会社売却における企業価値とは?計算方法から高く売るためのポイントまで解説!
会社売却における企業価値とは、企業の売却価格を決めるための重要な概念です。
本記事では、企業価値の概念や企業価値の計算方法、価格を上げるためのポイントについて詳しく解説しています。
会社売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
会社売却とは
会社売却とは、企業が事業や株式を他の企業や個人に譲渡することです。
会社売却は、慎重に計画され、実行されることが重要です。
以下の項目に分けて、詳しくみていきましょう。
- 会社売却の定義
- 企業価値価額(価格)はだれが決めるのか?
- 企業価値と株式価値の違い
会社売却の定義
一般的に、会社の評価は財務データ、市場動向、事業の将来性などを考慮して売却価格が決まります。
業界の価値や企業価値を決定する過程は複雑であり、専門的な知識が必要です。
企業価値価額(価格)はだれが決めるのか?
企業価値価額は、会社のオーナーの意向に加え、客観的に算出された株価を参考に企業価値を決めます。
企業価値と株式価値の違い
企業価値と株式価値は混同されることがありますが、それぞれ意味が異なります。
企業価値は企業全体の評価を示し、株式価値は単一の株式の評価を指します。
両者の違いを理解することは、売却プロセスにおいて正確な評価を行う上で重要です。
会社売却の企業価値を算出するタイミング
会社売却の企業価値を算出する方法は、以下の通りです。
- 基本合意書締結前
- デューデリジェンス実施後(契約交渉前)
- 投資実行前
基本合意書締結前
会社売却価格において、企業価値の算出は基本合意書締結前に行われることがあります。
基本合意締結前では、大まかな評価が行われ、売却に関する双方の意向が合意される前に、企業の価値を把握できます。
詳細な評価は、基本合意締結後の段階で行われますが、初期の算定は交渉に有利となることもあるでしょう。
デューデリジェンス実施後(契約交渉前)
デューデリジェンス実施後、契約交渉の前に企業価値の再評価が行われることがあります。
デューデリジェンスでは、企業の財務状況や事業のリスクなどが詳細に調査され、その結果を踏まえて正確な価値評価が行われます。
再評価によって、交渉時により正確な数字をもとに、価格が算出されます。
投資実行前
最終的な企業価値の算定は、投資実行前に一般的に行われます。
投資実行前では、最終的な契約条件や事業の財務情報が明らかになり、合意に基づいて確定的な評価が行われます。
投資実行前の評価は、両者にとってリスクを最小限に抑えながら、公正な価格での合意ができるでしょう。
会社売却の企業価値の算定方法
譲渡価格の企業価値の算出方法は、以下の通りです。
- コストアプローチ
- マーケットアプローチ
- インカムアプローチ
それぞれの方法について、詳しくみていきましょう。
コストアプローチ
コストアプローチは、簿価純資産法と時価純資産法があります。
簿価純資産法は、企業の帳簿に記載された資産と負債から企業の純資産を算定します。
一方、時価純資産法では、資産や負債を市場価値で評価し、より正確な評価を行います。
コストアプローチは、企業の実態に基づいた合理的な評価を提供しますが、市場価値との乖離が生じる可能性があるので、注意しましょう。
簿価純資産法
簿価純資産法は、企業の簿価に基づいて資産と負債を算定し、その差額が企業の純資産を示します。
純資産は企業の財務の健全性を評価する上で重要な指標であることを認識しておきましょう。
簿価純資産法の注意点として、簿価と市場価値の間には差異が生じることがあります。
市場価値は、株価の変動や投資家の感情に影響を受けるため、企業の実際の価値とは異なります。
つまり、純資産だけでなく、市場価値も価格に影響を与えるというわけです。
時価純資産法
資産や負債を市場価値で評価する手法は、簿価に比べてより正確な価値を算出してくれます。
また、市場価値に基づく評価は、株式市場や債券市場の動向に基づいて行われることを把握しておきましょう。
市場価値は、需要と供給のバランス、事業の業績、経済の動向などの影響を受けます。
そのため、市場価値で評価することは、より正確な価値を反映できるというわけです。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチには、類似企業比較法と類似取引比準法があります。
類似企業比較法では、同業他社との比較により、企業の市場価値を推定します。
一方、類似取引比準法は、同業他社との過去の取引データを基に企業の価値を算出します。
マーケットアプローチは、市場の状況を加味して、企業の客観的な価値を示し、評価する方法です。
類似企業比較法
同業種の企業と比較して、市場での企業価値を算定することは非常に重要です。
企業価値を測るためには、自社が競合他社と比較して、どのような位置にあるかを知る必要があります。
他者と比較し、自社の企業価値を評価することは、競争力を向上させるための手段ともなりうるでしょう。
また、市場での競争が激化している現代では、企業価格を最大化するためには、競合他社との比較を継続的に行い、自社の強みや改善の余地を見つけることが重要です。
類似取引比準法
同様の産業や市場で行われた取引のデータをもとに、企業価値を算出します。
さらに、類似取引批准法では、過去の取引データや競合他社の動向を分析し、傾向やパターンを把握することで、より正確な評価が行えます。
また、類似の企業との比較や市場予測なども行い、より総合的な評価の可能になるでしょう。
類似取引批准法は、企業が持つ価値や成長のポテンシャルをより詳細に把握できます。
インカムアプローチ
インカムアプローチのDCF法(現金フロー割引法)と配当還元法は、企業の将来のキャッシュフローや配当に基づいて評価する方法です。
DCF法では、将来の現金フローを詳しく分析し、それを割引して現在価値を算出します。
一方、配当還元法は、将来の配当を基にして企業の価値を計算します。
これらの手法は企業の収益性やリターンに焦点を当て、事業の将来性を考慮して企業価値を評価します。
DCF法
将来の現金フローを詳細に分析し、割引率を適用して現在価値を算出する手法は、企業価値評価において非常に重要です。
DF法を活用することで、将来のキャッシュフローのパフォーマンスやリスクをより正確に評価できます。
将来の現金フローの予測を行い、フローに対して割引率を適用できるでしょう。
割引率は、投資のリスクや利回りなどの要素に基づいて設定されるものです。
また、現在価値を算出することで、「将来のキャッシュフローが今の価値にどれだけ相当するのか」算出できます。
DF法は将来のキャッシュフローのリスクも考慮することを把握しておきましょう。
リスクは、不確実性や変動性がある要素によって、引き起こされる可能性があります。
事業のリスクを考慮することで、現在価値の評価において、より正確な結果を得られます。
つまり、将来の現金フローを詳細に分析し、割引率を適用して現在価値を算出する手法は、経済的な意思決定や投資戦略の策定において欠かせません。
配当還元法
将来の配当を基にして企業価値を算出する方法です。
特に株主に対するリターンが焦点です。
企業の価値を評価するために、以下の手法を使用します。
ディスカウントキャッシュフロー法(DCF) | 将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて、企業の価値を算出する方法 |
比較法 | 他の類似企業や業界の平均的な評価指標を使用して、企業の価値を推定する方法 |
市場価値法 | 株式市場の評価や企業の株式価格を参考にして企業の価値を評価する方法 |
上記手法は、異なる側面から企業の価値を評価し、最終的な企業価値を総合的に算出します。
企業の価値・価格を正確に評価するためには、適切なデータや情報を使用し、慎重な分析が必要であることを認識しておきましょう。
会社売却の企業価値を上げ高く売るためのポイント
会社売却の企業価値を上げ、価格を上げるためのポイントは、以下の通りです。
- 事業が好調なタイミングで売却する
- 特許やスキル・技術をアピールする
- 会社分割で子会社を設立し売却する
それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。
事業が好調なタイミングで売却する
事業が好調な時期に売却することで、企業価値を高め、売却価格を上げられます。
安定的な事業の収益や事業の成長性は買い手にとって魅力的な企業であり、好調な業績は価値を上げるでしょう。
つまり、企業が好調なタイミングで企業の強みをアピールし、売却を進めることが重要というわけです。
特許やスキル・技術をアピールする
特許や独自のスキル・技術を持つ企業は、市場での差別化が可能です。
上記の要素は、企業価値を向上させ、競合他社よりも売却価格を上げられるでしょう。
売却の際には、特許や独自のスキル・技術を積極的にアピールし、専門性や技術的な優位性を強調することをおすすめします。
会社分割で子会社を設立し売却する
会社分割により、事業を特定の領域ごとに分割し、子会社を設立できます。
子会社設置により、特定の事業分野を強化した上で、売却を進められます。
分割により、効果的なビジネスモデルや成果をアピールすることで、企業価値を最大化できるでしょう。
会社売却の企業価値の価額評価のポイント
会社売却の企業価値の価額評価のポイントは、以下の通りです。
- 収益力
- 取引先・顧客リスト
- 有価証券・土地・保険積立金などがあるか
- 市場のシェア
- 社員・技術・ノウハウ
- 純資産額が高いか
それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。
収益力
企業の収益力は、最も基本的な価値評価のポイントです。
過去の実績や将来の見通しに基づいて、「持続可能な収益性があるか」評価されます。
安定した収益力は、企業の魅力を高め、価値を引き上げます。
取引先・顧客リスト
良好な取引先や顧客リストは、企業の将来の収益性と安定性に大きく影響します。
多方面で安定したクライアントを取得している場合は、買い手にとって、魅力的な要素であり、企業価値を高めるでしょう。
有価証券・土地・保険積立金などがあるか
企業の資産構成も価額評価に影響します。
有価証券、土地、保険積立金などの資産がある場合、企業評価に考慮され、企業価値が上がるでしょう。
市場のシェア
企業の市場シェアは、競争状況や将来の成長潜在力を示す重要な指標です。
市場でのポジションを確立していることで、企業価値を向上させ、競合他社との差別化が図れるでしょう。
社員・技術・ノウハウ
優れた社員、特許技術、独自のノウハウは、企業の強みです。
上記の資産が適切に評価されることで、企業価値は上がります。
純資産額が高いか
企業の純資産額は価値評価に影響します。
純資産が高いほど、企業の安定性や将来性が高く評価され、価値が引き上げられます。
会社売却時の税金対策
会社売却時の税金対策は、以下の通りです。
- 売却のタイミングに注意する
- 譲渡方式により税金が変わることを理解する
- M&A専門家に相談する
それぞれの対策について、詳しくみていきましょう。
売却のタイミングに注意する
会社売却時には、売却のタイミングに注意しましょう。
税制の変更や特例を活用することで、最適な売却時期を判断し、税金の負担を軽減できるかもしれません。
また、税務の専門家に相談することによって、計画的な売却を検討することも可能です。
売却のタイミングが税金に与える影響は大きいため、最適な売却時期を判断することが重要です。
譲渡方式により税金が変わることを理解する
譲渡方式によって、売却における税金の額が変わることに注意しましょう。
そのためには、株式譲渡と事業譲渡の違いを理解する必要があります。
株式譲渡では株式の売買に伴う税金が発生し、事業譲渡では会社の資産や負債の売買に伴う税金が発生します。
どちらの方式が最適か迷った場合は、税務の専門家に相談してみましょう。
専門家のアドバイスを受けながら、税金負担を最小限に抑える最適な方式を選択できます。
M&A専門家に相談する
M&A専門家や税務アドバイザーに相談することで、最適な売却を行えます。
専門家は最新の法令や制度に詳しいため、売却に関連する税務上の様々な課題に対処できるでしょう。
また、適切なアドバイスを受け、税金対策を適切に実施することで、売却をスムーズかつ効果的に進められます。
さらに、M&A専門家や税務アドバイザーに相談することによって、会社売却におけるさまざまなリスクや課題に対処するためのアイデアを得られます。
経験豊富であり、過去の事例や市場動向に精通しているため、売却成功に近づけるでしょう。
会社売却で税金対策を適用することは、会社売却に伴う税金のリスクを最小限に抑えられます。
税務アドバイザーが加わることによって、税制改革や新たな税制政策の動向を、最新の情報に基づいて提案してくれるでしょう。
つまり、M&A専門家や税務アドバイザーとの協力は、会社売却において欠かせない存在です。
M&A専門家や税務アドバイザーの専門知識と経験を活用することで、成功への道を切り拓けます。
会社売却の企業価値算出方法は複雑なため専門家のサポートを受けるべき
会社売却の企業価値を算出する際にサポートを受けるべき機関は、以下の通りです。
- 金融機関
- 公的機関
- 弁護士・税理士
- M&A仲介会社
会社の売却において、企業価値を正確に算出することは、多岐にわたる知識が必要です。
そのため、専門家のサポートを受けることが不可欠と言えるでしょう。
それぞれの機関について、詳しくみていきましょう。
金融機関
金融機関は、企業の財務状況や市場動向を的確に分析し、企業価値の算出に役立つだけでなく、経営戦略の立案やリスク管理など、幅広い領域にわたって専門的なサポートを提供してくれます。
また、資金調達や投資において、戦略的な意思決定のサポートや競争力の向上にも貢献してくれるでしょう。
公的機関
公的機関は、企業価値の算定に必要なデータや統計情報を提供してくれます。
産業動向や法規制の知識は、公的機関のデータが、信頼性が高いものとなるでしょう。
また、公的機関から提供される情報は、企業の戦略策定や意思決定においても、重要な役割を果たします。
例えば、産業動向のデータを分析することで、市場の成長や競合状況を把握し、適切な戦略を立てられます。
さらに、法規制の知識を兼ね備えた公的機関に依頼することで、法的リスクを最小限に抑えられます。
公的機関との協力関係は、企業の信頼性や社会的責任の向上にも影響するでしょう。
公的機関との良好な関係を築くことで、企業は地域社会や顧客からの信頼を獲得し、高い売却価値が付くと言えます。
弁護士・税理士
弁護士や税理士は、企業価値の算定において、法的な観点や税務の視点からサポートしてくれます。
企業が直面する法的問題や税金に関する懸念事項を把握し、リスクを最小限に抑えるための施策を提案してくれます。
また、企業の経営戦略においても重要な役割を担ってくれるでしょう。
企業が法的な義務を遵守し、最適な税務戦略ができるようにサポートします。
さらに、法的なトラブルや税務問題から企業を守ってくれるでしょう。
そのため、弁護士・税理士の専門知識と経験は、企業売却に欠かせません。
また、企業の成長戦略を策定し、新たなビジネスチャンスを見つけるためにも活用できます。
さらに、企業の内部統制やリスク管理プロセスの強化にも取り組みにも協力してくれるでしょう。
経営者や役員と緊密に連携し、企業の運営における法的な側面や税務の影響を理解し、最善の解決策を提案してくれます。
企業価値を最大化するためには、弁護士や税理士の専門知識と経験が欠かせません。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、企業売却において、総合的にサポートしてくれます。
市場動向の把握や交渉力、買い手の見込みなど、M&A仲介会社は幅広い専門知識を持っています。
上記の専門知識を活かして、市場のトレンドや競合他社の動向を分析し、最適な戦略を提案してくれます。
また、買い手との交渉においても高いスキルを持っており、最良の条件を引き出してくれるでしょう。
さらに、M&A仲介会社は、適切な買い手企業を見つけるために入念に調査してくれます。
契約書の作成やデューデリジェンスの実施など、重要な手続きの処理もサポートしてくれるので、初めての売却で不安な方は、ぜひ相談してみてください。
会社売却の企業価値はM&A専門家に算出してもらおう
本記事では、企業価値の概念や企業価値の計算方法、価格を上げるためのポイントについて詳しく解説しました。
会社売却において、企業価値を正確に算出することは重要ですが、会社を売却する際は、専門的な知識が必要です。
一般的な算出方法には、コストアプローチ、マーケットアプローチ、およびインカムアプローチがあります。
コストアプローチでは、簿価純資産法や時価純資産法を使用して企業の評価を行う方法です。
マーケットアプローチでは、類似企業比較法や類似取引比準法を使用し、同業他社との比較から企業の市場価値を推定する方法です。
インカムアプローチでは、DCF法や配当還元法を使用して企業の将来のキャッシュフローや配当に基づいて評価を行う方法です。
会社売却において、企業価値を高めて高く売るためには、事業が好調な時期に売却すること、特許やスキル・技術をアピールすること、および会社分割で子会社を設立し売却することがポイントです。
また、正確な価額評価を行うためには、収益力、取引先・顧客リスト、資産構成などを考慮して行うようにしましょう。
最終的な企業価値の算出には、M&A専門家のアドバイスを受けることがおすすめです。
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