惣菜業界のM&Aの動向や事例は?費用の相場や成功ポイントも解説!
食品業界の中で注目されている惣菜業界では、M&Aを行う企業が増えています。この記事では、テイクアウト・お弁当を手掛ける惣菜業界のM&Aの動向を、過去に実施された事例を交えながら解説します。売却・買収にかかる費用相場や成功へのポイントもチェックしましょう。
目次
惣菜業界の現状とM&Aの動向
惣菜業界は、食品業界全体の中でも特に注目を浴びている業界です。
お弁当のテイクアウトやデリバリーサービスが充実したこともあり、私たちにとっても特に身近な業界ではないでしょうか。
そんな惣菜業界では、M&Aを実施する企業が多く見られるようになりました。
ここでは惣菜業界におけるM&Aの動向を、現状を踏まえながら確認しましょう。
惣菜業界とは
最初に惣菜業界とはどのような業種なのか、知識を整理しましょう。
惣菜業界は、主にお弁当や既に調理された惣菜を製造・販売する業界です。
レストランや店舗での食事を外食、食材を買って家で調理した食事を内食と呼びます。
外食と内食の中間に位置付けられているのが、惣菜業界です。
そのため惣菜業界は「中食業界」とも言われています。
例えば、持ち帰り専門店やテイクアウト店、宅配ピザ屋も惣菜業界(中食業界)です。
私たちの生活に、よく結びつきのある業界と言えるでしょう。
外食 | レストランや店舗での食事 |
---|---|
中食(惣菜業界) | 調理されたお弁当や総菜を購入した食事 |
内食 | 食材を購入して家で調理する食事 |
惣菜業界の需要は増大傾向にある
惣菜業界は、食品業界の中でも特に需要が増えています。
コロナ禍や高齢者の増加、物価高騰で外食費用を抑える動向が大きな要因です。
私たちの生活スタイル・消費動向が多様化したことも惣菜業界に影響を与え、今後も需要は増えると見込まれています。
そのため惣菜事業に注目する企業は多く、異業種からも新規参入する事例・動向が見られるようになりました。
惣菜業界のM&Aの動向
前述の通り、惣菜業界は多くの企業が注目する業界です。
そのためM&Aで売却・買収を実施する動向が多く見られます。
競争が激化した業界を生き残るためには、M&Aによる企業間の協力が有効です。
需要が増える惣菜業界で新たな価値を創出できれば、より事業拡大・成長を狙えるでしょう。
また、中小企業は人材不足や経営者の高齢化による後継者問題にも悩まされています。
このような問題を解決すべくM&Aを実施する動向が見られるのも特徴です。
惣菜業界でのM&Aの事例
では、惣菜業界で過去に行われたM&Aの事例を確認しましょう。
多くの企業でM&A実施動向が見られる惣菜業界は、どのような目的で売却・買収が繰り広げられているのでしょうか。
主な事例を6つ紹介します。
明治による明治ライスデリカの株式譲渡
売却企業 | 明治 (対象子会社:明治ライスデリカ ) |
---|---|
買収企業 | 藤本食品 |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | 事業拡大 |
実施時期 | 2020年3月 |
譲渡価格 | 非公表(守秘義務契約のため) |
明治ライスデリカが保有する炊飯・米飯商品の加工技術と、藤本食品が持つ多様な惣菜製造技術を掛け合わせることで、事業拡大を狙いました。
買い手側に無い技術やノウハウを売り手側企業からM&Aによって獲得した事例です。
このM&Aで藤本食品は、明治ライスデリカの名称を「藤本ライスデリカ」に改めました。
オイシックスドット大地によるらでぃっしゅぼーやの子会社化・吸収合併
吸収合併先企業 | オイシックスドット大地 |
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吸収合併対象企業 | らでぃっしゅぼーや |
M&Aの手法 | 吸収合併 |
M&Aの目的 | 経営資源の効率化 シナジー効果創出 |
実施時期 | 2018年10月 |
食材宅配サービスで知られる2社によるM&A事例です。
それぞれが抱える顧客や生産農家基盤、配送ネットワークを統合することでシナジー効果が生まれると見込みました。
このM&Aで、会社名が「オイシックス・ラ・大地」に変更されましたが、業績自体には大きな影響は無いとされています。
まん福ホールディングスによるちがさき濱田屋の事業承継
売却企業 | ちがさき濱田屋 (老舗お弁当仕出し屋) |
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買収企業 | まん福ホールディングス (食に特化した事業承継プラットフォーム企業) |
M&Aの手法 | 事業承継 |
M&Aの目的 | 後継者問題の解決 |
実施時期 | 2021年4月 |
食品事業に特化した事業承継を専門に行う企業が、老舗の弁当屋の事業を承継した事例です。
ちがさき濱田屋は、創業60年の老舗として知られていましたが、後継者が見つからず、廃業の危機に瀕していました。
この事業承継により、長年親しまれた商品やノウハウを残すことができました。
デリバリーや通販などあらゆる販売方法を開拓することで、将来的な事業成長も見込まれています。
ユニー・ファミリーマートHDによるカネ美食品の子会社化
売却企業 | カネ美食品 (惣菜・弁当の製造販売大手) |
---|---|
買収企業 | ユニー・ファミリーマートHD(ファミリーマート) |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | 惣菜事業の強化 |
実施時期 | 2017年6月 |
譲渡価格 | 約87億円 |
コンビニエンスストアのお弁当・惣菜商品の製造事業を強化する目的で行われたM&A事例です。
2019年は、カネ美食品の株式の一部をドン・キホーテの運営で知られるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスに売却されています。
レパストによるマシモの事業譲受
売却企業 | マシモ (寿司・弁当の販売) |
---|---|
買収企業 | レパスト (社員食堂・病院・学校給食受託事業) |
M&Aの手法 | |
M&Aの目的 | 既存事業の付加価値向上 中食分野への参入 |
実施時期 | 2020年11月 |
譲渡価格 | 非公開 |
売り手が持つ鮮魚食品の調理ノウハウを買い手が取得し、既存事業に活用することで付加価値向上を見込んだM&A事例です。
このように同業種でも違う得意分野を持つ企業がM&Aを行えば、相乗効果を期待できます。
日清製粉グループによるトオカツフーズの連結子会社化
売却企業 | トオカツフーズ (総合中食サプライヤー) |
---|---|
買収企業 | 日清製粉グループ |
M&Aの手法 | 株式譲渡 |
M&Aの目的 | グループの中食・惣菜・冷凍食品事業の拡大 |
実施時期 | 2020年3月 |
譲渡価格 | 非公表 |
日清製粉グループは、2012年12月にトオカツフーズと資本提携を行い、両社は協力体制にありました。
今回M&Aで子会社化することで、グループ内のさらなる事業拡大を見込めると判断しました。
惣菜業界でのM&Aのメリットとデメリット
円満かつ有益なM&Aを実現させるためには、メリットとデメリットの両方を正しく把握することが重要です。
ここでは、惣菜業界におけるM&Aのメリットとデメリットを紹介します。
売却側企業、買収側企業それぞれの視点からチェックしましょう。
売却側企業のメリット
惣菜業界におけるM&Aで、売却側企業が得られるメリットは次の通りです。
- 後継者問題を解決できる
- 従業員の雇用を維持できる
- 収益性の高い事業に集中できる
- 売却益が得られる
- 経営者が個人債務から解放される
- 経営が安定化する
- 大手ブランドや知名度を獲得できる
中小企業で頻発する後継者問題は、多くの場合M&Aで解決できます。
廃業を選ぶと費用が発生するだけでなく従業員の雇用も失われてしまうので、デメリットが多いでしょう。
経営者が育て上げてきた技術やノウハウが今後も活かされるかもしれません。
売却側企業のデメリット
次に、売却側企業のデメリットも確認しましょう。
- 従業員が離職するおそれがある
- 取引先が反対する可能性がある
- 必ずしも全ての条件を満たせるとは限らない
- 理想的なマッチング先企業が見つからない場合もある
デメリットには、事前の対処で未然に防げるものが多くあります。
例えば従業員の離職リスクが挙げられます。
従業員がM&Aに困惑してしまい、中には離職を検討するケースもあるかるかもしれません。
これを防ぐためには、経営者側から従業員に対して丁寧な説明を行う必要があるでしょう。
また、後継者不足や経営難が起こってからでは、買い手企業が見つからない場合もあります。
できるだけ経営が安定している段階からM&Aの準備を行うと良いでしょう。
買収側企業のメリット
惣菜業界におけるM&Aで買収側企業が得られるメリットは次の通りです。
- 新規事業に低コスト・低リスクで参入できる
- 新しい顧客や取引先を獲得できる
- 効率よく事業拡大できる
- 未開拓の事業エリアに進出できる
- 売り手のノウハウや資源を活用できる
- 事業多角化を狙える
惣菜業界に新規参入の際は、設備や物流ネットワークの構築等に投資しなければなりません。
時間もコストもかかる点を考えると、既にある資源を有効活用できるM&Aは大きなメリットです。
先ほどの事例で紹介したように、弱い分野をM&Aで補うこともできます。
買収側企業のデメリット
次に、買収側企業のデメリットです。
- 期待通りのシナジー効果が得られない場合もある
- 簿外債務を引き継ぐおそれがある
- 理想の売却企業が見つからない場合がある
株式譲渡では、簿外債務(貸借対照表に記載されていない債務)を引き継ぐ可能性があります。
取引後に発覚した場合、これは買い手企業の損失となるので注意が必要です。
専門家に依頼し、事前に入念な調査を行うと良いでしょう。
惣菜業界でのM&Aの費用の相場
多くの企業がM&Aを想定する際、気になるのが売却(買収)価格相場です。
惣菜業界でM&Aを実施する場合、一般的な相場は存在するのでしょうか。
実は取引価格相場の算出に関して、事前に知っておきたいポイントがあります。
上記を踏まえながら確認します。
対象企業・事業の規模により異なる
惣菜業界におけるM&Aには、明確な相場が存在しません。
M&Aの対象企業の事業規模や資産、価値等あらゆる項目で相場が異なるからです。
ただ、時価純資産と実質営業利益を足すことで大まかな費用相場を算出することはできます。
時価純資産算出は、難易度が高く煩雑なので専門家への依頼がおすすめです。
売却価格に影響する要因
M&Aの売却・譲渡価格に影響する要因は他にもあります。
例えば、企業の財務状況や期待されるシナジー効果の大きさなどです。
細かい項目も算定材料に入り得るので、業界共通の相場は把握し難い数値でしょう。
また、最終的な売却価格は当事者間の交渉で決まります。
実際の価格は、算出した相場から大きくかけ離れた結果になるかもしれません。
算出した相場は1つの目安程度に捉えると良いでしょう。
惣菜業界でのM&Aを成功させるポイント
ここでは、惣菜業界でM&Aを成功させるために、知っておきたいポイントを解説します。
M&Aをより有益なものにするために、以下3つの項目を意識しながら手続きを進めましょう。
- M&A仲介会社に相談
- 目的を明確にしておく
- 対象企業選びは慎重に検討する
M&A仲介会社に相談
1つ目のポイントは、M&A仲介会社への相談です。
M&Aは惣菜業界に限らず、あらゆる専門知識が求められます。
個人で進めるよりも、税務や法務に詳しいプロフェッショナルに相談・依頼をした方が効率的です。
できるだけ早い段階から相談し、M&Aの準備に取り掛かりましょう。
目的を明確にしておく
2つ目のポイントは、目的を明確に設定することです。
先ほどの事例で記載の通り、各企業は必ず目的をもってM&Aを行っています。
事業拡大、シナジー効果、後継者不足の解消など、M&Aの先に何を見込めるのか明確にしてください。
これにより、マッチング先企業が変わります。
対象企業選びは慎重に検討する
3つ目のポイントは、対象企業選びを慎重に行うことです。
M&Aは、会社にとって一大イベントでもあります。
労力や費用をかけて行うものなので、成功させなければあまり意味がありません。
成功させるためには、売り手・買い手双方のニーズを満たせる企業選びを行いましょう。
M&A仲介会社にも相談し、アドバイスを受けることを強くおすすめします。
惣菜業界でのM&Aを綿密な計画により成功させよう
食品業界の中で注目されている惣菜業界は、多くの企業でM&Aが行われる動向にあります。
M&Aで重要なのは、決して取引や契約だけではありません。譲渡・買収が行われた後に双方が成功と呼べるかどうかです。
M&Aを成功に近づけるために、仲介会社にも相談しながら綿密な計画を立て、万全な状態で取引を進めましょう。
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