web広告会社のM&A動向や成功事例は?売却相場と注意点も要チェック!
web広告会社のM&Aが活発化しています。
web広告会社の市場は競争が激しいため、M&Aで自社規模を拡大し、市場に通用する会社・事業経営を行いましょう。
今回は、web広告会社の業界動向やM&A事例、M&A実施の注意点について解説します。
目次
web広告会社業界とは
web広告会社業界の概要について解説します。
web広告会社業界の定義
web広告会社業界の定義は、広告クリエイティブの企画・制作事業を経営する業界です。
web広告会社は、ペーパー・デジタルといった媒体にとらわれずに広告の運営を行います。また、広告配信者と広告媒体店のマッチング・企画といったコンサルも行います。
web広告会社業界の市場規模
広告費の推移として、2022年は直近15年の中でも最も高い7兆1021億円を計上しています。
2011年以降、広告費は右肩上がりとなっていましたが、2020年は新型コロナウイルス拡大やウクライナ情勢といった情勢により広告費は一気に下落しました。しかし、デジタル化が進む現代ではすぐに広告費が回復し、2022年は結果として過去最高を記録することとなりました。
web広告会社業界の特徴
広告業界は、電通・博報堂・アサツーディ・ケイの3台広告会社が著しく売上を上げています。それぞれには独自のノウハウ・広告ジャンルが存在するため、それを活かしたいと望む広告主が多くなる傾向にあります。
web広告会社が収益を上げる仕組みは、広告枠の取得にかかる諸経費や手数料を請求するといったものです。
web広告会社業界のビジネスモデル
- web広告代理店:広告全般(コンセプト提案・広告制作の仲介・広告枠獲得)を包括する会社
- web広告制作会社:広告代理店からの依頼に沿って広告を作成する会社
- web広告関連会社:web広告のコンサル・マーケティングを行う会社
web広告会社のビジネスモデルは、上記の3種類に分類されます。
web広告会社のM&Aの目的
web広告会社のM&Aの目的について解説します。
他社がどのような目的でM&Aをするのか、また、その動向について抑えましょう。
経営基盤の強化
M&Aは、業界問わず経営基盤の強化の目的で実施されることが多いです。
M&Aで大手会社の傘下に入れば、大手のブランド力・資本を活かした自社の経営基盤を強化できます。
一方で、経営難や資金繰りの悪化に陥っている事業を存続するためにM&Aを実施する企業も存在します。M&Aで債務を承継したり資金面での援助があれば、経営者の負担が軽くなり、今後の事業がスムーズに行えます。
いずれも、自社の経営状態を今よりも強化したり回復させたりすることがM&Aの大きな目的の一つです。
後継者問題
web広告会社をはじめとしたIT関連会社は、労働条件の悪さ・優秀な人材の少なさといった理由で、人手不足問題を常に抱えています。また、業界全体で人手不足であるため、後継者不足問題も生じます。それらを解決する目的としてもM&Aは活用されています。
M&Aで大手会社に参入することで労働条件が良くなったり、ブランド力を活かした人材確保ができたりします。加えて、従業員の雇用を守りつつ、会社を存続させることが可能です。
販路・開発規模の拡大
web広告会社業界では、販路・開発規模の拡大の目的でM&Aが実施されることがあります。
M&Aをすることで買収した会社の販路を獲得できるため、直接的な利益の上昇が見込めます。事業の売却側も大手会社の資本・ブランド力を活かした事業経営ができるため、買い手・売り手の双方にとってM&Aは大きなメリットがあるといえます。
web広告会社のM&Aの動向
web広告会社業界のM&A動向について解説します。
業界特有のM&A動向を知ることで、自社の経営戦略にうまくM&Aを組み込めます。
M&Aによる業界再編
web広告会社業界全体で、M&Aが活発化しています。
先述したM&Aの目的を達成する手段として活用されることはもちろん、業界大手会社が積極的にweb広告会社を買収していることで、業界全体が再編傾向にあることがわかります。また、外注していたものを自社で開発・運用・管理する、いわゆる事業の内製化を図る目的でM&Aが活用されているケースも散見されます。
世界進出も進む
海外進出をする目的でM&Aを活用するweb広告会社も増加しています。
国内の市場縮小・飽和といった動向の対策や、更なる利益追求といった目的で海外進出する企業が増加しています。世界的なシェアを受ければ企業に膨大な利益をもたらしますが、国内と海外の市場やニーズの違いを理解したり、海外のweb広告代理店とのすり合わせをしたりといった課題はさまざま存在します。
他事業からM&Aを通じて新規参入
M&Aによって異業種からweb広告業界に参入する動向も見られています。
具体的には、経営コンサル会社やIT企業がweb広告会社業界に参入するケースが散見されています。経営コンサルのデータ収集・分析や、IT企業のAIや独自のデジタル技術を活用した顧客ニーズの把握力が、異業種からweb広告会社業界に参入しても活かせる強みとなります。
M&Aは既存の事業を自社に取り込めるため、0から事業を始める必要がなかったり、コストを抑えながら新規事業に参入できたりするメリットがあります。
web広告会社のM&A売却相場
web広告会社のM&A売却相場について解説します。
M&Aを成功させるポイントの一つとして、売却相場を理解することが重要です。相場を理解しないと、本来獲得できるはずだった利益を得られない可能性があります。
売却相場
前提として、売却相場を一概に理解することは困難です。
理由として、他社のM&Aで価格が公表されていなかったり、会社の規模や資本に応じて取引価格が変動したりするためです。
過去の事例をもとに判明している部分でいうと、M&Aすべてにかかる総合費用は、数億円から十数億円であることが多いです。
もし自社と同規模の会社がM&A売却をしていて価格を公表している場合は、その価格を相場の判断材料として活用するとよいでしょう。
算出方法
算出方法 | 内容 |
インカムアプローチ | ・見込まれる収益をベースに算出する方法 ・見込まれる収益ー見込まれるキャッシュフロー・リスク ・「DCF法」「収益還元法」「配当還元法」の3種類がある |
マーケットアプローチ | ・市場における自社の価値をベースに算出する方法 ・自社と近い規模会社を参考にする ・「市場株価平均法」「類似会社比準法」「類似取引比較法」「類似業種比較法」の4種類がある |
コストアプローチ | ・自社の純資産をベースに算出する方法 ・客観的な自社評価方法として優れている ・「簿価純資産法」「時価純資産法」の2種類がある |
上記で挙げたものは、企業価値を算出する3つの方法です。
基本的に、企業価値の算出はM&A専門家に相談したり依頼して算出してもらうものです。そのうえで、上記の算出方法を複数利用し、算出した数値の整合性を確認・調整しながら企業価値を確定させます。
web広告会社をM&Aするメリット・デメリット
web広告会社のM&Aのメリット・デメリットについて解説します。
M&Aは、業界問わずに共通したメリット・デメリットがあったり、業界特有のメリット・デメリットがあります。
メリット
売り手側
- 従業員の雇用確保
- 経営の安定化
- 後継者問題の解決
- 売却益の獲得
- 個人保証の解消
上記はM&Aにおける売り手側のメリットです。
M&Aをすることで、売却先の企業の傘下に入ることで安定した従業員の雇用確保・経営の安定化といったメリットが得られます。また、経営者の後継人を見つける目的でM&Aを利用する場合もあるため、後継者問題解決の糸口となったり、売却益を獲得して引退後の生活資金として活用したりできるといいたメリットも存在します。
M&Aの手法(スキーム)によっては、会社・経営者の個人保証(負債)を承継できる場合があるため、債務による苦しみから解放されるメリットもあります。
買い手側
- ノウハウ・技術・人材の獲得
- web広告会社への参入
- 事業の内製化
上記はM&Aにおいて買い手側が得られるメリットです。
M&Aでは事業だけでなくその事業に従事する人材が獲得できるメリットがあります。それに伴い、優秀な人材・技術・ノウハウを承継することが可能です。
web広告会社業界に低リスクで新規参入できるメリットもあります。通常、新規事業をはじめるには0から立ち上げが必要で、従業員・技術面に資金を投資する必要がありますが、M&Aを実施すれば既存の事業・技術がそのまま獲得できます。したがって、既存事業に基づいた安定的な経営が、最初からできることになります。
いままでは外部に外注していたものを自社で行う(内製化)することで、自社だけで開発・管理できる事業ができあがります。M&Aで外注していたような事業を取り込むことで、それが達成できます。
デメリット
売り手側
- 従業員・顧客・株主の反発
- 必ず売却できるわけではない
M&Aは事業改革のフレームワークとして活用できますが、それに反発する人物が存在します。いままでの従業員の雇用や顧客との契約金額、株主の待遇が変わると、当然不安になったり、契約を解消するといったリスクが考えられます。事前に関係者とのすりあわせが必要と言えるでしょう。
また、必ずしもM&Aをしたから事業・会社を売却できるというわけではないことは留意しましょう。
買い手側
- 簿外債務を承継するリスク
- 買収した事業の従業員が退職するリスク
M&Aはその事業・会社の税務・会計といった部分まで承継するため、事前にその事業・会社が抱える負債を把握していないと、買収後に思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
また、新しい雇用契約となる買収事業の従業員が退職するリスクにも注意しましょう。買収する前よりも待遇が悪化したり、満足がいかない雇用契約となったりすると、せっかく取り込んだ優秀な人材が退職する可能性があります。買収先の企業とは、従業員の雇用関係についてしっかり話し合い、調整を重ねる必要があります。
web広告会社のM&Aの成功事例
web広告会社業界のM&A事例について紹介します。
事例を知るとは、自社のM&Aの目的検討や動向確立といった部分に繋がります。ぜひ最後まで事例を参考にしましょう。
セガ エックスディーによるセガのM&A
最初に紹介する事例は、セガ エックスディーとセガのM&A事例です。
買収側がセガ エックスディー、売却側がセガになります。
セガ エックスディーはセガの関連企業で、CXデザインカンパニーです。一方、セガはゲームの開発・製造・販売を行う事業です。
本M&A事例は、広告掲載サービス事業の募集によるネットワーク拡大を目的とし実施されました。
電通によるセプテーニグループのM&A
続いて紹介する事例は、電通とセプテーニのM&A事例です。
買収側が電通、売却側がセプテーニとなっています。
電通は、web広告をはじめとしたデジタルマーケティング会社を積極的に買収し、自社の企業成長の礎としています。一方、セプテーニはweb広告会社です。
先述のとおり、本M&A事例は、電通の会社規模・利益拡大の目的で実施されました。
電通によるミュートシックスのM&A
3つ目に紹介する事例は、電通とミュートシックスのM&A事例です。
買収側が電通で、売却側がミュートシックスです。
売却側のミュートシックスは、アメリカを本拠地とするweb広告全般を手掛ける会社です。
本M&A事例は、電通のアメリカにおける広告サービス展開や自社サービス向上の目的で実施されました。
博報堂DYメディアパートナーズによるナイルのM&A
4つ目に紹介する事例は、博報堂DYメディアパートナーズとナイルのM&A事例です。
買収側が博報堂DYメディアパートナーズで、売却側がナイルです。
博報堂DYメディアパートナーズは、日本の代表的なメディア事業です。一方、ナイルは、デジタルマーケティング・メディアテクノロジー・モビリティサービス事業を展開する会社です。
本M&A事例は、博報堂DYメディアパートナーズとナイルの資本業務提携によるM&Aで、双方のノウハウ活用や連携による、さらなる事業発展を目的として実施されました。
フィードフォースによるアナグラムのM&A
5つ目に紹介する事例は、フィードフォースとアナグラムのM&A事例です。
買収側がフィードフォースで、売却側がアナグラムです。
フィードフォースは、法人向けのインターネット広告・コンサル業務を行う会社です。一方でアナグラムは、広告運用代行事業を手掛けている会社です。
本M&A事例は、双方のノウハウで更なるサービス向上と、顧客基盤の拡大が目的で実施されました。
楽天によるLOBのM&A
6つ目に紹介する事例は、楽天とLOBのM&Aです。
買収側が楽天で、売却側がLOBです。
楽天は、インターネットサービス全般やインターネット回線、スポーツや暮らし支援などと幅広く事業を展開しています。一方でLOBは、web広告のプラットフォーム構築事業を経営しています。
本M&A事例は、LOBを子会社化することで楽天の広告マーケティング力の向上を目的として実施されました。
GMOアドパートナーズによるシフトワンのM&A
最後に紹介する事例は、GMOアドパートナーズとシフトワンのM&A事例です。
買収側がGMOアドパートナーズで、売却側がシフトワンです。
GMOは、広告会社向けの卸売事業を展開しており、一方のシフトワンは、動画ソリューション事業を手掛けています。
本M&A事例は、GMOの動画広告の強化を図る目的で実施されました。
web広告会社のM&Aの注意点
web広告会社業界のM&Aの注意点について解説します。
M&Aはポイントを押さえながら動向を確立したり、実施に移すことでスムーズかつより成功が見込めるM&Aとなります。
売り手側
- 適正価格での売却
- 従業員の雇用調整
上記2点がM&Aの売り手の注意点です。
まずは、自社価格を正しく算出し、適切価格で売却することを心がけましょう。M&Aを急ぎ、低価格での売却や条件をおざなりにした交渉は結果として失敗に繋がります。M&Aの目的・動向を明確化し、M&A専門家に正しく自社評価を算出してもらいましょう。
従業員の雇用の調整も重要です。M&Aで自社の事業を売却すると、それに従事する従業員の雇用形態が変化します。雇用形態が変化して従業員が働きにくい環境になってしまっては、退職されるリスクも想定できます。交渉相手と細かい雇用形態の調整を行いましょう。
買い手側
- 簿外債務の確認
- 社内トラブルの確認
M&Aで買い手が注意すべきポイントは、上記の2点です。
M&Aでデューデリジェンスと呼ばれる買収企業の社内調査を怠ると、買収後に簿外債務が発覚し、トラブルになりかねません。最悪の場合、責任を問われる場合があります。入念にデューデリジェンスを実施し、簿外債務を見落とさないようにしましょう。
また、売却企業の社内トラブルについて理解することも重要です。買収したにもかかわらず、買収した事業内で社内トラブルが発生していては、解決に時間を取られ、スムーズな事業運用ができません。経営者から社内トラブルやそのほかのリスクに関して、しっかりと聴取するようにしましょう。
web広告会社のM&Aは専門家に相談しよう
M&A広告会社のM&Aは専門家に相談しましょう。
M&A専門家は、M&A実施の目的・動向の明確化をサポートしたり、企業価値算出をしてくれたりします。M&Aのフローについても相談できるため、非常に心強いです。
また、M&A専門家は、税務・法務・会計の専門知識を有しているため、M&A実施の際に必要となる知識を0から覚える必要もなくなります。
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