製薬会社のM&Aの動向を徹底解説!活用事例や相場・成功のポイントは?
近年は海外で大手製薬会社が買収されるなど、活発な事例のM&Aが行われています。そこで本記事では製薬会社のM&Aの動向を徹底解説し、活用事例や相場・成功のポイントを紹介しましょう。
目次
製薬会社の現状とM&Aの動向
製薬・医薬品業界では今までの事例として、M&Aによる事業買収や売却が頻繁に行われてきました。
特に近年の動向として、大型のM&Aによる製薬会社の買収や売却件数が増加しています。
今後製薬会社のM&Aの動向は増加する見込みで、その経済的効果も見逃すことはできません。
そこでここからは、製薬会社の現状とM&Aの動向を検証しましょう。
ジェネリック医薬品の市場が拡大している
一般的な医薬品は新薬とジェネリック医薬品に分類され、今までの動向は新薬の割合が市場シェアのほとんどを占めてきました。
一方で新薬の研究や開発には費用相場が高すぎる観点から、大手製薬会社でなければ新薬の研究・開発が困難でした。
そこで登場したのがジェネリック医薬品です。
ジェネリック医薬品は新薬と同じ成分を含んだ医薬品を、特許期間が過ぎたという理由から、安価の相場で提供している医薬品のことを指します。
特に近年の動向として多くの医療機関で経費削減のためにジェネリック医薬品の導入を推進する機関が増え、市場でのシェアの動向は拡大する一方です。
新薬開発の難易度が上がっている
近年では新薬開発の難易度が年々高まっており、難易度が高まるにつれて開発コストや医薬品の価格相場も上がっているのが現状です。
その結果として多くの製薬会社で新薬の開発が進まず、ジェネリック医薬品に頼ることで全体的な売り上げ相場が下がっています。
そしてこのような状況を少しでも改善するためにM&Aが繰り返されているのが現状です。
技術の進歩でM&Aの活性化も見込まれる
現在製薬会社や医薬品業界では新薬開発のためにAIやloTの活用を推進しており、このような技術の進歩によりM&Aの活性化も見込まれています。
そして製薬業界は競合がひしめく業界なので、大手製薬会社が今後積極的にM&Aに取り組みシェアの拡大に努めるのは必至です。
一方で前述のように新薬の研究・開発には莫大な費用がかかってしまうので、AIやloTなどの技術の進歩による新薬開発が重要視されるでしょう。
製薬会社でのM&Aの事例
今後も製薬業界では多くの製薬会社が新薬開発や販売シェア確保のために積極的にM&Aを行うことが予測されますが、実際にどのようにM&Aが行われるのでしょうか。
そこでここからは、実際に過去にあった製薬会社でのM&A事例を紹介します。
武田薬品工業によるシャイアーの子会社化
アイルランドの製薬会社であるシャイアーは、2018年5月に武田薬品工業に完全子会社化されました。
このM&Aに事例では過去最大価格の約7兆円もの資金が流動し、世界中で大きな話題を呼びました。
このM&A事例を称賛する声が挙がる一方で、膨大な資金が流動する取引だけに市場が資金調達に不安を覚え、武田薬品工業の株価が暴落したのはまだ記憶に新しいです。
このM&Aは製薬会社の歴史の中でも有数の事例で、世界的な注目を集めました。
塩野義製薬によるTetra Therapeuticsの子会社化
2020年5月にアメリカのTetra Therapeuticsが、塩野義製薬に子会社化されました。
Tetra Therapeuticsは従来までは塩野義製薬に対して出資契約を結ぶなど競業関係にあった製薬会社で、バイオテクノロジー分野の研究に従事していた企業です。
塩野義製薬はこのM&Aで今まで培ってきた中枢神経の創薬ノウハウを活用しながら、販売シェアを拡大することに成功しました。
ファーマーフーズによる明治製薬の買収
2021年8月には医薬品の製造・販売を手掛けていた、明治薬品の発行済み株式の3分の2以上をファーマーフーズが取得し、明治製薬が子会社化されました。
明治製薬は創業から73年の歴史を持つ老舗企業で、富山県内には3つの工場を保有していました。
このM&Aの前にもファーマーフーズは2016年11月にポーラ・オルビスHDの販売会社を買収し、自社成長のために積極的にM&Aを行っています。
ファーマーフーズは明治製薬を買収し、明治製薬の経営資源と自社が誇る商品研究・開発力や通信販売プラットフォームを融合させて収益拡大を図りました。
田辺三菱製薬によるバイオベンチャー・ニューロダームの買収
2017年10月にはイスラエルの製薬会社であるバイオベンチャー・ニューロダームが、田辺三菱製薬に1,241億円で買収されました。
ニューロダームは医薬品とデバイスを組み合わせる開発技術や、パーキンソン病などに対応できる中枢神経系治療薬の研究・開発の高い技術を持った製薬会社です。
また田辺三菱製薬は20年米国事業売上高800億円の達成を中期経営計画として掲げており、このM&A事例により計画達成の礎を築くことに成功しました。
小林製薬による梅丹本舗の子会社化
2019年5月に医薬品や医薬部外品の製造・販売を手掛ける製薬会社の小林製薬が、梅丹本舗を完全子会社化しました。
梅丹本舗は梅肉を利用した健康食品を製造・販売を行う企業です。
このM&A事例では小林製薬がヘルスケア部門を強化するために、90年以上の歴史を持つ梅丹本舗の買収に取り組みました。
結果的に小林製薬が誇る商品研究・開発能力と、梅丹本舗の高いブランド力が合併することで飛躍的な成長を遂げました。
沢井製薬によるアップシャー・スミス・ラボラトリーズの買収
2017年6月にアメリカ・ミネソタ州の後発医薬品メーカーである、アップシャー・スミス・ラボラトリーズが日本の製薬会社である沢井製薬に総額約1,175万円で買収されました。
このM&Aにより沢井製薬は世界最大の医薬品マーケットであるアメリカへの進出を図ると同時に、製品ラインナップを充実させることに成功しました。
ロート製薬によるカフェ・カンパニーとの資本業務提携
2021年8月にロート製薬がカフェ・カンパニーの株式を取得して持分法適用会社となり、両社は資本業務提携を締結しました。
カフェ・カンパニーは国内外に100店舗以上のサービスエリアや飲食店、ホテルなどを所有している企業です。
このM&A事例により両社はさらなる成長を図ると同時に、ユーザーの健康に対する高いニーズに応える考えを明らかにしています。
製薬会社でのM&Aのメリット
製薬会社でのM&Aには、売却企業側・買収企業側の双方にメリットが生じます。
ではM&Aで双方が得ることができるメリットを紹介しましょう。
売却側企業のメリット
医薬品会社でM&Aを行えば、売却側企業は大手企業の資本力によって積極的な研究開発ができます。
どれだけ高い技術を持っていても中小企業では資本力に限界があり、研究が滞ってしまうケースも多く見受けられます。
そこでM&Aを行い大手製薬会社の傘下に入ることで、積極的な研究・開発が可能になる点もメリットの1つです。
また後継者が不在の場合にも、廃業せずに事業を継続して従業員の雇用を確保できるのも売却側のメリットです。
一般的に後継者不在で廃業してしまえば、従業員は新たな再就職先を探さなければいけません。
一方で後継者不在でも事前にM&Aを行って事業承継を済ませておけば、従業員はそのままの雇用を確保できます。
また売却側企業のメリットとして、M&Aを完了させれば代表者は借入金の個人補償や担保を解消できる点も挙げられます。
自分が事業の経営者であれば、当然ながら会社の借入金の支払い義務や資金調達のための担保を抵当に入れなければいけません。
そこでM&Aを行えば買収企業側がすべての債権を引き継ぐことになり、借入金の個人保証や担保を解消できます。
買収側企業のメリット
製薬会社のM&Aにおける買収側企業のメリットとして最初に挙げられるのが、売却側企業の研究員をそのまま雇用できる点が挙げられます。
新規事業を買収しても、その事業を活用できる従業員がいなければ意味がありません。
一方製薬会社のM&Aでは事業買収すると同時に、研究員もそのまま引き継いで研究を継続させることも可能です。
そして研究員・従業員をそのまま雇用することで、売却側企業の技術力や研究開発におけるノウハウをそのまま引き継ぐことができるのもメリットといえます。
またM&Aを行えば、売却側企業の資産や設備をそのまま引き継いで設備投資にかかる費用や時間を削減できるのもメリットです。
また新規事業を行う場合には、多くの時間とコストがかかります。
一方のM&Aでは既存の事業を継続し、新たな設備投資や資産購入も不要なので時間やコストを削減できるのもメリットです。
製薬会社でのM&Aの費用の相場
製薬会社でM&Aを行う際には、どのような項目でどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
業種によってM&Aにかかる費用相場も異なりますが、一般的に製薬会社のM&Aにかかる費用相場の動向は他の業種よりも高めです。
製薬会社には開発に必要な特殊な設備や人員、許認可に関する手続きも発生するため、その分他の業種よりも費用がかかるのでしょう。
では製薬会社のM&Aにかかる費用の項目・相場を紹介します。
M&A仲介業者や相談先に支払う費用
製薬会社のM&Aでは特許取得に関する手続きも多いので、円滑に手続きを進めるためにはM&A仲介業者や特定の相談先への依頼が欠かせません。
それらの業種に支払う費用相場は、業者や買収金額の動向や資産の多さによって異なります。
またM&A仲介会社によっては着手金や中間報酬を徴収する場合や、取引が成功した場合のみ報酬を徴収する完全成功報酬型があるので、依頼前に確認しておきましょう。
税金
製薬会社のM&Aにおいては、当然ながら税金の支払い義務も発生します。
他社の事業を買収すれば、買収した企業の設備・資産の固定資産税、売却企業側は贈与にかかる贈与税を支払わなければいけません。
これらの税金の相場は、譲渡する資産や設備の規模や資産価値の動向によって異なるので事前に確認しておきましょう。
製薬会社でのM&Aを成功に導くポイント
製薬会社でM&Aに成功すれば、他社の研究や開発のノウハウを入手できるうえに、販売シェアを拡大して収益を向上させることも可能です。
では製薬会社のM&Aでは、どのようなポイントに注意すれば取引を成功に導くことができるのでしょうか。
研究がどれだけ社会に役立つかアピールする
製薬会社のM&Aを成功に導くためのポイントの1つに、研究がどれだけ社会に役立つかアピールする点が挙げられます。
社会に役に立つ研究を行っている製薬会社のM&Aであれば、資金面で不具合が生じても社会的な信用の高さから融資を受けやすくなります。
また社会に役立つ研究を行う企業を買収すれば、M&A完了後の社会的な信用・知名度が高く、継続的な収益確保が期待できるでしょう。
M&A仲介会社に相談する
製薬会社のM&Aでは、M&Aでの仲介会社に相談するのも取引を成功に導くポイントの1つです。
M&Aには税務や財務に関するさまざまな手続きが必要で、専門的な知識がなければ対応できない場合があります。
特に製薬会社のM&Aでは特許に関する事項も多く、複雑な手続きが必要になるでしょう。
したがってスムーズに取引を進行・完了させるためにもM&Aの仲介会社に依頼するのも有効な手段です。
納得するまで交渉する
納得するまで交渉するのも、製薬会社のM&Aを成功させるためのポイントの1つです。
契約事項に関してお互いが納得できないまま取引を完了すれば、取引完了後のトラブルに発展してしまうこともあります。
取引が完了すれば、契約事項の変更ができなくなってしまうので、後々のトラブルを防ぐためにもお互いに納得いくまで交渉しましょう。
タイミングを見極める
買収のタイミングを見極めるのも、製薬会社のM&Aを成功させるためのポイントです。
売却側企業としては事業が好調なタイミングで売却すれば、高額で事業を買い取ってもらうことができます。
買収側企業としても、今後高い収益性が見込めるタイミングで事業を買収することにより、取引完了後に成果を上げることが可能です。
製薬会社のM&Aを成功させるためには早めの相談が大事
製薬会社でM&Aを成功させることができれば、他社の有益な研究技術や研究者をそのまま承継することができます。
さらに開発商品の販売シェアの拡大にも繋がって、自社収益を向上させることも可能です。
一方で製薬会社のM&Aでは、法務や財務、特許に関する複雑な手続きも多いので、本記事を参考に早めに仲介会社に相談しましょう。
またM&Aでも効率的に製薬会社における買収を行うことができますが、さらにスムーズな引継ぎを行うのであれば事業承継がおすすめです。
事業承継を活用すれば、自社親族内の後継者を擁立できれば簡単に手続きが完了します。
さらに親族や従業員内に後継者がいなくても、第三者企業から最適な後継者の擁立ができるのも事業承継のメリットです。
特に近年は事業承継に特化している仲介会社も多いので、一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。
M&A・事業承継のご相談ならM&Aエグゼクティブパートナーズ
M&A・事業承継については専門性の高いM&AアドバイザーがいるM&Aエグゼクティブパートナーズにご相談ください。
M&Aエグゼクティブパートナーズが選ばれる4つの理由
②各業界でのM&A実績が豊富なトップコンサルタントのみ在籍
③オーナー様を第一に考えたM&A仲介サービス
④グループ間のネットワークによる幅広いサービスのご提供
>>M&Aエグゼクティブパートナーズの強みの詳細はこちら
M&Aエグゼクティブパートナーズは、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
無料で相談可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。