家具・オフィス業界のM&Aの最新動向を徹底チェック!事例や価格相場は?
家具・オフィス業界では、現状課題の解決や異業種からの参入、異業種への進出といったM&A動向が活発です。当記事では、過去に行われた売却・買収事例を交えながら家具・オフィス業界のM&A事情を解説します。メリットや気になる相場も併せてチェックしましょう。
目次
家具・オフィス業界のM&Aの現状・動向
まずは、家具・オフィス業界の基本知識と市場動向・消費動向を押さえた上で、M&Aの現状・動向をチェックしましょう。
ここでは家具・オフィス業界が抱える現状課題と、各企業で行われる傾向にあるM&Aパターンを解説します。
家具・オフィス業界とは?
家具・オフィス業界は、主に家やオフィス内で使用する椅子や机、ベッドやソファといった道具を製造・販売する業界です。
最近ではショールームやホームセンターをはじめとする販売店だけでなく、オンラインショップを活用した販売スタイルも見られます。
市場動向と消費動向
家具・オフィス業界の市場動向としては、高級家具とローコスト家具に二極化されている点が現状です。
また、リモートワークの拡大によりオフィス家具を家庭で使用するといった消費動向も見られるようになりました。
後継者不在問題に悩む企業が増加
コンセプト化された家具の提案販売や、家庭でのオフィス家具の消費拡大で注目される家具・オフィス業界ですが、課題が多く存在します。
特に後継者不在は深刻な現状課題です。そのため多くの企業でM&Aを行い会社や事業を売却し、現状打破をはかる動向が多く見られるようになりました。
異業種からの参入が増加
異業種から家具・オフィス業界に参入する事例・動向も多く見られるのが現状です。
例えば、大手家電量販店が大手家具販売会社を買収する事例が挙げられます。
既に強みを持つ企業が家具・オフィス業界に参入することで、新たな販路拡大が狙えるでしょう。
家具・オフィス業界から異業種への進出も進む
また、家具・オフィス業界から異業種にM&Aで参入する動向も現状として見られます。
例えば、アパレル事業の買収です。これにより「衣食住」の中の「衣」と「住」を網羅できるため、より事業拡大を狙えます。
家具・オフィス業界のM&Aの流れ
では実際にM&Aを行う場合、どのように手続きを進めていけば良いのでしょうか。
ここでは、家具・オフィス業界におけるM&Aの流れを7つのステップに分けて紹介します。
- M&Aの専門家に相談する
- M&Aの相手企業選定・交渉
- トップ面談
- 基本合意書締結
- デュー・デリジェンスの実施
- 最終契約書締結
- クロージング
M&Aの専門家に相談する
M&Aの手続きを行う前に、M&Aの専門家に相談しましょう。
M&Aは労力がかかるだけでなく、税務や法務をはじめとする専門知識が多くの場面で必要です。M&A仲介会社のサポートを受けることをおすすめします。
この際に仲介手数料などの費用も確認しておくと良いでしょう。
M&Aの相手企業選定・交渉
M&Aの手続きの中で最初に位置するのが、相手企業の選定と交渉です。
M&A仲介会社の提案やサポートを受けながら、目的やニーズに合致した相手企業を効率よく見つけましょう。場合によっては時間がかかることもあります。
候補企業を絞り込み、経営者との交渉に入りましょう。
トップ面談
次に実施されるのは、相手企業経営者とのトップ会談です。
企業理念や経営方針、目的等の相互理解を経営者同士ではかります。M&Aの具体的な方向性を決めましょう。ミスマッチを防ぐためにも重要なプロセスです。
状況によっては会談が複数回行われるケースもあります。
基本合意書締結
M&Aの方向性や条件がまとまったら、基本合意書を締結します。
基本合意書には、M&A手法や、実施スケジュール、取引する株式の種類や数量、従業員の処遇、支払い方法といった項目を記載するのが一般的です。
基本合意書は当事者のM&Aへの合意を示すもので、法的拘束力を持ちません。
デュー・デリジェンスの実施
次に実施されるのが、買収側が行うデューデリジェンスです。
デューデリジェンスとは、売却側企業の財務状況や資源、人材、取引先、負債やリスクといったあらゆる項目を調査するプロセスを指します。
デューデリジェンスは一般的に、専門家に依頼して執り行われる手続きです。
最終契約書締結
デューデリジェンスが完了したら、いよいよ最終契約書の締結に進みます。
基本合意書記載の内容とデューデリジェンス結果をもとに、より細かい条件を当事者間で調整しましょう。双方が合意できる内容であることが重要です。
最終契約書は、法的拘束力を持つので注意してください。
クロージング
M&Aの手続きで最後に行われるのが、クロージングです。
契約書に記載された内容に従って、株式・事業の譲渡と対価の支払いが実施されます。ここまで終われば、一連のM&A手続き自体は完了です。
クロージングまで円滑に進めるためには、綿密な計画と準備が欠かせません。
家具・オフィス業界でM&Aの価格相場
M&Aの実施動向が多く見られる家具・オフィス業界では、各企業はどの程度の相場を想定したのでしょうか。経営者にとって相場は特に気になるところです。
ここでは、取引価格相場で知っておきたい知識と算出方法を解説します。
価格相場
結論から述べますが、家具・オフィス業界のM&Aには明確な相場がありません。
会社規模や収益性、期待できるシナジー効果の大きさなどあらゆる項目が取引価格に影響するためです。
価格相場の算出方法
ただ、大まかな相場を求めることはできます。
その場合は以下の式を用いて算出するのが一般的です。時価純資産にかかる企業価値評価は専門知識が必要なので、M&A仲介会社に依頼して算出しましょう。
大まかな価格相場算出式 |
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M&A相場 = 時価純資産 + 営業利益 × 2~5年分 |
また、最終的な取引価格は交渉で決定します。上記の方法で相場を算出しても、実際の価格と大きく異なる場合もあるので注意してください。
家具・オフィス業界でM&Aを実施するメリット
多くの企業でM&Aの動向が活発化している家具・オフィス業界では、売却・買収によってどのような恩恵が得られるのでしょうか。
ここでは家具・オフィス業界のM&Aにおけるメリットを、売却側のメリット・買収側のメリットそれぞれの視点で解説します。
売り手側
家具・オフィス業界のM&Aにおける売却側のメリットは、以下の通りです。
売却側企業のメリット | ・後継者問題を解決できる ・従業員の雇用を維持できる ・大手傘下に入ることで経営が安定化する ・売却益を得られる ・経営者が個人債務から解放される ・スケールメリットが得られる |
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M&Aは後継者不足といった深刻な現状課題を解決できる点が、大きなメリットと言えます。
買い手側
家具・オフィス業界のM&Aにおける買収側のメリットは、以下の通りです。
買収側企業のメリット | ・低リスク・低コストで業界参入できる ・新しい顧客や人材を獲得できる ・シナジー効果を期待できる ・効率よく事業拡大できる ・事業エリアを拡げられる ・事業の多角化を狙える |
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将来的な需要リスクに備えて事業多角化や事業拡大で現状打破を効率的に目指せるのが、買収側の大きなメリットと言えます。
家具・オフィス業界のM&Aの事例
M&A実施動向が多く見られる家具・オフィス業界では、各企業はどのような売却・買収を行ったのでしょうか。
ここでは、家具・オフィス業界におけるM&A事例を8つチェックしましょう。より詳しいIR情報は、各事例下部分に掲載のリンクから確認できます。
- 事例①:ヤマダ電機と大塚家具
- 事例②:オカムラとTelexistence
- 事例③:ウェブシャークとYogibo
- 事例④:ニトリホールディングスと島忠
- 事例⑤:ニトリホールディングスとタイネゴロ
- 事例⑥:フォーバルとえすみ
- 事例⑦:イトーキとダルトン
- 事例⑧:アント・キャピタル・パートナーズとイーナ
ヤマダ電機による大塚家具のM&A
売却企業 | 大塚家具 (家具・インテリア販売事業) |
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買収企業 | ヤマダ電機 (大手家電量販店) |
M&Aの手法 | 資本提携 第三者割当増資 |
M&Aの目的 | ・売り手の改革進展と買い手の利益向上 ・ネット事業による拡販強化 ・法人分野における協業強化 ・グループ全体の競争力向上及 ・経営効率改善 ・顧客満足度の向上 ・企業価値向上 |
実施時期 | 2019年12月 |
譲渡価格 | 約43億円 |
オカムラとTelexistenceの資本提携
売却企業 | Telexistence (遠隔操作・人工知能ロボット開発・関連事業) |
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買収企業 | オカムラ (オフィス・教育・医療・商業施設等における製品提供事業) |
M&Aの手法 | 資本業務提携 |
M&Aの目的 | ・異なる知見と技術を掛け合わせることによる連携 ・包括的かつ迅速なイノベーション創出 ・人とロボットの協働に最適な店舗設計手法確立 ・店舗スタッフの単純作業の大幅削減 ・人にしかできない業務時間の創出 ・店舗の競争力強化 ・スタッフの働きやすさ向上 |
実施時期 | 2021年6月 |
ウェブシャークによるYogiboのM&A
売却企業 | Yogibo (米国ビーズソファブランド事業) |
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買収企業 | ウェブシャーク (Yogiboの日本総代理店事業) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | 世界的なデザインの統一推進 業績悪化リスクへの防衛策 世界規模でのオペレーション業務DX化 ブランドをより強固にする為の製品品質向上 マーケティング戦略の再構築 |
実施時期 | 2021年12月 |
譲渡価格 | 非開示 |
ニトリホールディングスによる島忠のM&A
売却企業 | 島忠 (家具・インテリア雑貨・ホームセンター商品小売事業) |
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買収企業 | ニトリホールディングス (家具・インテリア製造販売大手) |
M&Aの手法 | 公開買付け 経営統合 |
M&Aの目的 | ・共存共栄の精神に基づいた経営統合の実現 ・グループの企業価値最大化 |
実施時期 | 2021年1月 |
譲渡価格 | 約1,650億円 |
ニトリホールディングスによるタイネゴロのM&A
売却企業 | タイネゴロ (タイのカーペット製造会社) |
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買収企業 | ニトリホールディングス (家具・インテリア製造販売大手) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・エコに繋がる商品開発の拡大 ・リサイクル繊維の利用率増加 ・CO2排出量・エネルギー消費量の環境負担低減効果拡大 |
実施時期 | 2018年5月 |
譲渡価格 | 非開示 |
フォーバルによるえすみのM&A
売却企業 | えすみ (オフィス家具販売事業、オフィス機器の販売・保守事業、 オフィスサプライ・消耗品の販売事業等) |
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買収企業 | フォーバル (情報通信コンサルティング事業、経営コンサルティング事業) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・山陰地域の顧客基盤獲得 ・中核事業のアイコンサービス顧客の増加による事業拡大 |
実施時期 | 2020年4月 |
譲渡価格 | 非開示 |
イトーキによるダルトンのM&A
売却企業 | ダルトン (設備機器・機械装置製造・販売事業) |
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買収企業 | イトーキ (オフィス家具・設備機器等製造・販売事業) |
M&Aの手法 | 公開買付け |
M&Aの目的 | ・グループの収益拡大 ・木製家具の内製化 ・リソースの活用による事業基盤の成長 ・設備投資の充実化 |
実施時期 | 2016年8月 |
譲渡価格 | 約15億円 |
アント・キャピタル・パートナーズによるイーナのM&A
売却企業 | イーナ (通販サイト「家具 350」の運営・家具企画・販売事業、 webマーケティングサービス事業) |
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買収企業 | アント・キャピタル・パートナーズ 対象会社①:アント・ブリッジ5号A投資事業有限責任組合 (国内企業への投資による課題解決や成長支援事業) 対象会社②:イーナ創業社長と共同設立した買収目的会社 |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | ・EC市場におけるイーナの事業成長性への期待 ・事業の成長・発展のサポート |
実施時期 | 2021年11月 |
譲渡価格 | 非開示 |
家具・オフィス業界でM&Aを成功させるには専門家に相談しよう
家具・オフィス業界の現状とメリット、事例を中心にM&A事情を解説しました。
M&Aは多くの労力やリスクをかけて行われるものです。少しでも成功確率を上げるためにもM&A仲介会社に相談・依頼し、サポートを受けながら進めましょう。
M&A・事業承継のご相談ならM&Aエグゼクティブパートナーズ
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