引越業者のM&Aを徹底解説!業界動向や事例・価格相場・メリットは?
近年は多様な引越業者が事業を展開し、企業間の競争の激化に伴いM&Aを行って事業規模を拡大する事例が増加しているのが現状です。本記事では引越業者のM&Aを徹底解説し、業界動向や事例、価格相場やメリットを解説します。
目次
引越業者の現状とM&Aの動向
現在はさまざまな引越業者が事業を展開しており、中には積極的にM&Aを行って事業シェア拡大を計る動向の業者も増えています。
では引越業者の現状や、M&Aの動向はどのように推移しているのでしょうか。
ここからは引越業者の現状とM&Aの動向を詳しく解説します。
引越業者とは
引越しに必要なすべての作業を行い、ユーザーから報酬を受け取る業者が引越業者です。
引越業者は引越しにかかる料金の見積もりから日程調整、荷物の搬出・搬入など多岐に渡る業務を行います。
引越業者には一部上場企業の大企業から個人事業で行う中小企業など事業規模の範囲の広さも特徴的です。
また引越業者の中には専門的に引越しを手掛ける業者や、運送業の傍ら引っ越し事業を行う動向の業者など多様な事業形態が見受けられます。
引越業者の現状
近年の引越業者間による競争の激化により、引越業者を取り巻く動向も変化を続けているのが現状です。
下記に引越業者の現状を表記しておきます。
・1970年中期以降業者数は減少傾向
引越事業は基本的に運送業の区分に該当するので、前述のように引越しを行う業者や運送業の傍らで引っ越しを行うケースもあり、正確に引越業者の数を把握するのは困難です。
しかし上記の双方のパターンの引越業者の数は1970年代の登場以降、市場規模の拡大に伴って業者数も増えていました。
一方で近年は顧客獲得のための引越料金の低下や、宅配需要の増加に伴って引越事業を兼業していた運送会社が市場から撤退する事例が増加しました。
その結果として近年は引越業者の数は減少し続けているのが現状です。
・景気後退に伴って市場規模も縮小
以前世界的な被害をもたらしたリーマンショックや新型コロナウィルスの影響による景気後退によって、引越業者の市場規模も縮小傾向にあります。
特に以前に比べてオフィスやマンションの着工件数が減少傾向にあり、その動向に伴って引越業者の市場規模も停滞しているのが現状です。
そして結果的に経営困難に陥っている事例の中小の引越業者も少なくありません。
引越業者のM&Aの動向
実際に事業を展開している引越事業者のほとんどが中小企業で、現在は事業継続のために大手企業からの買収を受ける動向が増えています。
大手引越業者の事例の中には同業他社の買収を定期的に行って事業見直しを行うなど、積極的なM&Aを展開している企業が増加しているのが現状です。
また引越業者においても慢性的な若手不足が問題として挙げられ、若手のみならず全体的な人材不足を補うためにM&Aを行って事業を売却する動向の企業も増えています。
引越業者のM&Aを行うメリット
引越業者間でM&Aを行えば労働力の確保や事業シェアの拡大にも繋がりますが、他にどのような具体的なメリットがあるのでしょうか。
ここからは引越業者のM&Aを行うメリットを売却側・買い手側双方の立場から解説します。
売却側企業のメリット
下記に引越業者のM&Aを行う際の売却側のメリットを表記しておきます。
・従業員の雇用確保
引越業者でM&Aを行えば、従業員の雇用を確保できる点もメリットの1つです。
業績が悪化して企業が廃業・倒産すれば従業員はそのまま解雇されてしまいます。
一方で業績が好調な時点でM&Aを行って事業を売却すれば、既存の従業員はそのまま買収側の企業に雇用されるので職を失う心配もありません。
・倒産や廃業を回避できる
倒産や廃業を回避できるのも、引越業者でM&Aを行うメリットです。
業績が悪化し、倒産や廃業に追い込まれれば最終的に経営者は多額の負債のみを抱えてしまいます。
一方で事前にM&Aを行い他社に事業を売却すれば、倒産や廃業を回避できるうえに負債を抱える心配もありません。
・後継者問題を解消して事業継続できる
引越業者でM&Aを行えば、後継者問題を解消してスムーズに事業を継続できる点もメリットです。
近年急速化している少子高齢化により、引越業者の中には有力な後継者を擁立できずに頭を抱えている企業も多く見受けられます。
そこでM&Aで事業を売却すれば、後継者問題に関係なく他社に効率的に事業を引き継ぐことも可能です。
買収側企業のメリット
下記に引越業者のM&Aを行う際の買収側のメリットを表記しておきます。
・優秀な人材を確保できる
優秀な人材を確保できるのも、引越業者のM&Aにおける買収側が得られるメリットの1つです。
事業拡大のために新規事業を立ち上げれば、新たな人材の確保や教育に多くの時間や手間がかかってしまいます。
一方で新規事業ではなくM&Aを行い既存の事業をそのまま引き継げば、事業と一緒に業務になれた優秀な人材をそのまま引き継ぐことも可能です。
・既存顧客や運営ノウハウを継承できる
引越業者でM&Aを行えば、買収側は売却側の既存顧客や運営ノウハウをそのまま継承できる点もメリットです。
規事業を立ち上げる際には、顧客がいない状態からのスタートになるので新規顧客獲得のための営業活動が欠かせません。
また運営に関するノウハウなども白紙の状態で、新しいノウハウを少しずつ作り上げていく必要があります。
一方M&Aによりノウハウが完成され、顧客も定着している企業を買収すれば営業活動やノウハウ作成にかかる手間の削減が可能です。
引越業者のM&A成功事例
近年は事業シェアの拡大や、後継者不足問題を解消して事業を継続するために積極的にM&Aを行って事業を売却する引越業者が増えています。
では実際に行われた引越業者のM&A成功事例を紹介しましょう。
鴻池運輸と中電産業のM&A
2019年には総合物流サービスやエンジニアリング、医療関連サービスなどを手掛ける鴻池運輸が、北陸地方を中心に総合建設業や機械整備、上下水道業務などを手掛ける中電産業の全株式を取得して子会社化しました。
このM&Aは、鴻池運輸が北陸エリアにおける事業シェア獲得のために行った事例です。
トナミホールディングスとケーワイケーの子会社化のM&A
2018年6月には富山県高岡市に拠点を置き、主に運送業を営むトナミホールディングスが、同業者で運送事業や営業倉庫事業などを展開するケーワイケーの株式を取得して子会社化しました。
このM&Aは、トナミホールディングスが事業シェアの拡大や、さらなるシナジー効果を生み出すために行った事例です。
日本通運とTranscof S.r.l.のM&A
2018年3月には総合物流企業である日本通運が、イタリアのファッション関連の物流会社であるTranscof S.r.l.を買収しました。
このM&Aは、日本通運が2013年に買収したイタリアのファッションブランドとTranscof S.r.l.の連携により、事業シェア拡大を計った事例です。
サカイ引越センターとSDホールディングスのM&A
2016年4月には引越関連事業を専門的に手掛けるサカイ引越センターが、ダスキンの加盟店として主に清掃業を手掛けるSDホールディングスの全株式を取得して子会社化しました。このM&Aは、サカイ引越センターが引越し時の清掃業務も手掛けるなど、事業範囲拡大のために行った事例です。
引越業者のM&Aの価格相場
引越業者のM&Aを成功させるためにも、自社の価格相場を適格に把握したうえで売却金額相場を設定しなければいけません。
そこでここからは、引越業者のM&Aの売却価格相場や相場の計算方法を解説します。
企業価値評価の計算方法
引越業者のM&Aにおける価格相場を算出するためには、企業の価値相場を算出する企業価値評価を行わなければいけません。
では企業価値評価を算出するための3つの方法を下記に表記しておきます。
・インカムアプローチ
M&Aが完了した後に見込まれる収益性やキャッシュフロー、買収により発生しかねないリスクによる出費などを加味して企業価値評価を行う方法をインカムアプローチといいます。
この方法は主にDCF法と収益還元法の2種類に分類され、状況次第での使い分けが可能です。
・マーケットアプローチ
M&Aの対象企業と同業種の一部上場企業の評価数値を基準に企業価値評価を行う方法がマーケットアプローチです。
この方法は既に明確になっている上場企業の数値をもとに評価を行うので、手間をかけずに簡単に評価を算出しやすい点がメリットといえます。
・コストアプローチ
M&Aの対象企業が保有する純資産を基準に企業価値評価をする方法をコストアプローチといいます。
この方法は企業の帳簿や明細など、企業の収益や資産に関する明確なデータをもとに企業価値評価を行う方法です。
コストアプローチは現存する明確な指標をもとに評価を行うので、現状を反映した正確な価格相場を算出できる点がメリットといえます。
最終的な価値は交渉により決まる
企業価値評価を行えば大まかな価格相場を算出できますが、M&Aの価格相場は最終的には交渉によって決まります。
売り手企業はできるだけ高額で売却するためにも、自社の強みを明確にしたうえで積極的にアピールしましょう。
そのような交渉を行うことにより、買い手企業は買収後の明確なシナジー効果や高い収益性を見越して高額で買収する可能性も高くなります。
また買い手企業側は買収完了後の簿外債務などを予防するためにデュ―デリジェンスを徹底し、そのうえで明確な買収金額を提示するのも重要なポイントです。
引越業者のM&Aを行う上での注意点
引越業者間でのM&Aを成功させるためには、いくつかの点に注意して取引を進めなければいけません。
そこでここからは、引越業者のM&Aを行ううえでの注意点を解説します。
時間に余裕を持って準備を進める
引越業者でのM&Aを成功させるためにも、時間に余裕を持って準備を進めましょう。
引越業者のM&Aでは、他業種のM&Aと同様に多岐に渡る関連書類の作成や手続きが欠かせません。
当然ながら全ての手続きや書類作成には多くの時間がかかってしまいます。
その結果として最悪の場合には、時間が経過しすぎて交渉が決裂するケースなども多く見受けられます。
このような事態を予防し、取引をスムーズ且つ正確に進めるためにも時間に余裕を持って準備を進めるのも重要なポイントです。
譲れない条件を明確にする
譲れない条件を明確にするのも、引越業者でM&Aを行う際の注意点の1つです。
特にM&A後の従業員の賃金や福利厚生面などの雇用条件を明確にして交渉しなければ、M&A後の従業員の待遇が悪化することも考えられます。
また売り手企業の経営者に対するM&A後の待遇や条件なども事前に確認しながら取引を進めましょう。
相手企業を慎重に選ぶ
引越業者のM&Aを成功させるためにも、相手企業は慎重に選びましょう。
M&Aの候補となる企業は無数に存在し、その中から自社の希望条件に適した企業を選択しなければ取引完了後のシナジー効果を得ることはできません。
このような観点からも事前に自社の取引条件を設定・把握したうえでの企業選定が重要です。
従業員の流出に注意する
引越業者でM&Aを行う際には、従業員の流出にも注意しなければいけません。M&Aでは2つの企業の吸収・合併に伴い、所属する従業員同士も新しい環境や人間関係での勤務を余儀なくされます。
新しい環境での勤務で人間関係も変化すれば当然ながらストレスを抱え、中には退職する従業員もでてくるかもしれません。
このような事態を予防し、従業員の流出を避けるためにも従業員に対して事前にM&Aの詳細を共有するとともに、M&A後のケアも徹底しましょう。
M&Aの経験と知識が豊富な専門家に相談する
M&Aの経験と知識が豊富な専門家に相談するのも、引越業者でM&Aを成功させるための注意点の1つです。
M&Aにはさまざまな手続きや関連書類の作成が必要なうえに、こまめな交渉なども行わなければいけません。
そしてこのような作業には法務や財務、税務に関する専門的な知識が必要で、自社のみで行えば大変な時間と労力がかかってしまいます。
そこでM&Aの経験と知識が豊富な専門家に相談すれば、法務や財務、税務に関する知識を活用してスムーズ且つ正確に手続きを進めてくれるでしょう。
引越業者のM&Aは時間に余裕をもって進めよう
引越業者のM&Aに成功すれば、事業拡大や収益性の向上などさまざまなメリットを得ることができます。
一方で取引には複雑な交渉や手続き、関連書類作成など大変な作業も欠かせません。
そして手続きに時間がかかりすぎてしまい、最悪の場合には契約が破棄されるケースも多く見受けられます。
このような事態を防いで効果的なM&Aを行うためにも、時間にゆとりを持って取引を進めて下さい。
またM&Aでも効率的な引越業者の事業引継ぎを行うことができますが、さらにスムーズな引継ぎを行うのであれば事業承継がおすすめです。
事業承継を活用すれば、自社親族内の後継者を擁立できれば簡単に手続きが完了します。
さらに親族や従業員内に後継者がいなくても、第三者企業から最適な後継者の擁立ができるのも事業承継のメリットです。
特に近年は事業承継に特化している仲介会社も多いので、一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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