M&Aの「のれん」の仕組みを徹底解説!買収時の償却期間や会計処理と注意点とは?

M&Aの「のれん」とは譲渡側企業の純資産額と買収額の差額を指し、ブランド力や技術力などの無形資産が該当します。M&Aで「のれん」が生じた場合、償却や減損などの会計処理が必要です。本記事ではM&Aの「のれん」の仕組み、会計処理と償却期間、注意点などを解説します。

目次

  1. 「のれん」とは
  2. M&Aにおけるのれんの仕組み
  3. M&Aの売却側から見るのれん
  4. M&Aでののれんの税務
  5. のれんの減損処理
  6. 国際会計基準(IFRS)と日本会計基準の違い
  7. 日本会計基準でののれん会計処理
  8. IFRSでののれん会計処理
  9. M&Aでののれん減損要因
  10. M&Aでののれん減損対策
  11. M&Aでののれんの問題事例
  12. M&Aののれんまとめ

「のれん」とは

M&Aを検討している段階やM&A事例を読んでいると「のれん」という言葉がでてくることが多いはずです。

M&Aを行ううえで「のれん」は重要な要素のひとつであるため、発生する仕組みや概念などの基本的事項をしっかり理解しておく必要があります。

特に中小企業のM&Aでは「のれん」が重要な意味をもち、意味や仕組みをしっかり理解しておけば、譲受側はM&A後の税金や決算書への影響を考慮して進めることが可能です。

また、譲渡側も「のれん」について正しく理解しておけば、価額交渉時の武器としても活用することができます。

のれんの意味と出所

M&Aの「のれん」は、譲渡側企業の純資産額(時価)と実際の買収価額との差額を指します。「のれん」は会計基準で定義された用語であり、超過収益力と呼ばれることもありますが、どちらも同じ意味です。

「のれん」には、対象企業(M&Aでは譲渡側企業)が培ってきたブランド力・技術力・営業権などの無形資産が該当します。

飲食店の軒先でみかける暖簾が由来だといわれており、目に見えないその店の味・商品・ブランドなどを象徴することから、会計やM&Aでも「のれん」という言葉が使われるようになったようです。

一般的に、M&Aの場合は買収金額が高いほど「のれん」の額も大きくなるケースが多いです。近年のM&Aでは「のれん」の価値も適切に評価されるようになってきており、ブランド力・信用力・技術力・ノウハウなども積極的に評価されるようになってきました。

のれんの種類

同じ「のれん」であっても、会計上の「のれん」と税務上の「のれん」では扱いが異なる部分があるため、注意が必要です。

そのため、M&Aの話題で「のれん」がでてきた場合は、何を指しているのかを考えなければ意味が違ってきます。

また、中小企業のM&Aで生じる「のれん」は、その企業の収益力を表すものです。ここでは、3つの「のれん」の考え方や注意点を解説します。 

会計でののれん

会計上の「のれん」とは「取得原価(支払い対価の総額)と、譲受あるいは引受した資産・負債に配分された純額に生じた差額」のことです。

M&Aに置き換えて簡単に説明すると、譲受側が支払った買収価額と譲受した資産・負債の純資産額(時価)に生じた差額が「のれん」であり、プラスであれば「(正の)のれん」マイナスであれば「負ののれん」となります。

M&Aで生じた「のれん」は会計処理が必要ですが、注意点は自社が採用している会計基準によって処理方法が変わることです。なお、「のれん」の会計処理や注意点については、後ほど詳しく解説します。

税務でののれん

会計と税務では「のれん」の扱いが異なります。会計では「のれん」として資産計上する額は、税務においては「調整勘定」として計上するため、混同しないように注意が必要です。

税務では、買収価額が譲受した資産・負債の純資産額(時価)を上回る場合、「(正の)のれん」が発生するため「資産調整勘定」として計上し、反対に「負ののれん」が発生したときは「負債調整勘定」 として計上します。

また、会計上の「のれん」に含まれるもののうち、一般的に 独立した資産として取引されるものは税務上において「営業権」として扱いますが、注意点はこの分を調整勘定から差引く必要があることです。

税務上の「のれん」と税務上の「営業権」は別扱いで計上するため、調整勘定から差引かないと二重に計上してしまうことになります。

そのため、M&Aの「のれん」を税務処理する際は、注意しなければなりません。なお、会計上の「のれん」の処理については後ほど詳しく説明します。

中小企業のM&Aでののれん

企業がもつ信用力・ブランド力・技術力・ノウハウなどの無形資産は、事業が収益を生み出すための重要な要素です。

中小企業のM&Aで「のれん」はいわば収益力の高さを表すものですが、これらは財務諸表上に記載されているわけではありません。

このような無形資産は企業にとって重要な経営資源であり、たとえば以下のようなものがあります。

  • 技術力・ノウハウ
  • 従業員・組織力
  • 顧客・取引先との関係性
  • 社風・企業文化
  • 信用力・ 競争力

これらの無形資産は、築き上げるまでに多くの時間を要します。M&Aはこれらを一度に獲得できる手段であり、譲渡側のもつ無形資産の獲得は譲受側の大きな目的であるケースが多いです。

のれん償却

「のれん」は、ソフトウエアや特許権などと同様、会計では無形固定資産として処理することが決められています。

無形固定資産には減価償却資産と非減価償却資産があり、減価償却資産に該当するものについては減価償却処理が必要です。

減価償却資産とは年月の経過とともに価値が減少する資産を指し、特許権・商標権・ソフトウエアなどがあります。

対して、非減価償却資産は一度手に入れれば将来的にも価値が変わらないものを指し、該当するのは借地権や電話加入権などです。

M&Aの「のれん」も減価償却資産となるため、特許権・商標権・ソフトウエアなどと同じように扱い、取得費用を一定期間で減価償却処理する決まりとなっています。

負ののれん

M&Aでは、必ずしも買収価額が譲受した資産・負債の純資産額(時価)を上回るわけではありません。なかには、譲渡側企業の純資産額(時価)より低い買収価額でM&Aが成立するケースもあり、このような場合などで発生するのが「負ののれん」です。

M&Aでは譲渡側企業の将来の収益性も加味して企業価値を評価するので、多くの場合は純資産額よりも買収価額が高くなります。

ですが、簿外債務の額が多いケースや、以前は業績がよくても直近の業績が悪化して将来の見通しがたたないケースでは、買収価額が純資産額より低くなる場合が多いです。

譲受側企業からすれば割安な取引となり、譲渡側企業は自社を時価より低い価額で処分するため、「負ののれん」はバーゲン・パーチェスとも呼ばれます。

一見すると「負ののれん」が発生するM&Aは譲受側企業に大きなメリットがあるようにも思えますが、会計処理は一括で全額収益計上しなければなりません。

負債計上してから償却するわけではないため、「負ののれん」がある場合はM&A実施年度の収益に影響を与えることにもなります。

「(正の)のれん」と「負ののれん」では会計処理だけでなく、損益への影響も変わる点に注意が必要です。

M&Aにおけるのれんの仕組み

M&Aは企業や事業などビジネスを売買する行為であり、株式譲渡・事業譲渡などの買収や企業同士がひとつの法人格に統合する合併とに大きく分かれます。

M&Aでは譲渡対象に含まれる資産や負債の価値(価額)を算定して売買契約を結ぶため、買収価額が大きなポイントであるのは当然のことです。

基本的に、M&A価額(買収価額)は譲渡側企業の資産および負債の額に、将来の収益予測額を加味した企業価値をベースに交渉で決定される仕組みとなっています。

そのうち、資産と負債の価値は市場での取引価格などから時価換算するため、ここでは実態との差は生じません。

しかし、将来の収益予測によって加味される額は、最終的に譲渡側企業・譲受側企業の交渉によって決まるため、譲受側企業の純資産額(時価)と差が生じるケースが多いです。

これが「のれん」が発生する仕組みであり、差額がプラスであれば「(正の)のれん」マイナスであれば「負ののれん」となります。

M&Aでののれん算出

M&Aの「のれん」は、譲渡側企業の純資産額(時価)と実際の買収価額とに差が生じた場合にのみ算出される仕組みです。そのため、M&Aで「のれん」を単体で計算するというものではありません。

「のれん」の額は「買収価額-譲渡側企業の純資産額(時価)」へ実際の金額をあてはめればよいので、数字さえわかれば簡単に計算することができます。

買収価額

M&Aでは交渉によって最終的な価額を決定しますが、交渉時は企業価値評価をベースに進めるのが一般的です。

企業価値評価は買収価額を決める重要なものですが、その算出方法にはコストアプローチ・インカムアプローチ・マーケットアプローチの3つがあります。

  • コストアプローチ:譲渡側企業の純資産額を基に企業価値を算出する方法
  • インカムアプローチ:譲渡側企業が将来獲得すると予想される収益を基に企業価値を算出する方法
  • マーケットアプローチ:事業内容・規模・ビジネスモデルなどが類似する上場企業を選び、その時価総額や実施したM&A事例を基に企業価値を相対的に算出する方法

3つの企業価値評価方法にはそれぞれ特長があり、実務上では複数の手法を組み合わせて価値を算出することも多いです。

また、価額交渉は譲渡側の無形資産も加味して進められるため、最終的な買収価額は譲渡側企業の純資産額(時価)とイコールになることはほぼありません。

コストアプローチ

中小企業のM&Aでは、コストアプローチが用いられるケースが多いです。コストアプローチに分類される企業価値評価方法はいくつかありますが、多く用いられているのは「純資産額(時価)+営業権」という計算方法 です。

計算は簡単であるうえ、純資産額(時価)に営業権を加えることで将来の収益力を反映させることができます。

売却側の純資産額

M&Aにおいて、譲渡側企業の純資産額は時価換算しますが、必ずしもすべての資産が時価換算できるわけではありません。時価換算できるのは不動産や金融商品であり、それらがない場合は簿価純資産額をそのまま時価として扱います。

よほど価値ある不動産や金融商品がない限り、純資産の時価は大きく変わることはありません。そのため、会社の技術力やブランド力をどう評価するかで買収価額は大きく変わります。

財務諸表におけるのれん

財務諸表上の「のれん」の扱いは、M&A手法によって違うため注意が必要です。大きく分けると、株式譲渡や株式交換などのように譲渡側企業が譲受側(買収側)企業の子会社となるケース、合併のように譲渡側(買収側)企業に吸収されるケースの2つがあります。

株式譲渡・株式交換の場合

株式譲渡や株式交換などのように、譲渡側企業が譲受側(買収側)企業の傘下となる場合は、譲受側(買収側)企業の個別財務諸表に子会社となった企業の取得株式分を計上しますが、「のれん」は計上されません。

個別財務諸表とは、企業が単体で作成する財務諸表を指します。財務諸表には連結財務諸表という種類もあり、こちらは子会社や関連企業をもつグループ会社が作成するものです。

2つの財務諸表は対象がグループ会社全体なのか、企業単体なのかという違いがあり、グループ会社は連結財務諸表(連結決算)を作成することで、全体の業績や財務状況を正しく把握することができます。

そのため、連結財務諸表の場合はのれんの計上が必要です。ただし、グループ会社であっても、連結財務諸表はグループ各社の合算となるため、親会社・子会社・関連会社は個別財務諸表を作成しなければなりません。

合併の場合

譲渡側企業(被買収側)が譲受側(買収側)企業に吸収される合併の場合、譲受側(買収側)企業の収支に組み入れるため、個別財務諸表に「のれん」が計上されるかたちとなります。

また、譲受側(買収側)企業が連結財務諸表を作成しているケースでは、「のれん」の扱いに注意が必要です。この場合「のれん」はそのまま引き継がれるので、同額を計上します。

注意点

個別財務諸表においては、M&Aの手法によって「のれん」を計上するかどうかが変わります。ですが、連結財務諸表の場合は、どのスキームを用いても「のれん」の処理は同じです。

M&Aで生じる「のれん」の処理は複雑で注意が必要なので、専門家に相談しながら適切に行うようにしましょう。

スキームごとのれんの会計処理

ここまでM&Aで「のれん」が発生する仕組みや財務諸表への計上タイミングを説明しましたが、具体的にはどのように会計処理を行えばよいのでしょうか。

すでに述べたように、M&Aの「のれん」は株式譲渡・株式交換によるケースと株式合併によるケースでは計上タイミングが違うため、会計処理時は注意が必要です。

ここでは、以下の条件でM&Aを行った場合の仕訳をみていきますが、実際のM&Aでは複雑な仕訳が必要となるため、一部を割愛して説明します。

譲渡側企業(A社)

資産3000万円、負債2100万円、純資産900万円

譲受側企業(B社)

資産6000万円、負債3600万円、純資産2400万円

取得対価

1500万円 

株式譲渡・株式交換の場合

ここでは、A社とB社が株式譲渡を行った場合の会計処理を説明します。株式譲渡を行った場合、B社の個別財務諸表上では1500万円の現預金がA社の株式に変わるだけなので、「のれん」は計上されません。 よって、B社の個別財務諸表は以下のようになります。

借方

貸方

子会社株式:1500万円

現預金:1500万円

資産:6000万円

負債:3600万円

純資産:2400万円

また、連結財務諸表は以下のようになります。連結財務諸表上では、作成時点で「のれん」を計上するため注意が必要です。

借方

貸方

純資産:900万円

子会社株式:1500万円 

のれん:600万円

資産:7500万円

負債:5700万円

のれん:600万円

純資産:2400万円

合併の場合

合併の場合、B社がA社を取り込むかたちです。B社はA社純資産額(時価)と買収価額の差額を「のれん」として計上するため、個別財務諸表は以下のようになります。

借方

貸方

資産:3000万円

負債:2100万円 

のれん:600万円

現預金:1500万円

資産:7500万円

負債:5700万円

のれん:600万円

純資産:2400万円

また、連結財務諸表は個別貸借対照表と同様です。また、連結財務諸表上での仕訳は特にありません。

会計処理上の注意点

M&A手法によって、仕訳の仕方や「のれん」の計上タイミングは違いますが、連結財務諸表では最終的に差は生じません。

M&A後の会計処理を正しく行うためにも、「のれん」の仕組みや仕訳の内容をしっかり理解しておく必要があります。

M&Aの売却側から見るのれん

M&Aで生じる「のれん」は譲受側企業にとって、実施年度の会計にも影響するため、買収価額を決める重要な要素となります。

では、譲渡側企業からみる「のれん」はどのような意味をもつのでしょうか。ここでは、M&Aの譲渡側企業からみた「のれん」について説明します。

のれんは会社売却の基本的情報

M&Aの「のれん」は、いわば譲渡側企業の将来的な価値を数字として表したものです。M&Aの最終的な譲渡価額が高くなるほど「のれん」も大きくなる仕組みなので、譲渡側企業は「のれん」が大きいほど、その分だけ多く譲渡益を獲得できることとなります。

つまり、譲渡側企業はM&A実行前に強みの強化などを行い、「のれん」が高く評価されるよう準備をしておけば、価額交渉を有利に進めていくことも可能です。

M&Aの譲渡価額を決定するうえで「のれん」の仕組みを知っておくことは非常に重要であり、自社の将来性について高い評価を得るためには、事前に準備を行っておく必要があります。

アーンアウト条項

M&Aでは最終契約において「アーンアウト条項」が定められることもあります。アーンアウト条項とは、M&A後の一定期間において譲渡側企業が設定以上の業績を達成した時に、譲受側から追加分の対価が支払われるというものです。

M&A後の一定期間をどのくらいにするかは個々のケースによって変わりますが、実務上では1年から3年程度とする場合が多くみられます。アーンアウト条項は海外のM&Aでは一般的に定められるものであり、近年は日本でも定着しつつあるものです。

M&Aにおいて価額の決定は非常に大きなポイントですが、譲渡側はより高値での成立を目指し、譲受側は少しでも安価で取得したいと考えるため、双方が納得する価額で合意するというのは難しい部分もあります。

アーンアウト条項は、譲渡側企業と譲受側企業の価額に対する認識の差を埋める意味でも重要であり、最終契約に設定することで利害関係の調整を図ることが可能です。

譲渡側企業からみれば、M&A後に設定条件を達成できれば受け取れる対価が最終的に増えることとなり、譲受側からすれば将来の不確実性によるデメリットを軽減できるというメリットがあります。

また、アーンアウト条項の設定はM&A交渉の武器として活用することも可能です。M&Aを行う際は「のれん」やアーンアウト条項など、価額交渉で不可欠となるポイントを正しく理解しておくと、交渉時に役立ちます。

M&Aでののれんの税務

M&Aで発生する「のれん」は、税務上では「資産調整勘定」と呼ばれます。会計では会社法、税務では税法とそれぞれ準ずる法律が異なるため、M&Aの「のれん」も扱いが異なる点に注意が必要です。ここでは、M&Aで発生する「のれん」の税務について説明します。 

税務上ののれん

企業が事業活動で得た利益に対しては、法人税が課されます。法人税は企業の個別決算に対して課されるものであり、連結決算では課されません。

会計と税務は混同されやすいですが、会計は収益や費用を算出して書類にまとめることであり、税務は納める税額を算出して書類にまとめることです。税務では、 課税対象の益金や損金を税法に基づいて算出し、最終的な課税所得額を計算します。

M&Aで発生した「のれん」は、株式譲渡や株式交換などを用いた場合は個別財務諸表に計上しないため、税務も発生しません。

ですが、合併や事業譲渡などを用いた場合は個別財務諸表にのれんを計上するため、法人税の課税対象となるため注意が必要です。ただし、合併を行った場合は、適格要件を満たすか否かで処理が変わります。

税務上ののれん償却期間

「のれん」の償却期間は会計と税務でそれぞれ決められており、日本の会計基準では会社・案件ごとに20年以内となっています。一方で、税務上の「のれん」つまり資産調整勘定は、5年間と一律です。

「負ののれん」についての扱いも会計と税務では異なります。会計上は「負ののれん」を一括利益計上しますが、税務では「(正の)のれん」と同じく5年間で償却するため注意が必要です。

組織再編での扱い

会社分割と合併は、会社法上の組織再編行為に該当します。これら2つの手法は、2001年の組織再編税制導入により、課税制度上では適格組織再編と非適格組織再編に分けられるようになりました。

企業が実施する組織再編行為が適格組織再編と非適格組織再編のどちらに該当するかで、税務上の「のれん」つまり資産調整勘定への課税も変わります。適格組織再編と認められるための要件は以下のとおりです。

組織再編の種類

要件

100%グループ内での組織再編行為 

継続保有要件を満たしていること

50%超100%未満のグループ内での組織再編行為

従業員引継要件・事業継続要件・

支配関係の継続要件を満たしていること

共同事業を営むための組織再編行為

従業員引継要件・事業継続要件・事業関連性要件・

事業規模要件あるいは経営参画要件および保有要件を満たしていること

上記の要件を満たす適格組織再編の場合、資産・負債は簿価で引き継ぐため、資産調整勘定(のれん)に対する課税は生じません。

しかし、要件を満たせなかった場合は非適格組織再編となり、資産・負債を時価で引き継ぐため、資産調整勘定(のれん)も課税対象となります。

のれんの減損処理

M&Aではほとんどのケースで「のれん」が生じます。しかし、M&Aの「のれん」は将来的な価値・収益を基に決まるため、想定した業績が得られなかったりシナジーが十分発揮されなかったりした場合はM&A後に「のれん」を下方修正しなければなりません。

これを「のれん」の減損処理といい、譲受側企業にとっては株価低下や企業価値低下につながるリスクもあるものです。

のれんの減損とは

のれんの減損とは、M&A時の「のれん」の価値を下方修正することをいいます。のれんの減損が必要となるのは、M&A実行時点で計上した「のれん」の額が回収困難だと判断した場合などです。

そのような場合、本来の「のれん」価値を評価して修正する必要があります。のれんの減損は、会計上では当期特別損失に計上できますが、税務上は損失扱いが認められていません。そのため、譲受側企業が受ける影響は非常に大きくなります。

のれんの減損が起こる理由

のれんの減損が起こるのは、M&A後の業績が上がらず想定していた利益が得られていないケース、譲受側が買収価格を高く見積もりすぎたケース、どちらかである場合がほとんどです。

M&Aの「のれん」は、譲受側企業がM&A後の収益予測を前提に決定した譲受(買収)価額と、譲渡側企業の純資産額(時価)との差がある場合に生じる仕組みとなっています。

M&A後に想定していた以上の収益が得られれば「のれん」額を回収できるので、譲受側にとってM&Aは成功したといえるでしょう。ですが、業績が想定よりも伸びなかった場合は「のれん」の価値は毀損するため、正しい価値評価をしなおさなければなりません。

M&A後の業績予測は非常に難しく社会情勢などの外部要因も影響するため、のれん減損が必要となるケースのほとんどはM&A後の収益が伸びなかったことが理由です。

また、譲受側企業が譲渡側企業の「のれん」を高く評価しすぎたために、減損処理が必要となるケースも多いです。いわゆる「高値掴み」と呼ばれる状態がこれにあたり、譲渡側企業の無形資産に対する期待が大きすぎたために、その分が回収できないケースもあります。

M&Aの価額は最終的に交渉で決まるため、譲受側企業は「のれん」をどう評価するかによって価額が大きく変わるケースもあるでしょう。しかし「のれん」額が大きすぎればM&A後の経営が傾くおそれもあるため、譲受側企業は慎重に価額を決定する必要があります。

減損テストとは

減損テストとは「のれん」として計上した価値をDCF法によって算定し、事業の簿価と比較して減損の有無を確認することです。減損テストを行った結果、減損がある場合は回収可能額を上回る額を減損損失として計上しなければなりません。

M&A時に生じた「のれん」は資産計上しますが、ずっと同じ価値が続くわけではないため、現時点の価値がどのくらいあるのかを定期的に確認し、価値が棄損している場合は資産評価を下げる処理が必要です。

詳しくは後述しますが、会計基準には日本基準とIFRS(国際財務報告基準)があり、IFRS(国際財務報告基準)では耐久年数が確定できない無形資産とのれんについて、毎年減損テストを最低一度以上行うことが決められています。

日本基準の場合は「のれん」とそのほかの無形資産は一定期間に渡り規則的な償却が行われますが、減損の兆候があった場合は減損処理の対象となる点に注意が必要です。

国際会計基準(IFRS)と日本会計基準の違い

会計基準には、日本会計基準とIFRS(国際財務報告基準)の2つがあります。企業はどちらかの基準に準じて会計処理を行いますが、2つの会計基準では「のれん」の処理が変わる点に注意が必要です。

日本会計基準では、M&Aの「のれん」は一定期間に渡り規則的に償却します。「のれん」の減損兆候がある場合は減損処理を行うかどうかの判定をしますが、兆候がなければ規則的に償却される仕組みです。

そのため、実務負担は少なくて済みますが、超過収益力を意味する「のれん」が規則的に償却されることで営業利益に負の影響が及ぶデメリットもあります。

一方のIFRS(国際財務報告基準)では、M&Aの「のれん」は規則的には償却されず、代わりに減損テストを毎年行って帳簿価額と回収可能価額を比較し、必要があれば減損処理をする決まりとなっています。

この仕組みではM&Aの「のれん」は毎年償却されるわけではないので、損益計算書上は利益がマイナスにならない点がメリットです。

ですが、毎年少なくとも1回以上の減損テストを行わなければならないため、実務負担が大きくなりやすく、減損処理が必要となった場合に計上される減損損失額は日本会計基準より大きくなるというデメリットもあります。

日本会計基準でののれん会計処理

日本会計基準とIFRS(国際財務報告基準)では、M&Aの「のれん」の会計処理が変わります。そのため、会計処理を行う際は自社が採用している会計基準に準じて「のれん」の償却や減損を行わなければなりません。ここでは、日本会計基準における「のれん」の会計処理を説明します。

のれんの償却期間・会計処理

日本会計基準を採用している場合、M&Aで生じた「のれん」は資産に計上し、20年以内の一定期間に渡り均等償却します。

「のれん」の償却期間は20年以内ですが、各企業の判断で期間を設定することが可能です。一般的に、償却期間は投資額(買収額)の回収期間を見積もり、それに基づいて決定します。

たとえば、M&Aによる投資額(買収価額)を10年間で回収できると見積もった場合は、償却期間を10年間に設定し、10年間は均等償却を行うということです。

負ののれんの処理

「負ののれん」は、最終的な買収価額が譲渡側企業の純資産額(時価)を下回った場合に生じるものです。「負ののれん」の会計処理は「(正の)のれん」とは異なり、発生した期の特別利益として一括計上します。

「負ののれん」がなぜ特別利益になるのかと考える人もいるかもしれませんが、これは譲渡側企業の純資産額(時価)より安く企業を買収する非経常的な取引で利益が生じるためです。また、「負ののれん」は資産に計上するわけではないため、もちろん償却も行いません。

会計処理の仕訳例

ここでは、M&Aで生じた「のれん」償却の仕訳をみていきましょう。なお、仕訳の前提条件は、のれん計上額が2000万円、償却期間は10年とします。この場合、2000万円を10年間の定額法で減価償却するので、仕訳は以下のとおりです。

借方

貸方

のれん償却:200万円 

のれん:200万円

仕訳の摘要欄には「のれん(2000万円)の10年間定額償却1年目」などと記載しておきます。なお、株式譲渡などでM&Aを行った場合は「のれん」を連結財務諸表で計上するため、のれん償却費も連結仕訳で計上しなければならない点に注意が必要です。

のれん減損処理の判断

M&A後の事業計画がうまく進まなかったなどの理由で、「のれん」分の投資額を回収するのが困難になった場合は、のれん減損処理が必要です。のれん減損処理を行うかどうかは以下の手順で判断し、減損損失の計上の有無を判定します。

  1. 減損兆候の把握:キャッシュフローや営業活動による損益が継続的にマイナスの場合などは減損兆候ありと判断する
  2. 減損損失の認識:帳簿価額とキャッシュフロー(割引前)を比較し、キャッシュフロー値が帳簿価額を下回るときは次の段階へ進む
  3. 減損損失の測定:回収可能な価額まで減損損失を計上する

M&Aの「のれん」がM&A実行時の計画から業績が下振れてマイナスが続いている場合は、減損の兆候ありと判断します。

減損の兆候ありと判断したら減損損失の認識と測定へ進み、減損損失を計上する流れとなりますが、減損判定の手順は固定資産と同様に行えば問題ありません。

なお、M&A手法によって判定する資料が異なり、株式譲渡や株式交換は連結財務諸表、合併の場合は個別財務諸表で判定します。

IFRSでののれん会計処理

 IFRS(国際財務報告基準)を採用している場合、「のれん」の処理が日本会計基準とは異なるため注意が必要です。次は、IFRS(国際財務報告基準)における「のれん」の会計処理を説明します。

のれんの償却無し

IFRS(国際財務報告基準)では「のれん」の償却は行いません。「のれん」を償却処理した場合、損益計算書上は費用計上されるため、営業利益にも影響がでてしまいます。

しかし、IFRS(国際財務報告基準)の仕組みでは損益計算書上は利益がマイナスにならず、営業利益への影響がない点が大きなメリットです。

毎年の減損テスト

IFRS(国際財務報告基準)では「のれん」の償却を行わない代わりに、毎年減損テストを行わなければなりません。

日本会計基準では減損兆候がある場合のみ減損テストを行えばよいので、それに比べると実務負担は大きくなるのがデメリットです。

また、減損テストは減損兆候の有無によらず、年に最低1度以上は行う決まりとなっており、必要であれば数回行うこともあります。ですが、実施時期は決算月でなくてもよいとされており、毎期同じタイミングで行えば問題ありません。

M&Aでののれん減損要因

M&Aでの「のれん」を減損する要因はいくつか考えられますが、減損を極力防ぐためには主な要因を知っておくことが重要です。ここでは、M&Aでの「のれん」が減損する主な要因を説明します。

業績予想の下振れ

M&Aの「のれん」は譲渡側企業の将来の収益力を表したものですが、M&A前に想定していたシナジーが発揮されなければ業績予想が下振れることもあるでしょう。

想定していたより業績が伸びなければ、当然「のれん」の価値が毀損することとなり、減損処理が必要になります。業績予想の下振れは、実際のケースでもっとも多い減損理由です。

工場機能の評価ミス

製造業のM&Aで多くみられる「のれん」の減損要因に、工場の生産性や機能の評価ミスがあります。製造業の場合、工場の生産性や独自技術などの強みが売上に直結するため、M&Aの価額交渉でも大きなポイントとなるものです。

他業種のM&Aと同様、譲受側企業は譲渡側企業の実態を細かく調査したうえで、M&A後の見込みをたて買収価額を決定します。

しかし、この見込みに誤りがあった場合、M&A後に想定していた収益は得られないということです。そうなれば「のれん」額を回収できない可能性が高くなるため、のれん減損の必要がでてきます。

ブランド価値の下落

企業のブランド力や信用力も「のれん」に含まれる要素のひとつです。譲受側企業が買収価額を決める際、M&A時のブランド価値が維持されることを前提とします。

そのため、M&A後にブランド価値や信用力を大きく損なう事象が起これば、顧客離れなどを引き起こし企業価値も大きく下がる可能性が極めて高いです。そうなれば「のれん」の価値は毀損するので、減損処理が必要となります。

不十分なデューデリジェンス

M&Aでは基本合意を締結した後に、譲受側企業がデューデリジェンスを行い、譲渡側企業の実態を調査しM&A実行の可否や買収価額の妥当性を判断します。

デューデリジェンスは財務・法務・人事などの各分野について専門家がリスクの有無や程度、開示情報の正確性を調査することです。

限られた期間で調査を行うため、すべてのリスクを洗い出すことは非常に難しいですが、しっかり行えば譲渡側企業の実態をある程度正確に把握することが可能です。

デューデリジェンスの範囲は譲受側企業が決めるため、必要十分な調査を行わなければM&A後に把握していなかったリスクが顕在化するおそれもあります。

中小企業のM&Aで多くみられるのは簿外債務の存在です。このようなリスクがM&A後に発覚した場合、金額や内容によっては「のれん」の減損要因となり得ます。

実態より高額な買収額

M&Aは交渉で買収価額が決定する相対取引であるため、譲受側企業が「のれん」を高く評価した場合などは、譲渡側企業の純資産額を大きく上回る額で成立することも珍しくありません。

「のれん」は譲渡側企業が生み出す将来の収益期待値を表しますが、その期待が大きすぎて実態よりも高く買収してしまうと、譲受側企業は「のれん」の額を回収するのが難しくなります。

これは「高値掴み」と呼ばれることもあり、このケースでは「のれん」の回収が困難となり、のれん減損要因となる場合がほとんどです。

M&Aでののれん減損対策

のれん減損は、端的にいえばM&Aの失敗です。譲受側企業からすれば適切な買収価額を設定し、M&A後に想定していた効果が得られる状態が望ましいといえるため、のれん減損を回避すべく対策を練っておく必要があります。

競合他社との比較

「のれん」の減損を避けるためには、なによりも譲渡側の実態に見合った買収価額を設定することが重要です。そのためには、譲渡側企業の価値・強み・弱みを競合他社と比較する必要があります。

競合他社と譲渡側企業を比較することで、将来の予測収益を考える精度を上げることが可能です。結果として実態に合った買収価額の設定ができるため、「のれん」の減損リスクを下げることにつながります。

デューデリジェンスの徹底

M&A後に潜在リスクや顕在リスクが発覚した場合、「のれん」の減損要因となります。譲渡側企業が抱えているリスクは、デューデリジェンスを徹底することで把握することが可能です。

譲受側企業はデューデリジェンスをどの範囲まで行うかをよく検討し、リスクの有無や程度を洗い出せるように調査を進めていく必要があります。

厳密な企業価値評価

M&Aの価額交渉は、企業価値評価をベースに行います。そのため、適切に企業価値評価を行っておかなければ、実態以上に「のれん」を高く見積もってしまい、結果的に投資分を回収できないということにもなりかねません。

適切な企業価値を出したうえでデューデリジェンスを加味した買収価額を設定することで、実態と「のれん」の価値との剥離が少なくなり、のれん減損回避につながります。

採用する会計基準の検討

自社で採用している会計基準を変更するというのも、のれん減損回避手段のひとつです。日本会計基準では「のれん」を定額法で償却するため営業利益にも影響しますが、IFRS(国際会計基準)では「のれん」を償却しないため、損益計算書上は利益がマイナスにならない仕組みとなっています。

このIFRS(国際会計基準)の仕組みを利用するのも、のれん減損回避方法のひとつですが、注意点は会計基準は継続適用が前提となるため、M&A以外で生じる会計処理への影響も考慮しておくことです。

また、IFRS(国際会計基準)を採用する場合、導入コストも高くなるため総合的に判断する必要があります。

組織再編

収益性が向上すれば「のれん」の減損を避けることもできます。収益性を向上させる方法のひとつは、M&A後に人材の再配置を行うなど組織体制を変えることです。

M&A後は譲渡側企業・譲受側企業のリソースを相互活用できるので、業務効率がよく収益性が見込める組織体制を構築することも可能となります。

人件費の検討

事業にかかるコストを削減できれば、当然その分だけ利益を見込むことができます。コスト削減の方法はいろいろあり、人件費の削減もそのひとつです。

企業のコストにおいて人件費が占める割合は大きく、事業内容によってはコストの大半を人件費が占めることもあります。

M&Aでは実施後に人員が重複する部門が出やすいため、効率的な人員配置を行ったり人員整理したりすることで収益性の向上を図ることも、のれん減損回避方法として効果的です。

M&Aでののれんの問題事例

実際に行われたM&Aのなかには、巨額の「のれん」が問題となり経営に影響が及んだケースもあります。ここでは、M&Aの「のれん」が実施後に問題となった事例をみていきましょう。

ライザップの負ののれん

2014年頃、ライザップ(現:RIZAPグループ)は業績が悪化した企業を安値で買収して事業拡大を図る戦略をとっていました。

実際に2017年には前年の2倍近くまで売上高が増えるなど、ライザップ(現:RIZAPグループ)の企業規模は順調に拡大していきます。

2018年後半まで積極的にM&Aを行い、業績が悪化した企業を安値で買収して「負ののれん」を計上することで特別利益を積み上げますが、M&Aによって買収した企業の多くで経営改善が思うように進まず、2018年にはグループに巨額の営業赤字が計上される結果となりました。

そして、ライザップ(現:RIZAPグループ)は2018年11月、M&Aによる拡大戦略を一時停止することを発表しています。

ディー・エヌ・エーののれん減損

2010年、ディー・エヌ・エー(以下 DeNA)は、アメリカや中国におけるスマホ市場での成長を狙い、スマホ向けのソーシャルゲームアプリを開発するngmoco社を買収しました。

当時のDeNAは日本会計基準を採用していたため、ngmoco社買収の「のれん」は12年間で償却するはずでしたが、2012年に国際会計基準に変更したことで、この「のれん」の償却が不要となったのです。

その後、スマホ市場への進出が進まないままngmoco社の収益が悪化してしまい、2016年には解散となりましたが、この時点でDeNAは「のれん」はゲーム事業全体にかかわるものとして減損処理を行いませんでした。

しかし、その後ゲーム市場での見通しが厳しくなり、結果として2020年にngmoco社の「のれん」を含めた約400億円をゲーム事業の減損損失として計上しています。

楽天ののれん減損

楽天(現:楽天グループ)も、過去に巨額の「のれん」減損損失を計上しています。この「のれん」は音楽や動画のストリーミングサービスを提供するアメリカのViki社を買収した際に生じたものです。

Viki社の買収価額は約200億円でしたが、減損テストの結果、M&A実行時に想定した投資の回収は困難と判断し、2016年に約200億円をのれん減損として計上しました。

最終的に楽天(現:楽天グループ)は買収額とほぼ同額の損失を計上したこととなり、新規事業進出の難しさがわかる事例です。

東芝ののれん減損

2006年度、東芝はアメリカの原子力発電所大手であったウェスチングハウス社を、約6600億円で取得しました。東芝はIFRS(国際財務報告基準)を採用しているので「のれん」は償却せず、毎期ごとに減損テストを行っており、2011年度まではのれんの減損兆候はありませんでした。

しかし、その後に東日本大震災による福島第1原発の事故が起こり、その影響で原子力発電所の建設案件は後送りとなったことで、2012年度にウェスチングハウスグループが行った減損テストにおいて同グループでは減損損失が計上されます。

その一方、東芝の連結グループでは、連結において公正価値が帳簿価額を上回ったことで減損損失を取り消していました。

その翌年も、ウェスチングハウスグループでは案件受注の遅れによる追加の減損損失が計上されますが、東芝の連結グループでは減損損失が計上されないままでした。

それ以降、2016年までウェスチングハウスグループで減損損失の追加計上はなく、東芝の連結グループでは減損損失が計上されていない状態が続きます。

ですが、2016年3月、東芝は連結グループにおける財務状況の見通しが著しく悪化したとの理由から、約2600億円という巨額の減損損失が計上される結果となりました。

M&Aののれんまとめ

M&A価額を決定するうえで「のれん」は非常に大きな意味を持つ要素です。特に中堅・中小企業におけるM&Aの場合、「のれん」は譲渡側企業・譲受側企業の両者に大きな影響を及ぼすため、どちらの立場であっても、M&Aの「のれん」の仕組みや内容を正しく理解しておく必要があります。

特に譲受側企業にとっては、「のれん」を回収できるか否かは、将来の事業運営に大きくかかわる要素なので慎重に判断しなければなりません。M&A実施を検討する際は「のれん」の存在やリスクも念頭におくことが重要です。 

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