事業承継の失敗事例11選!要因や成功させるための対策まで徹底解説!
事業承継にはいくつかの失敗事例があり、失敗するパターンはある程度決まっています。事業承継を行う前にその点に注意が必要です。今回は事業承継を行う企業に向けて、事業承継の失敗事例や成功させるための対策などについて解説します。
目次
事業承継を成功させるために失敗例も知る
事業承継を行う際に失敗してしまうケースもいくつか見られています。
事業承継を成功させるためにも、失敗例を知ることが大事です。
ただ、失敗例を知る前に事業承継の現状なども知っておきましょう。
ここでは事業承継の現状や種類などについて解説します。
事業承継の現状
事業承継は後継者に事業を承継してもらう方法です。
日本の中小企業では後継者不在問題に悩んでいるところが多く、事業承継はその問題の解消に適した方法として知られています。
今後5年以内に倒産に追い込まれる中小企業は多数存在すると言われています。
事業承継で経営基盤を整えることができるかどうかが市場で生き残る鍵となると考えておいてください。
事業承継で引き継ぐ3要素
事業承継で引き継がれる要素として以下の3つがあげられます。
- 人(経営権)
- 資産
- 知的資産
人(経営権)は事業の経営を行うための権利です。
事業譲渡後には後継者が経営権を十分に発揮するために、後継者教育に力を入れる必要があります。
資産は事業用資産や金銭的な資産などです。
どのタイミングでそれらの資産が引き継がれるかによって税金が変わる場合もあることを押さえておきましょう。
知的資産はノウハウや既存顧客などの目には見えない資産です。
事業承継することですでに抱えている技術や顧客がそのまま手に入り、新しい体制の事業でも活かせます。
事業承継の種類
事業承継の種類として以下のものがあげられます。
- 親族内承継
- 親族外承継
- 第三者承継(M&A)
親族内承継は親族内の人を新しい経営者に立てる事業承継の方法です。
身元のはっきりわかっている人物に渡すことになるため、信頼関係のことを気にしないで引き渡しやすいです。
親族外承継は社員などを新しい経営者に立てる事業承継の方法です。
この方法なら現場での技術や業務内容を十分に理解している相手に任せられます。
第三者承継は他の企業に自社の事業を引き渡す方法です。
この方法であれば利益を獲得しつつ、安定した経営基盤の中で自社の事業を運営してもらいやすいです。
しかし、相手との信頼関係を築く必要がある点に注意してください。
事業承継の失敗とは
事業承継で失敗することがないように、前もって事業承継での失敗のパターンを把握しておきましょう。
事業承継でよくある失敗のパターンとして以下のものがあげられます。
- 倒産・廃業
- 業績悪化
- 資金繰りの悪化
- 従業員の離脱
以下で詳細を解説します。
倒産・廃業
事業承継でよくある失敗のパターンとして、倒産・廃業があげられます。
事業承継したものの事業の成長が見込めず、そのまま倒産・廃業に追い込まれることもあります。
事業承継を行う前に、市場分析や相手企業の分析などを十分に行えば、倒産・廃業のリスクを避けることが可能です。
業績悪化
事業承継でよくある失敗のパターンとして、業績悪化があげられます。
倒産・廃業まではいかなくとも、事業承継での結果が見込めず、業績が悪化してしまうことがあります。
こちらも念入りに業界のことを分析すれば結果を出すことは可能です。
ただ、事業承継で成功が保証されているものではないことを押さえておきましょう。
資金繰りの悪化
事業承継でよくある失敗のパターンとして、資金繰りの悪化があげられます。
新しく相手の企業の資産などが手に入った場合、それをうまくコントロールできず資金繰りに失敗してしまうことがあります。
この点については経営者などの手腕に関わってくるため、その点も踏まえて事業承継の相手を決めることが大事です。
従業員の離脱
事業承継でよくある失敗のパターンとして、従業員の離脱があげられます。
事業承継で成長できたとしても、新しい体制になったことで従業員が辞めてしまうケースも出てきます。
M&Aだと、売却側企業で働いていた従業員が新しい職場環境に移った際に悩みを抱えることが多いです。
そのため、事業承継を行う前に従業員に対して丁寧に状況を説明することが大事です。
事業承継の失敗事例
事業承継を行った結果失敗してしまったパターンを紹介しましたが、ここでは具体的な事業承継の失敗の要因となる事例を紹介します。
具体的な事業承継の失敗の要因として以下のものがあげられます。
- 準備不足
- 後継者が見つからない
- 親族間のトラブル
- 経営者と後継者の考え方の不一致
- 相続問題
- 従業員の反発
- 納税資金・株式買い取り資金の不足
- 元経営者の影響が続く
- 議決権の確保が困難
- 事業承継後の業績悪化
- 社内分裂
以下で詳細を解説します。
①準備不足
具体的な事業承継の失敗事例として、準備不足である点があげられます。
早い段階で事業承継を始めることも大切なことですが、かといって準備を怠ってよいわけではありません。
念入りに準備しつつ取引のタイミングを逃さないために対応することが可能です。
②後継者が見つからない
具体的な事業承継の失敗事例として、後継者が見つからない点があげられます。
後継者探しに苦労している中小企業は少なくありません。
それが中小企業が後継者不在問題を抱えているところが多い理由になっています。
後継者が見つからないことで悩んでいる場合は、マッチングまでサポートしているM&A仲介会社などの専門家に相談してみてください。
③親族間のトラブル
具体的な事業承継の失敗事例として、親族間のトラブルが起きている点があげられます。
第三者承継ではなく、親族内承継を行う場合に株主の配当に不平不満を言うなどのことが起こります。
他にもさまざまなトラブルが起こるリスクがあることを押さえておきましょう。
④経営者と後継者の考え方の不一致
具体的な事業承継の失敗事例として、経営者と後継者の考え方の不一致が起きてしまう点があげられます。
経営者と後継者との間で十分な話し合いがなかった場合、それまでとは異なる経営理念で事業運営が進められることがあります。
その結果、従業員や株主、既存顧客まで離れてしまう結果にもなりかねません。
⑤相続問題
具体的な事業承継の失敗事例として、相続問題が起きてしまう点があげられます。
先ほどの親族間のトラブルにも含まれますが、相続問題で口論になることも少なくありません。
あらかじめ相続時の金銭の取り決めをしておくと、親族間でのトラブルが起きにくくなります。
⑥従業員の反発
具体的な事業承継の失敗事例として、従業員の反発が起きてしまう点があげられます。
経営者間での話し合いで事業承継を行っていたとしても、従業員の意見が反映されていないリスクもあります。
現場で働く従業員の意見をよく聞いた上で、事業承継の内容をすり合わせてください。
⑦納税資金・株式買い取り資金の不足
具体的な事業承継の失敗事例として、納税資金・株式買い取り資金の不足が起きてしまう点があげられます。
事業承継を行う際に税金がかかったり、株式を買い取る際の資金がかかったりします。
想定よりも多くの金額がかかり、資金が不足してしまうケースも少なくありません。
念のために余分な資金を用意しておき、資金不足に備えておくことが大事です。
⑧元経営者の影響が続く
具体的な事業承継の失敗事例として、元経営者の影響が続く点があげられます。
元々経営者だった方が不祥事などを起こして大きな問題を起こしていた場合、事業承継後も新しい経営者にその影響が響いてしまいます。
そういった点でも取引相手として問題ないか調べた上で事業承継を行うことが大事です。
⑨議決権の確保が困難
具体的な事業承継の失敗事例として、議決権の確保が困難な点があげられます。
遺産分割などで株式が複数人に分けられ、その中の1人が後継者になる形になる場合があります。
その場合、後継者が保有する株式の数がさほど多くないため、株主総会時に議決権の確保が難しいです。
⑩事業承継後の業績悪化
具体的な事業承継の失敗事例として、事業承継後の業績悪化が起きてしまう点があげられます。
事業承継による経営方針の変更やシナジー効果が実現できていないなどの理由で業績悪化に繋がってしまう可能性が高いです。
事業承継で業績が悪化することを懸念している場合は、そうならないために入念に下調べを行い、現場・経営陣の意見を反映させましょう。
⑪社内分裂
具体的な事業承継の失敗事例として、社内分裂が起きてしまう点があげられます。
一部の従業員から不満が起きる程度で済めばまだ構いませんが、元々の事業の売却側と買収側とで社内分裂が起きる可能性すらあります。
こうなると会社としては破綻の一途を辿ってしまうため、社内分裂が起きないように双方の意見を確認することが大事です。
事業承継の失敗の要因
事業承継の失敗事例を解説しましたが、ここでは事業承継の失敗の要因を解説します。
どういった要因があって事業承継で失敗することがあるのか把握しておきましょう。
事業承継の失敗の要因として以下のものがあげられます。
- 後継者の育成がなされていない
- 後継者に株式が集中できない
- 準備段階で経営者の体調不良などが発生する
- 事業承継の知識不足
- 企業理念を承継できていない
- M&A専門家に相談せずすすめた
以下で詳細を解説します。
後継者の育成がなされていない
事業承継の失敗の要因として、後継者の育成がなされていないことがあげられます。
後継者の育成をないがしろにしたまま他の手続きを進め、後になって後継者の育成を怠ってしまって後悔してしまうことがあります。
後継者が譲渡する事業領域について十分な知識を持っていない場合もあるため、時間を確保して念入りに教育することが大事です。
後継者に株式が集中できない
事業承継の失敗の要因として、後継者に株式が集中できないことがあげられます。
相続などの形での事業承継の場合、財産の分配で株式を後継者に集中できないケースもあります。
株式が集中できないと強気で経営にメスを入れられなくなるため、不都合が生じてしまう点に注意してください。
準備段階で経営者の体調不良などが発生する
事業承継の失敗の要因として、準備段階で経営者の体調不良などが発生することがあげられます。
経営者が体調不良になり、事業承継についての相談が進めづらくなると、事業承継までに時間がかかってしまいます。
予定通りの日程で事業承継できなくなってしまう点に注意が必要です。
事業承継の知識不足
事業承継の失敗の要因として、事業承継の知識不足が目立つことがあげられます。
費用を抑えるために自分たちだけで無理に進めようとして、事業承継の知識不足でスムーズに手続きが進められなくなることが多いです。
M&Aの専門家などに相談すれば、事業承継で成功する方法・失敗しないための対策を行って手続きが進められます。
事業承継をスムーズに進められる自信がない限りは、専門家を頼ってください。
企業理念を承継できていない
事業承継の失敗の要因として、企業理念を承継できていないことがあげられます。
本来なら事業承継の際にお互いの経営理念をすり合わせ、事業を円滑に進めるためにちょっとした変更を加えることがあります。
しかし、買収側企業の企業理念がそのままだと、売却側企業の事業がかみ合わないケースも起こりやすいです。
事業譲渡と合わせて企業理念のすり合わせも行ってください。
M&A専門家に相談せずすすめた
事業承継の失敗の要因として、M&A専門家に相談せず事業承継を進めることがあげられます。
専門家に相談すれば、事業承継成功の秘訣や失敗を抑えるための対策について教えてくれます。
事業承継のコツを把握するためにも専門家に相談してみてください。
専門家にも経営分野に強みを持つところもあれば、法務・会計に強みを持つところもあります。
それぞれの悩みに合わせて相談する専門家としてどこが適切か考えましょう。
事業承継の失敗を回避し成功させるための対策
事業承継の失敗を避け、事業承継で成功しやすくなるための対策を行いましょう。
事業承継で成功しやすくなるための対策として以下のものがあげられます。
- 早い段階から準備を始める
- 後継者を早めに決め経営者の引退を予告する
- 引退前から後継者に随時仕事を任せる
- 事業承継計画を念入りに作成する
- 従業員に配慮する
- 節税・相続税対策をする
- 自社株を承継する
- M&Aの知識と経験が豊富な専門家に相談する
以下で詳細を解説します。
早い段階から準備を始める
事業承継で成功しやすくなるための対策として、早い段階から準備を始めることがあげられます。
早い段階から準備を進めておけば、途中で状況に変化があったとしても柔軟に対応しやすくなります。
その代わり、通常業務と並行して準備をする期間が延びる分通常業務の負担が大きくなってしまう点に注意してください。
後継者を早めに決め経営者の引退を予告する
事業承継で成功しやすくなるための対策として、後継者を早めに決め経営者の引退を予告することがあげられます。
突然経営者が変わって業務体制が変わってしまうと、現場で働く人からは不満の声が多数上がっても仕方ありません。
社内で混乱が起きないように、早い段階から経営者が変わることを現場の労働者に伝えることが大事です。
引退前から後継者に随時仕事を任せる
事業承継で成功しやすくなるための対策として、引退前から後継者に随時仕事を任せることがあげられます。
後継者教育が必要だと解説しましたが、実践経験を詰むことが現場に慣れる一番の近道です。
そのため、引退前から経営者に仕事を少しずつ回していくのが理想的です。
事業承継計画を念入りに作成する
事業承継で成功しやすくなるための対策として、事業承継計画を念入りに作成することがあげられます。
口頭では経営者間での認識の違いが出てくる場合もあります。
しかし、事業承継計画の書面に内容を残しておくことで、その内容に沿って事業承継が進めやすいです。
また、取り決めた内容が守られていなかったとしても、書面で明記しておけばその点について言及できます。
従業員に配慮する
事業承継で成功しやすくなるための対策として、従業員に配慮することがあげられます。
ここまでで何度か出てきましたが、従業員に配慮して事業承継を行うことが大事です。
従業員を放置して事業承継を行うと、取引後に従業員が辞めてしまうリスクがあることを頭に入れておいてください。
節税・相続税対策をする
事業承継で成功しやすくなるための対策として、節税・相続税対策をすることがあげられます。
節税・相続税対策を行っておけば、翌年の税金の負担が減らせます。
自社株を承継する
事業承継で成功しやすくなるための対策として、自社株を承継することがあげられます。
株式による経営権のことを意識して取引を進めてください。
M&Aの知識と経験が豊富な専門家に相談する
事業承継で成功しやすくなるための対策として、M&Aの知識と経験が豊富な専門家に相談することがあげられます。
十分な知識を把握している専門家に相談することで、高い確率で事業承継で成功しやすくなります。
事業承継を失敗させないためにスケジュールを組む
事業承継で失敗しないためにも、成功するためのスケジュールを組んでおきましょう。
事業承継で成功するためのスケジュールは以下の通りです。
- 会社(事業)の現状を把握する
- 後継者を選定する
- 事業計画書の作成
- 関係者への説明
- 経営改善
- 引継ぎ開始
以下で詳細を解説します。
①会社(事業)の現状を把握する
まずは会社の現状を把握します。
会社の状況を十分に理解した上で手続きを進めてください。
②後継者を選定する
次に後継者を選定します。
できる範囲で時間をかけて慎重に後継者を選びましょう。
③事業計画書の作成
後継者が決まったら事業計画書を作成します。
誰が見ても内容がわかりやすいように必要事項を記録してください。
④関係者への説明
次に関係者への説明を行います。
早い段階で関係者に説明しておくと、思わぬトラブルを防ぐことが可能です。
⑤経営改善
事業承継を行った場合にどのような経営改善を行うか決めてください。
双方の意見にズレが生じないようにしてください。
⑥引継ぎ開始
最後に引継ぎを進めましょう。
引継ぎ後には従業員や株主に対する手続きも必要になる点を押さえておいてください。
事業承継を失敗させないためには専門家に相談するのがおすすめ
事業承継を失敗させないために、専門家に相談するのが理想的です。
事業承継の相談に適切な専門家として以下のものがあげられます。
- 金融機関
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 商工会議所
- 弁護士・税理士
- 商工会議所
- 経営コンサルタント
- M&Aの仲介会社
以下で詳細を解説します。
金融機関
金融機関でも事業承継の相談に乗ってくれます。
普段お世話になっている金融機関が事業承継の相談に乗ってくれるか確認してみてください。
事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターは事業承継に特化した機関です。
各地域に配置されているため、誰でも気軽に相談してみてください。
商工会議所
商工会議所でも事業承継に対応しているところもあります。
会計面での悩みがある方は商工会議所を利用してみてください。
弁護士・税理士
弁護士・税理士でも事業承継の話を聞いてくれます。
こちらは法務・税務の面でのサポートをしてくれます。
経営コンサルタント
経営コンサルタントに事業承継について相談する方法もあります。
より経営面での専門的な相談をもらいたい場合は選択肢に入れてみてください。
M&Aの仲介会社
M&Aの仲介会社に事業承継をサポートしてもらう方法もあります。
M&Aの仲介会社なら相談だけでなくマッチングまでサポートしてもらえます。
事業承継を失敗させないためM&A専門家の助けを得よう
事業承継を行うケースが増えてきており、その流れに従って事業承継を行う企業も増えつつあります。
しかし、事業承継で失敗することも多く、事業承継で失敗する要因はある程度決まっています。
事業承継で失敗する要因を押さえて事業承継を進めてください。
事業承継について不安に感じている方は、専門家に相談することをおすすめします。
専門家であれば事業承継の成功事例や失敗の要因などを踏まえたサポートを受けることが可能です。
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