承継も以前に比べて減少傾向にあります。
親族外承継
子息などの親族への継承ができなければ、自社社員や役員に承継する親族外承継もあります。
親族外承継を行えば親族外の人材に事業を承継させることが可能です。
しかし承継される事業の業績が好調で無借金経営であれば譲渡金額が高額になり、結果的に豊富な資金力を持った役員や社員しか承継できません。
また社内に後継者候補がいたとしても、その人材に経営能力が備わっているかなどの点も事前に確認しておきましょう。
このような観点から後継者の選定を行った結果、社内に事業承継できる人材がいなくて廃業してしまうケースも多く見受けられます。
M&A
親族内承継や親族外承継ができない場合の、最後の手段として挙げられるのがM&Aです。
M&Aで他社への事業承継を行えば、従業員の雇用を継続させることができます。
さらに2つの事業が統合されることで、双方の事業の強みも合体して現状よりもさらに発展した企業を作り上げることもできるのです。
中小企業の中には他社に事業を引き渡すことに抵抗を感じて事業承継を行わず、廃業を選択する企業もあります。
しかし廃業を選択すれば既存の取引先に迷惑をかけると同時に、従業員も失業してしまうのでおすすめできません。
このような観点からもM&Aは承継後に多大な利益をもたらす事業承継なので、廃業を決定する前に検討するのが重要です。
中小企業の事業承継の流れ
近年は多くの中小企業が事業を残すためにさまざまな種類の事業承継に取り組んでいますが、実際にはどのような流れで行うのでしょうか。
ここからは中小企業の事業承継の流れのポイントを紹介します。
①事業承継の相談・検討
最初の段階で専門家などに事業承継の相談を行い、必要性などの検討を進めていきましょう。
事業承継には経営に関わる資産の確認、継承後の体制構築や、各事業関係者への協力要請などさまざまな課題に取り組まなければいけません。
事業承継時にはこれらの課題を事前に抽出し、その課題を早期解決するためにも専門家に相談しましょう。
結果的に専門家に相談を行い、課題に対する解決案を検討しながら事業承継を進めれば手続きもスムーズに進んでいくでしょう。
②経営状況・課題の把握
専門家などに事業承継の相談を行い、課題に対しての検討を行った後に自社の経営状況や課題を把握しておきましょう。
事業承継を行う前に自社の財務状況などを把握し、経営に関する課題を浮き彫りにして事業承継すれば後継者も効率的な経営に取り組むことができます。
さらに事業承継を行う際の課題なども明確にしておけば、承継後の企業方針も明確になるでしょう。
③経営改善に取り組む
事業承継では事業が新たな形に生まれ変わるので、今後事業を発展させるためにも経営改善に取り組んでいきましょう。
経営体制が盤石でない事業を事業承継されても、後継者は事業を継続に対して前向きに取り組めなくなってしまいます。
事業承継後の後継者の意欲を促進するためにも、現経営者と後継者で事前に経営改善に取り組んでおくのも重要なポイントです。
経営改善を図るためにも収益性や事業体制についてしっかり検討し、自社のオリジナリティも検証しておきましょう。
④事業承継計画の策定・M&Aのマッチング
事業承継はさまざまな課題を一定期間で解決し、そのうえで取引を進めなければいけません。
したがって常に迅速・的確で具体的な事業承継を進めていくためにも事業承継計画を策定しましょう。
特にM&Aを行い、第三者とマッチングを行う際には取引が長引けば、契約自体が破棄になってしまうこともあります。
このような事態を予防して取引をスムーズに進めるためにも、明確な売却条件や手順などを事前に策定するのも重要なポイントです。
⑤事業承継・M&Aの実行
最後に実際に事業承継を行ってM&Aを実行します。
急に事業承継を完了し、新事業を開始すれば従業員や取引先が混乱する恐れがあるので、事前に事業承継・M&A完了時期を設定して計画的に取引を進めましょう。
事業承継・M&A実行時には経営権や資産の譲渡などを迅速に行い、新事業がスタートします。
中小企業の事業承継を成功させるポイント
廃業を回避して自社事業を成功させるためにも、多くの企業が事業承継に懸命に取り組んでいます。
一方で中小企業の中には事業承継に失敗して廃業するケースも多く、事業承継を成功させるためにはいくつかのポイントが存在するようです。
そこでここからは、中小企業の事業承継を成功させるポイントを紹介しましょう。
早めに準備を始める
事業承継においては経営権や資産の承継、新事業の体制構築、顧客や従業員への周知・理解など多くの課題に取り組まなければいけません。
このような課題に短期間で取り組み、解決に導いていくのは至難の業です。
またしっかりと考慮しなければいけない課題に対し、急ぎで取り組んでしまえば有効な解決策も立案されなくなってしまいます。
一方で事業承継に対して早めに準備を行い、課題に対してしっかりと検討していくことで新事業を効率的にスタートできるでしょう。
また早めに準備をしておけば、後継者もさまざまな課題を把握したうえで事業開始できるのも重要なポイントです。
一般的には現状の経営者が60歳前後になった際に進めていくのが最適といわれています。
早めに専門家に相談する
早めに専門家に相談するのも、中小企業の事業承継を成功させるポイントの1つです。
自社内に法務や税務などに詳しい人材がいれば対応できるかもしれませんが、専門的に対応するのは困難でしょう。
また事業承継には財務・法務に関するさまざまな手続きがあり、取引を成功させるためには司法書士や税理士などの専門家への依頼が欠かせません。
さらに取引が開始されれば事業承継計画の策定、効率的な株式の移転、経営体制の構築などの専門的なノウハウが必要になります。
事業承継をスムーズに進めるためにもその際には中小企業診断士などに事前に相談するのもポイントです。
保険で備える
現状の経営者が急病や事故に遭ったり、会社が何らかの災害に被災してしまったりすれば、事業承継を行いながら損失補填しなければいけません。
このような事態に陥ってしまえば事業承継に対する資金がかかるうえに、補填費用なども捻出しなければならなくなります。
しかし事前の備えがなければそのような急な出費に対応できなくなってしまうのが現状です。
そのような場合に保険で備えをしておくのも事業承継を成功させるポイントの1つです。
事前に保険に加入しておけば、災害時などの急な出費にも対応できるうえに、事業承継にかかる費用も抑えることができます。
さらに経営者が急病や認知症によって、就業不可能になった際にも保険への加入で備えることができるのもメリットです。
中小企業で事業承継を検討する際は早めの準備・相談が重要
近年の後継者不足などの問題に起因し、事業承継に積極的に取り組む企業が増加しています。
一方で事業承継には法務・財務、経営体制構築などのさまざまな手続きが必要で、手続き完了までに多くの時間を費やしてしまうのです。
また急いで事業承継を行ってしまえば、事業承継後の新事業開始時に悪影響が出てしまいかねません。
このような事態を予防し、事業承継をスムーズに進めて最高な状態で新事業を成功させるためにも専門家への早めの相談や準備を徹底しましょう。
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