M&Aの手法(スキーム)とは?種類やメリット・デメリット・税金まで徹底解説!
M&Aは規模の拡大、新規事業の参入、資金調達の方法として、近年活用されるフレームワークです。
M&Aには様々な手法があり、メリットも異なります。
当記事では、M&Aの概要や手法のメリット・デメリット、流れや注意点について解説します。
目次
M&Aの手法(スキーム)とは?
M&Aとは、企業が新規事業に参入したり、会社規模を拡大するために使用される経営戦略です。会社や事業の売却によって、資金調達や事業のスリム化を図る観点からも活用されます。
M&Aにはさまざまな種類の手法(スキーム)が存在するため、違いを理解する必要があります。
M&Aとは
M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、企業の合併・買収を指す言葉です。
M&Aの広義な意味として、合併・買収以外に、提携を含める場合があります。
近年では成長戦略の手段として多くの企業がM&Aを実施しており、年々件数が増加しています。直近のM&A件数について、2021年は4,280件であるのに対し、2022年は過去最多の4,304件を記録しました。
M&Aを行う主な理由
M&Aを行う主な理由は、以下のとおりです。
- 後継者や事業の承継問題解決のため
- 事業拡大・経営基盤強化のため
- 創業者利益獲得のため
M&Aを行う理由は譲受企業と譲渡企業で異なりますが、それぞれが抱える問題を解決する手段として、さまざまな種類の手法(スキーム)が用いられます。
M&Aの手法(スキーム)の種類
M&Aの手法(スキーム)の具体的な種類は、以下の表のとおりです。
買収 | 株式譲渡 第三者割当増資 株式交換 株式移転 事業譲渡 会社分割 TOB MBO |
合併 | 吸収合併 新設合併 |
提携 | 資本提携 業務提携 資本参加 資本業務提携 |
スキームとは、M&Aの実施にあたり、企業間の事業や株式を移転させる手法を指します。
M&Aの手法(スキーム)ごとの特徴とメリット・デメリット
M&Aにおける、買収・合併・提携のスキームのメリット・デメリットついて解説します。
手法(スキーム)の種類によって、得られる利益や必要な手続きが異なります。
M&Aの実施にあたり、自社が想定する利益を得るためには、スキームごとのメリット・デメリットを把握することが重要です。
買収
買収とは、買手企業が売手企業の経営権を取得するために実施されるM&Aの手法(スキーム)です。
買収は、株式の売買や移転・交換により実施され、買手企業は売手企業の株式を50%以上保有することで、経営権を握ります。
買収にはさまざまな種類が存在し、ここでは9種類の手法を解説します。
株式譲渡
株式譲渡は、株式を特定の相手に譲渡することをいいます。
買手企業は株式譲渡によって、売手企業に対する支配権を獲得したり、株主構成を変化させたりします。買手企業は3分の2以上の株式を獲得することで、売手企業の企業・運営の実権を握れます。
買手企業 | 売手企業 | |
メリット | 手続きが簡単 | 事業や従業員への影響が少ない |
デメリット | 投資額が大きい 売手企業の負債を承継する | 株主全員の同意が必要 |
株式譲渡は、売手企業の負債を承継するデメリットが存在します。事前に企業調査を行い、簿外帳簿や負債リスクが無いか検討が必要です。
第三者割当増資
第三者割合増資とは、売手企業が新たに発行した株式を、買手企業に割り当てる手法です。
買手企業 | 売手企業 | |
メリット | 売手企業との関係強化 連結決算による利益取込 | 手続きが簡単 資金調達が可能 |
デメリット | 議決権を100%獲得できない 多額の資金が必要 | 株式の希薄化 |
買手企業は株式譲渡に比べ、多額な資金が必要なデメリットが存在します。経営権を獲得するには、売手企業の既存株主が保有する株式数に応じた株式が必要となるためです。
一方売手企業では、資金調達が手続きが容易にできることが大きなメリットです。
株式交換
株式交換は、買手企業が売手企業の株式をすべて取得することで、完全親会社になる手法です。
買手企業 | 売手企業 | |
メリット | 100%の株式取得が可能 株式を対価にすれば買収資金不要 | 買手企業とは別会社として存続 売手企業株主が買手企業の株式を取得可能 |
デメリット | 不要な資産や負債を受継ぐ 株式の希薄化 手続きが複雑 | 自社株式の保有ができない |
株式交換は、株式譲渡より簡単に売手企業の株式を100%取得できることが大きなメリットです。デメリットは、株式を対価に売手企業の株式を取得した場合、買手企業の株主の保有株式の価値が希薄化する点です。
一方売手企業は、買手企業の株式を保有できるメリットがあります。しかし、上述の株式の希薄化のリスクを負担するデメリットがあります。
株式移転
株式移転は、子会社になる既存会社のすべての株式を、新設する会社に取得させる手法です。株式移転により、複数の既存企業のホールディングス化のような組織再編ができます。
株主移転のメリットは、新設会社は新株を子会社に発行するだけなので、取得資金が不要になる点です。しかし、株式移転の買手が上場企業の場合、株価下落のデメリットがあります。1株当たりの利益が減少することや、子会社が増えて管理コストが増加することで、利益の減少が見込まれます。
事業譲渡
事業譲渡とは、事業の一部もしくは全部を売却(譲渡)するスキームで、「全部譲渡」と「一部譲渡」の2種類があります。
買手企業 | 売手企業 | |
メリット | 欲しい事業のみ引き継げる 不要な資産や負債を引き継がない | 不要な事業を売却できる 会社として独立して存続できる |
デメリット | 引き継ぐ事業の選定に時間がかかる | 売却事業と同様の事業ができない 譲渡企業の従業員の手続きが必要 |
買手企業側のメリットとして、必要な事業や資産のみを引き継げる点があります。また、売手企業側には、不要な事業を売却し、順調な事業のみに集中できるというメリットがあります。
売手企業の大きなデメリットは、事業売却により、従業員や取引先間との手続きが必要になる点です。
会社分割
会社分割とは、会社の事業を一部もしくは全部を他の会社に承継させる手法です。
事業譲渡と似たスキームですが、会社分割は事業の承継、事業譲渡は事業の売却という大きな違いが存在します。
買手企業 | 売手企業 | |
メリット | 複数の事業を承継することで組織力が向上 | 株式交付で実施できる 届出のみで実施できる 不要な資産や負債を承継できる |
デメリット | 不要な資産や負債を承継する可能性がある 税務上の取り扱いが複雑 | 株主の3分の2以上の同意が必要 |
会社分割によって、売手企業は不採算事業の切り離しが可能です。不採算事業の赤字や負債を買手企業にそのまま承継できるため、事業のスリム化が図れます。
買手企業にとっては新たな事業を承継し、運営できるため、組織力の向上を図れます。一方で、不要な資産や負債を承継してしまうデメリットがあります。
TOB
TOB( Take Over Bid )とは、株式公開買付を指します。
株式公開買付とは、買手企業が以下の情報を公表して、売手企業の株式を購入する方法です。
- 価格
- 買付期間
- 買付予定株数
売手企業の株主は、買手企業が公表した情景に合意すれば、買手企業に株式の売却を行います。買手企業は、株式公開買付で売手企業の株式の50%以上を取得できれば、売手企業の経営権を握ることができます。
MBO
MBO( Management BuyOut )とは、自社の経営陣に対し事業を売却する手法です。
自社の経営陣に対し、事業を売却することで、自社のノウハウやイメージを維持したまま会社を存続させることが可能です。また、後継者不足や事業承継問題の解決法として用いられます。
M&Aは第三者の企業に事業や会社を売却することを言いますが、一方MBOは、自社の人間に事業や会社を売却するという違いがあります。
合併
合併とは、複数の会社が1つに再編される組織再編行為です。
合併には、複数の会社が1つの会社に再編される「吸収合併」と、すべての会社を解散させ新たに会社を設立する「新設合併」の2種類があります。
吸収合併
吸収合併とは、合併する2社以上の会社のうち、1社を残しその他の会社は解散・消滅する合併のスキームです。
合併により解散・消滅した会社の資産や負債は、残る1社にすべて引き継がれます。解散・消滅する会社の株主は、残る1社の株主になります。
新設合併
新設合併とは、合併するすべての企業が解散・消滅し、新たに会社を設立する合併のスキームです。
実情として、新設合併に伴い会社設立の手続きが必要となるため、新設合併は滅多に行われません。
提携
提携とは、複数の会社が経営資源を提供し合い、共同で事業成長を図るスキームです。
提携には主に、以下の4種類の手法(スキーム)があります。
- 資本提携
- 業務提携
- 資本参加
- 資本業務提携
資本提携
資本提携とは、提携し合う会社同士が株式の取得をし合い、協力体制を築くスキームです。
資本提携を行う方法は、株式譲渡と第三者割合増資による出資です。互いの経営権に影響を与えないために、引き受ける株式数は全体の3分の1未満であることが一般的です。
資本連携を行うことで会社同士の関係が強化されるため、長期的な提携に基づいた経営戦略を確立できます。
業務提携
業務提携とは、単独では解決できない課題の解決を目指すスキームです。
特徴として、それぞれの企業が経営資源を出し合うことや資本の移動が伴わないことが挙げられます。
企業が不足している能力や技術を向上させたり、一から新事業を立ち上げるには、相当な時間や金銭面でのコストが必要です。しかし、複数社の技術やノウハウを活かすことで、新事業への展開や新商品・サービスの開発が、低コストで実施できます。
資本参加
資本参加とは、他社との関係性強化のために、株式を取得して資本提供するスキームです。
資本参加によって他社の企業発展や経営拡大に貢献すれば、今後の関係性の向上が期待できます。特徴として、他社の経営権の獲得を目的としないことが挙げられます。
類似したスキームである資本参加と資本提携は、相手の経営権を侵害しないよう、3分の1以下の株式を保有するという共通点があります。
資本業務提携
資本業務提携とは、先述した資本提携と業務提携を同時に行うスキームです。
資本業務提携は、資本提携で企業同士の出資を行いながら、業務提携で経営資源を出し合うため、より強固な関係性を築くことが期待できます。また、提携する企業同士が、より迅速な事業成長を達成するために実施されます。
M&Aの手法(スキーム)の基本的な流れ
M&Aスキームの基本的な流れについて、買手・売手目線でそれぞれ紹介します。
主な流れは以下のフローの通りです。M&Aは専門業者に依頼して進めることになりますが、自社でM&Aの流れをあらかじめ把握しておけば、スムーズにM&Aの計画・実施ができます。
①M&Aの検討・専門家への相談
まずはM&A実施の目的や方向性を定めましょう。
M&Aの実施目的が明確でないと、交渉企業が見つかってもあいまいな内容で交渉が進んでしまったり、M&Aの実施そのものが目的化したりするケースがあります。
M&Aの目的や方向性を決めるにあたり、M&Aの専門業者と委託契約を結びましょう。
M&Aは法務・会計・税務など専門性が高い分野であるため、会社の経営者のみでの実施は現実的ではありません。
②M&A売却価格・条件・課題などを検討
M&Aの方向性の明確化や専門業者と契約が済んだら、「企業価値評価」「企業概要書」の2つをベースに売却価格や条件、課題を検討していきます。
企業価値評価は、売手企業の売却価格を算出する手法で、以下のフレームワークで行います。
- コストアプローチ法:貸借対照表をもとに評価額を算出
- DCF法:将来的に見込める収益を算出する
- マーケットアプローチ法:同規模・同業他社を参考に評価する
企業概要書とは、M&Aの交渉相手に提出する、自社情報をまとめた資料をいいます。交渉相手とのM&Aトラブルを避けるため、虚偽の内容は記載せず、自社の事業内容や会社の現状、財務状況をしっかりとまとめましょう。
③交渉相手を選ぶ
売手側は、ノンネームシートを作成し、飼い主候補に提示します。ノンネームシートとは、企業名が特定できない形で、業種・所在地・事業規模・業績推移・売却理由・売却希望価格・実施予定のM&Aスキームを記載するシートです。
買手側は、売手のノンネームシートや会社独自の調査などで買収対象を絞り込みます。買収によって自社が得られるメリットや既存事業とのシナジー効果を検討します。
④秘密保持契約の締結
M&Aの交渉相手候補をより詳細に知りたい場合、売手・買手間で秘密保持契約を締結し、互いの内部情報を交換します。
秘密契約保持は、買手・売手間で直接締結する方法と、M&A専門業者を通じて締結する方法の2パターンが存在します。
⑤相手企業との交渉開始
M&A先を決めたら、トップ面談、意向表明書の提示の順で交渉が始まります。
トップ面談とは、M&Aを実施する会社の経営者同士が面談を行うことです。M&Aの方針や条件について、基本合意が行われるまで定期的に面談を行います。
意向表明書とは、トップ面談後、買手企業が売手企業に対し買収の意図を伝える書面を指します。意向表明書の提出は必須ではありませんが、売手企業に買収の意思を伝えれば、今後のM&A交渉がスムーズに進めやすくなるメリットがあります。
⑥基礎情報開示
秘密保持契約の締結後、売手側が買手側に対し、IM(インフォメーションメモランダム)を提示します。IMとは、事業の詳細情報をまとめた資料を指します。
また、買手側が交渉にあたり入札方式を選択した場合は、IMとあわせてプロレスレターを提示します。プロレスレターとは、入札の手順やスケジュールがまとめられた資料です。
IMとプロレスレターは、ともにM&Aの専門業者が作成・発行するのが通例です。
⑦デューデリジェンス実施
売手・買手間で故障が進むと、買手によるデューデリジェンスが実施されます。
デューデリジェンスとは、売手が抱えるさまざまな問題やリスクを抽出するプロセスです。具体的には、専門家が財務面や法務面などさまざまな観点で、売手の企業監査を行います。
売手の簿外債務や社内トラブルをあらかじめ調査し、買収後のリスクを回避するために、買手側は徹底してデューデリジェンスを行います。
⑧最終契約締結
デューデリジェンスが完了し売手側に問題が無ければ、最終条件の交渉後、最終契約締結がされます。売手・買手ともにM&Aの専門業者に相談し、できる限り自社の希望をかなえられるように条件を調整しましょう。
最終条件が決まると、最後に最終契約書をもとにM&Aの実施が決定します。一度締結した条件はあとから変更できないため、最終契約は慎重に行う必要があります。
⑨クロージング
クロージングとは、最終契約をもとに事業・資産・人材などを買手に移動させるフローです。クロージングの完了とM&Aの完了は同義と言えます。
クロージングは具体的に、対価の支払い・株式に関する名義書き換え・重要物の引き渡し・登記など、さまざまな手続きが行われます。クロージング当日は混乱することが予想されるため、クロージング日の動きをあらかじめまとめ、スムーズに実行できるようにしましょう。
M&Aの手法(スキーム)の中からあった手法を選ぶポイント
M&Aの手法(スキーム)を選択するポイントは、以下の通りです。
- 自社にメリットがあるか
- タイミングがあうか
- 対価を受け取るのはだれか
- 発生する税金
自社が希望する利益・メリットを得るためには、事前にM&Aのシミュレーションをすることが重要です。
解説するポイントをもとに、自社に適切な種類のスキームを選択しましょう。
自社にメリットがあるか
M&Aの実施においては、自社にメリットがあるM&Aスキームを選択することが重要です。
しかしM&Aは、自社だけでなく相手会社がいて成り立つため、自社が選択したスキームに固執せず、交渉相手に応じて柔軟に手法を変えることも視野に入れる必要があります。
自社にもたらす利益やメリットを保ちつつ、交渉相手の目的を満たすことがスムーズにM&Aを行うポイントです。
タイミングがあうか
M&Aスキームは、利益を最大化できるタイミングで実施することが重要です。適切なタイミングとは、以下の通りです。
- 好景気の時期
- 会社の業績が良い時期
- 経営者の衰えの時期
売手企業側であれば、業界の市場規模が右肩上がりの好景気の時期で実施すると、高価格で売却できる可能性が高まります。
会社の業績が良い時期は、自社の評価が良いタイミングと言えるため、好条件なM&Aの交渉相手が見つかる場合があります。
経営者の年齢や健康面など体力的に衰えを感じたときも、M&Aの適切なタイミングです。
対価を受け取るのはだれか
M&Aの実施により、誰が対価の受け取るのかを事前に把握しましょう。
対価の受け取りは、大きく分けて以下の3パターンが考えられます。
- 株式譲渡:売手企業の株主
- 事業譲渡:売手企業
- 会社分割:売手企業
株式譲渡の当事者は、株主と買手企業です。つまり、買手企業が購入した株式は、売手企業の株主に入ります。
一方で、事業譲渡と会社分割の当事者は、売手企業と買手企業です。買手企業からの対価は、売手企業に入ります。
発生する税金
M&Aスキームの実施で、誰に税金が発生するかを事前に確認しましょう。
M&Aスキームによって買手企業・売手企業にかかる税金が変わります。M&A実施後に税金問題で悩まないためにも、事前に税理士やM&A相談センターなどに確認することが必要です。
M&Aの手法(スキーム)ごとの発生する税金
M&Aスキームの種類によって、発生する税金が異なるため、事前に確認しましょう。
事業や会社を譲渡すると、売却対価を受け取ることとなるため、その対価に対して税金が課されます。税金の課税対象はスキームによって異なり、個人・法人、売手企業・買手企業によっても違いがあります。
株式譲渡
売手がM&Aスキームで譲渡所得を行い利益を獲得した場合、獲得利益に対し税金が課されます。買手に税金は課されません。
個人が株式譲渡を行った場合は、譲渡所得に対し20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%・住民税5%)の所得税が課されます。
法人が株式譲渡を行った場合は、獲得利益に対し約30%(法人の規模による)の法人税が課されます。
事業譲渡
M&Aで事業譲渡を行った場合、売手企業と買手企業にそれぞれ税金が課されます。
売手企業は、事業譲渡による利益に対し、約30%の法人税(法人の規模による)が課されます。一方、買手企業にかかる税金は、消費税・不動産取得税・登録免許税の3種類です。
消費税は、売手企業から課税取引に該当する資産を譲り受けた場合に課税される税金です。
不動産取得税は、事業譲渡で土地・建物を取得した場合、それらの価額に対し税金が課されます。
登録免許税は、事業譲渡による不動産の所有権の移転登記の際に発生する税金です。
M&Aの手法(スキーム)で中小企業が利用する手法は?
M&Aで中小企業が利用する手法(スキーム)は、主に以下の5種類です。
- 株式譲渡
- 事業譲渡
- 会社分割
- 株式交換
- 株式移転
5つの手法の中でも、特に株式譲渡は中小企業のM&Aで多用される手法です。
ここでは、中小企業がM&Aを行う目的や株式譲渡の実施が多い理由について解説します。
中小企業がM&Aを行う主な目的
中小企業がM&Aを行う主な目的は、以下の通りです。
- 事業承継・後継者問題の解決のため
- 資金調達のため
- 会社の規模拡大や新規事情立上のため
M&Aにより、事業をほかの会社に承継させることができるため、後継者不足や事業存続問題の解決が可能です。
また、M&Aで事業譲渡をすることで、資金調達が簡単にできたり、不要な事業を売却することで既存の事業に集中できるというメリットもあります。
会社の拡大を検討している買手企業目線では、事業譲渡によって、一から事業を立ち上げる必要がなく、新規事業に適切な人材やノウハウをすぐに獲得できます。
株式譲渡を行う企業が多い
M&Aで株式譲渡を行う企業が多い理由は、売手にも買手にも大きいメリットが存在するためです。
売手側からみると、株式譲渡は株式総会の承認が不要といった、手続きの簡便なメリットがあります。
買手側からは、M&Aによって子会社もしくは完全子会社を作るという目的が達成しやすいメリットがあります。中小企業では、経営者が1人のケースや、経営者とその親族や役員のみが株式を保有しているケースが多く存在します。買手企業は、それらの人物から株式を買い取ればいいだけなので、子会社を作るという目的が達成しやすいといえます。
M&Aの手法(スキーム)をすすめる上での注意点
M&Aの手法(スキーム)をすすめる上で、5つの注意点が挙げられます。
- M&Aを行う理由をはっきりさせる
- 譲れない条件を明確にする
- 株主を確認しておく
- タイミングを見逃さない
- M&Aの知識と経験が豊富な専門家に相談する
5つの注意点をふまえてM&Aの実施計画を進めることで、自社が望む利益やメリットが得られないリスクを回避できます。
ここでは、M&Aスキームを進める上の注意点を解説します。
M&Aを行う理由をはっきりさせる
自社がM&Aを実施する理由を、あらかじめはっきりさせておくことがポイントです。
M&A実施は、時間や労力が非常にかかります。多忙のあまりM&A実施のみを目的としてしまうと、自社が本来求めていた利益やメリットを得られない可能性があります。
M&Aの軸となる目的を定め、適切なM&Aスキームの実施を目指しましょう。
譲れない条件を明確にする
M&Aを実施するにあたり、自社の譲れない条件を明確にし、交渉相手に伝えましょう。
M&Aは相手会社がいて成立する経営戦略です。相手企業とM&Aの調性を行う上で、あらかじめ自社の譲れない条件を提示することで、M&A後のトラブルや認識の違いのリスクを減らせます。
株主を確認しておく
M&A実施の前に、自社株主がいくら自社株式を保有しているかを必ず確認しましょう。
株式数を確認せずに株式譲渡を実施すると、自社の経営権が買手企業に握られてしまう可能性があります。
自社の発行株式は、株主名簿や登記簿謄本で確認できます。もし株式についてわかる書類等が見当たらなければ、税理士や税務署に相談して株式の状況を把握しましょう。
タイミングを見逃さない
上記で先述しましたが、M&Aスキーム実施には、以下の適切なタイミングが存在します。
- 好景気の時期
- 会社の業績が良い時期
- 経営者の衰えの時期
M&Aスキームを適切なタイミングで行えば、自社の利益を最大化できる可能性が上昇します。
「今はM&A実施に適した時期なのか」と焦らずに検討し、利益の最大化を目指しましょう。
M&Aの知識と経験が豊富な専門家に相談する
以下のような専門家への相談で、M&A成功を目指す方法があります。
- M&A仲介会社
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 金融機関
- 商工団体
- 士業事務所
従来は税理士や会計士、金融機関が主なM&Aの相談先でしたが、近年ではさまざまなM&Aの専門家が登場しました。
M&Aの知識が無い方でも、プロに相談することで、理想のM&Aを成功・実施できる可能性があります。
M&Aの手法(スキーム)を的確に選び円滑に進めよう
今回はM&Aについて、概要、手法(スキーム)の種類、メリット・デメリット、フロー、注意点などさまざまな観点から解説をしました。
M&Aを円滑に実施するには、手法(スキーム)の種類ごとの違いを理解したうえで選択し、自社に必要な要素を検討する必要があります。また、M&Aの専門家と契約し、交渉相手とトラブルが無いように準備を進める必要があります。
M&Aの専門家の選ぶ際は、複数の事務所の無料相談を行い、相性が良い人材を探しましょう。
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