事業承継にかかる手数料や費用の相場はどれくらい?コストを抑える方法も調査!
近年は経営者の高齢化に伴って事業承継を進めていく企業が増加していますが、事業承継には実際にどれくらいの費用が掛かるのでしょうか。本記事では事業承継にかかる手数料や費用の相場を紹介し、コストを抑える方法についても解説します。
事業承継の手数料・税金の種類
事業承継には複雑な手続きや、税務に関する手続きも多いので多岐にわたる手数料や税金がかかってしまいます。
では事業承継の手数料や税金の種類を詳しく解説します。
相談料
相談料とは事業承継手続きを専門家に依頼した際にかかる手数料のことを指します。ここからは事業承継にかかる相談先の種類を解説します。
M&A仲介会社・アドバイザー
依頼先企業を最優先に考えながら事業承継のサポートをしてくれるのが、M&A仲介会社・アドバイザーです。仲介会社への主な報酬は成功報酬や相談料、着手金や中間手数料が挙げられます。報酬の算出方法には取引金額の大きさに比例して報酬額も大きくなる、レーマン方式が採用されているケースが多くあります。
近年ではユーザを優先的に考え、取引が成立した時のみ料金が支払われる完全成功報酬を採用している仲介会社も多く見受けられます。この報酬形態を活用すれば、依頼者側は初期コストがほとんどかからないのもメリットです。
弁護士
事業承継の他に、経営者個人の財産相続に関するサポートの方法を展開しているのが弁護士です。弁護士への依頼には成功報酬以外にも相談料や着手金の手数料が必要になります。一般的に弁護士に依頼する際の報酬の相場は取引の10%程度です。
例えば取引金額が2億円の事業承継を依頼すれば、弁護士に払う報酬金額は2,000~3,000万円程度になります。弁護士にかかる費用は仲介会社と比較するとコストは高めですが、法律の専門家なので法的な手続きも簡単に対応してくれるのがメリットです。
会計士・税理士
事業承継を資金的な側面からサポートしてくれる、財務関連の専門家が会計士・税理士です。会計士や税理士への依頼コストは手続きに必要な書類作成や、作成資料の難易度によって異なっていきます。事業承継に必要な経営計画や自社株評価、組織再編などの計画書作成を依頼すれば、1億円の取引で難易度が中程度であれば300万円程度が相場です。
さらに事業承継税制に関する書類や資料作成を依頼すれば、追加料金として300万円程度が加算されます。会計士や税理士に依頼すればコストを低めに抑えることができますが、経営に関するアドバイスは専門外なので期待できないでしょう。また、会計士や税理士の報酬体系のほとんどがタスク制を採用しているのも特徴的です。
相続税
経営者の親族が会社の後継者になる際に収める税金で、資産が相続された際に相続人が支払わなければいけない税金のことを相続税といいます。相続税の金額は相続金が高くなるほど金額も高くなる、累進課税制度が採用され、事業承継では継承される会社の資産に対して相続税が加算されます。また納税額の計算には、基礎控除額が設けられています。
相続税は基本的に現金のみでの納付方法なので、資産相続後に現金がなければ融資を受けて支払わなければいけないので事前の対策を検討しておきましょう。
贈与税
生前に資産を贈与した際に課せられる税金のことを贈与税といいます。事業承継においては後継者に贈与税が課せられ、贈与税に関しても相続税同様に累進課税制度が採用されており、贈与される金額に対して課税額も変更していく方法です。また事業承継においては2,500万円以下の資産贈与は非課税対象になり、教育・住宅ローンを目的とした贈与は一定の控除を受けることができます。
このような控除を有効活用し、できるだけ多くの資産を継承できるよう工夫しましょう。
法人税
法人が事業を行い、算出した利益に対して課せられる税金のことを法人税といいます。法人税は中小企業の場合は800万円以下の利益に対して利益の15%、800万円以上の利益に関しては23.2%の税金が課せられてしまうのです。一方で一般的な事業継承では法人税は加算されないことも把握しておきましょう。
しかし事業譲渡を行って経営者個人が売却の利益を得た場合には所得税、法人が売却益を得た場合には法人税が加算されます。
消費税
消費税は商品やサービスを購入・消費した際にかかる税金ですが、株式は非課税対象なので株式譲渡による事業継承時に消費税は加算されません。一方で所得税や住民税の税金は加算されることを認識しておきましょう。また事業譲渡による事業承継においては、個々のそれぞれの事業資産に対して消費税が加算されます。
登録免許税・不動産取得税
会社登記や資格登録など、自治体に登録時に課せられる税金が登録免許税です。合併の際の登記に関する税率は0.2%、会社分割の登記に関する税率は0.4%に設定されています。
不動産取得税とは建物や土地を取得した際に課せられる税金のことで、事業承継で不動産を取得した際には必ず支払わなければいけません。不動産取得税は事業継承税制の一定の条件を満たすことで減税され、建物や土地を取得した際には固定資産評価額の2.5%、住宅以外の建物を取得した際には3.3%が課税されます。
事業承継に必要な費用と相場
事業継承を行えば後継者問題に関係なく事業を残すことができますが、実際にどのような継承を行ってどれくらいの費用が掛かるのでしょうか。ここからは事業承継に必要な費用と相場を解説します。
親族内事業継承
経営者の親族が事業を継承する親族内継承においても、会社の資産や株式などを継承するための費用が掛かります。主な費用として像族税や贈与税の算出が必要になるので、税理士や会計士へ依頼すれば手続きがスムーズに進んでいくでしょう。また事業継承が迅速に完了すれば、税理士や会計士への依頼料のみで手続きが完了してコストを抑えることができるのもメリットです。
しかし他にも専門的な相談が必要になれば、弁理士や税理士、会計士へのコストが発生するので注意しましょう。
親族外事業継承
経営者の親族ではない会社の従業員や役員へ事業を引き継ぐ方法の親族外事業継承では、資産の引き継ぎのために贈与税を算出しなければいけません。この継承方法においては税に関する専門的な知識が必要になるので、税理士や会計士への依頼が必要になります。また事業継承の交渉も必要になるのでM&A仲介会社への依頼もおすすめです。
M&Aによる事業継承
経営者の親族や、社員の中に継承者候補がいなければM&Aによる事業継承が必要になります。M&Aを導入すれば、仲介会社が他所から最適な継承者候補を探して自社とマッチングしてくれるのです。一方でM&A仲介会社に依頼すれば、着手金や相談料、中間金や成功報酬が徴収されるので事前に準備しておきましょう。
しかし近年は取引完了後の成功報酬のみ徴収する仲介会社も多いので、そのような会社を利用するのもおすすめです。
事業承継で支払う報酬
事業承継はさまざまな分野の専門家に依頼しなければできない手続きが多くありますが、具体的にはどのような報酬を支払うのでしょうか。では事業承継で支払う報酬を紹介します。
M&Aアドバイザーの報酬
M&Aアドバイザーに事業継承を依頼すれば、事業承継後の計画や今後の方針をサポートしてくれるうえに、月額30万円程度からの依頼が可能です。近年では月額報酬は一切徴収せずに成功報酬のみ徴収する会社も多く、費用相場は無料~数百万円程度に推移しています。またデューデリジェンスのみを個別で行う方法では、一般的に15万円程度からの依頼が可能です。
M&Aの候補先選定時には、事前準備として着手金や相談料を徴収する会社もあり費用相場は数十万円~数百万円に推移しています。さらに成果に対して成功報酬を徴収する会社もあるので事前に確認しましょう。
弁護士の報酬
直接的な顧問契約を結んでいない弁護士に事業継承の相談をする際には、1回の相談ごとに相談料を徴収したり、着手金や手数料が徴収されたりする場合があります。弁護士に事業承継を依頼する際には、月額費用30万円程度からの依頼が可能です。また相談の費用相場は時間制であれば30分で数千円から、事業計画書作成は継承される財産の金額の1%から料金を徴収する場合もあります。
税理士・会計士の報酬
税理士や会計士の中には事業継承をトータル的にサポートしている場合や、必要な対策ごとにサポートを実施している会社があります。したがって月額契約しなくても単発的な相談を受け付けてくれる場合も多く、初回相談を無料設定している会社もあるのです。事業承継の現状分析から完了までサポートしてもらうための費用は、30万円程度が相場になっています。
しかしこのような相場はあくまで目安金額なので、事業譲渡を行うタイミングで明確な金額を確認しておきましょう。
事業承継の手数料・費用のコストを削減する方法
事業承継を行うためにはさまざまな分野の専門家への依頼が必要になり、それなりの費用がかかってしまいます。一方で事業継承後も費用がかかることが多いので、できるだけ費用を抑えて事業継承を行いたいものです。そこでここからは、事業承継の手数料や費用のコストを削減する方法を紹介します。
事業承継・引継ぎ補助金を利用
事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継やM&Aにかかる費用の一部を補助してもらえる制度のことです。この制度は事業承継を行い事業の立て直しを図る企業や、再編などを進める企業を援助するために制定されています。支援を受けるためには一定の条件がありますが、条件や支援金額は年度によって異なるので事前に確認しておきましょう。
事業承継税制に注目
事業承継で非上場株式を取得して事業を開始した際に、納税の免除や支払期間に関して猶予をもらえる制度のことを事業承継税制といいます。この制度を活用すれば、事業承継の際にかかる贈与税や相続税をはじめとした税金の免除や、支払期間延長の支援を受けることができるのです。さらに前述で解説したように、事業承継時には登録免許税や不動産取得税も軽減されるので、同時に利用すればかなりの金額を削減できます。
専門家への依頼費用を比較し選択
事業承継ではさまざまな分野の専門家への依頼が必要になるので、依頼費用を比較し選択することでコスト削減に繋がります。事業承継の手続きにおいても専門家によって費用は異なるので、事前に複数の業者の価格を比較検討して予算に適した業者を選択しましょう。また、自分でできる手続きは自力で行い、その他専門的な手続きのみ専門家に依頼することでコストを削減する方法もあります。
事業承継のメリット
事業承継を行えば、後継者がいなくても廃業に追い込まれずに事業を残すことができますが、他にどのようなメリットがあるのでしょうか。では事業承継のメリットを詳しく解説します。
後継者不在問題を解決できる
経営者の親族や従業員の中に、事業を継承したい人材が出てこないために廃業に追い込まれてしまう会社も少なくありません。そこで仲介会社に依頼して事業承継を行えば、最適な後継者をマッチングしてくれます。そして迅速に交渉を進めることで、スムーズな事業継承が実現されるのです。
このように後継者不在問題を解決できるのも、事業承継のメリットの1つです。
シナジー効果が期待できる
シナジー効果とは、今まで別々の事業で計上されていた個々の成果の合計を、1つの事業に統合された後の成果の合計が追い越す効果のことを指します。事業承継前に業績が下降気味だった事業も、成長意欲の高い企業と協業することにより、高いシナジー効果を得ることができるのです。
社員の雇用を維持できる
会社の業績が悪化し、そのまま廃業してしまえば働く従業員は職を失ってしまいます。しかしその前に事業承継を行い、事業そのものを継続できれば社員は路頭に迷うこともありません。このように事業承継を行えば、社員の雇用を維持できるのもメリットの1つです。
オーナー社長は円満にリタイヤできる
オーナー社長は会社の資産や連帯保証人になっているので会社が廃業して負債を抱えてしまえば、その負債に対しての支払い義務が生じてしまいます。しかし事業承継を行って買い手企業側に経営権を譲渡すれば、そのような責務から解放されるのです。また会社承継完了後に双方の合意があれば、事業承継後も役員や顧問として会社に残ることもできます。
このようにオーナー社長は円満にリタイヤできるのも事業承継のメリットです。
事業承継にかかる手数料は事前によく把握しよう!
事業承継を行えば、後継者問題などに関係なく事業を継承できるので、廃業の心配もなくなります。しかし手続きや交渉には専門的な知識が必要な場合が多いので、専門家への依頼を欠かすことはできません。専門家への依頼は各分野で費用相場が異なったり、取り扱う部門で金額も変わったりすることもあるので手数料などを事前に把握しておきましょう。
今後事業承継を検討しているのであれば、本記事を参考にして適切な予算組をして最適な業者に手続きを依頼してください。
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