事業譲渡のありがちな失敗事例まとめ!うまくいかない原因や対策は?

近年では多くの企業が自社の採算性を高めるために事業譲渡に取り組んでいますが、失敗に終わってしまう事例も多く見受けられます。そこで本記事では事業譲渡のありがちな失敗事例を紹介し、うまくいかない原因や理由を紹介してその対策について詳しく検証していきましょう。

目次

  1. 事業譲渡の失敗とは
  2. 事業譲渡のよくある失敗事例
  3. 事業譲渡に失敗する原因
  4. 事業譲渡に失敗しないための対策
  5. 事業譲渡に失敗しないための仲介会社の選び方
  6. 事業譲渡に失敗しないためには対策をしっかりと!

事業譲渡の失敗とは

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事業譲渡に失敗した状態とは譲渡を行ったものの自社の業績が向上せずに、かえって業績が悪化した状態のことを指します。では事業譲渡に失敗してしまう理由にはどのようなポイントが挙げられ、失敗してしまえば実際にどのような状態になってしまうのでしょうか。 

事業譲渡に失敗する理由

事業譲渡で事業を買収しても投資に対して十分な利益を得られずに、結果として投資対効果が低くなったのを理由として失敗するケースがあります。事業を買収しても軌道に乗るまでには、ある程度の時間がかかってしまいます。その時点に到達するまでに資金繰りがうまくいかず、結果として失敗してしまうケースも多いです。

また譲渡時のデューデリジェンスによる企業評価が悪いのが原因で、買収した際に買い手企業が巨額の損失を抱えてしまう事例もあります。そして結果的に負債の支払いができないのを理由に失敗に終わってしまう事例もあるのです。

事業譲渡に失敗するとどうなる

事業譲渡に失敗すれば前述でも解説したように、巨額の負債だけを抱えてしまうことがあります。そして最悪の場合には破産にまで追い込まれてしまう事例も少なくありません。また事業譲渡に失敗してその後に円滑な事業が展開されないのを理由に、監査法人から企業価値(のれん)が減少したと指摘を受ければ多額の減損支払い義務が発生します。

このように事業譲渡に失敗してしまえば、さまざまな損益の支払い義務が発生してしまうのです。

事業譲渡のよくある失敗事例

手数料の違い
lukasbieri

では実際の事業譲渡の失敗事例には、どのようなものが挙げられるのでしょうか。ここからは事業譲渡におけるよくある失敗事例を紹介します。

遺産を巡って相続争いが勃発

事業譲渡時には、遺産を巡る相続争いが勃発して譲渡に失敗してしまう事例もあります。例えばある社長が3人の息子に会社の権利を平等に相続させたいと思い、後継者である長男以外にも株式を譲渡しました。しかし社長の死後に兄弟間での相続争いが勃発してしまったのです。

そして会社の株式を保有している他の兄弟が経営を阻害し、結果的に倒産してしまいました。このように事業譲渡時には、相続争いなども勃発してしまう事例も多く見受けられます。

親族間でトラブルが発生

親族間のトラブルが原因で、事業譲渡に失敗してしまうケースもあります。例えば経営者である父が引退時に長男に経営権を譲って、他の企業に勤務する兄弟に対しては株式の一部を譲渡しました。そして父が亡くなった後に長男が事業を引き継いだのですが、会社の業績は悪化してしまいます。

そのような状態にもかかわらず、他の兄弟が株式の配当を要求してきたのが原因で業績を回復できず、最終的に廃業してしまったのです。

元経営者が主導権を握る

経営者が高齢のため、次期社長に経営権を譲って経営者が会長になっても主導権を握ってしまっていれば、事業譲渡が失敗する可能性が高くなってしまいます。この事例では会長は引退後も実質的な経営権を握っているので、現社長は重い通りの経営ができないのを理由にストレスを感じてしまいました。そして最終的に会長と社長が対立して社内が混乱し、スムーズな経営が阻害されて事業譲渡も失敗に終わってしまいました。

多額の相続税で資金繰りが悪化

とある社長は自分の息子を後継者にするために、早い時点から自社に入社させて後継者教育に取り組んでいました。しかし今までに全く相続税対策に取り組んでいなかったので、息子が会社を継ぐ際に多額の相続税が課されてしまったのです。そして相続税を支払うために会社の資金が減少して資金繰りができなかったことが原因で、結果的に倒産してしまいました。

このように事業譲渡においては、譲渡後の相続税なども深く関係しておくのも注意点の1つです。

後継者がいない

現在の社長は自分の息子を後継者にしようと考え、早い時点から会社に入社させていました。しかし譲渡の段階になって息子から後を継ぐつもりはないと告げられ、他に後継者候補もいなかったので事業譲渡が失敗してしまいました。特に現在は少子高齢化が進んでおり、多くの企業が労働力不足や後継者問題に直面しています。

事業譲渡後の経営不振

早くから事業譲渡後の後継者を選定しても、譲渡後に失敗してしまうケースも多く見受けられます。例えば後継者として考えていた息子を他の企業で修行させ、その後に自社のさまざまな部署を体験させた後に社長職を譲渡しました。一見事業譲渡は成功したように見えたのですが、事業を引き継いだ後の経営ビジョンが全く定まっていない状態でした。

その結果として年々会社の業績は悪化し、事業存続すら危うい状態に陥ってしまいました。このように一度は事業譲渡が完了しても、その後の経営不振が原因で事業全体が失敗してしまうケースもあるのです。

派閥による社内分裂

とある会社の社長は、自分の長男と次男のそれぞれに会社の株式を保有させていました。その後しばらくして社長は長男を社長、次男を専務に据える形で事業譲渡を行ったのです。しかし、もともと社内での評判・実績は長男よりも次男のほうが優れていたので、その配置を不服に感じたことを理由に次男は会社を辞めてしまいました。

そして退職後に退職金と保有株式の買取を要求することで、会社の多額の資金が社外に流出してしまったのです。このような派閥争いも、事業譲渡が失敗してしまう原因の1つとして挙げられます。

事業譲渡に失敗する原因

失敗
brucemars Unsplash

前述までに紹介してきたように、さまざまな原因が重なることにより事業譲渡に失敗してしまうケースが多く見受けられます。では事業譲渡に失敗する具体的な原因には、どのようなポイントが挙げられるのでしょうか。

事業譲渡のタイミングが遅い

現状の経営者が精力的に仕事をこなす経営者でも、いずれかは後継者に事業を譲渡しなければいけません。しかし、事業運営に関しての心配を理由にして、なかなか後継者に事業を託すことができない経営者も多く見受けられます。しかしいつまでもその状態のままでは、後継者が育たないままになってしまうのです。

その結果として現在の経営者が急逝してしまって、いきなり後継者が事業を引き継いで事業が失敗してしまうケースも多く見受けられます。このように事業譲渡のタイミングが遅すぎて、事業に失敗してしまうことも多いのです。

後継者が決まらない

事業の後継者が決まらないのも、事業譲渡における失敗事例の1つです。現在は少子高齢化が急速に進んでおり、跡継ぎや労働力を確保できずに廃業してしまう企業なども多く見受けられます。そして次世代に事業譲渡をしたくても、他の企業に売却するしか手段がなくなってしまって結果的に廃業してしまうのです。

このように後継者不足を理由に、事業譲渡ができなくなってしまうケースも多く見受けられます。

条件が合わない

買い手企業と売り手企業の条件が合わない点も、事業譲渡が失敗する原因の1つです。条件の中でも特に重要なのが譲渡金額で、売り手企業側が理想的な金額を提示しても、企業価値を監査されるデューデリジェンスにより金額が下げられてしまうこともあります。そして買収金額に納得できないのを理由に、契約が破棄になってしまうこともあるのです。

また売り手企業側が譲渡したい事業が、買い手企業側の希望する業種・業態・立地などの条件を満たしていない場合も事業譲渡は失敗してしまいます。

統合プロセスがうまくいかない

統合プロセスがうまくいかなくなった場合にも、事業譲渡は失敗してしまいます。統合プロセスとは事業譲渡が成立して売り手企業側の従業員が買い手企業に転籍した際に、従業員に快適な環境を提示しながら2社を融合させることです。事業譲渡を完了させても統合プロセスを完了させなければ、従業員の力が全く発揮されないので事業譲渡の意味がなくなってしまいます。

このような事態を回避するためにも、事業譲渡成立前から効率的に統合プロセスに取り組むための綿密な計画を立てておきましょう。事業譲渡を成功させることは重要ですが、譲渡後に統合プロセスを最大化させることも重要なポイントです。

事業譲渡に失敗しないための対策

事業譲渡と事業売却のおすすめ相談先

事業譲渡に成功すれば自社の採算性を高めることができるうえに、必要な事業運営のみに専念できるので成功に繋げたいものです。そこでここからは、事業譲渡に失敗しないための対策について詳しく解説をします。

デューデリジェンスの徹底

デューデリジェンスとは買い手企業側が専門家に依頼して、売り手企業側の価値を総合的に監査することです。このデューデリジェンスを徹底することにより、さまざまな角度から売り手企業を監査することで、適正価格できると同時にリスクや課題も明確になります。デューデリジェンスは専門家への依頼が必要なので、コストや時間がかかってしまいますが、怠らないようにするのも重要な対策ポイントの1つです。

情報開示は正確に行う

売り手企業や買い手企業の双方が、情報開示を正確に行うのも事業譲渡に失敗しないための対策ポイントの1つです。特に売り手企業の中には、何とかして高額での譲渡にこぎつけるために正確な情報開示を行わない企業もあります。このような企業から事業を買収してしまえば、その後のトラブルを避けることができないので注意が必要です。

また正確な情報を開示しなければ、裁判沙汰になってしまうこともあるので十分注意しましょう。

買収先との関係性を築く

事業譲渡時には買収先との関係性を築いていくのも重要なポイントです。事業譲渡では買収したら終了ではなく、その後のプロセスが重要になります。良好な関係性を築ければ、買収した事業のノウハウを売り手企業とヒアリングしたり、今後の事業展開の相談などを持ち掛けることもできるのです。

そして深い関係性を築いておけば、従来顧客にもまして新規顧客などを紹介してくれる可能性も高くなるのも重要なポイントといえます。

事業譲渡の計画を入念に立てる

事業譲渡は単発的な発想で行うのではなく、入念な計画を立てなければ失敗してしまいます。したがって事業譲渡手続き前から事業エリア拡大、新規事業参入、技術力確保などの計画や目標を定めるのも重要なポイントです。そしてこのような入念な計画を立てることにより、取引相手企業先や条件なども明確化されていきます。

仲介会社・アドバイザーに相談する

仲介会社・アドバイザーに相談するのも事業譲渡に失敗しないための対策ポイントの1つです。仲介会社やアドバイザーは事業譲渡に関する豊富な知識を持っているうえに、依頼すれば最適な取引先を見つけてくれます。また優れた仲介会社やアドバイザーに依頼すれば成功率も高まるうえに、実績豊富な業者を選択してくれるのもおすすめのポイントです。

相続税対策を行う

事業譲渡により買い手企業側が売り手企業側の事業を買収した際には、その事業にかかわる資産に対しての相続税を支払わなければいけません。相続税は事業資産が多いほど高額になっていくので、買収を検討し始めた段階で資金的な準備を行い、十分な相続税対策をするのも重要なポイントといえます。

事業譲渡に失敗しないための仲介会社の選び方

事業譲渡の際に専門の仲介会社に依頼すれば、取引成功の可能性も高くなります。しかし実際に依頼時にはどのような基準や理由で仲介会社を選べばいいのでしょうか。では事業譲渡に失敗しないための仲介会社の選び方を紹介します。

実績は豊富か

事業譲渡を行う際には、実績が豊富な仲介会社を選択しましょう。事業譲渡には難しい手続きが多く、法律や財務に関する知識がなければ対応できない場合があります。また企業同士の交渉にも関与するので、確かな知識や経験を欠かすことはできません。

そのような場合においても、実績が豊富な仲介会社に依頼すれば的確な対応をしてくれるでしょう

専門性の高い担当者が在籍しているか

事業譲渡で仲介会社を選択する際には、自社の業種に専門性の高い担当者が在籍している仲介会社を選択するのも重要なポイントです。仲介会社によって得意とする業種は異なっており、在籍者の得意分野もさまざまです。したがって事業譲渡で仲介会社を選択する際には、事前に自社と取引会社の双方の契約に特化している仲介会社を選べば譲渡がスムーズに進んでいきます。

料金体系は適切か

もし自社の資金状況に適していない高額な仲介会社に依頼すれば、譲渡成立前に資金が底を尽きてしまいます。したがって事業譲渡を仲介会社に依頼する際には、会社の公式サイトなどをチェックして料金体系が適切か確認しましょう。資金面に関して不安があれば、着手金や中間報酬がかからない完全成功報酬型の仲介会社などがおすすめです。

事業譲渡に失敗しないためには対策をしっかりと!

成功
SnapwireSnaps

事業譲渡をスムーズに進めることができれば、売り手企業・買い手企業の双方ともに大きなメリットを得ることができます。一方で事業譲渡には事前の状況確認と、入念な下準備を欠かすことができません。今後効率的に事業譲渡を進めたいと検討中の方は、本記事を参考にして十分な対策を取ってください。

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