M&Aの相談はどこにすべき?相談先の選び方や料金とメリットデメリットを解説!
M&Aをご検討の方に向けて、さまざまな相談先をご紹介します。それぞれのM&Aの相談先の特徴やメリット・デメリット、選び方や注意点、発生する費用・料金などが主な内容です。また、M&Aの売り手・買い手でよくある相談内容も取り上げています。
目次
M&Aの相談件数の動向
M&Aの件数は毎年増加傾向にあります。
2019年に過去最高件数を記録したものの、2020年はコロナ禍の影響で前年比減でした。しかし2021年、2022年と再び過去最高件数を記録するに至っています。現在、日本におけるM&Aは最も隆盛期にあるといえるでしょう。
また、2023年版中小企業白書では、中小企業庁からの委託事業として各都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターに、中小企業から寄せられたM&Aの相談社数も公表されています。
M&A相談先9選
ここでは、以下の5つのカテゴリーに分け、M&Aの相談先となる会社や機関などを紹介します。
- M&Aの専門業者
- M&Aを支援する機関や団体
- M&Aを一部取り扱う企業
- M&Aに関係する士業
- その他
M&Aの相談先をどこにするか検討する際の参考にしてください。
M&Aの専門業者
M&Aの相談先となるM&A専門業者には、以下の2種類があります。
- M&A仲介会社
- M&Aアドバイザリー
それぞれの特徴、メリット・デメリットを説明します。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、上図のような仲介契約という形式を取るのが特徴です。仲介契約とは、M&Aの売り手・買い手双方と契約し、両者の間を取り持つ(=仲介する)ように業務を行います。
そのことから、比較的、M&Aが成約するまでの期間が短めであることがメリットの1つです。その反面、成約のために条件面で妥協を求められやすい傾向があり、これはデメリットといえるでしょう。
M&A仲介会社はM&A専門業者ですから、専門的な知識・経験を有しています。そのうえで、M&Aに関する全てのサービスをワンストップで提供できるのが、M&A仲介会社の最大の強みでありメリットです。
一方、着手金や中間金、リテイナーフィー(月額報酬)などの料金が発生するM&A仲介会社の場合は、M&Aが成約できなかったときでも、それらの費用が返金されないのはデメリットといえます。
なお、最近はM&A仲介会社においても、仲介契約ではなく、アドバイザリー契約で業務を行う会社も増えてきました。アドバイザリー契約の詳細は次項で説明します。
M&Aアドバイザリー(FA)
FA(ファイナンシャルアドバイザー)とも呼ばれるM&Aアドバイザリーは、クライアントとアドバイザリー契約という形式で仕事を請け負います。アドバイザリー契約とは、上図のようにM&Aの売り手・買い手のどちらかとのみ契約するものです。
この場合、M&Aアドバイザリーは、極力、条件面の妥協をすることなく、クライアントが最大限の利益を得られるように業務を行います。
そのことがメリットである反面、妥協をしないために交渉期間が長引きやすく、場合によってはM&Aが破談するおそれもあることなどが、M&Aアドバイザリーのデメリットです。
M&Aを支援する機関や団体
M&Aの相談先となる、M&Aを支援する代表的な機関や団体は以下の2つです。
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 商工会議所・商工会
それぞれのM&Aの相談先としての特徴、メリット・デメリットを説明します。
事業承継・引継ぎセンター
事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業庁からの委託事業として各都道府県に設置された公的機関です。原則、各道府県に1つずつ設置されていますが、東京都のみ2つの事業承継・引継ぎ支援センターがあります(都心部と多摩地区)。
事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業や個人事業主の事業承継全般の相談を受けつけ、支援を行っている機関です。後継者のいない中小企業や個人事業主の場合、廃業を免れるにはM&Aでの事業承継を目指すしかありません。そのような中小企業、個人事業主の支援も、事業承継・引継ぎ支援センターは行っています。
事業承継・引継ぎ支援センターのメリットは、公的機関であることから相談や支援は無料で受けられることです(ただし、紹介を受けた外部の民間提携機関・会社に業務を依頼する場合は有料)。
事業承継・引継ぎ支援センターは、M&Aによる事業承継の相談は受けてもM&Aの仲介業務は行いません。この点はデメリットであり、実際に中小企業がM&Aを行う際は、提携している民間のM&A仲介会社などが紹介され、そちらに業務を依頼する流れです。
また、事業承継・引継ぎ支援センターでは、中小企業を事業承継する形式で起業を目指す個人と、後継者不在の中小企業をマッチングする「後継者人材バンク」という事業も行っています。
商工会議所・商工会
商工会議所・商工会は、一定地域内ごとに設置されている公益経済団体です。同地域の商工事業者が自由意思で会員となり、組織されています。
経営相談やセミナーの開催、各種支援制度などが主な活動内容です。経営相談の一環として、M&Aの相談も受けつけています。
商工会議所・商工会のメリットは、会員事業者の情報を細かく把握しているため、同一地区あるいは隣接地区などで思わぬM&Aの相手が見つかるなどの可能性がある点です。相談は何度でも無料でできます。
商工会議所・商工会のデメリットは、相談をするためには基本的に会費を納入して会員になっておかなければならないことと、商工会議所・商工会はM&Aの専門機関ではないため、M&Aの仲介業務などは行っていないことです。
M&Aを一部取り扱う企業
本業以外にM&Aの仲介業務を行っていてM&Aの相談先となり得るのが、証券会社、都市銀行、地方銀行などの金融機関です。金融機関にM&Aの相談をする場合の特徴、メリット・デメリットを説明します。
金融機関
近年、金融機関でもM&Aの部門を組織してM&A仲介業務に乗り出すところが増えてきました。ただし、証券会社や都市銀行がM&Aを手掛ける場合の契約相手は、金融業での顧客や取引先である大手企業がほとんどです。
したがって、中小企業のM&Aの相談先としては地方銀行がターゲットになりますが、地方銀行の全てでM&Aの専門部署があるわけではない点がデメリットになります。
また、地方銀行にM&Aの専門部署があったとしても、まだ実績・経験は少なくM&Aの専門業者と比べると、高い信頼は置きづらいこともデメリットです。
一方、メリットとして、金融機関は支店間のネットワークという独自の情報網があることから、M&Aの専門業者とは違ったM&Aの相手探しができます。
取引銀行であれば普段からのつき合いがあるため、信頼してM&Aの相談ができるのもメリットでしょう。また、M&Aの買い手側であれば、買取り資金のことも同時に相談できるメリットがあります。
M&Aに関係する士業
M&Aに関係する以下の士業も、M&Aの相談先として有望です。
- 税理士・会計士
- 弁護士
- 中小企業診断士
それぞれの士業のM&Aの相談先としての特徴やメリット・デメリットを説明します。
税理士・会計士
公認会計士と税理士は別々の資格ですが、両方の資格を取得しているケースも多くあります。また、近年は事業承継ニーズからM&Aの仲介業務に参入している公認会計士や税理士も目立つようになってきました。
自社で顧問契約をしている公認会計士や税理士にM&Aの相談をする場合、自社の経営状況をよく把握しているため、現実的なアドバイスを得られることがメリットでしょう。
ただし、M&Aの業務に参入していない公認会計士や税理士であれば、アドバイスさえ得られない可能性が高いことはデメリットです。
仮にM&Aの仲介業務を行っているとしても実績・経験は浅く、M&Aの専門業者のようなワンストップでのサービス提供はあまり期待できないのもデメリットといえるでしょう。
弁護士
弁護士は、M&Aの各プロセスに関わる頻度が高い士業です。その関係でM&Aの仲介業務に参入する弁護士事務所も出てきました。顧問契約を結んでいる弁護士であれば、信頼関係もあることからM&Aの相談もしやすいのはメリットでしょう。
また、弁護士は、M&Aの交渉がスタートしてからも、万が一のトラブル対応や契約書の作成・チェックなど、頼もしい存在であることもメリットです。
ただし、弁護士の専門性は法律領域であるため、財務(会計)や税務の知識も必要なM&Aの場合、相談できる内容が限られてしまう点はデメリットになります。
中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業を専門に経営コンサルティングを行う国家資格の士業です。中小企業診断士をM&Aの相談先とする場合、M&Aの戦略策定面や売り手として企業価値を向上させて売却価額を上乗せしようといった対策などが得意でありメリットといえます。
一方、中小企業診断士は必ずしもM&A全般をカバーする士業ではありません。基本的にM&Aの仲介業務も行わないことから、M&A全般の相談先としては、あまり向いていない点はデメリットでしょう。
その他
ここまで紹介したM&Aの相談先以外のものとして、経営者仲間をM&Aの相談先とした場合のメリット・デメリットを説明します。
経営者仲間
経営者仲間とは、知人の中で経営者をしている人物や取引先の経営者などが該当します。それらの人物の中で実際にM&Aを経験したことのある人がいてM&Aの相談先とするなら、第三者ではなく当事者としての生の話が聞けるのはメリットです。
手続きの進め方や対応に困ったことなど実体験が聞けるでしょう。ただし、M&Aは案件ごとに個々の状況は異なるため、同業種で企業規模も同程度など類似した会社の話でない場合、あまり参考にならないのはデメリットです。
また、これまで紹介したM&Aの相談先は第三者であることから、相談時には秘密保持契約を行ってから相談を行います。
その点、経営者仲間へのM&Aの相談の場合、秘密保持契約を締結して話をするとは考えにくいため、相談をしたことによって、外部にM&Aの検討をしていることが漏れる可能性があり、この点もデメリットです。
売り手企業のよくあるM&A相談内容
中小企業の場合、ほとんどの企業は初めてのM&Aでしょうから、不安点も多々あるものです。ここでは、M&Aの売り手企業でよくある相談内容を、以下のM&Aのフェーズに分けて紹介します。
- M&Aの準備段階
- M&Aの交渉・契約フェーズ
- M&A実施後の段階
各M&Aフェーズにおける相談内容を参考にしてください。
M&Aの準備段階での相談
M&Aの準備段階に売り手でよくある相談は以下のとおりです。
- 企業価値の算定
- 買い手企業探し
- 情報漏洩や秘密保持
- M&Aのフロー(プロセス)と期間
- 売却価額を高める方法
- 業者に支払う費用
それぞれの相談内容を説明します。
企業価値の算定
M&Aの売り手の最大関心事は、「自社がいくらで売れそうか?」ということに尽きるでしょう。当然、相談ではそのことが質問されます。
M&A仲介会社やM&AアドバイザリーなどのM&A専門業者、また公認会計士などがこの相談を受けるケースでは、簡易的な企業価値評価(バリュエーション)を行い、暫定的な目安の売却価額を提示してくれるでしょう。簡易的な企業価値評価の場合は、無料で実施するところも多いです。
買い手企業探し
M&Aの売り手の相談では、「果たして買い手は見つかるのか?」という相談も多いものの1つです。企業価値算定を行って売却価額の目安を知ったとしても、M&Aは買い手が現れなければ成立しません。
また、類似する相談として、相談先に対し、「どのようにして買い手企業候補を探すのか?」「買い手企業候補を見つけられる目途はあるのか?」などの売り手の相談も多くあります。
情報漏えいや秘密保持
初めてM&Aを実施しようとする売り手企業としては、自社の経営情報が外部に流出してしまわないか漠然と不安に感じることもあります。そのような売り手企業の場合、「経営情報が漏れることはないか?」「秘密情報はどのように保たれるのか?」などの相談も多いです。
なお、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーなどとの相談では、その場で経営情報のやり取りを行うこともあるため、相談者(売り手企業)とM&A仲介会社とで秘密保持契約を締結してから相談を開始します。
M&Aのフロー(プロセス)と期間
M&Aに初めて接する売り手企業は、M&Aのフロー(プロセス)やM&Aに要する期間など、知る由もありません。そのような場合、必然的に「M&Aはどのような流れで進むのか?」「最終的にM&Aに要する期間はどの程度になるのか?」といった相談内容になります。
M&Aの流れの相談時には、デューデリジェンス(買い手企業による売り手企業の精微な調査)などM&A特有の用語も説明されるでしょう。また、期間に関する相談の場合、M&Aは個々の案件で状況が異なるため、あくまでも一般的な平均値という日数の話しか聞けないでしょう。
売却価額を高める方法
企業価値の算定結果により導き出された目安の売却価額が、想定していた金額よりも低かった売り手企業の場合は、「売却価額をもっと高くする方法はないか?」という相談をするでしょう。
その回答として、短期間で売却価額を高騰化させるのは難しいため、一定の期間の取り組みが必要になることを告げられます。つまり、一旦、M&Aの実施期間は先延ばしにしてでも、売却価額を高くするかどうかの選択を迫られることになるのです。
業者に支払う費用
M&Aの売り手企業の場合、売却で得た対価は何らかの資金として用いる計画があるはずです。そうなると、資金を目減りさせることになる仲介業務の依頼先に支払う費用は、どの程度の金額なのか気になります。
そこでM&Aの売り手企業の相談内容としては、「料金体系はどうなっているのか?」「M&Aの仲介業務を依頼した場合の費用はいくらになるのか?」などです。
M&A仲介業には法令で定められた料金体系はありません。したがって、M&A仲介会社など同じ業態の場合でも、各社によって料金体系が異なります。料金体系や費用の見積もりは細かく確認してから、どの業者に依頼するか決めましょう。
M&Aの交渉・契約フェーズでの相談
M&Aの売り手企業において、M&Aの交渉・契約フェーズに関する相談内容には以下のようなものがあります。
- 交渉自体の進め方
- 各契約書の作成方法
- デューデリジェンスの相談
それぞれの相談内容を説明します。
交渉自体の進め方
M&Aが未経験の売り手企業では、「買い手企業とどのように交渉すればよいのか?」といった相談をするケースがあります。これについては、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーなどに業務委託する場合、交渉は全てM&A仲介会社などが代行するため、心配はいりません。
また、交渉とは別に、売り手・買い手双方の経営トップが会って話をするトップ面談が実施されることを知らされるでしょう。
各契約書の作成方法
売り手企業として初めてM&Aに臨む場合、「契約書の作成はどこに頼めばいいのか?」といった相談もあるでしょう。一般的にM&Aの場合、買い手側で契約書を作成します。売り手側としては、契約書のドラフトをチェックする際に弁護士やM&Aアドバイザーに依頼することになるでしょう。
デューデリジェンスの相談
「デューデリジェンスとは何か?」M&Aを知らない売り手企業としては、こう相談するしかないでしょう。デューデリジェンスは、買い手企業側が士業などの専門家を起用して売り手企業を調査するものです。
売り手企業は、要求される資料を提出することや、調査するスペースを提供すること、ヒアリングに応じることなどの対応を教えられるでしょう。
M&A実施後の段階
M&Aの売り手企業の場合、M&A実施後に関する相談内容は以下のとおりです。
- 従業員に関する相談
- 経営方針の相談
それぞれの相談内容を説明します。
従業員に関する相談
売り手側経営者としては、M&A後の従業員の処遇は気にかかるところです。「M&A後、従業員が解雇されることはないか?」「M&A後、従業員が冷遇されることはないか?」などの相談をするケースもあります。
人材不足が叫ばれる日本では、人材獲得を目的にM&Aをする買い手企業もあるぐらいなので、基本的に心配はいりません。また、どうしても従業員の処遇が気になる場合は、最終契約書に記載する条件の中に従業員に関する取り決めを加えることで安心できるでしょう。
経営方針の相談
M&A後、売り手側経営者が退任せずに会社に残る場合、経営方針に関する相談をするケースもあります。会社の経営権を買い手に譲渡したわけですから、経営方針は買い手に従うしかありません。M&A後、どのような方針で経営が行われるか気になる場合は、トップ面談で尋ねるとよいでしょう。
買い手企業のよくあるM&A相談内容
ここでは、M&Aの買い手企業側でよくある相談内容を紹介します。
- M&Aをするまでに準備すべきこと
- M&A成立までの期間
- M&Aにかかる費用の資金繰り
- M&Aの買収先候補
それぞれの相談内容を説明します。
M&Aをするまでに準備すべきこと
M&Aの買い手企業が、まず行うであろう相談が「M&Aまでに準備することは何か?」でしょう。M&Aはまず目的を定めることから始まります。そして、M&Aの方針を決め戦略を策定するという流れです。
M&Aの戦略にはM&Aスキーム(手法)の選択も含みます。M&Aスキームが決まることで具体的な準備の内容が決まるでしょう。
M&A成立までの期間
M&Aの売り手企業の相談にもありましたが、買い手企業の場合もM&Aが成立するまでの期間に関する相談は多いです。一般にM&Aは半年~1年程度の期間がかかるとされています。
しかし、半年と1年では6カ月も開きがあり、とてもアバウトです。また、半年かからなかったり1年以上かかったりなど、実際はケースバイケースであることが説明されるでしょう。
M&Aにかかる費用の資金繰り
M&Aの買い手にとっては、費用の資金繰りも相談することが多い項目です。M&Aスキームによっては、売り手が合意すれば必ずしも対価に現金を用意する必要がなかったり、対価に加えて消費税が発生したりなどがあります。
いずれにしろ、M&Aの戦略策定時には資金繰り方法を明らかにしておくことが必要です。
M&Aの譲渡企業候補
売り手企業の相談でも述べましたが、M&Aは相手がいないと成立しません。それは買い手企業も同じであり、「めぼしい売り手企業はいるか?」も関心事として相談内容によく含まれています。
類似する相談として、「売り手企業はすぐ見つかるか?」「どのように売り手企業を探すのか?」などもあるでしょう。
これらは仲介会社などに相談すれば、業種や規模によってはスピーディに対応してもらえることもあるので、実際に問い合わせてみましょう。
M&Aの相談にかかる費用
ここでは、M&Aの相談にかかる費用と、M&Aの仲介業務を依頼後に発生する費用として以下の項目を説明します。
- 相談料
- リテイナーフィー
- その他のM&Aを進めるための費用
各費用の説明に加えて料金相場も紹介します。
相談料
相談料とは、M&Aの正式な業務委託をする前段階での相談時の費用のことです。相談料は、どこの相談先でも大体は無料となっています。しかし、なかには有料のところや、初回は無料でも2回目からは有料というところもあり注意が必要です。
どこの相談先に行くとしても、ホームページなどで事前に確認してから相談に行きましょう。相談料が有料の場合の料金相場は1万円~数万円程度です。
リテイナーフィー
リテイナーフィーとは、M&Aの業務委託契約を結んでからM&Aが成約するまでの間、契約締結先に毎月、支払うコンサルタント料あるいは顧問料のような意味合いを持つ費用のことです。この費用は月額報酬とも呼ばれます。
リテイナーフィーの料金相場は数十万円~200万円程度ですが、どこのM&A仲介会社などでも多くは無料です。リテイナーフィーが発生する場合、成約するまで毎月、発生する点に注意しましょう。
その他のM&Aを進めるための費用
M&Aの仲介業務依頼後に発生する可能性のある費用は以下のとおりです。どこの依頼先でも全てが必ず発生する費用ではありません。
- 着手金
- 中間金
- 成功報酬
それぞれの費用の発生時期および料金相場を説明します。
着手金
着手金とは、M&Aの業務委託契約を結んだ際に締結先へ支払う費用です。どこの締結先でも発生する料金ではありません。M&A仲介会社などでは、着手金を無料とするところが増えてきました。
着手金が発生する場合の料金相場は、50万円~200万円程度となっています。仮に、着手金を支払ったケースでM&Aが成約しなかった場合、この費用は返金されない料金です。
中間金
中間金とは、M&Aの売り手と買い手が条件面で大筋合意し、基本合意書を締結した際に請求される費用です。中間報酬とも呼ばれます。中間金も、どこの依頼先でも必ず発生する料金ではありません。中間金が無料の会社も増えてきました。
中間金が発生する場合の料金相場は、50万円~200万円程度、または成功報酬額の10~20%程度です。中間金は成功報酬の一部の前払い扱いとする料金システムの会社もあります。また、中間金もM&Aが成約しなくても返金されない料金です。
成功報酬
成功報酬とは、M&Aが成約した場合に請求される費用です。M&Aの対価額(株式価値)などを基準額にして 、 金額帯ごとに異なる手数料率を掛け合わせて合計するレーマン方式という算定方法で料金を算出します。
基準額には、企業価値(株式価値+有利子負債)、移動総資産(株式価値+負債総額)などを設定するところもあり、どこの依頼先でも同じというわけではありません。依頼前に細かく確認することが肝要です。
完全成功報酬とは
近年、M&A仲介会社などでは完全成功報酬制という料金システムを導入するところが増えてきました。完全成功報酬制とは、成功報酬以外の費用が請求されない料金システムです。M&Aが成約するまで、請求される費用はありません。
成約しなかったときに返金されない不満も起こらない料金システムです。ただし、完全成功報酬制の会社でも、買い手企業には中間金が発生するケースもあります。
以下の動画では、M&Aで発生する費用や完全成功報酬制の説明をしています。ご参考まで、ぜひご覧ください。
M&Aの相談先の選び方
M&Aの相談先としてどこを選ぶか決める際のポイントは以下の5点です。
- 料金体系
- 業態
- 自社と同業種の実績
- 業種や規模の専門性
- アドバイザーの対応の誠実さや対応スピード
どこを選ぶかのポイントを説明します。
料金体系
M&A業務を行う各社は、どこでも料金体系が同じというわけではありません。特に、リテイナーフィーや着手金、中間金などの費用が発生する料金体系では、M&Aが成約しなかった場合、返金されないというリスクがあります。
その点を鑑みてのおすすめは、完全成功報酬制の料金体系で業務を行っているM&A仲介会社などです。
業態
記事の冒頭で以下の9つのM&Aの相談先候補を紹介しました。
- M&A仲介会社
- M&Aアドバイザリー(FA)
- 事業承継・引継ぎセンター
- 商工会議所・商工会
- 金融機関
- 税理士・会計士
- 弁護士
- 中小企業診断士
- 経営者仲間
この中から、どこの相談先を選ぶかは、「自社の相談先として合っているのはどこか」という観点で選びましょう。ただし、相談先にそのままM&Aの実務も依頼するつもりでいる場合は、それと一致する業態のところから選びます。
自社と同業種の実績
どこの相談先を選ぶか検討するにあたっては、相談先のM&A実績も気になるところです。多くのM&A仲介会社などでは、実績をホームページなどで公開しています。無料相談の際に質問してみてもいいでしょう。
実績を確認する際は、単にM&Aの実績を見るだけでなく、自社と同業種のM&Aの実績の有無も確認してください。業種特有の商慣習などを把握している相談先の方が、安心して任せられます。
業種や規模の専門性
相談先選びのために、その実績を確認するにあたっては、もう1つの観点があります。それは、どのような規模の企業のM&Aに関わってきたかという点です。
相談先によっては、大企業のM&Aが中心のところ、小規模事業者を含めた中小企業のM&Aが中心のところ、その中間の規模である中堅企業のM&Aが中心のところと、それぞれ専門性に違いがあります。
どこの相談先を選ぶかは、自社と同規模の企業の実績・専門性がある相談先を選びましょう。
アドバイザーの対応の誠実さや対応スピード
M&Aの相談先選びでは、担当アドバイザーの対応の仕方もポイントになります。まず、人間性として誠実さが感じられるアドバイザーでないと、信頼して相談内容を話せません。
また、対応のスピードも重要です。M&Aの相手探しや交渉を進めるにあたっては、臨機応変にスピーディーな対応が必要となる場面があります。
対応のスピードが遅い担当者の場合、チャンスを逃してしまうかもしれません。どこの相談先を選ぶかは、担当者の人柄と対応スピードも重視しましょう。
M&Aの相談時の注意点
M&Aの相談を行う際の注意事項は、以下の2点です。
- 相談先は絞る
- 情報漏えいに気をつける
注意点の内容を説明します。
相談先は絞る
無料相談は大いに活用すべきですが、無料だからといってやみくもに多くの相談先を回るのは考え物です。同じ相談内容に対し違う回答を得た場合、どちらが正しいか判断に迷い混乱してしまうでしょう。
そうなると、さらに複数の相談先に通うなど、相談者側の時間を無駄に消費することになります。したがって、ホームページなどによる事前情報を調べたうえで、相談先は絞ってから相談に赴きましょう。
情報漏えいに気をつける
M&Aの相談を行う場合、ある程度こちらの経営情報を伝えなければ、内容のある相談ができません。したがって、相談の際は情報漏えいの心配がないように、その場で相談先と秘密保持契約を締結してから相談を行いましょう。
仮に、秘密保持契約を締結しないで相談を進めようとする相談先がいた場合には、相談を断って帰るべきです。
M&Aの相談に関するまとめ
M&Aの相談先候補には、さまざまな業態の会社や機関などがあります。M&Aの相談先を選ぶ際は、自社と合っていると思うところを選ぶのが得策です。
しかし、相談後のM&A業務の依頼も考えている場合は、それに適合する相談先を選ぶ必要があります。その際には、本記事で紹介した相談先選びのポイントや注意点、発生する費用の情報などを参考に、信頼できる相談先を選んでください。
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