会社売却の手数料や費用の相場を徹底調査!コストを抑える方法は?

会社売却を行えば自社の経営権や株式、事業そのものを他社に譲渡することになりますが方法や手数料に詳しい方は少ないのではないでしょうか。そこで本記事では会社売却の手数料や費用の相場について解説を行ったうえで、コストを抑える方法も紹介します。

目次

  1. 会社売却をする理由
  2. 会社売却の手数料の相場
  3. 会社売却でかかるその他の費用
  4. 会社売却での成功報酬の計算方法
  5. 会社売却する時の注意点
  6. 会社売却する際には手数料などをよく確認しよう!

会社売却をする理由

会社売却をすれば他社に完全に事業を譲渡することになりますが、実際にどのような理由で売却を進めていくのでしょうか。では会社売却する理由を詳しく解説をします。

後継者問題

近年の急速な少子高齢化によって、現在は多くの企業が後継者不足に頭を抱えています。そして企業の後継者不足に関する問題は年々増加傾向にあり、多くの企業がその対策に迫られています。

帝国データバンクの調査によれば60代以上の経営者の30~50パーセント程度の割合で後継者がいないというデータも取られています。

このような社会情勢に伴い、事業を継がせたい後継者がいないために会社を売却する経営者も増加しているのです。

人材不足の解決

前述でも解説したように現在は少子高齢化が急速に進んでおり、多くの企業で若い働き手を確保できないといったの人材不足も見受けられます。

大企業では海外に拠点を設け、外国人労働者を雇用して労働力を確保するなどの方法に努めていますが、それでも十分な確保ができていないのが現状です。したがって人材不足を解消し、労働力を確保するために同業他社を買収する企業も増加しているのです。

競争の激化

時代のニーズや、新規参入する企業の増加に伴って企業間の競争が激化していくのは言うまでもありません。その激しい競争の中で特別なオリジナリティを持たない企業や、資金力に乏しい企業は生き残ることすら困難な状態になるのです。そして競争に打ち勝つことができなくなった企業は、今後業績上昇が望める企業や豊かな資金源を持つ企業に会社を売却するケースも多く見受けられます。

会社売却の手数料の相場

経営状態が苦しくなった事業でも会社売却をすることで事業を譲渡して資金を得ることができますが、手続きにどれくらいの手数料や最低報酬額が掛かるのでしょうか。では会社売却の手数料・最低報酬額の相場を紹介します。

①相談料

仲介会社のような門家に会社売却の相談をして、その際にかかる手数料・最低報酬額のことを相談料といいます。仲介会社の中には手数料や最低報酬額を無料で相談を受け付けてくれる会社もありますが、有料で相談受付をしている会社もあるので注意しましょう。また初回相談限定で手数料や最低報酬額を無料設定している仲介会社もあるので、事前に手数料や最低報酬額の詳細情報を確認後の利用がおすすめです。

相談料の一般的な相場は、無料~数万円程度に推移しています。

②着手金

着手金とは、仲介会社にサポートを依頼した時点で発生する手数料・最低報酬額のことです。着手金型の仲介会社に依頼すれば、M&Aや会社売却に成功できない場合でも手数料や最低報酬額が返納されないので注意しましょう。また近年はM&Aにおけるユーザーの費用負担を軽減するために、着手金の手数料や最低報酬額を徴収しない会社も増えています。

着手金の一般的な相場は、数十万~数百万円程度です。

③企業価値評価

市場全体の相場を加味し、売り手企業の市場での価値を評価・算出する方法のことを企業価値評価といいます。この作業には財務における専門的な知識が必要なので、一般的には専門家に依頼して評価を進めていくのです。仲介会社の中には簡易的な評価であれば手数料や最低報酬額を無料としている場合もありますが、細部まで評価を行う際には手数料や最低報酬額を有料としているケースもあります。

また仲介会社によって評価手数料も異なっているので、依頼前に確認しておきましょう。企業評価価値の一般的な相場は、無料~100万円程度に推移しています。

④月額報酬

M&Aの際に仲介会社と月額契約を行い、毎月支払う手数料・最低報酬額のことを月額報酬といいます。この金額は業務内容や案件の規模などによっても異なるので、契約時にしっかりと把握しておきましょう。月額報酬は仲介会社と秘密保持契約を結んだ時点で発生する金額で、売却手続きが完了した月まで手数料の支払いを行います。

仲介会社の中には月額報酬を無料設定している会社も多いので、資金面に不安があればそのような会社に依頼するのもおすすめです。月額報酬の一般的な相場は、無料~300万円程度に推移しています。

⑤中間報酬

取引の交渉相手と基本合意契約を結んだ時点で、中間会社に支払う報酬のことを中間報酬といいます。もし最終的な契約に至らなかった場合にも、中間報酬は返納されないので事前に把握しておきましょう。また仲介会社の中には会社売却が成立した時点で、中間報酬を成約金の一部として充填する会社もあります。

中間報酬の取り扱いに関しては、会社ごとに異なっているので依頼前に確認しておくのも注意点です。中間報酬の一般的な費用の相場は、数百万円または成功報酬の数十%程度に推移しています。

⑥成功報酬

会社売却に成功し、最終譲渡契約が完了した時点で仲介会社に支払われる報酬が成功報酬です。成功報酬の計算方法として、取り扱う事業の金額に料率をかけることで算出されるレーマン方式が広く利用されています。レーマン方式では取り扱い事業の料金が低いほど料率を高く設定し、一方で取り扱う事業の料金が高いほどに料率を高く設定されているのも注意点です。

この方法を活用する際には、取り扱い事業の内容次第で料金が異なっているので依頼前に確認しておきましょう。また成功報酬に最低報酬金額を設定している会社もあります。成功報酬の一般的な相場は、取引金額(5億円以下~100憶円超)×料率(5~1%)で算出されます。

会社売却でかかるその他の費用

会社売却には専門家への依頼など、さまざまな費用が掛かってしまいますがその他にもいくつかの費用が掛かってしまいます。では会社売却でかかるその他の費用を紹介していきましょう。

デューデリジェンス費用

会社売却の最終契約締結前に、買い手企業側が財務に詳しい専門家に依頼して売り手企業側の資産を監査する作業がデューデリジェンスです。デューデリジェンスは仲介会社が手掛ける場合もありますが、細かい監査を専門家に依頼するのであれば別途費用が必要です。デューデリジェンスは監査内容や規模によって手数料が異なりますが、一般的に数十万~数百万円程度の手数料を見越しておけばいいでしょう。

税金

売り手企業は会社売却で得た譲渡金額に対する納税も行わなければいけません。その際にかかる税率は売り手が個人であるか法人であるかで大きく異なっていきます。個人事業主であれば所得税に住民税を加算し、さらに復興特別取得税などを加算した税金を支払わなければならないのです。一方法人の場合は、事業規模や利益によって税率も返送しますが、一般的に30%程度の税金が徴収されます。

各士業への報酬

会社売却は大きな金額が流動する企業間取引なので、各手続きを代行してくれる司法書士や弁護士、税理士への依頼が欠かせません。そして依頼に関する報酬費用が掛かるのは勿論のこと、各種手続きに必要な登録免許税や印紙税、不動産取得税などの費用もかかります。

会社売却での成功報酬の計算方法

会社売却には財務上の複雑な手続きや、専門的な知識も必要になるので仲介会社への依頼が必要ですが実際にどのような方法で成功報酬を算出するのでしょうか。そこでここからは、会社売却での成功報酬の計算方法を詳しく解説をします。

レーマン方式

会社売却における成功報酬の有効な計算方法の1つにレーマン方式が挙げられます。レーマン方式は取引時の金額に対し、決まった報酬料率を掛け合わせることで算出していく計算方式です。下記にレーマン方式の成功報酬料率を表記しておきますので参考にしてください。

・取引金額が5億円までの部分:5%

・取引金額が5~10億円の部分:4%

・取引金額が10~50億円の部分:3%

・取引金額が50~100億円の部分:2%

・取引金額が100億円以上の部分:1%

最低手数料

会社売却時において、仲介会社に最低限支払わなければいけない手数料のことを最低手数料といいます。会社売却時の仲介会社の業務は取引規模に関係なくほぼ同程度の業務が発生します。したがってレーマン方式を活用して成功報酬を算出した際に、業務に見合った報酬をもらえないケースも発生してしまうのです。一方で最低手数料を設定している仲介会社では、料率に関係なく報酬として徴収する最低手数料を定めています。この金額を定めることにより、料率に左右されない価格設定の成功報酬の獲得を可能にしているのです。

一般的な最低手数料の相場は500~2,000万円程度に推移しているので、仲介会社によって手数料が異なるので予算に適した会社を選択しましょう。

完全成功報酬

M&Aに成功し、売却が完全に行わなければ一切報酬を徴収しない料金設定が完全成功報酬です。この報酬形態を採用している仲介会社を選択すれば、着手金や中間報酬、デューデリジェンスの手数料が一切かかりません。他の契約形態であれば、取引が成功しなくても着手金や中間報酬は返納されないのも注意点です。一方完全報酬型であれば、そもそもそのような手数料を払う必要がないのもうれしいポイントといえます。

したがって完全に成功するか分からない会社売却であれば、この報酬形態を利用するのがおすすめです。

会社売却する時の注意点

 採算性が悪く、十分な利益を確保できなくなった企業でも他社売却できれば事業そのものは継承されます。しかし事業売却は企業の今後の運営に関わる大きな取引なので、手続き時にはいくつかのポイントに注意しなければいけません。では会社売却する時の注意点を詳しく解説をします。

譲渡取得で発生する税金

会社売却において売り手企業側は、事業譲渡によって得た資金である譲渡所得に対して税金を支払わなければいけないのも注意点の1つです。会社売却で得た譲渡取得に対して所得税に住民税を加算し、さらに復興特別所得税の税率を加算した税率が課せられてしまいます。会社売却において経営者が取得できる金額は、このような税金が差し引かれた金額となるので、事前に把握して手続きに臨みましょう。

希望額はあくまで目安

会社売却において、希望額通りに会社売却できるとは限らないのも注意点の1つです。会社売却では仲介会社と綿密なヒアリングなどを行いながら売却金額を決めて、買い手企業を探します。しかし懸命に買い手企業を探すにも関わらず、有効な買い手が見つからないケースもあるのです。

また仮に買い手企業が見つかった場合も、交渉が進むにつれて値下げを求められることもあります。そして希望通りの売却金額にこだわるあまりに、会社売却のタイミングを逃して結果的に売却できなくなってしまうこともあります。確実な売却に繋げるためにも、値段にこだわりすぎずに譲渡することも会社売却では重要と認識しておきましょう。

従業員・役員の処遇

会社売却におけるM&Aスキームの中には、従業員や役員の自動的な引継ぎが行われないケースもあります。会社売却時に従業員や役員の引継ぎが行わなければ、売却によって失業者が出るので売却後の従業員や役員の処遇を事前に確認しておきましょう。従業員や役員の処遇を交渉時に確認しておくことで、安心して売却交渉に臨むことができます。

会社売却のタイミング

最適なタイミングで会社売却を行うのも、会社売却における注意点の1つです。例えば売り手市場メインで交渉が進んでいく業界再編時などが、最適なタイミングの1つとして挙げられます。この時期には買い手が積極的に買収するわけではなく、売り手中心の市場なので高評価が期待できるのです。

一方で業界再編の波が落ち着けば、買い手が減少してしまうので早めのタイミングで売却しましょう。

売却後の拘束

会社売却においては、売却後に売り手企業側の経営者を事業に関与させるキーマン条項というものがあります。売り手企業側の経営者は買い手企業側の事業が安定するまで、1~数年間にわたり拘束されることがキーマン条項で規定されているのです。したがって会社売却後にすぐに新規事業を展開しようと思っても、拘束される可能性があることも注意点の1つといえます。

情報漏えい

情報漏えいなどのトラブルの発生も、会社売却時の注意点の1つです。会社売却に関する情報が事前に社内で漏洩してしまえば、従業員が他の企業に移ることに不安を感じて自主退社してしまいかねません。そして多くの従業員が退職してしまえば、会社売却時の評価が下がってしまう恐れも生じます。このような事態を予防するためにも、情報管理を徹底しながら交渉を進めていきましょう。

客観的な意見

会社売却の交渉を個人で行うこともできますが、トラブルや情報漏えいなどの問題が発生する可能性が高くなるのも注意点の1つです。会社売却の取引では売り手企業側・買い手企業側双方の希望が衝突するので、トラブルが発生しやすくなります。また交渉の各段階にて客観的な意見も必要になるので、個人での交渉には限界が生じてしまうのです。

さらに個人で交渉するのであれば、取引相手と直接的な情報打診を行うため情報漏えいのリスクも高くなってしまいます。

会社売却する際には手数料などをよく確認しよう!

今後業績向上が望めない場合や、後継者がいない事業でも効率的な会社売却を行うことで今後の資金を手に入れることができます。しかし会社売却には複雑な手続きが多く、その手続きに関わる手数料なども発生していくのです。そこで会社売却時には本記事を参考に事前に各種手数料を確認して交渉に臨み、希望通りの会社売却を行ってください。

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