障害者施設のM&Aの動向を徹底調査!事例や相場・メリット・注意点は?
現在は知的・身体的・精神的な障害を持つ人々を全面的にケアする障害者施設が多く、多角経営を図るために障害者施設間で多くのM&Aが行われています。本記事では障害者施設のM&Aの動向や事例や相場、メリットや注意点も紹介します。
目次
障害者施設の現状とM&Aの動向
障害者施設の利用者は年々増加傾向にあり、厚生労働省の発表によると令和元年9月の時点で約123万人もの人が利用しています。
今後も障害者施設の利用者は増えることが見込まれており、その動向に伴って障害者施設の増設が必要不可欠です。
一方で福祉業務に従事する従業員が不足しているのが現状で、国を挙げての対処が求められています。
利用者は年々増加傾向
前述のように障害者施設や障害者福祉事業の利用者数の動向は増加傾向にあり、平成30年9月から令和元年9月の間には6.3%も増加しています。
今後も利用者数が伸びていく傾向が強く、国もこれらの施設に対する処置を進めていますが追い付けていないのが現状です。
人材不足が大きな課題
障害者施設や障害者福祉事業では、前述のように人手不足も大きな課題になっています。
特に近年では人材不足で倒産・廃業する事業者も多く見受けられ、早急な人材確保が課題になっている事業者も多いです。
大手・中小企業によるM&Aの増加
人材不足が原因で多くの障害者施設や障害者福祉事業が廃業・倒産していますが、一方で大手中小企業によるM&Aは増加傾向にあります。
その理由として、M&Aで事業規模を拡大することによる利益確保や人員確保が挙げられ、今後もその動向は強まる一方です。
また異業者からこの業界に参入・M&Aを行うなど、今後も激しい競争が展開されていくでしょう。
そしてこの業種は一般的に廃業しにくい業種なので、廃業という手段ではなくM&Aで事業を他社に譲渡するケースも多く見受けられます。
障害者施設のM&Aの事例
近年は廃業や倒産ではなく、M&Aで事業を譲渡・売却する動向も多く見受けられますが、どのようなM&Aが行われているのでしょうか。
では実際にあった障害者施設のM&A事例を紹介していきます。
ソラストによるファイブシーズヘルスケアの子会社化
2020年9月には全国的に障害者福祉サービス事業を展開しているソラストが、ファイブシーズヘルスケアを子会社化したのも事例の1つです。
ファイブシーズヘルスケアは関西エリアで19もの事業所を展開する企業で、2003年より介護サービス事業を積極的に展開している企業です。
ファイブシーズヘルスケアは株式譲渡によってソラストの傘下に入りました。
このM&Aによってソラストは、関西エリアでの事業基盤を盤石にして顧客獲得に乗り出しました。
参考URL:
こころネットによるNPO法人エルタへの事業売却
2021年1月にはこころネットが自社子会社である、こころガーデンの事業をNPO法人エルタに事業譲渡したのも事例の1つです。
こころガーデンは訪問介護事業や通所介護の他に居宅介護支援などを手掛けているうえに、福島市内にて高齢者向け住宅の運営も手掛けています。
こころネットは介護事業や障害福祉サービスに強みを持つNPO法人エルタにこころガーデンを譲渡した方が、事業を有効活用できると判断して譲渡・売却を行いました。
参考URL:
朝日インテックによるフィカスの子会社化
2018年には障害者福祉サービス事業を手掛けるフィカスが、株式譲渡により朝日インテックにより完全子会社化されたのも有効事例です。
フィカスは名古屋の障害福祉サービスを営んでいた企業で、このM&Aにより朝日インテックは障害福祉分野の事業を拡大させることにも成功しました。
参考URL:
メディカル一光グループによるライフケアの子会社化
2020年10月にはライフケアが、三重に本社を構えて調剤薬局事業を主に展開しているメディカル一光グループによって子会社化されたのも代表的な事例です。
ライフケアは愛知県で14もの住宅型老人ホームを運営していた企業です。このM&Aによってメディカル一光グループはヘルスケア事業のさらなる拡大に成功しました。
参考URL:
https://www.m-ikkou.co.jp/ir/library/release/2020/irp20200930b.html
ケア21グループとウィザスの業務提携
2015年には介護事業や就労継続支援A型や事業を展開しているケア21グループと、通信制高校や学習塾を展開しているウィザスが業務提携を結んだのも事例の1つです。
このM&Aがケア21グループの高齢者や子供、障害者などをケアする事業への明確な足掛かりになったのは間違いありません。
参考URL:
ケア21グループによるまごの手サービスの子会社化
2015年には介護事業や就労継続支援A型や事業を展開しているケア21グループが、障害児サービスなどを展開しているまごの手サービスを子会社化したのも事例の1つです。
このM&Aにより、ケア21グループは障害者福祉事業の強化に成功することができました。
参考URL:
障害者施設のM&Aのメリット
障害者施設のM&Aで事業売却を行えば、廃業や倒産せずに事業を継続させることができます。
では障害者施設のM&Aのメリットには、他にどのような点が挙げられるのでしょうか。
買い手側のメリット
障害者施設のM&Aの買い手側のメリットの事例には以下の点が挙げられす。
・経験豊富な従業員を確保できる
・最初から利益が得られる
・顧客が最初からいる状態で始められる
・初期投資を抑えられる
障害者施設を新たに開設し、事業を始めれば従業員の教育も行わなければいけません。
一方M&Aで施設ごと買収すれば、経験豊富なスタッフをそのまま雇用することができます。
また現時点で営業している事業をそのまま引き継ぐので、最初から利益が得られるのもメリットの1つです。
また新規事業を始める際には顧客も確保しなければいけませんが、M&Aを行えば現状の顧客をそのまま引き継ぐことができるのもメリットといえます。
さらにM&Aでは買収により施設・設備もそのまま引き継ぐので、初期投資を抑えられるのもメリットです。
売り手側のメリット
障害者施設のM&Aの売り手側のメリットには以下の点が挙げられます。
・業績改善
・地域の障害福祉サービスの増進
・売却益の確保
・将来的な不安からの脱却
・事業承継問題の解決
障害者施設で事業を行っても十分な利益を確保できなくても、M&Aを行うことで業績改善や売却益確保につながるのも売り手側のメリットです。
また後継者を擁立できずに事業継続が困難な場合にも、M&Aを行うことで後継者の擁立が可能になって地域障害福祉サービスを増進させることもできます。
さらにM&Aで事業を売却して他社に事業を承継すれば、将来的な経営の不安から脱却できるのもメリットです。
障害者施設のM&Aの流れ
障害者施設のM&Aを行えば効率的な事業承継・売却を行うことができますが、実際にどのような流れでM&Aが行われるのでしょうか。
では障害者施設のM&Aの流れを紹介します。
①M&A仲介会社に相談
障害者施設のM&Aを行う際にはこの業種のポイントを熟知しているうえに、M&Aに関する知識も欠かすことができません。
したがって障害者施設のM&Aでは最初にM&A仲介会社に相談しましょう。
相談先を選ぶ際には自社と同じ規模や相場のM&Aを取り扱っているかどうかや、過去の実績・動向などを検証するのも重要なポイントです。
②M&A相手先企業選定
相談するM&A仲介会社が決まったら、次にM&Aの相手先企業を選定しましょう。
選定のために仲介会社に希望条件や交渉期間を伝えれば、最適なマッチングを検討してくれます。
そして相手先企業が決まった段階で仲介会社を通し、具体的な交渉・売却に進みましょう。
③トップ面談
M&Aの相手先企業が決まったら、次にトップ同士による面談を行います。
トップ同士で面談することにより、お互いの経営理念や考えなど書面上のみでは把握できない情報を得ることもできるでしょう。
この段階で、買い手企業側は面談により売り手企業側のマインドを明確に見極め、買収に問題がないかを明確に見極めなければいけません。
④基本合意書の締結
トップ同士の面談が完了してお互いがM&Aに前向きな姿勢であれば、次に基本合意書の締結に進みます。
基本合意書はこれまでの交渉内容をまとめたものですが、この時点では正式にM&Aが成立していないことも認識しておきましょう。
一般的に基本合意書内には今後のM&Aのスケジュールや手法、価格やデューデリジェンスの詳細、独占交渉権付与などが盛り込まれます。
⑤デューデリジェンスの実施
基本合意書締結後には、買い手企業側による監査であるデューデリジェンスを実施します。
デューデリジェンスとは専門家を通して売り手企業を税務・財務・法務などの側面から調査することです。
対象企業の規模にもよりますが、デューデリジェンスは一般的に1~2か月程度で行われます。
そしてデューデリジェンスの結果次第で、契約破棄に繋がってしまうことも認識しておきましょう。
⑥最終契約書の締結
デューデリジェンスが完了し、買収に問題がないと判断されれば最終契約書を締結します。
M&Aの譲渡価格や譲渡対象、クロージングの前提条件や表明保証などが最終契約書に記載され、基本合意書と異なり法的拘束力がある点も把握しておきましょう。
また最終契約書締結後に不当に契約を破棄した場合には、損害賠償の対象になるので契約内容の把握も重要になります。
⑦クロージング
株式譲渡によるM&Aでは、買い手が譲渡金を支払うことで売り手の株式は買い手に譲渡されます。
このように最終契約書の合意によるさまざまな事項の移動がクロージングです。
一般的にクロージングの条件は最終契約時に定められ、条件をクリアーできなければM&Aが中止になります。
障害者施設のM&Aの費用の相場
障害者施設のM&Aでは、実際にどれくらいの費用がかかるのか気になりますよね。
では障害者施設のM&Aの費用相場の事例を紹介しましょう。
交渉により対価が決まる
障害者施設のM&Aの費用相場を一概に言及することはできませんが、M&Aの交渉内容によって対価の相場が変動します。
例えば売り手企業の事業内容や資産規模や内容によっても対価の相場が変動するでしょう。
M&A仲介会社などの専門家に相談して算出するのがおすすめ
前述のように障害者施設のM&Aにおいては、売り手企業側の事業内容や資産規模や内容によって売却対価の相場が変動します。
そしてそれらの条件を見極めるには、財務などに詳しい専門家の知見が欠かせません。
このような観点からも障害者施設のM&A時には、仲介会社などの専門家に相談して売却対価の相場を算出しましょう。
障害者施設のM&Aを成功させるポイント
障害者施設のM&Aを成功させるためには、いくつかのポイントに注意して交渉を進めなければいけません。
そこでここからは、障害者施設のM&Aを成功させるポイントの事例を紹介します。
業績が好調で魅力的価値のある時にM&Aを検討する
障害者施設のM&Aを成功させるためにも、業績が好調で魅力的価値のある時にM&Aによる売却を検討しましょう。
売り手企業の業績が好調で魅力的であれば今後の売り上げの動向も十分に見込めるため、高値での相場の買収が可能になります。
また買い手企業側もそのような事業を買収することで、今後の業績向上が見込めるなどお互いにとってプラスな動向のM&Aが展開されるでしょう。
目的をはっきりさせておく
M&Aの目的や動向をはっきりさせておくのも、障害者施設のM&Aを成功させるポイントの1つです。
買い手企業側は買収した後の事業展開など、具体的な目的を定めなければ買収後の方針も定まらないままになってしまいます。
一方で事前にM&Aの目的を定めておくことにより、買収後にスムーズな事業展開が実現されるでしょう。
M&A仲介会社に相談する
障害者施設のM&Aでは専門的な知識や知見が必要になるので、交渉時にはM&A仲介会社に相談するのも成功のためのポイントの1つです。
M&A仲介会社に相談・依頼すれば、相談からクロージングまで一貫したサポートを受けられるので、スムーズに交渉が進むでしょう。
障害者施設のM&Aを行うときの注意点
障害者施設のM&Aを成功させるためには、いくつかの注意しなければいけないポイントがあります。
では障害者施設のM&Aを行う際の注意点を紹介しましょう。
同地域の競合施設を把握する
同地域に同じサービスを提供している施設が多ければ、必然的に競争相手が多くなって利用者の確保が難しくなる場合があります。
このような事態を避けるためにも、障害者施設のM&Aを行う際には同地域の競合施設を把握しておきましょう。
サービスの利用者数と有資格者数を把握する
障害者施設のM&Aを行う際には、事前にサービスの利用者数や有資格者数を把握するのも重要なポイントです。
サービスの利用者数を事前に把握しておけば、事業買収後の売上高の相場の大まかな予測を立て、経営計画の立案も可能になります。
またサービス提供に必要な資格を有している有資格者数を把握することで、的確な人員配置や取り組める事業の選定に取り組むこともできるでしょう。
デューデリジェンスの徹底
障害者施設のM&Aにおいても、他の一般的なM&Aと同様にデューデリジェンスを徹底しましょう。
きちんとデューデリジェンスを行わなければ、売り手企業側の税務・財務的な側面を深くまで把握できません。
その結果として、M&A完了後に簿外税務や、突発的な税務などが明らかになり、トラブルに発展することもあります。
一方できちんとデューデリジェンスを行えば、このようなトラブルの回避に繋がって明瞭なM&Aが実現されるでしょう。
行政機関との調整
障害者施設のM&Aも他のM&Aと同様に、手続き完了後は行政機関への届け出が必要になります。
M&A完了後にスムーズに事業展開するためにも、行政機関と綿密な打ち合わせを行って手続き完了後すぐに認可が下りるように調整するのも重要なポイントです。
障害者施設のM&AはM&A専門家を介して成功させよう
障害者施設のM&Aに取り組めば、廃業や倒産を回避して効率的に事業を承継できます。
しかし本記事で解説したように、交渉や取引には専門的な事業やM&Aに関する専門的な知識が欠かせません。
したがって障害者施設のM&Aを成功させるためにも、ぜひ仲介会社を介しての交渉に臨んでください。
またM&Aでも効率的な障害者施設の事業引継ぎを行うことができますが、さらにスムーズな引継ぎを行うのであれば事業承継がおすすめです。
事業承継を活用すれば、自社親族内の後継者を擁立できれば簡単に手続きが完了します。
さらに親族や従業員内に後継者がいなくても、第三者企業から最適な後継者の擁立ができるのも事業承継のメリットです。
特に近年は事業承継に特化している仲介会社も多いので、一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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