事業承継の価格の決め方や算定方法を徹底解説!相場や高値で売る方法は?

事業承継の際には取引価格を決める必要があります。その際にいくつかの算定方法がありますが、それぞれ異なる特徴を持っています。今回は事業承継を検討している企業に向けて、事業承継での価格の決め方や算定方法などについて解説します。

目次

  1. 事業承継とは
  2. 事業承継の方法
  3. 事業承継を行うメリットとデメリット
  4. 事業承継の価格の算定方法
  5. 事業承継の価格の相場
  6. 事業承継の価格の価値評価のポイント
  7. 事業承継で会社を高値で売る方法
  8. 事業承継の価格算定方法は複雑なため専門家のサポートを受けるべき
  9. 事業承継の価格算定はM&A専門家に相談しよう

事業承継とは

中小企業を中心に後継者不在などの問題を抱えており、事業承継で問題を解消しようとする動きが見られています。

しかし、事業承継のことを十分に知らないまま手続きを進めるのはリスクが高いです。

まずは事業承継の概要について解説します。

事業承継の定義

事業承継は新しい経営者に会社・事業を譲り渡す方法です。

事業承継を行うと、会社・事業の経営に関わってくるさまざまなものが買収側に譲渡されます。

また、事業承継の方法にいくつかの種類があり、どの方法を採用するかによって手続きも変わりやすいです。

以降で事業承継の内容についてします。

事業承継で引き継ぐ資源

まずは事業承継で引き継ぐ資源を解説します。

事業承継で引き継ぐ資源として以下のものがあげられます。

  • 資産
  • 知的資産

以下で詳細を解説します。

事業承継で引き継ぐ資源として、があります。

譲渡対象の事業などで働く従業員は、雇用を切られることなく買収側で雇用契約を結ぶことになります。

また、ここでは経営者の持つ経営権も含まれ、買収側の経営者が経営権を持つことを押さえておきましょう。

資産

事業承継で引き継ぐ資源として、資産があります。

ここでの資産は現預金などの金融資産や建物・備品などの資産が含まれています。

事業運営などに必要なさまざまな資産が買収側に譲渡されることを把握しておいてください。

知的資産

事業承継で引き継ぐ資源として、知的資産があります。

知的資産はノウハウや顧客、ブランド力などの目には見えない資産のことです。

事業運営において形ある資産以外にも重要となる資産があることを知っておいてください。

事業承継の方法

ここでは事業承継の方法を解説します。

事業承継の方法として主に以下のものがあげられます。

  • 親族内承継
  • 親族外承継(M&A)

以下で詳細を解説します。

親族内承継

事業承継の方法として、親族内承継があげられます。

親族内承継は親族に新しい経営者になってもらう方法です。

親族であれば身元がはっきりしているため、もしものときのための悪質なリスクを回避できます。

親族に経営者として相応しい知識や資質を持っている方がいる場合は、親族内承継を検討してみてください。

親族外承継(M&A)

事業承継の方法として、親族外承継があげられます。

親族外承継は社内の労働者などの第三者に対して事業を譲り渡す方法です。

M&Aについては、社外の別の企業に事業を譲渡する方法となっています。

親族外承継ではより専門的な知識を持った方を新しい経営者に立てられるメリットがあります。

事業承継を行うメリットとデメリット

事業承継を行う前に、事業承継のメリット・デメリットを押さえておいてください。

事業承継のメリット・デメリットがわかっていると、取引で失敗してしまうリスクを減らせます。

事業承継を行うメリット・デメリットとして以下のものがあげられます。

売却側企業

まずは事業承継の売却側企業のメリット・デメリットから解説します。

メリット

事業承継の売却側企業のメリットとして、事業を継続できる点があげられます。

倒産してしまうと事業を撤退するしかありませんが、事業承継すれば事業を続けられます。

事業を引き継いでもらえるなら、事業成長が実現可能です。

また、売却益が得られる点も事業承継の売却側企業のメリットとしてあげられます。

M&Aの場合に限りますが、事業を売却することで売却益が獲得でき、経営者にとっては老後の資金として使えます。

そのため、M&Aを採用するなら老後の心配をする必要もありません。

デメリット

事業承継の売却側企業のデメリットとして、事業をかえって失速させてしまう可能性がある点があげられます。

事業が成長している段階にあり、さらなる加速を狙って事業承継する企業だと、事業承継がかえって事業の成長を止めてしまうこともあります。

相手企業を選ぶ際には慎重になって選んでください。

また、相続などでトラブルが起きることがある点も事業承継の売却側企業のメリットとしてあげられます。

親族内承継だと親族間トラブルが起こるリスクがあるため、親族間でよく話し合って手続きを進めてください。

買収側企業

まずは事業承継の買収側企業のメリット・デメリットから解説します。

メリット

事業承継の買収側企業のメリットとして、新しい顧客が獲得できる点があげられます。

経営者が変わり、その事業を新しく運用することで新しい顧客が獲得できる可能性が生まれます。

新しい顧客に商品・サービスを請求したいと考えている場合は、事業承継での手続きを検討してみてください。

また、事業のシナジー効果が見込める点も事業承継の買収側企業のメリットとしてあげられます。

M&Aなどの場合に、既存の事業と買収した事業を連携させることで、シナジー効果による事業領域の拡大が実現しやすいです。

新しい事業展開を検討している方は事業のシナジー効果を意識してみてください。

デメリット

事業承継の買収側企業のデメリットとして、買収した企業点があげられます。

経営者が変わり、その事業を新しく運用することで新しい顧客が獲得できる可能性が生まれます。

新しい顧客に商品・サービスを請求したいと考えている場合は、事業承継での手続きを検討してみてください。

また、事業のシナジー効果が見込める点も事業承継の買収側企業のメリットとしてあげられます。

M&Aなどの場合に、既存の事業と買収した事業を連携させることで、シナジー効果による事業領域の拡大が実現しやすいです。

新しい事業展開を検討している方は事業のシナジー効果を意識してみてください。

事業承継の価格の算定方法

事業承継で価格を決めるための材料として、企業価値評価が必要となります。

企業価値評価の際に使う算定方法として以下のものがあげられます。

  • コストアプローチ
  • マーケットアプローチ
  • インカムアプローチ

以下で詳細を解説します。

コストアプローチ

企業価値評価の際に使う算定方法として、コストアプローチがあげられます。

コストアプローチは貸借対照表などの数字を基に企業価値を評価する方法です。

コストアプローチによる具体的な企業価値の算定方法として以下のものがあげられます。

  • 簿価純資産法
  • 時価純資産法

以下で詳細を解説します。

簿価純資産法

簿価純資産法は簿価額をそのまま使って企業価値を算定できる方法です。

資産から負債を差し引いて純資産額が計算でき、その金額がそのまま企業価値となります。

客観的かつ簡単に計算しやすいですが、含み損益が含まれない企業価値評価になってしまいます。

時価純資産法

時価純資産法は時価換算した貸借対照表の金額を使って企業価値を算定できる方法です。

計算方法は簿価純資産法と同じですが、時価換算してから計算します。

この方法だと含み損益を加味できますが、知的資産などは価格に反映されないデメリットがあります。

マーケットアプローチ

企業価値評価の際に使う算定方法として、マーケットアプローチがあげられます。

マーケットアプローチは市場価格に基づいて企業価値評価ができる方法です。

マーケットアプローチによる具体的な企業価値の算定方法として以下のものがあげられます。

  • 類似企業比較法
  • 類似取引比準法

以下で詳細を解説します。

類似企業比較法

類似企業比較法は市場で見て類似企業と比較して企業価値を評価する方法です。

企業価値評価を行う企業が非上場企業の場合に使われる傾向にあります。

ただ、類似している企業を見つけるのに手間がかかってしまう点に注意が必要です。

類似取引比準法

類似取引比準法も類似企業を比較する際に企業価値評価で使われる方法です。

ただ、国税庁が企業価値評価を行う際に使われる傾向にあります。

類似取引比準法は一般的なM&Aで使うことはありません。

インカムアプローチ

企業価値評価の際に使う算定方法として、インカムアプローチがあげられます。

インカムアプローチは将来の収益性に焦点を当てた企業価値の評価方法です。

インカムアプローチによる具体的な企業価値の算定方法として以下のものがあげられます。

  • DCF法
  • 配当還元法

以下で詳細を解説します。

DCF法

DCF法は将来のキャッシュフローを現在価値に換算する企業価値の評価方法です。

フリーキャッシュフローを計算し、一定のリスクを設定して割り引くことで企業価値が計算できます。

将来性を加味した企業価値評価ができますが、不確定要素が多く含まれるため、再現性に欠けるデメリットがあります。

配当還元法

配当還元法は将来払いだす株主に対する配当金を現在価値に換算する企業価値の評価方法です。

配当還元法は過去の配当実績に基づいて企業価値を評価する方法や同一業界内における配当性向に基づいて企業価値を評価する方法です。

ただ、配当を行っていない企業には適用できません。

事業承継の価格の相場

事業承継を行う前に、企業価値を評価して価格の相場と比較してください。

そうすることで、適正価格とどれだけ離れているか判断できます。

ここでは事業承継の価格の相場について解説します。

価格の相場は存在しない

大前提として、価格の相場は存在しないことを押さえておきましょう。

同じ条件下で取引が行われているケースは少ないです。

比較対象にできる事例が少ないため、相場と呼べるものがありません。

案件ごとに細かな価格算定が行われる

事業承継時の企業価値評価を行う際に、案件ごとに細かな価格算定が行われます。

先ほど紹介した方法で企業価値評価を行い、その後相手企業との交渉で価格が決まります。

事業承継ごとに取引価格を決める際には多少時間がかかることを知っておきましょう。

事業承継の価格の価値評価のポイント

事業承継の際の取引価格を左右する要素がいくつかあります。

事業承継の価格の価値評価を左右するポイントとして以下のものがあげられます。

  • 収益力
  • 取引先・顧客リスト
  • 有価証券・土地・保険積立金などがあるか
  • 市場のシェア
  • 社員・技術・ノウハウ
  • 純資産額が高いか

以下で詳細を解説します。

収益力

事業承継の価格の価値評価を左右するポイントとして、収益力があげられます。

収益力が高ければそれだけ多くの顧客などから高く評価されている企業と言えます。

ただ、収益力が高くても多くの負債を抱えている企業も少なくない点に注意してください。

取引先・顧客リスト

事業承継の価格の価値評価を左右するポイントとして、取引先・顧客リストがあげられます。

事業承継の際に取引先や顧客との関係は実質的に引き継がれることになります。

その規模が大きければ大きいほど企業価値が高く見られやすいです。

有価証券・土地・保険積立金などがあるか

事業承継の価格の価値評価を左右するポイントとして、有価証券・土地・保険積立金があげられます。

たとえば、土地なら自社で抱える土地をそのまま使う場合もあれば、土地ごと買い取って事業を運営することもあります。

どちらを選択するかで取引価格が変わることを押さえておきましょう。

市場のシェア

事業承継の価格の価値評価を左右するポイントとして、市場のシェアがあげられます。

シェア率の高い企業は新しい顧客の目に届きやすいです。

そのため、市場のシェアの多くを獲得しているほど将来性の高さからも高い価値が付きやすいです。

社員・技術・ノウハウ

事業承継の価格の価値評価を左右するポイントとして、社員・技術・ノウハウがあげられます。

社員・技術・ノウハウは無形資産ですが、高い技術などを持っている人材がいればそれだけで新しい技術開発ができます。

優れた無形資産があるかどうかは念入りに分析しないと判断できないため、念入りに調査しましょう。

純資産額が高いか

事業承継の価格の価値評価を左右するポイントとして、純資産額が高い状態にある点があげられます。

企業価値を評価する場合に、純資産額が直接企業の価値の大きさを示す場合があります。

そのため、純資産額の大きさもチェックしてください。

事業承継で会社を高値で売る方法

事業承継で会社を高値で売る方法を把握しておきましょう。

会社を高値で売るコツをあらかじめ知っていれば、実際に事業承継を進めても高値で買い取ってもらいやすいです。

事業承継で会社を高値で売る方法として以下のものがあげられます。

  • 高く評価してくれる企業に売り込む
  • ブランド力など独自性がある
  • タイミングを見逃さない
  • 事業を安定させる
  • 健全な財務状況
  • M&Aの知識と経験が豊富な専門家に相談する

以下で詳細を解説します。

高く評価してくれる企業に売り込む

事業承継で会社を高値で売る方法として、高く評価してくれる企業に売り込む点があげられます。

まずは自社の特徴・魅力を把握します。

その後、相手企業が望むものを分析し、それと自社の特徴・魅力がマッチする企業を探すことが重要です。

加えて、その魅力が相手に伝わるようにアピールすることも大事です。

ブランド力など独自性がある

事業承継で会社を高値で売る方法として、ブランド力など独自性がある点があげられます。

ブランド力の高さは企業価値を引き上げる確かな要因となります。

ブランド力の高さがあると自負している場合、事業承継で有利に動きやすいと考えておいてください。

タイミングを見逃さない

事業承継で会社を高値で売る方法として、タイミングを見逃さない点があげられます。

優れた取引材料を持っているとしても、需要と供給がマッチするベストなタイミングがあります。

適切なタイミングを見逃さないためにも、市場の動向を分析し続けましょう。

事業を安定させる

事業承継で会社を高値で売る方法として、事業を安定させる点があげられます。

安定して市場で評価されている実績があれば、安心して事業の継続が見込めます。

事業を安定させていることを伝えるための資料などを準備しておきましょう。

健全な財務状況

事業承継で会社を高値で売る方法として、健全な財務状況があげられます。

先ほども触れましたが、高い収入があっても負債・返済義務が多いとハイリスクハイリターンで安定性のない企業だと判断されます。

余計な債務リスクを避けるためにも、リスクのない企業だとアピールすることが大事です。

M&Aの知識と経験が豊富な専門家に相談する

事業承継で会社を高値で売る方法として、M&Aの知識と経験が豊富な専門家に相談する点があげられます。

M&Aの専門家であれば、M&Aのメリット・デメリットなどを踏まえて手続きが進めやすいです。

専門家にもさまざまな種類があるため、目的に合った専門家を選んでください。

事業承継の価格算定方法は複雑なため専門家のサポートを受けるべき

事業承継の価格を算定する際には、専門家のサポートを受けてください。

事業承継をサポートしてくれる専門家として以下のものがあげられます。

  • 金融機関
  • 公的機関
  • 弁護士・税理士
  • M&A仲介会社

以下で詳細を解説します。

金融機関

事業承継をサポートしてくれる専門家として、金融機関があげられます。

身近な金融機関で事業承継に対応してくれるところも少なくありません。

ややコストがかかる傾向にありますが、事業承継で不安を抱えている場合は相談しやすい金融機関に話してみてください。

ただ、金融機関は大手企業の事業承継をサポートしてくれ、中小企業だとやや相談しづらいデメリットがあります。

公的機関

事業承継をサポートしてくれる専門家として、公的機関があげられます。

事業承継に特化した公的機関がいくつかあり、各地域に展開されています。

他の専門家と比べてもより地域性を加味したサポートを行ってくれる点が特徴的です。

弁護士・税理士

事業承継をサポートしてくれる専門家として、弁護士・税理士があげられます。

弁護士は事業承継に関わる法律をサポートしてくれます。

一方で、税理士は事業承継で発生する税金についてアドバイスしてくれる機関です。

M&Aの手続きより法律・税金などの専門分野についての悩みを抱えている場合は、上記の専門家に相談してみてください。

M&A仲介会社

事業承継をサポートしてくれる専門家として、M&A仲介会社があげられます。

M&A仲介会社はM&Aに特化した専門家で、取引相手のマッチングからサポートしてくれるメリットがあります。

加えて、費用負担を抑えられ、誰にとってもデメリットの少ない専門家です。

相談先に迷っている場合は、まずはM&A仲介会社を選ぶことをおすすめします。

事業承継の価格算定はM&A専門家に相談しよう

事業承継の際には取引価格を決めるために企業価値の評価が必要となります。

あらかじめ決められた方法から企業価値の評価を行い、その金額を基に相手と交渉して最終的な取引価格が決まります。

ただ、企業価値の評価方法の中には専門家の知識が求められるものも少なくありません。

そのため、M&Aに詳しい専門家を頼ることが大事です。

M&Aの専門家にもいくつか種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

その特徴を理解した上で、目的に合った専門家に相談してみてください。

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