会社売却の流れを徹底解説!手続き方法やメリット・注意点は?
会社売却を検討している企業の中には、どのような流れで進めていけばよいのかわからないといった悩みを抱えている方もいます。
今回は会社売却を検討している方に向けて、会社売却の手続き方法や流れ・メリット・注意点などについて解説します。
目次
会社売却とは?
会社売却は第三者に向けて会社を売却する方法のことです。
近年はM&Aの方法で会社を第三者に向けて売却する方法を採用する企業が増加しています。
ただ、M&Aでなくても会社のあらゆる所有権を売却する行為はすべて会社売却に該当することを覚えておいてください。
ここでは会社売却の目的や必要な期間について解説します。
会社を売却する目的
会社を売却する目的として、後継者不在などの問題に対応することなどがあげられます。
事業を引き継いでもらう相手が身内や社内の中で見つからず、M&Aによって第三者から事業承継先を探すケースが多いです。
また、事業業績は良くても、赤字を抱えている場合もあります。
その場合に事業を無駄にしないために、大手の傘下に入って事業を継続・成長させる目的で会社を売却することもあります。
会社売却の事前準備にかかる期間
会社売却の事前準備にかかる期間として、一般的に2年は必要と言われています。
ある程度よい条件で会社を売却するなら、適切な取引相手を見つけ、その相手のに魅力を感じてもらえるポイントが必要です。
ただ、2年も間が空くと市場のトレンドの流れがガラっと変わってしまうこともあります。
会社売却の判断そのものが間違った判断になってしまうこともあるため、市場の流れをよく観察してください。
会社売却の方法
会社売却にはいくつかの方法があります。
取引の方法によって適切なケースとそうでないケースがあるため、どの方法が適切なのか考えましょう。
会社売却の方法として主に以下のものがあげられます。
- 株式譲渡
- 事業譲渡
- 合併
以下で詳細を解説します。
株式譲渡
会社売却の方法として、株式譲渡があげられます。
株式譲渡は株式を通じて会社の売買を行う方法です。
株式譲渡はすべての手続きを一括で行い、会社ごとの取引ができる方法となっています。
資産の譲渡はもちろん、登記や役所などの手続きについても個別に行う必要がありません。
そのため、会社ごとの売却を考えている場合は株式譲渡がおすすめです。
ただ、株式譲渡は負債や債務返済の義務も引き渡す形になるため、そういったものが多いと売却に応じてくれない可能性があります。
事業譲渡
会社売却の方法として、事業譲渡があげられます。
事業譲渡は事業単位の取引ができる売買方法です。
会社全体ではなく、会社の中の一部の事業で採算が取れていないため、売却してしまいたいと考える場合もあります。
その際には事業譲渡での取引がおすすめです。
柔軟な取引がしやすいのが事業譲渡の魅力と言えますが、その代わり1つ1つの物事に対して手続きを行う必要があります。
2、3事業をまとめて売却するなら、1つ1つの事業で譲渡手続きを行うことになるため、手間暇がかかりやすいです。
合併
会社売却の方法として、合併があげられます。
合併は2つ以上の会社が1つの会社にまとめられる売買方法です。
2つ以上の会社が1つの会社に吸収される吸収合併と完全に新しい会社に複数社の事業がまとめられる新設合併の2つの方法があります。
どちらの方法が適しているか状況に合わせて判断する必要があります。
ちなみに、吸収合併を採用するケースが多いです。
新設合併は新しい会社を設立する際に手間暇やコストがかかってしまいます。
どうしても一からリセットして再挑戦したいという気持ちがない限りは、吸収合併を利用してみてください。
会社売却の手続き手順と流れ
会社売却を行う場合、会社売却の手続き手順と流れを把握しておいてください。
会社売却の手続き手順と流れを把握していると、スムーズに会社売却の手続きを進めることが可能です。
会社売却の手続き手順と流れは以下の通りです。
- 会社売却を決める・M&Aの準備
- M&Aアドバイザリー契約の締結
- 買い手候補の選定
- トップ面談
- 意向表明書の提示
- 基本合意書締結
- デュー・デリジェンス
- 最終譲渡契約の締結
- クロージング
- 経営統合(PMI)
以下で手順の詳細を解説します。
①会社売却を決める・M&Aの準備
会社売却手続きの1つ目の手順と流れとして、まずは会社売却を決めてM&Aの準備を進めてください。
早めに準備しておくとタイミングを見逃すことがなくなります。
可能な範囲で準備はスムーズに進めてください。
②M&Aアドバイザリー契約の締結
会社売却手続きの2つ目の手順と流れとして、 M&Aアドバイザリー契約を結び、専門家からのサポートを受けてください。
取引先を見つける際に、伝手もない状態で相手を見つけるのは難しいです。
しかし、M&Aアドバイザーがいれば、取引相手を見つけてもらえ、かつM&Aの手続きでわからないことがあれば教えてもらえます。
③買い手候補の選定
会社売却手続きの3つ目の手順と流れとして、 M&Aアドバイザリー契約を結んだら、買い手候補の選定に移ります。
単にM&Aで後継者不在を解消したいと考える企業も少なくありません。
しかし、事業の成長を考えて会社売却することも大切です。
M&Aアドバイザーならシナジー効果を意識した取引先を探してもらえます。
④トップ面談
会社売却手続きの4つ目の手順と流れとして、 買収先の企業を見つけたら、トップ面談を行います。
トップ面談で相手の経営者の人柄や会社売却の目的、相手企業の運営方法や経営方針などをすり合わせます。
その情報のすり合わせを行った上で、本当にその企業と取引してよいか考えてください。
⑤意向表明書の提示
会社売却手続きの5つ目の手順と流れとして、面談を行った後にお互いの同意があれば、買収側の企業から意思表明書を提示してもらいます。
これは買収側企業のM&Aにおける具体的な意思を提示するための書類です。
M&Aのスケジュールや期待するシナジー効果などの希望が書類に記載されています。
その内容で問題ないか確認してください。
⑥基本合意書締結
会社売却手続きの6つ目の手順と流れとして、意思表明書の提示が完了したら、基本合意書を結びます。
基本合意書は双方が合意した内容をまとめた書類です。
そこでは以下の内容がまとめられています。
- 予定している譲渡価額
- 会社売却のスケジュール
- 会社売却のスキーム
- デュー・デリジェンスの協力の意思
- 独占交渉権の付与
この書類はあくまでも予定している会社売却の内容をまとめたもので、法的拘束力のあるものではありません。
そのことを押さえておいてください。
⑦デュー・デリジェンス
会社売却手続きの7つ目の手順と流れとして、 デュー・デリジェンスは売り手側の企業の内部情報を調べることです。
会社売却後に思わぬ事実が発覚することもあります。
そういったリスクを減らして会社売却を行うために、デュー・デリジェンスを行って後々大きなリスクが発生しないか確認することが大切です。
⑧最終譲渡契約の締結
会社売却手続きの8つ目の手順と流れとして、ここまでの手続きをすべて行ったら、最終譲渡契約を結んでください。
会社売却の内容はもちろん、取引する金額に問題ないか確認しましょう。
⑨クロージング
会社売却手続きの9つ目の手順と流れとして、M&Aが成立したら、クロージングの手続きを行ってください。
クロージングは資産の移転などの手続きのことを指しています。
M&Aの手続きが完了したら何もやることがなくなるわけではありません。
⑩経営統合(PMI)
会社売却手続きの10つ目の手順と流れとして、経営統合はシナジー効果を最大化させるための行動です。
経営統合によってどのような形でシナジー効果を狙っていくかすり合わせる必要があります。
提供した事業の成長・拡大を実現する目的でも、売却側企業は買収側企業に協力的な姿勢を取ってください。
会社売却の手続きに必要な書類
会社売却の手続きを進める際に、書類を準備する必要があります。
あらかじめ手続きに必要な書類がわかっていると、スムーズに手続きしやすいです。
会社売却の手続きに必要な書類として以下のものがあげられます。
- 自社のPR資料
- 基本的資料
- 財務資料
- 人事資料
- 契約に関する書類
以下で詳細を解説します。
自社のPR資料
会社売却の手続きに必要な書類として、自社のPR資料があげられます。
自社のPR資料として新聞で取り上げられた自社に関する記事や雑誌などが使えます。
また、中期計画書などの書類もPR資料として使うことが可能です。
基本的資料
会社売却の手続きに必要な書類として、基本的資料があげられます。
商業登記簿謄本や株主名簿、印鑑証明書などが基本的資料として使えます。
準備できるものは早めに準備しておいてください。
財務資料
会社売却の手続きに必要な書類として、財務資料があげられます。
決算書や月次試算表、土地・借地権台帳などが財務資料として使えます。
決算書なら税務申告書、決算書など、土地・借地権台帳なら不動産登記簿謄本などを使うことが可能です。
人事資料
会社売却の手続きに必要な書類として、人事資料があげられます。
組織図、役員の経歴書、従業員名簿などが人事資料として使えます。
組織図では関連会社の有無の情報、従業員名簿では従業員1人1人の氏名や勤続年数などの情報を提供してください。
契約に関する書類
会社売却の手続きに必要な書類として、その他契約に関する書類も必要です。
取引先との契約書や賃貸借契約書、保険契約書などを提出してください。
他にも、許認可などの写しなども準備しましょう。
会社売却のメリット・デメリット
会社売却を行う前に、会社売却のメリット・デメリットを理解しておきましょう。
会社売却のメリット・デメリットを知っておくと、会社売却手続きで失敗してしまうリスクを減らすことが可能です。
この章で会社売却のメリット・デメリットを解説します。
メリット
会社売却のメリットとして、売却益が入る可能性がある点があげられます。
会社あるいは事業を売却することで利益が手に入り、アーリーリタイアに充てたり、特定の事業に集中するための資金にしたりすることが可能です。
得られる利益も大きな額になることを理解して、会社売却の手続きを行うか考えてみてください。
また、雇用関係・取引先との関係が維持できる点もメリットとしてあげられます。
会社売却などがあると、社内の状況が変わってステークホルダーから反感を買ってしまうことがあります。
しかし、会社売却なら雇用関係・取引先との関係はそのままで経営権が買収側企業に移るだけです。
ただ、中にはその影響で辞めてしまう方も出てくる可能性があることを覚えておきましょう。
デメリット
会社売却のデメリットとして、売却後に競業避止義務が発生し、売却後に同じ事業を再建させることはできない点があげられます。
業績が上げられなかったといってその事業を売却し、新しい形で同じ事業で再スタートを切るということはできません。
そのことを理解した上で会社売却手続きを行ってください。
また、事業所得に税金がかかってしまう点も会社売却のデメリットとしてあげられます。
どのような取引方法を採用するのかによって変わってきますが、どの方法でも何らかの税金がかかります。
具体的な税金の計算方法は後ほど解説するのでチェックしてください。
会社売却価格の算出方法
会社売却の際に、どのくらいの金額になるのか計算する必要があります。
その価格の計算方法として以下のものがあげられます。
- コストアプローチ
- マーケットアプローチ
- インカムアプローチ
以下で詳細を解説します。
コストアプローチ
会社売却価格の計算方法として、コストアプローチがあげられます。
コストアプローチは貸借対照表の純資産を用いて計算する方法です。
純資産から含み損益を差し引き、発行済株式で割ると企業価値が計算できます。
複雑な計算方法ではないため、企業価値を計算しやすいというメリットがあります。
コストアプローチは客観的かつ将来性を考慮した金額が出しやすいです。
マーケットアプローチ
会社売却価格の計算方法として、マーケットアプローチがあげられます。
マーケットアプローチはマルチプル法や市場株価法といった他社と比較して計算する方法で、より客観的な計算がしやすいです。
営業利益と減価償却費を加えると、EBITDAという数値が計算できます。
EBITDAで他の類似企業と比較し、企業価値の高さを分析してみてください。
インカムアプローチ
会社売却価格の計算方法として、インカムアプローチがあげられます。
インカムアプローチは将来のキャッシュフローなどを軸とした計算方法です。
DCF法などで現在のキャッシュフローから将来の企業価値を計算するため、より将来性を重視した計算がしやすいです。
客観的な視点での分析は安心感がありますが、将来性を重視した分析は将来の成長に期待できます。
数値として取引相手の将来の収益性がわかると、明確な根拠を持って会社売却に踏み切ることが可能です。
会社売却価格の計算方法ごとの特徴を以下にまとめました。
- コストアプローチ:客観性も将来性も意識できる計算方法
- マーケットアプロ―チ:客観性を重視する計算方法
- インカムアプローチ:将来性を重視する計算方法
どこを重視するかで利用する方法を選択してください。
会社売却にかかる税金
会社売却の手続きを行う際には税金がかかってしまいます。
脱税することがないように、正しく税金を計算する方法を把握しておいてください。
ここでは会社売却にかかる税金を解説します。
株式譲渡で発生する税金
株式譲渡で発生する税金は個人株主と法人株主で変わってきます。
個人株主の場合は所得税と住民税の支払いが必要です。
株式の売却価格から株式にかかる費用を差し引いた金額に対して、所得税が15.315%、住民税が5%かかります。
法人株主の場合は法人税等の支払いが必要です。
株式の売却価格から株式にかかる費用を差し引いた金額に対して、法人税は30%から40%程度で状況によって変わってきます。
事業譲渡で発生する税金
事業譲渡で発生する税金は法人株主しか請求されません。
事業譲渡では法人税等に加えて消費税がかかります。
事業譲渡では法人税等が30%から40%請求されます。
ここは株式譲渡のときと変わりません。
また、消費税が10%請求されます。
ちなみに、事業の売却額から純資産を超える額に対して法人税、課税資産に対して消費税がかかることを覚えておいてください。
会社売却の注意点
会社売却を行う前に、会社売却の注意点を押さえておきましょう。
会社売却の注意点を理解しておくと、トラブルなく手続きを進めやすくなります。
会社売却の注意点として以下のものがあげられます。
- 会社売却のタイミングを逃さない
- 希望の譲渡額にはならない可能性がある
- 情報漏洩に注意する
以下で詳細を解説します。
会社売却のタイミングを逃さない
会社売却の注意点として、会社売却のタイミングを逃さない点があげられます。
会社売却のタイミングを逃してしまい、本来ならより適した取引相手が見つかったはずのところで機会損失を出してしまうのはもったいないです。
そうならないためにも、会社売却の機会を常に伺っておきましょう。
ちなみに、業界全体の業績が良いときは事業の成長・展開を求める動きが活発化し、買収希望する企業が増えます。
一方で、業績が悪いときは買収側企業の需要が落ち込み、供給過多になって希望条件で売却しづらくなります。
また、交渉が長引く可能性も否定できません。
その場合節税のやりすぎに気を付け、キャッシュアウトを防止するように気を付けましょう。
希望の譲渡額にはならない可能性がある
会社売却の注意点として、希望の譲渡額にはならない可能性がある点があげられます。
自社の魅力を買収側企業にうまく伝えることができないと、どうしても企業価値が下がってしまいます。
そうならないために、いかに相手にとって自社に魅力があるのかアピールするために必要なことが何なのか考えてみてください。
情報漏洩に注意する
会社売却の注意点として、情報漏洩に注意する点があげられます。
デュー・デリジェンスなどで内部情報を扱うことがあります。
その際に情報がどこかで漏れてしまうリスクがある点に注意してください。
情報が漏洩することがないように、取り扱う情報に気を付けましょう。
会社売却の流れを確認して売却を成功させよう
会社売却は会社ごとあるいは事業を売却する手続きのことです。
特にM&Aのような第三者の企業に対して事業を譲る場合、会社売却の流れはより複雑なものになってしまいます。
さらに、会社売却にもいくつか種類があり、それぞれ手続きの内容が異なる点に注意が必要です。
また、思ったように手続きができないと、最適な取引を見逃してしまう可能性があります。
効果的な会社売却を実現するためにも、会社売却をどのような流れで進めていけばよいか詳しく把握しておくことが大事です。
今回紹介した会社売却の流れ・手順をよく確認し、不安な方はM&Aの専門家などを頼りにして会社売却を行ってください。
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