通訳・翻訳会社のM&Aを徹底解説!業界動向や事例・メリットは?
現在は通訳・翻訳業界全体で事業の活性化を計った動向のM&Aが頻繁に行われ、活発な事業活動が促進されているのが現状です。今回は通訳・翻訳会社の業界動向や事例・メリットやM&Aの動向を解説します。
目次
通訳・翻訳会社とは?
使用言語が異なる人同士のコミュニケーションをサポートすることを「通訳」といいます。
このような通訳をメインに事業展開している会社が通訳会社です。
そして通訳会社は報道・ニュース番組の通訳を行う「放送通訳」、ビジネスの交渉時に通訳を行う「ビジネス通訳」、国際的な会議などで通訳サービスを提供する「会議通訳」などの業務に従事しています。
一方翻訳会社は、特定の言語で記された記録などを他の言語に分かりやすく変換するサービスを提供する会社です。
一般的な翻訳には出版翻訳や映像翻訳などが挙げられ、多くの企業がこれらの業務を手掛けています。
通訳・翻訳会社の業務内容
上記のように通訳会社の主な業務は多言語を使用する人たちのコミュニケーションサポート、翻訳会社の業務内容は記録の他言語への変換です。
そして翻訳会社の一般的なイメージは社内でひたすら翻訳作業を行っているイメージが強いですが、実際はほとんどの翻訳業務を委託会社が行っています。
したがって翻訳会社は外部に翻訳作業を委託する中間業者的な役割を担っているのが現状です。
また翻訳会社は外部への発注業務の他に、翻訳された内容のチェックなどを行います。
通訳・翻訳会社の業界動向
通訳・翻訳業界の動向として気になるのがその市場規模ですが、現在の通訳・翻訳業界の市場規模は2,000~2,600億円程度と推測されています。
このような数値が算出される市場において、売上高が10億円をこえる事例の大企業は全体の5%程度です。
この動向から伺えるように、通訳・翻訳業界では中小企業が大半のシェアを占めているのが現状です。
大企業による占有が進行していない理由として、各企業が他社には模倣しにくい独自のサービスを展開している点が挙げられます。
通訳・翻訳会社のM&Aの動向
通訳・翻訳業界では各企業ともに個性的なサービスを提供しながらも活発的なM&Aにより企業価値を高めているのが現状です。
では通訳・翻訳会社のM&Aの動向を詳しく検証します。
シェアの拡大を目的としたM&A
近年通訳・翻訳業界においては、さまざまな企業が事業シェア拡大を目的とした動向のM&Aを積極的に行っています。
自社の生き残りをかけて事業シェアを拡大させる一方、中小の通訳・翻訳会社は各社とも独自性が高く、近い企業同士でM&Aを行わなければ業務に一貫性が現れずに有効顧客の獲得もできません。
このような観点からも、通訳・翻訳会社が事業シェア拡大に成功するためにM&Aを行う際には同業者を買収するか、幅広い分野を手掛けている大手企業に買収されるか、異業種からの買収を受けるなどの措置を受けるのもおすすめです。
顧客サービス向上を目的としたM&A
近年のアジア地区の急速的な発展に伴い、アジア圏のさまざまな言語の通訳や翻訳の需要の動向が高まっています。
しかし特定の業種に関するノウハウを有しているうえに、アジア地区に詳しい人材を確保するのは難しいでしょう。
また近年は工業や金融、製薬関連などの事業分野でのスキルを持つ企業需要が高まっています。
このようなスキルを自社に新たに共有するのは大変ですが、スキルを持った企業を買収することで顧客に対して現状よりも高いサービスを提供することも可能です。
異業種によるM&A
異業種の企業が新規事業の立ち上げとしてM&Aを行い、既存の企業を買収する動向も高まっています。
海外進出を目指す大企業の中には進出先での交渉や手続きをスムーズに進めるため、現地の通訳・翻訳会社をそのまま買収する事例の企業も多いです。
このような事業を展開すれば既存の事業を引き継げるうえに、自社事業もスムーズに展開することができます。
通訳・翻訳会社のM&Aを実施するメリット
近年は通訳・翻訳業界において自社事業シェア拡大の他、さまざまな目的達成のためのM&Aが行われています。
では通訳・翻訳会社におけるM&Aを実施するメリットを買い手側・売り手側双方の立場から検証しましょう。
売り手側
通訳・翻訳会社のM&Aでは売り手側はさまざまなメリットを得ることができます。
では通訳・翻訳会社でM&Aを行った際の売り手側のメリットを紹介しましょう。
従業員の雇用を確保できる
前述のように通訳・翻訳会社のほとんどが大企業でないため、実際に業績不振で倒産する会社も少なくありません。
そして廃業・倒産すれば従業員も職を失ってしまいます。
そこでM&Aを行って事業を売却すれば、従業員の雇用は買い手側にそのまま引き継がれ、雇用を確保できるのもメリットです。
後継者問題に関係なく事業を継続できる
後継者問題に関係なく事業を継続できるのも、通訳・翻訳会社でM&Aを行うメリットの1つです。
近年の少子高齢化の影響を受け、他の業種同様に後継者不足も悩まされている通訳・翻訳会社も多く見受けられます。
そして有力な後継者を擁立できず、結果的に廃業や倒産してしまうケースも多いです。
そこでM&Aを行えば後継者問題に関係なく自社に事業を引き継ぐことが可能になり、効率的な事業承継ができるのもメリットといえます。
負債の支払義務がなくなる
通訳・翻訳会社でM&Aを行えば、経営者は負債の支払い義務がなくなる点もメリットです。
自社が多額の負債を抱えていてもM&Aを行い他社に事業を引き継げば、負債はそのまま買い手側に引き継がれて支払い義務がなくなります。
その結果として負債から解消され、精神的な負担も軽くなるでしょう。
買い手側
売り手側同様に買い手側も多くのメリットを得ることができます。
では買い手側のメリットも詳しく解説しましょう。
経験値の高い通訳・翻訳者を獲得できる
経験値の高い通訳・翻訳者を獲得できるのも、通訳・翻訳会社でM&Aを行う際の買い手側のメリットです。
新規事業を立ち上げれば経験値の低い従業員を1から教育しなければいけません。
一方でM&Aを行えば、既存の事業を買収すると同時に既にキャリアを積んだ通訳・翻訳者を確保してスムーズに事業展開することができます。
事業シェアを拡大して収益性を高めることができる
通訳・翻訳会社でM&Aを行えば、買い手側は事業シェアを拡大して収益性を高めることができます。
前述のように近年は通訳・翻訳業界では企業間の競争の動向が激しく、各社とも生き残りをかけてさまざまなサービスを提供しているのが現状です。
そのような状況下でM&Aを行うことで、買い手側は少ない費用・短期間でより多くの顧客を確保することができます。
その結果として、自社の事業シェアを拡大させて収益性を高めることも可能です。
通訳・翻訳会社の取引相場
近年は事業シェア拡大や専門性を強化するため、多くの通訳・翻訳会社が積極的にM&Aを行っていますが、実際にどれくらいの相場でM&Aが行われているのでしょうか。
ではM&Aにおける通訳・翻訳会社の取引相場と相場の算出方法の事例を解説します。
価格相場
M&Aの価格相場は企業の業績などによって変動するので、明確な価格相場は存在しません。
一方で通訳・翻訳会社のM&Aにおける価格相場の動向は、他の一般的な業者に比べて高めに推移しています。
その理由として通訳・翻訳会社では売り手企業が少なく、売り手に対して多数の買い手が現れて競争が激化する点が挙げられます。
したがって通訳・翻訳会社を買収する際には事前の予算設定を行い、早めに仲介会社などに依頼するのがおすすめです。
価格相場の算出方法
通訳・翻訳会社のM&Aの価格相場を把握するためには、売り手企業の明確な企業価値評価を行って相場を算出しなければいけません。
ここからは通訳・翻訳会社の企業価値評価を行うための3つの方法を紹介します。
インカムアプローチ
M&Aの取引完了後に見込めるキャッシュフローや収益性、シナジー効果の他に買収リスクによる出費などを見込んで価格相場を算出する方法をインカムアプローチといいます。
この方法は収益還元法とDCF法とに分類され、取引状況次第での使い分けが重要です。
コストアプローチ
企業の資産や収益に関する明確な指標の1つである、帳簿や明細などを基準に基準価値評価を行って価格相場を算出する方法をコストアプローチといいます。
この方法は明確な指標を基準に相場を算出するので、明確な数値の算出が可能です。
マーケットアプローチ
売り手側企業と類似している大手企業の企業価値評価を基準に相場を算出する方法がマーケットアプローチです。
この方法は既存の企業の確かな数値を参考にして相場を算出するので、簡単に企業価値評価を行える点がメリットといえます。
通訳・翻訳会社のM&A事例
近年では通訳・翻訳業界においても自社事業シェアの拡大などを目的としたM&Aが多数行われています。
では実際に行われた通訳・翻訳会社のM&Aの成功事例を紹介しましょう。
東京テアトルによるアクシーのM&A
2020年6月には主に飲食・映像関連事業を手掛ける東京テアトルが、映画製作や映像翻訳を手掛けるアクシ―を株式譲渡により子会社化しました。
このM&Aは東京テアトルが映像関連事業を拡大・強化するために行った成功事例です。
ヒューマングローバルコミュニケーションズによるアラシアスのM&A
2020年4月には多言語翻訳を手掛けるアラシアスの事業を、主に技術情報や海外学術論文の翻訳などを手掛けるヒューマングローバルコミュニケーションズに譲渡しました。
このM&Aはヒューマングローバルコミュニケーションズがさらなる事業展開を計るために行った成功事例です。
ロゼッタによるVoiceAppとの資本業務提携
2020年11月には主に文字翻訳ツール開発を手掛けているロゼッタが、AIを活用した自動的文字起こしを可能にした音声翻訳ツールである「オンヤク」の開発パートナーであるVoiceAppと資本業務提携を結びました。
このM&Aはロゼッタが事業におけるAI制度を高めるために行った成功事例です。
インフォメーションクリエーティブによるシルク・ラボラトリのM&A
2021年11月には主にソフトウェア開発やITサービス事業を展開しているインフォメーションクリエーティブが、ソフトウェア開発を手掛けるシルク・ラボラトリの株式を取得して子会社化しました。
このM&Aは、インフォメーションクリエーティブが事業規模の拡大・強化を計るために行った成功事例です。
CRGホールディングスによるオシエテのM&A
2022年12月には通訳者とユーザーの拠点を結ぶサービスを提供するオシエテが、主に企業グループの経営管理を手掛けるCRGホールディングスに株式譲渡により子会社化されました。
このM&Aは両社の企業価値を高めるために行われた成功事例です。
通訳・翻訳会社のM&Aを成功させるポイント
通訳・翻訳会社のM&Aを成功させれば、買い手側・売り手側の双方共にメリットを得ることができます。
では通訳・翻訳会社のM&Aを成功させるためのいくつかのポイントを解説しましょう。
適切なM&Aスキームを選ぶ
適切なM&Aスキームを選ぶのも、通訳・翻訳会社のM&Aを成功させるポイントの1つです。
M&Aには多種多様なスキームがあり、目的に合わせたスキームを採用することによってM&Aの効果が高まります。
またスキームによってコストや時間も異なるので、自社の状況に合わせたスキームを十分検討してM&Aを行いましょう。
M&Aのタイミングを逃がさない
通訳・翻訳会社のM&Aを成功させるためにも、最適なタイミングを逃さずにM&Aを行いましょう。
例えば業績が悪化したタイミングでM&Aにより事業を売却しても、買い手側はシナジー効果を期待せずに安く買収される可能性が高くなります。
一方で業績が好調なタイミングで売却を検討すれば、買い手側は買収後のシナジー効果を期待して高額で買収してくれるでしょう。
価格相場を確認する
価格相場を確認しなければ、通訳・翻訳会社のM&Aを成功させることはできません。
事前に自社の企業価値評価を行いさらに全体的な相場を把握してM&Aを進めなければ、相場よりも安く買収されてしまうケースもあります。
一方で明確な企業価値評価を行い、全体的な相場を把握したうえで聡明な金額を提示すれば、相場に適した価格での売却が可能です。
売り手市場になっているか
通訳・翻訳業界は全体的に売り手が少なく買い手が多い「売り手市場」になっており、M&Aを進めようと思っても買収できる企業が限られているのが現状です。
このような状況を踏まえ、売り手側は業績好調であれば自社にとって有利な条件を提示しましょう。
一方買い手側は買収後のシナジー効果などを十分検討したうえで買収価格を検討することでM&Aを成功させることができます。
通訳・翻訳会社のM&Aは専門家に相談しよう
近年は多くの通訳・翻訳会社が自社事業シェアの拡大や自社事業効率化のために積極的にM&Aを行っています。
一方で通訳・翻訳会社のM&Aでは他業種のM&A同様に法務や財務、税務などに関する専門的な知識が必要なので自社のみでの対応は大変です。
そこでM&Aに詳しい専門家に依頼すればスムーズに取引が進むので、一度相談を検討してみてはいかがでしょうか。
またM&Aでも効率的な通訳・翻訳会社の事業引継ぎを行うことができますが、さらにスムーズな引継ぎを行うのであれば事業承継がおすすめです。
事業承継を活用すれば、自社親族内の後継者を擁立できれば簡単に手続きが完了します。さらに親族や従業員内に後継者がいなくても、第三者企業から最適な後継者の擁立ができるのも事業承継のメリットです。
特に近年は事業承継に特化している仲介会社も多いので、一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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