地方のM&Aの動向を徹底調査!後継者不足の理由や成功するための対策は?
昨今、地方の中小企業でもM&Aが盛んに行われるようになっています。
しかし、「後継者を見つけられない」「M&Aの進め方がわからない」といった悩みを抱えている経営者の方が多いのも現状です。
この記事では、地方の企業のM&Aの動向や後継者不足に陥ってしまっている原因・対応策を徹底的に解説していきます。
目次
地方では、中小企業における後継者不足が顕著となっており、M&Aの需要は年を追うごとに増加しています。
中でも2020年代は、経営者の平均年齢が70代に突入するなど、事業承継をするか否かの決断を迫られる経営者の方が急増する時期です。
このチャンスを逃さず、動向を適切に読んだ上で相手方とのシナジー効果を獲得すれば、自社の経営戦略をさらに良い方角へ向けることができるようになりますよ。
地方のM&Aの動向とは?
ここからは、地方における買い手側と売り手側のM&A動向について解説していきます。
買い手側のM&A動向
まずは、買い手側のM&A動向についてです。
地方の企業をM&Aで合併買収する際、以下のような業種で行いやすくなっています。
- サービス業
- 小売・卸売業
- 医療分野
いずれも後継者不足に関する悩みがあり、他企業への売却を検討している企業ばかりです。
一方で、コミュニティなどが限られており、M&Aという選択肢自体視野に入れていない企業が多いのも実情です。このため、地方におけるM&Aの余地は十分に残されていると言えます。
特に薬剤業においては、2018年に行われた診療報酬医療制度の改正により、かかりつけ薬剤師に対するインセンティブが大きく変化し、薬剤業界全体の再編が進められています。
どのような業界においても、企業の風潮や動向を適切に見極めた上で、M&Aの判断を行うようにしましょう。
売り手側のM&A動向
売り手側のM&A動向についてはどうでしょうか。
近年では、後継者の育成が叫ばれていますが、現状として地方の企業における後継者は5割程度にとどまっています。
後継者が不在のままだと、必然的にその会社は廃業してしまうため、M&Aを活用した事業継承が重要となってきます。
しかしながら、依然として多くの企業では、動向を読んだ具体的な対策を見いだせていません。
これは、地方における企業同士のコミュニティが小さいことや、大手によるM&Aに馴染みがないことなどがあげられます。
地方で後継者が不足している理由
ここからは、地方における後継者不足の理由について解説していきます。
後継者が大きく不足している理由には、以下の3つがあります。
- 小さなコミュニティ地域で探しているため
- 地元愛が強く大手企業にM&Aを行いたくないため
- M&A仲介会社などの専門家が少ないため
以下より、上記理由の詳細について解説していきます。
小さなコミュニティ・地域で探すため
後継者不足の理由の一つとして、地方の経営者は小さなコミュニティや地域で後継ぎを探そうとする傾向があることが挙げられます。
地方における企業のコミュニティは、その地元に根ざしたものとなっており、取引先の業者も周辺の会社に限られていることが一般的です。
会社を売却する際も、あえて遠く離れた地域の企業との連結に、時間やコストをかけて対策しなければいけない理由が見当たりません。
このため、周辺地域で完結させようとするのは自然な流れと言えます。
しかしこのような場合、売却先の選択肢は大きく限られてしまい、理想的なM&Aを実現できません。
地元愛が強く大手企業にM&Aを行いたくないため
理由の2つ目として、地方の経営者は地元愛が強いことが挙げられます。
周辺のコミュニティを基本にして運営を続けてきた企業にとって、全く馴染みのない大手の企業とつながること自体、抵抗を感じる経営者は少なくありません。
このような場合、大手企業から完璧なM&Aの提案やオファーを行っても断られてしまいます。
事業継承の余地が残されているにもかかわらず、経営者自身がそれを望んでいないことも、後継者が不足している理由の一つとなっています。
またこのような状況もあり、何の対策もなしにM&A のオファーを出したとしても、成功する確率は必然的に低くなってしまいます。
M&A仲介会社など専門家が少ない
M&A仲介業者などの専門家や専門業者が周辺地域に少ないことも、後継者不足の理由として挙げられます。
特に地方の場合、M&Aに特化した専門業者の数は限られています。加えて、大手のM&Aは承認せず、地元の企業に限定している場合はなおさら、仲介業者の選定が難しくなってしまいます。
地方企業が検討する事業承継の選択肢
後継者不足や事業承継の方針などで揺れる地方企業ですが、事業承継を行う際には、具体的にどのような選択肢が挙げられるのでしょうか。
以下より、3つの選択肢について詳しく解説していきます。
- 親族内承継
- MBO
- M&A
親族内承継
経営者の息子や孫などの親族に向けて承継する方法です。
親族内承継には、以下のようなメリットがあります。
- 信頼関係を維持できる
- 業務に必要なノウハウをそのままの形で継承できる
- 承継にかかる税金は一部免除できる
しかしながら、承継を希望する親族がいなければ、親族内承継を行うことはできません。
また親族内で確執があった場合、企業の運営に悪影響が及ぶ可能性もあります。
MBO
MBOとは、その企業に経営陣として携わっていた人物が以降の事業を承継する方法です。具体的には、経営陣が会社の株式を買い取り所有権を握ることで事業が継承されます。
経営陣が株式を直接得ることで、会社の事業展開を従来よりも迅速に行える可能性があります。
ですが一度経営陣が株式を取得してしまうと、これまでの株主側でコントロールできる範囲が狭まってくるため、社内外で反発を食らうリスクもあります。
このため、それまでの強固な信頼関係に加えて、適切なタイミングで行動を起こすことが大きなポイントとなってきます。
M&A
近年では、事業承継を行う際にM&Aによる事業売却を仲介している事業者や成功事例が増えています。
適切な後継者がいない・このままでは廃業してしまうといった悩みが山積している昨今ですが、これらの事業者の仲介サービスを活用することで、問題を一掃できる可能性があります。
専任のサポーターがついた企業同士のマッチングサービスになるため、親族や社員に後の経営を任せるよりも、事業承継を成功できる可能性が高まります。
地方のM&Aの成功事例・失敗事例
ここからは、地方におけるM&Aの成功事例と失敗事例について取り上げます。
成功事例
ここでは、富山県と福井県の印刷業を営む中小企業のM&A成功事例について解説します。
2020年、富山県の出版印刷業者である「株式会社アヤト」は、福井県にある同じく出版印刷を行う「スキャット株式会社」に事業を売却しました。
双方がM&Aに合意しており、その後の経営統合に関しても好意的で、家族さながらの関係となっています。
株式会社アヤトが事業をM&Aにかけた理由は、承継してくれる親族が周りにいなかったことや、社員の雇用を守るためであると説明しています。
2つの会社は同じ出版印刷にかかわる業者でしたが、ターゲットとしている顧客が同業者層と一般の公共層で異なっていたため、事業展開のノウハウに関する新たな シナジー効果が生まれました。
これらの事例は、周辺環境の動向を読んだ上での、中小企業同士のM&A成功事例として、有名なものの一つとなっています。
失敗事例
M&Aの中には、成功せず、返って失敗してしまう事例もあります。
これには、勤務地が遠方に変わってしまうことや双方の社風が合わないことに気づいた、給与や取引のことで軋轢が生じたなどの理由があります。
双方が納得できる形で収まるのが最善ではありますが、絶対的な環境による条件や規模の違いなどにより、不本意ながらも我慢せざるを得ない状況に陥るケースもあるようです。
このようなトラブルを防ぐためには、周辺環境や世間の動向における「デューデリジェンス(事前調査)」が必須と言えます。
地方でM&Aを成功させるための対策
ここからは、地方の企業においてM&Aを成功させるための対策について解説していきます。
士業・金融機関だけでなくM&A仲介会社の利用も検討する
結論として、M&Aを行う際は士業や金融機関ではなく、仲介業者に一任した方が、費用を抑えられる可能性が高いです。
M&Aを行う際に必要な手続きについては、弁護士や税理士、社労士、行政書士などの力が必要となってきますが、タスクが多い中で、依頼先がこれだけで本当にあっているか判断しがたいこともあります。
また、金融機関からM&Aに伴う融資を行う際には、審査に関する手続きも必要です。
M&Aの仲介業者は、M&Aに特化したいわゆる「経営コンサルタント」であるため、各連携機関と適切な対策を打ち出せるようになります。
シナジー効果を考える
企業を実際に買収した際に、どのようなシナジー効果が生まれるかを事前に想定しておきましょう。
シナジー効果とは、二つの企業同士が合わさったことで生まれる効果のことを指します。
単独では実現不可能だったことが、2つ合わせるとできるようになるため、M&Aにおけるキーポイントの一つとなっています。
関連図などのツールを積極的に用いることで、現時点で予想されるメリットのほか、環境の変化による効果まで一通り把握することができるようになりますよ。
ここでは、対策を実施したことによる一般的な効果についてまとめておきます。
- 事業範囲の拡大
- 売上高の交渉
- コストの削減
- 技術の融合
- 人材の活用
企業の独自性をアピールする
ウチだから良い、他の企業にはない、こうした独自性を積極的にアピールできる環境を、対策として整えておきましょう。
このような対策は、市場でも高い順位を維持できる可能性が高く、戦略的にも非常に有利だからです。
特に今まで馴染みのなかった地方の企業をM&Aする時は、初めてオファーを入れた時のアピールポイントとして有効に使うことができます。
これまで展開している事業の中で、自社の強みとは何なのか、他に出来ない独自性に優れた商品とは何なのか、経営戦略やリスク対策を考える上で振り返ってみると良いでしょう。
経営状態をよくする
地方における企業のM&Aを検討している時は、経営状態を良好に保っておく必要があります。
財務報告書の見直しや、人材配置を徹底することで、買収先の企業へ自社の経営状態の透明性をアピールすることができます。
情報漏洩に気をつける
M&Aの手続きの際に情報が漏えいしないよう、以下のポイントを押さえておきましょう。
- NDA締結を行う
- アクセス制限の管理を行う
- 情報リテラシーに関する教育を徹底する
経営者の依存度を下げる
M&Aを検討される際は、まず経営者(社長)の依存度を下げるようにしましょう。
経営者が進んでリーダーシップを発揮することも重要ですが、「社長がしっかりしているから大丈夫」という考えで、社長に業務の全ての判断を委ねる風潮となってしまうと、全体的な事業戦略の観点では返って不利となってしまいます。
このようなことを防ぐためには、経営に携わる人だけでなく、社員全体が能力を発揮できる職場が望ましいです。
社員一人一人が能動的に動ける環境を作ることで、自然と社内空間は改善され、M&Aを行う際にも、双方の意思疎通や意見交換が行いやすくなりますよ。
譲れない条件を明確にする
M&Aを行う際には、譲れない条件を明確に設定することで、一連の手続きをよりスムーズに進めることができるようになります。
譲れない条件を明確にするには、それらを設定するための土台となる、以下のポイントについて把握しておくようにしましょう。
- M&Aを行う目的
- 自社の長期戦略について
- 企業文化が合っているか
- 知的財産権などの取得について
- 従業員の労働環境について
これらに加えて、相手方の企業からどのような提案がなされるかも、事前にシミュレーションしておきましょう。
地方でのM&Aは早い段階から準備を進めよう
地方にある企業をM&Aする際は、通常よりも早い段階で準備を進めておく必要があります。
これは買収を行った後に経営統合を行う際、従業員の労働環境や地域の特性について理解しきるために多くの時間がかかるためです。
企業の内情について自社では調査しきれない場合、M&Aのコンサルタントを一任できる仲介事業者のご利用がおすすめです。
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