株式譲渡の課税内容や計算方法は?税金の類と節税方法も要チェック!
株式譲渡を行う際には税金が発生し、税制度は定期的に更新されます。そのため、専門的な知識を持っていないと手続きを行うことは難しいです。今回は株式譲渡を検討している企業に向けて、課税内容や計算方法、税金の種類などについて解説します。
目次
株式譲渡にかかる課税内容
株式譲渡時に発生する税金区分と税率
株式譲渡時に発生する税金区分として以下のものがあげられます。
- 所得税・復興特別所得税
- 住民税
- 法人税
以下で詳細を解説します。
所得税・復興特別所得税
所得税は1年間の所得に対して課せられる税金です。
株式譲渡で得られる利益は分離課税に区分されます。
分離課税の場合は税金は所得の合計額に加算されません。
譲渡益の金額に関係なく15%の税金がかかると考えておいてください。
ちなみに、特例の課税制度として復興特別所得税も押さえておきましょう。
復興特別所得税は東日本大震災の復興を目的として2037年まで徴収される税金です。
この税金は所得税に対して2.1%請求され、株式譲渡益に対して0.315%徴収されます。
住民税
住民税は居住している都道府県・市区町村に対して支払う地方税です。
こちらも分離課税に区分されており、株式譲渡益に対して一律で5%の税金がかかります。
住民税は法人でも発生する税金の制度であることを押さえておいてください。
法人税
法人税は法人全体の利益に対して課税される税金です。
法人税は累進課税制度で税金がかかり、29%から42%程度の税金がかかります。
一般株式・上場株式に関係なく同じ税率が課せられることを覚えておいてください。
譲渡者が個人である場合と法人である場合で税率は変わる
株式譲渡の際に、譲渡者が個人である場合と法人である場合で発生する税金が変わります。
個人の場合は一律20.315%の譲渡所得税がかかります。
内訳は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。
法人の場合は法人税の実効税率として、29%から42%ほどの税金がかかります。
これらの税金の制度の違いを押さえておきましょう。
株式譲渡にかかる課税分計算方法
株式譲渡にかかる課税内容がわかったところで、合わせて課税時の計算方法を理解しておきましょう。
ここでは株式譲渡にかかる課税時の計算方法を解説します。
上場企業株式と非上場企業株式の違い
税金を計算する際に、上場企業株式と非上場企業株式の両方を保有している場合は別々に計算する必要があります。
計算方法に明確な違いはありませんが、合算しないで計算することを覚えておいてください。
株式譲渡益の計算方法
株式譲渡益は株式の収入金額から株式の取得費と譲渡費用を差し引くことで計算できます。
株式譲渡の際の収入はお互いで交渉して決めた金額となります。
株式譲渡益から差し引くべき必要経費とは
株式譲渡益を計算する際に必要な株式の取得費と譲渡費用が必要経費に該当します。
企業価値を計算して参考価格を導き出し、それを基に自社の求める価格と相手企業のニーズの高さに合わせて最終価格を決めてください。
株式の取得費はその言葉通りで、株式を取得する際にかかった費用です。
譲渡費用は株式譲渡時にかかった仲介手数料などの費用です。
株式譲渡益にかかる税率
株式譲渡益にかかる税率は、先ほど触れたように以下の通りになっています。
- 取得税:15%(個人)
- 住民税:5%(個人)
- 復興特別所得税:0.315%(個人)
- 法人税:29%~42%(法人)
株式譲渡益が計算できたら、個人か法人かに合わせて上記の税金を計算してください。
株式譲渡の株式譲渡益に確定申告は必要か?
株式譲渡時に株式譲渡益が入ってきますが、確定申告が必要か気になる方も少なくありません。
ここでは株式譲渡時の確定申告について解説します。
株式譲渡時の確定申告について押さえておくポイントとして以下のものがあげられます。
- 基本的には確定申告は必要
- 確定申告が必要ない例外もある
- 取得費加算の特例として利用も可能
- 税金の納税期日
以下で詳細を解説します。
基本的には確定申告は必要
株式譲渡時の確定申告について押さえておくポイントとして、基本的に確定申告は必要である点があげられます。
株式譲渡によって利益を獲得した場合は確定申告が求められます。
損失が利益を上回っていることがない限りは確定申告の手続きが必要です。
確定申告が必要ない例外もある
株式譲渡時の確定申告について押さえておくポイントとして、確定申告が必要ない例外もある点があげられます。
一般口座や源泉徴収なしの特定口座を用いている場合、自分で確定申告の手続きが必要です。
しかし、源泉徴収ありの特定口座なら確定申告を代行してくれます。
あくまでも確定申告の手間を減らすことができるだけで、確定申告の効力は発揮されることを忘れないでください。
取得費加算の特例として利用も可能
株式譲渡時の確定申告について押さえておくポイントとして、取得費加算の特例として利用も可能な点があげられます。
取得費加算の特例は株式譲渡の際に相続税がかかる場合に、その金額を取得費に加算できる制度です。
手元に入ってくる収益は減るものの、税金の負担を抑えることが可能です。
節税効果を意識するためにも、取得費加算の特例があることを知っておいてください。
税金の納税期日
株式譲渡時の確定申告について押さえておくポイントとして、税金の納税期日を知っておく点があげられます。
税金の納税期日は確定申告の期日で、1月1日から12月31日までの所得を翌年の3月15日までに納税します。
期日の制限がないわけではない点に注意してください。
株式譲渡の課税に関する特例
株式譲渡の課税時のポイントについて触れましたが、場合によっては特例が認められることもあります。
株式譲渡の課税に関する特例として以下のものがあげられます。
- 事業承継税制
- 取得費加算の特例
以下で詳細を解説します。
事業承継税制
株式譲渡の課税に関する特例として、事業承継税制があげられます。
事業承継税制は非上場株式が相続・贈与された場合に相続税・贈与税がすべて優遇される制度です。
かえって節税効果を発揮させられないのは事実ではありますが、収益が減ることはなくなります。
取得費加算の特例
株式譲渡の課税に関する特例として、取得費加算の特例があげられます。
こちらは先ほど触れた通りで、取得費加算は相続税を取得費に加算できる仕組みのことです。
この制度を受けるためには以下の要件を満たす必要があります。
- 相続や遺贈により財産を取得した者であること
- 財産を取得した人に相続税が課税されていること
- 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに財産を譲渡していること
要件を満たしているか事前にチェックしておいてください。
株式譲渡の課税内容計算方法や申告での注意点
株式譲渡の課税内容の計算方法や確定申告について解説しました。
ただ、税金の計算時や確定申告時の注意点がいくつかあります。
株式譲渡の課税内容の計算方法や確定申告の注意点として以下のものがあげられます。
- 親族へ株式を譲渡する場合相続とみなされる場合がある
- 過去の申告が適切になされていたか確認する
- 繰越欠損金に注意する
- 課税に関する制度が頻繁に変わるためM&A専門家に相談しながらすすめる
以下で詳細を解説します。
親族へ株式を譲渡する場合相続とみなされる場合がある
株式譲渡の課税内容の計算方法や確定申告の注意点として、親族へ株式を譲渡する場合相続とみなされる場合がある点があげられます。
相続に当たると判断された場合は相続税がかかります。
相続税がかかると困るといった方は、事前に相続とみなされるか確認すべきです。
過去の申告が適切になされていたか確認する
株式譲渡の課税内容の計算方法や確定申告の注意点として、過去の申告が適切になされていたか確認する点があげられます。
過去の確定申告で申告漏れが判明すると、追徴課税が請求されます。
申告できていない金額に応じて追加の税金が加算され、すぐに支払わなければならなくなる点に注意してください。
繰越欠損金に注意する
株式譲渡の課税内容の計算方法や確定申告の注意点として、繰越欠損金に注意する点があげられます。
株式譲渡をはじめとしたM&Aの目的が繰越欠損金であった場合、黒字の法人に付け替えようとしても認められなくなってしまいます。
他の目的を持って株式譲渡を実施してください。
課税に関する制度が頻繁に変わるためM&A専門家に相談しながら進める
株式譲渡の課税内容の計算方法や確定申告の注意点として、課税に関する制度が頻繁に変わるためM&A専門家に相談しながら進める点があげられます。
企業間だけで株式譲渡を実施することは可能です。
しかし、課税に関する制度は頻繁に変わり、過去に株式譲渡の経験があったとしてもそのときの通りに進められるとは限りません。
そのため、課税制度に詳しい専門家に介入してもらうのが理想的です。
株式譲渡の課税内容や計算方法は専門家のサポートを受けるのがおすすめ
株式譲渡で税金がかかることを踏まえると、株式譲渡で節税効果を発揮させるために専門家のサポートを受けるのが理想的です。
株式譲渡時に発生する税金を活かすために相談すべき専門家として以下のものがあげられます。
- 金融機関
- 商工会議所
- 弁護士
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- M&A仲介会社
以下で詳細を解説します。
①金融機関
株式譲渡時に発生する税金を活かすために相談すべき専門家として、金融機関があげられます。
身近な金融機関でも株式譲渡に対して知見を持っており、株式譲渡をサポートしてくれるところもあります。
相談しやすい場所で話を持ちかけたい場合は、身近な金融機関に相談を持ちかけてみてください。
ただ、本業は経営のサポートではないため、より専門的なサポートを受けたいなら他の専門家に相談すべきです。
②商工会議所
株式譲渡時に発生する税金を活かすために相談すべき専門家として、商工会議所があげられます。
商工会議所は企業の財務面や中小企業の経営をサポートしてくれる機関です。
税制度についても詳しくアドバイスしてもらえるため、株式譲渡の税制度について知りたい方におすすめです。
しかし、より専門的な法務についての悩みを抱えている場合は、法務面に強い他の専門家にも相談してみてください。
③弁護士
株式譲渡時に発生する税金を活かすために相談すべき専門家として、弁護士があげられます。
弁護士は税制度などの法律に関わる専門的なアドバイスをしてくれる機関です。
株式譲渡についての知見がほとんど欠けている場合、例えば、商工会議所と弁護士の両方に相談することも考えてください。
④事業承継・引継ぎ支援センター
株式譲渡時に発生する税金を活かすために相談すべき専門家として、事業承継・引継ぎ支援センターがあげられます。
事業承継・引継ぎ支援センターは事業承継について専門的なサポートをしてくれる機関です。
ただ、サポートしてくれるのは事業承継の範囲までで、継続的な経営サポートまでしてくれるわけではない点に注意してください。
⑤M&A仲介会社
株式譲渡時に発生する税金を活かすために相談すべき専門家として、M&A仲介会社があげられます。
M&A仲介会社はM&A全般に対して専門的なアドバイスをくれる機関です。
他の組織だとアドバイスをくれるだけで終わりますが、M&A仲介会社ならマッチングからサポートしてもらえます。
マッチングの段階から失敗して、円滑な株式譲渡ができないことも少なくありません。
取引相手探しから困っている場合は、M&A仲介会社に相談してみてください。
株式譲渡の課税内容や計算方法は専門家の助けでやり遂げよう
株式譲渡の課税内容は複雑なものとなっており、全く知識のない方が判断するのは難しいです。
そのため、株式譲渡を実施する際には専門的知識を持った方を頼りに手続きを進めるべきです。
弁護士やM&A仲介会社などの専門機関であれば、株式譲渡の課税制度に沿って手続きを進めてもらえます。
確定申告についても上記のような専門家がサポートしてもらえます。
株式譲渡を検討している方は、株式譲渡の目的に合った専門家に相談してみてください。
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