M&Aの価格相場や算定方法は?高値で売却するポイントも要チェック!
M&Aを実施する企業が増えつつありますが、価格相場などを意識せずに取引を進めてしまうケースも見られています。M&Aの際には高値で売却するポイントを押さえておく必要があります。今回はM&Aを検討している企業に向けて、M&Aの価格について体系的に解説します。
目次
M&Aの価格相場
M&Aを実施する前にどの程度の価格相場になっているのか知ることが大事です。
事業売却などの価格相場を知っていれば、取引価格が適切なものなのか判断しやすいです。
まずはM&Aにおける価格相場がどのようなものなのかについて解説します。
M&Aの価格相場は?
M&Aの価格相場は業界・業種ごとで実施されているM&Aの平均取引価格のことです。
価格相場は市場の動向によって変動します。
具体的には後ほど説明しますが、市場の流れが変わると商品・サービスを提供する企業のニーズも変わります。
その流れによって価格相場が変動しやすいです。
M&Aの価格決定の要素
M&Aの価格を決める要素として主に以下のものがあげられます。
- 市場価値
- 企業価値
- 純資産
- M&A実施後の利益
以下で詳細を解説します。
①市場価値
市場価値は業界・業種ごとで株式相場・経営指標などを基に決まる価格です。
世の中のニーズの変化に合わせて企業がアクションを起こすと、その要素が市場に影響を与えます。
価格相場が流動的になる主な理由は市場価値にあると考えておいてください。
②企業価値
企業価値は企業全体の価値を価格に表したものです。
M&Aを実施する際に、同じ条件のA社の企業価値が600万円、B社の企業価値が800万円と仮定すると、700万円前後が価格相場と判断できます。
企業価値と価格相場は密接に関わっていると考え、適切な取引価格がどの程度か判断してみてください。
ちなみに、市場価値・純資産・M&A実施後の利益のいずれの要素も企業価値評価を行う際に用いる場合があります。
③純資産
純資産は財務諸表に記載されている資産と負債を差し引いた差額です。
資産の中には金融機関の借入などで手にしたものも含まれるため、相手企業の価値を算定する際には純資産を基準とします。
そのまま純資産額を企業価値として用いる方法もありますが、厳密には他のさまざまな要素を考慮したほうが本来の企業価値の数値に近づけやすいです。
④M&A実施後の利益
M&A実施後の利益はM&Aによって獲得できる短期的な利益です。
相手企業の持つ技術力やブランド力などは事業売却などが完了した時点で手に入ります。
会計処理上は「のれん」として計上され、のれんを踏まえた企業価値を計算することで技術力やブランド力などを含んだ企業価値が算定できます。
M&Aの価格算定方法
M&Aの価格相場に関わる要素を踏まえ、事業売却した場合の企業価値の計算方法を解説します。
主に用いられるM&Aの価格算定方法として以下のものがあげられます。
- インカムアプローチ
- コストアプローチ
- マーケットアプローチ
以下で詳細を解説します。
①インカムアプローチ
主に用いられるM&Aの価格算定方法として、インカムアプローチがあげられます。
インカムアプローチは将来の収益性に基づいて企業価値を算定する方法です。
主にDCF法が用いられ、将来のキャッシュフローを一定のリスクで割り引いて現在価値に換算した価格を取引に用います。
企業の将来性を加味した評価ができるため、将来の利益を考えたM&Aが実行しやすいです。
加えて、複数の事業を掛け合わせた計算もできる点で、シナジー効果も考慮できます。
ただ、将来の収益の見込みがはっきりしていないと現場では使えません。
②コストアプローチ
主に用いられるM&Aの価格算定方法として、コストアプローチがあげられます。
コストアプローチは貸借対照表に基づいて企業価値を算定する方法です。
財務状況を表す部分だけで企業価値の目安が把握でき、計算式もさほど複雑ではない分客観性を保った企業価値評価ができます。
主に時価純資産法や簿価純資産法が用いられています。
時価換算したほうがM&A取引時点での価格が算定しやすいため、時価純資産法が用いられることが多いです。
ただ、客観性は保たれていても相手側のニーズも絡んできます。
そのため、実際は決められた算定方法で計算した通りの金額で取引されることは少ないです。
③マーケットアプローチ
主に用いられるM&Aの価格算定方法として、マーケットアプローチがあげられます。
マーケットアプローチは市場価格に基づいて企業価値を算定する方法です。
さまざまな出来事が起きることで客観的に価格が変動する市場の価格がベースとなるため、貸借対照表を用いた場合と同様に客観性重視の計算が可能です。
主に類似企業比較法や類似取引比準法などが用いられ、類似企業を参考にして企業価値を算定します。
ただ、M&Aにおいて類似した企業の事例は数少ないため、手間暇がかかってしまいます。
特に非上場企業だと類似した事例を探す方法は現実的でないため、他の方法が用いられることが多いです。
M&Aの価格算定の流れ
M&Aの取引を行う前に価格算定の流れを押さえておきましょう。
M&Aの価格算定の流れは以下の通りです。
- 企業価値の算出
- 価格交渉の実施
- 譲渡価格の決定
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
以下で詳細を解説します。
①企業価値の算出
まずは先ほど紹介したM&Aの価格算定方法で企業価値を算出します。
どのM&Aの企業価値評価のスキームを採用すべきか判断できない場合は、M&A仲介会社などの専門家に相談してください。
専門家に相談すれば、事業売却などの目的などを踏まえて適切なスキームを選択してくれます。
加えて、インカムアプローチなどの主観が求められる方法でも適切な企業価値評価が実施しやすいです。
②価格交渉の実施
次に、相手企業と価格交渉を行います。
企業価値評価した価格をそのまま使うのではありません。
相手企業のニーズを価格に反映させるために、算定した価格を元に交渉を行った上で最終的な取引価格を決めます。
お互いに納得できる価格になるまで交渉を続けてください。
③譲渡価格の決定
価格交渉の末、最終的な譲渡価格を決めてください。
このとき、基本合意書の手続きも並行して進めましょう。
④デューデリジェンスの実施
基本合意書の手続きだけでなく、デューデリジェンスも実施してください。
内部情報のリスクを知り、取引相手として問題ないと判断する必要があります。
加えて、内部情報のことを価格に反映させるために再度企業価値評価を行い、その価格を譲渡価格に反映させてください。
⑤最終契約書の締結
デューデリジェンスを行った上で予定通り取引を進める場合、最終契約書を結んでください。
最終契約書を結んだらM&Aが実行され、最終的に決めた取引価格で事業・資産などの譲渡が行われます。
M&Aの価格交渉方法
M&Aでの取引価格を決めるために、相手企業と交渉する必要があると説明しました。
ここでは具体的にどのようにして価格交渉を進めるのかについて解説します。
M&Aの価格交渉の方法として以下のものがあげられます。
- 入札方式
- 個別交渉方式
以下で詳細を解説します。
入札方式
入札方式は複数社からM&Aに関する条件を提示してもらい、最終的な取引相手を決める方式です。
この方式は相手企業のニーズが価格に反映されやすいため、高い価格で売却したい場合に適した方法となっています。
ただ、入札方式だと交渉相手と契約する必要があり、売却手続きが中断できない点に注意してください。
個別交渉方式
個別交渉方式は買収を希望する企業から1社を選び、それから価格交渉を行う方式です。
1社に絞り込んでから価格交渉を進めることになるため、お互いにとって納得できる価格での取引が可能です。
また、入札方式のように金額さえ詰んでしまえば最適な取引ではないとしても売却手続きが実行されてしまうケースは避けられます。
ただ、交渉しても合意に至らなかった場合は、別の買い手と一から交渉を始めることになり、やや手間がかかってしまいます。
M&Aの譲渡価格を高くするためのポイント
M&Aの譲渡価格を高くするためのポイントも熟知しておきましょう。
M&Aの譲渡価格を高くするためのポイントとして以下のものがあげられます。
- 自社のセールスポイントをアピールする
- 正確な情報を提供する
- 価格交渉方法をオークション方式にする
以下で詳細を解説します。
自社のセールスポイントをアピールする
M&Aの譲渡価格を高くするためのポイントとして、自社のセールスポイントをアピールする点があげられます。
相手企業のニーズと自社のセールスポイントがマッチしていても、それが相手企業に伝わらないと価格には反映されません。
そのため、相手企業のニーズがどこにあるのか、自社のセールスポイントが何かを把握して交渉時にしっかりアピールしましょう。
業界の動向を確認しておけば相場よりも高く見積もってもらうための要素が何か判断しやすいです。
正確な情報を提供する
M&Aの譲渡価格を高くするためのポイントとして、正確な情報を提供する点があげられます。
誤った情報が提供されると価格にも影響を与えます。
誤った情報をきっかけとしたトラブルが起きるリスクも高くなるため、正確な情報であるか確認した上で情報提供を行ってください。
ちなみに、情報の取り扱いを徹底する秘密保持契約を結んだ上で情報提供を行う必要があります。
価格交渉方法をオークション方式にする
M&Aの譲渡価格を高くするためのポイントとして、価格交渉方法をオークション方式にする点があげられます。
オークション方式ならオークションに参加する企業同士が競り合うことで価格が高くなっていきます。
ただ、業界の動向も踏まえつつ、よほどニーズの高いものがないと高い価格は見積もってもらえません。
M&Aの価格決定における注意点
適正価格で取引するためにも、M&Aの価格決定においていくつかの注意点があります。
M&Aの価格決定における注意点として以下のものがあげられます。
- M&Aの適正価格を把握する
- 複数候補の交渉先を比較する
- M&Aの専門家へ相談する
以下で詳細を解説します。
M&Aの適正価格を把握する
M&Aの価格決定における注意点として、M&Aの適正価格を把握する点があげられます。
適正価格を知らないまま取引を進めると損してしまう可能性があります。
事業売却の際には同じ条件での取引事例が少ないため、相場は参考にできません。
ただ、類似企業の事例を比較すれば適正価格での取引を実現しやすいです。
複数候補の交渉先を比較する
M&Aの価格決定における注意点として、複数候補の交渉先を比較する点があげられます。
事業売却などの際にいくつかの企業が候補として名乗り出ることがあります。
その場合、どの企業が自社の事業に大きな影響を与えるか、どの程度の価格で交渉を進めてくれるかなどの要素を踏まえ、比較検討してみてください。
比較検討する際には、相手企業ごとでさまざまな要素が異なる点を考慮しましょう。
M&Aの専門家へ相談する
M&Aの価格決定における注意点として、M&Aの専門家へ相談する点があげられます。
M&Aの専門家からは業界の動向や成功事例などのさまざまな要素を踏まえたアドバイスがもらえます。
また、取引価格もより適切な価格になりやすいため、専門家を頼って事業売却などを実施すべきです。
専門家によって得意分野が異なるため、事業売却などの目的に合った専門家を利用してください。
M&Aの価格は専門家へ相談して円滑に手続きを進めよう!
M&Aを実施する際には取引価格を決める必要があり、その価格はさまざまな要素によって変わってきます。
また、価格交渉の方式や自社の魅力のアピール、複数候補の交渉先の比較検討などの要素でも価格が変動します。
適切な価格で取引するのであれば専門的な知識が必要になるため、専門家に価格交渉をサポートしてもらうべきです。
スムーズにM&Aの手続きも進めやすくなるため、M&Aの専門家を利用してください。
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