会社売却のメリットは?相場や手続き方法・注意点まで徹底解説!

会社売却という言葉をよく聞くけど、「どんなメリットがあるのか、相場はどれくらいか、手続き方法はめんどくさいのか」など会社売却に関する疑問に答えます。会社売却を検討している方は相場やメリット、注意点などを確認したうえで会社売却の手続きを進めていくことをおすすめします

目次

  1. 会社売却とは?
  2. 会社売却のメリット
  3. 会社売却の手続き方法
  4. 会社売却の相場
  5. 会社売却の注意点
  6. 会社売却の税金
  7. 会社売却のメリット・注意点を理解して売却方法を検討しよう

会社売却とは?

会社
cytonn_photography Unsplash

会社売却は、その名の通り会社を第三者に売却することです。

会社売却の中にも様々な手法がありますが、主に利用されているのは株式譲渡と事業譲渡による手法です。

さらに会社売却について詳しく知るために、ここからは会社売却の理由や目的、会社売却の種類を解説します。

会社売却の理由・目的

会社売却はなぜ行うのでしょうか、疑問に思う方もいるでしょう。

その理由と目的は以下の通りです。

  • 会社の成長や拡大のため
  • 売却益を得るため
  • 会社を立て直すため
  • 赤字の事業を切り離すため

会社売却は会社のメリットのために行う場合がほとんどです。

目的は、会社売却により大手企業のグループに入ることで相乗効果を得て拡大させる、立て直すことです。

また足を引っ張っている赤字の事業を切り離すことで黒字の事業に専念し、さらに会社を成長させる目的があります。

他にも経営者が引退したいといった理由で、会社売却による売却益を得るために行う場合もあります。

会社売却の手法

会社売却の手法には様々なものがあり、それぞれに特徴があります。

ここからは、特徴を1つずつ紹介します。

株式譲渡

会社売却の手法に株式譲渡があります。

株式譲渡は会社の過半数の株式を譲渡(売却)することで、経営権を移すことです。

売却側は株式譲渡の対価を受け取り、買収側は経営権を受け取ることができます。

この株式譲渡の手法が最も多く利用されています。

事業譲渡

次に紹介する会社売却の手法として事業譲渡があります。

事業譲渡は会社の中の一部の事業のみを、他の企業に売却する方法です。

株式譲渡では会社の経営権のすべてを買収側に渡しますが、事業譲渡の場合であれば一部の事業を切り離すだけであるため会社の経営権を持ち続けることがメリットです。

足を引っ張っている事業を切り離すために用いられることが多くあります。

合併

会社売却の手続きには、合併という手法もあります。

会社売却の手法である合併は、名前の通り2つ以上の会社が1つになることです。

合併した結果、どちらか片方の会社が吸収する場合と、まったく異なる新たな会社を立てる場合が考えられます。

マネジメントバイアアウト

会社売却の手法として、マネジメントバイアウト(MBO)というものもあります。

マネジメントバイアウトは自社の経営陣や従業員、社員、親族に対しての会社売却を行うことです。

自社のことを知らない企業や人に経営権を譲るのは、少し不安ですよね。

しかし、マネジメントバイアウトであれば自社のことをよく知っている相手に経営権を譲るため、安心して会社売却することができるというメリットがあります。

経営するうえでの自由度を上げるために利用されることが多くあります。

会社の清算

会社売却とは少し違いますが、会社の清算をするという手法もあります。

会社の清算は、会社の資産と借金を清算することです。

この手法は経営権を譲る跡継ぎがいない場合や経営がうまくいかず会社の解散を行う場合に使われます。

会社売却のメリット

メリット
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ここからは会社売却のメリットを紹介します。

メリット①創業者・株主が利益を得られる

メリットの1つ目として、創業者や株主が利益を得られることが挙げられます。

会社を売却するとなると大きな金額が動くイメージがありますよね。

そのため会社売却に対する対価を得ることが可能である創業者や株主は、大きな利益を得ることができます。

しかし得られた利益には税金がかかるため注意が必要です。

税金については後ほど解説します。

メリット②個人保証から解放される

2つ目のメリットとして、個人保証から解放されるというものが考えられます。

会社を経営していくうえで、銀行などの金融機関からお金を借りる機会があります。

お金を借りる際の保証人として、会社の経営者に個人保証がついている場合がほとんどです。

そのため会社の経営不振が、経営者の生活に影響を及ぼす可能性があります。

しかし会社売却をすることで、個人保証から解放され不安が取り除かれるというメリットがあります。

メリット③事業承継ができる

3つ目に事業継承ができるというメリットがあります。

大企業ともなれば事業継承に困ることはほとんどありませんが、中小企業の場合では後継者不足に悩んでいる方が多くいます。

後継者がいないために、会社の清算をしようと考えている方も少なくありません。

しかし会社売却による手法を用いることで、売却と共に事業継承を行うことができるというメリットがあります。

近年では、このメリットを活用するために会社売却を行う方が増えています。

メリット④従業員の雇用を守れる

4つ目として、従業員の雇用を守れるというメリットが考えられます。

会社の解散となると従業員は働く場所がなくなり、雇用を失うことになります。

しかし会社売却による手法を用いて経営権が移ったあとでも会社は存続することが可能です。

そのため従業員の雇用が失われる心配がなくなり、従業員の雇用を守れるというメリットが得られます。

メリット⑤買い手企業とのシナジー効果で会社の成長が期待できる

会社売却によるメリットの5つ目に、買い手企業とのシナジー効果で会社の成長が期待できるということが挙げられます。

シナジー効果とは、相乗効果のことです。

買い手企業と自社の事業内容の相性が良い場合や、買い手企業が大きな会社であれば、そのグループ企業とのシナジー効果が期待できます。

基本的には自社の行っている事業と近い事業を行っている会社が、買い手企業となる場合が多くあります。

そのため多くの場合シナジー効果を発揮し会社の成長へとつながる場合が多いでしょう。

会社売却の手続き方法

手続き
Jacob Kelvin.J Pexels

会社売却の手続き方法は、多くのステップがあります。

それぞれの手続き方法のステップごとに注意点を解説します。

①会社を売る準備

会社売却の手続き方法の1つ目として、会社を売る準備を行う必要があります。

会社売却の前に行っておくべきことは、従業員からの理解を得ることです。

従業員が会社売却をされることを知らず、突然経営者が変わり雇用条件の変更が起きると不満がたまってしまいます。

そうなると従業員が職場を離れてしまうことにもつながり、今後の会社経営に大きな影響が出ることでしょう。

これを防ぐためにも、会社売却の手続きを進める前に従業員に会社売却する旨をしっかりと伝えて理解を得ておく必要があります。

また自社の強みを明確にし、会社に関する資料を集めておくことで今後の手続きがスムーズに進むため事前に準備しておきましょう。

②M&A仲介会社と契約

会社売却の手続き方法2つ目は、M&A仲介会社と契約をします。

売却相手を自力で探すことも可能なため、M&A仲介会社との契約が必要ない場合もあります。

しかし注意点として自力で探すのは難しく、手間も時間もかかってしまいます。

M&A仲介会社は会社売却のプロであるため、手法や手続きについて詳しく知っています。

そのためM&A仲介会社と契約することで、手続きをスムーズに進めることができるというメリットがあります。

③買い手企業候補の選定・打診

M&A仲介会社との契約後、自社の強い点や弱い点を分析し、買い手企業の候補を探す手続きに移ります。

M&A仲介会社は買い手企業の候補を多く持っているため、複数の候補企業の中から買い手企業を選ぶことが可能です。

M&A仲介会社を利用することで買い手企業を探しやすくなるメリットがあります。

そして条件に合った買い手企業を見つけることができれば、相手の意向を確認し面談へと進みます。

④トップ面談

手続きの4つ目は企業のトップ、すなわち経営者同士での面談です。

会社売却後の経営方針や企業文化を話し合います。

このタイミングでお互いのことを理解し合っておくことで今後の流れを滞りなく進めることができるでしょう。

話し合いの結果、この企業になら売却してもよいと思えた場合にはさらに深い話へと進めます。

⑤基本合意契約締結

続いて、基本合意契約を締結するという手続きに進みます。

基本合意契約は、ここからもさらに契約を続けていき売却価格の詳細な話もしていくことを契約するものです。

しかし基本合意契約の締結の段階では、まだ法的拘束力がないという点に注意が必要です。

⑥デュー・デリジェンス

基本合意契約の締結が終われば、手続きの6つ目デューデリジェンスに進みます。

デューデリジェンスは買い手企業が、売り手企業の詳細について調査することです。

会社の売却価格を決めるために、会社の詳細まで知っておく必要があります。

売却価格の相場を決める方法にも様々なものがあります。

相場の決め方については後ほど解説します。

ここで自社の強みや買取により得られるメリットをしっかりと示しておくことで、売却価格を相場より高めにすることができる可能性もあります。

⑦最終契約締結とクロージング

最後の会社売却の手続きとして、最終契約の締結とクロージングを行います。

デューデリジェンスで新たなメリットやデメリットが見つかることで、最終契約の内容が変わる可能性もあります。

最終契約にお互いが同意できれば、会社売却をして譲渡金が渡されたらクロージングです。

会社売却の相場

相場
nattanan23

「会社売却は初めてで相場がまったくわからない、どんな方法で相場を決めることが多いのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこでここからは、会社売却の相場を解説します。

M&Aの手法と相場の関係性

会社売却の手法により、会社売却額の相場が変わります。

会社売却の手法として使われることの多い、株式譲渡と事業譲渡で比較すると株式譲渡の方が多額の売却益を得ることが可能です。

理由として、株式譲渡の場合には売却側が持っている得意先や顧客からの信頼性をそのまま引き継ぐことができるため、取引額が大きくなることが多くあります。

また会社売却での相場は、事業の大きさや健全性、リスクを抱えているかをもとに決められるため相場はこれくらいだと断言ができません。

買い手企業が会社を買い取ることにより得られるメリットが大きいとなれば、高額で取引されるでしょう。

売却価格決定のプロセス

売却価格の決定は、企業価値算定で求めた価格をもとに交渉したうえで行われます。

企業価値算定の手法として以下のものが主に使用されます。

  • コストアプローチ
  • ディスカウントキャッシュフロー法
  • マルチプル法

それぞれの特徴について軽く説明します。

コストアプローチは、会社の持っている総資産額から負債額を引いた額を売却額の基準として設定する方法です。

メリットとして考えられるのは簡易的な方法であるため、おおまかな売却額を決める際に役立ちます。

ディスカウントキャッシュフロー法は企業の将来性を考え、将来的にどれくらいの価値になるかを算出し、逆算していき現在の企業価値を決める方法です。

この方法を使用する際には将来性を見るため、事業計画書の内容が重要なポイントです。

続いてマルチプル法です。

マルチプル法は売却する会社とよく似たほかの企業と比較することで、売却額を決める方法です。

この方法では他の企業と比較をするため、客観性が高いという点がメリットだといえます。

会社売却の注意点

注意点
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会社売却の手法や手続き方法などについては理解できましたか。

メリットも分かったところで、実際に会社売却を行う際の注意点を解説します。

会社売却をする前に、注意点をしっかりと確認したうえで検討しましょう。

時間がかかる

会社売却の注意点として、時間がかかることが挙げられます。

会社売却をするためには買い手企業を探す必要があります。

しかし買い手企業を見つけることに時間がかかるうえ、買い手企業が見つかったとしても条件が合わなければ売却することができません。

そのため会社売却を行う際には、早めに準備を進めておく必要があるでしょう。

また売却の手順を進める際にはM&A仲介会社を利用すればスムーズに進められるというメリットがあります。

希望額通りに会社売却できるとは限らない

希望額通りに会社売却できるとは限りません。

買い手企業は、なるべく安く買い取りたいと思っているはずです。

また自分が「この会社の強みはこれだ」と思っていても、相手企業からするとそれ程大きなメリットだと感じない場合もあります。

このような理由から、希望額通りに会社売却ができるとは限らないといえます。

情報漏洩のリスクがある

次の注意点として情報漏洩のリスクがある、という点が挙げられます。

会社売却をすることが社員にばれてしまうと、今後の会社の行先に不安をおぼえてしまい離職してしまう可能性も考えられます。

社員からすると会社売却すると聞いてよいイメージを持つ方は少ないでしょう。

そのため情報漏洩のリスクがあるということを、頭の片隅に置いておきましょう。

拘束(ロックアップ)が発生する

拘束(ロックアップ)とは、会社売却後もその会社で数年間働き続けなければならないことです。

以前の経営者をある程度の期間会社に残すことで、引継ぎを行うためにロックアップが行われます。

ロックアップを外すことで売却額への影響も考えられるため、売却額を下げたくない場合であればロックアップを行うことが必要です。

従業員・経営陣の処遇

従業員や経営陣の処遇を確認しておくことが大切です。

会社売却によって、従業員や経営陣にどのようなメリットやデメリットがあるのかを明確にし伝えておく必要があります。

雇用条件の大幅な変更があれば、不満を持った従業員や経営陣が離職する可能性も考えられます。

従業員や経営陣は会社売却後も引き継がれることが多くありますが、引き継がれない場合は職を失うことになるため、この点にも注意が必要です。

会社売却の税金

税金
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「会社売却って利益が出ると税金がかかるのか、手法によって税金に違いがあるのか」と疑問をお持ちの方もいるでしょう。

結論からいうと、会社売却により利益が出た場合には税金がかかります。

それでは、手法別にかかる税金と注意点を解説します。

株式譲渡

株式譲渡の際にかかる税金は主に所得税と住民税です。

所得税率は約15%で住民税は5%です。あわせて約20%の税金が課されることになります。

売却額から必要経費を引いた額に対して所得税と住民税が適用されます。

また株主が法人である場合の株式譲渡においては、売却益は会社の利益となるため法人税が課されます。

法人税は約30%となり、所得税と住民税の場合と税率が異なるため注意が必要です。

事業譲渡

株式譲渡の場合と同じく、事業譲渡の場合においても法人税が課されます。

さらに法人税に加え、消費税が課されることにも注意が必要です。

しかしすべての売却益に対して消費税が課されるわけではなく、非課税資産と課税資産に分けられます。

非課税資産は固定資産や有価証券があり、非課税資産のもの以外には消費税が課されます。

合併

合併の場合には、税制適格要件を満たすか満たさないかによって税金が変わってくるため確認しておく必要があります。

税制適格要件を満たすことができる合併の手法は、適格新設合併と適格吸収合併の2つがあります。

税制適格要件を満たしている場合には、資産や負債を帳簿価格で引き継ぐという扱いがなされ、売却損益が発生しないため課税がされないメリットがあります。

マネジメントバイアアウト

マネジメントバイアウトでは事業承継税制が考えられます。

事業承継税制は株式の贈与や相続により事業承継をした際に、要件を満たすことで贈与税や相続税の納税が免除または猶予されるというものです。

この事業承継税制を活用することで、多額の税金を抑え事業承継を行うことが可能になるメリットがあります。

会社の清算

後継者がいないの理由で会社の清算を行う場合には、どのような税金がかかるのでしょうか。

会社清算の際には、法人税や地方税、消費税が課せられます。

事業を行っていないため法人税はかからないと思う方も多いのですが、不動産などの有形財産を売ることで利益が発生すれば法人税がかかります。

会社売却のメリット・注意点を理解して売却方法を検討しよう

検討
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本記事では、会社売却のメリットや注意点について解説しました。

会社売却によるメリットでは、事業承継ができることや会社の成長を期待できるといったものがありました。

しかしメリットばかりではなく注意点もあるため、しっかりと把握したうえで会社売却を進めていく必要があります。

会社売却の手法には様々なものがあり、それぞれの手法でメリットやデメリットが異なるため、自身の目的に合った会社売却の方法を選択しましょう。

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