M&Aの流れを売り手と買い手目線で徹底解説!検討〜クロージングまでの手順やフローとは

M&Aでやるべきことは幅広いです。売買企業ごとに流れは異なりますが、大枠の流れは概ね同じです。基本的には売買企業が協力してM&Aを進めますが、初期段階では買収側、売却側で別の流れで進めます。事前にPMIまでの流れを把握することが重要です。

目次

  1. M&Aの全体の流れ・フロー
  2. 検討・準備段階の流れとプロセス
  3. マッチング・交渉段階の流れとプロセス
  4. 最終契約段階の流れとプロセス
  5. クロージング後の手続き
  6. PMI(経営統合)の流れとプロセス
  7. M&Aの流れまとめ

M&Aの全体の流れ・フロー

M&Aの流れ・フローは売買企業ごとにそれぞれ詳細は異なります。ただし大まかな全体の流れ・フローは概ね同じです。具体的には、売買企業でそれぞれ流れ・フローは以下のようになっています。また4番以降の流れ・フローは売買企業どちらも同じです。

【売却側企業】

  1. 買収側とM&Aアドバイザーと契約
  2. 提案資料の作成
  3. ネームクリアの確認
  4. トップ面談の実施
  5. 意向表明書の提示
  6. 基本合意書の締結
  7. デューデリジェンスの実施
  8. 最終譲渡契約書の締結
  9. クロージング

【買収側企業】

  1. 売却側とM&Aアドバイザーと契約
  2. ノンネームシートでの提案
  3. 売却企業の検討
  4. トップ面談の実施
  5. 意向表明書の提示
  6. 基本合意書の締結
  7. デューデリジェンスの実施
  8. 最終譲渡契約書の締結
  9. クロージング

クロージング後のPMIもM&Aの流れ・フローに含まれる場合もあります。最初からすべての流れ・フローを把握したうえでM&Aを開始することが重要です。流れ・フローを把握しておくことで、相手企業が見ているポイントやどうすれば売却価格が上がるかなども考えられるためです。

検討・準備段階の流れとプロセス

まずはM&Aに実際に着手する前の検討・準備手順のプロセスについて解説します。検討・準備手順はあくまでも事前に行う流れ・フローというわけではなく、M&A全体に影響を与える流れ・フローです。M&Aは初期段階で後の流れ・フローまで把握した上で進めることが非常に重要なので、検討と準備の手順段階でPMIまで見据えた動きをする必要があります。

M&Aの検討

M&Aの検討手順では、なぜM&Aを行うのか、M&Aによってその目的を達成できるのかを検討します。大枠のビジョン設定と、コストやリスクなどの細かい評価の両方を行います。

この手順段階でよく検討できていると相手企業の選定や交渉の流れがスムーズに進み、狙っている結果に着地できる流れになる可能性が高まります。

買収側の検討点

M&Aの買収側はまずは自社の現状を分析し、組織のあり方、成長戦略、M&Aの目的などを明確化する流れです。上記をもとに、交渉相手の条件、M&Aスキーム、買収先の企業などを選定していく流れです。

M&Aの買収先企業は、自分で探す手順を踏む流れの場合と、M&A専門業者などに相談する手順を踏む流れの場合があります。M&Aの買収先を検討する際には、20~30社程度の候補企業リストを作成し、そこからさらに数社に絞り込んでいく流れが一般的です。

M&A専門業者に紹介してもらう手順を踏む流れの場合は業者からの情報が情報源の中心ですが、他にもインターネット、業界誌、アナリストレポート、企業データベースなど様々な媒体を利用して情報収集を行う流れです。

売却側の検討点

売却側はどのような目的でM&Aを実施するのか、いつM&Aを実施するのか、譲渡後の役員・従業員の待遇はどうなるか、商品・ブランドの引継ぎはどうするか、売却価格はどの程度を希望するか、などを検討する流れです。

細かいポイントまで検討しておくことで買収側の提示する条件を判断しやすくなり、交渉もスムーズに進むでしょう。また交渉のアピールポイント、弱みやリスクを明確にすることも重要です。

自社の市場価値を適正に把握し、どうすれば市場価値が高い状態でM&Aを実行できるか考えることも検討点に含まれます。検討段階でM&A専門業者などに相談している場合は、専門家と連携しながら財務や法務などの分野を深掘りし、適切な対応を取っていく流れです。

M&A専門家の選定

M&A専門家は幅が広いです。各士業の担当者がM&Aの相談を受け付けている場合もあれば、M&A専門の会社もあります。またM&A専門の会社に士業の担当者が在籍していることも多いです。

いずれにしてもM&Aには税務、財務、法務、労務など幅広い知識が必要とされるため、M&A専門家は各方面にパイプを持っています。そのためどこを入り口に相談しても、最終的にはパイプを活かして幅広い分野で相談していく流れになります。

そして士業の事務所や金融機関ではなくM&A専門業者に相談する場合、業者は大きく2種類に分けられます。

仲介タイプ

まずは仲介タイプです。仲介タイプは売却側、買収側のいずれかに付くわけではなく、仲介の立場です。仲介の立場なので、どちらかの損得のために交渉を代理するのではなく売却側、買収側の双方と契約を結び、調整役としての役割を担います。

中小企業M&Aはスムーズな流れで進めることを重要視する場合が多いので、仲介タイプの業者に依頼するのが一般的でしょう。M&Aが長引くとM&A自体のコストが大きくなり、売買利益を圧迫します。

そのため、損得のための交渉よりも調整を重要視する仲介タイプは中小企業M&Aとの相性が良いということです。

アドバイザリータイプ

アドバイザリータイプは売買企業のいずれかと契約し、契約企業の利益最大化のために動きます。アドバイザリータイプの業者に目的や希望を共有しておけば、それに寄り添う形で交渉を進めてくれるということです。

アドバイザリータイプは利益最大化には貢献しますが、交渉が難航し、M&A自体のコストが高くなる傾向があります。そのため、M&Aのコストがかかっても売買利益の最大化やメリットの享受などを優先したい大企業のM&Aに向いています。

大企業のM&Aではアドバイザリータイプ、中小企業のM&Aでは仲介タイプが選ばれることが多いということです。また仲介タイプとアドバイザリータイプの両方に対応しているM&A会社もあります。

マッチング・交渉段階の流れとプロセス

事前の検討がある程度完了したら、実際にマッチング・交渉の手順に移ります。マッチングや交渉の流れ・フローはきっちり型が決まっているわけではありませんが、一般的な流れ・フローとプロセスをご紹介します。

M&A専門家との打ち合わせ

買収側も売却側も、まずはM&A専門家と打ち合わせを行う流れ・フローです。この手順段階では、専門家と契約を結んでいる必要はありません。売買先企業を紹介してもらい、具体的なターゲットが決まった段階で契約の手順に移行する流れです。

M&A専門家との打ち合わせでは、M&A以外の選択肢も含めてアドバイスをもらうことが可能です。そのため、相談前に複数の選択肢を考えて提示すると良いでしょう。M&A専門家は立場上M&Aを推奨する可能性が高いですが、これに関しては相手の立場も鑑みたうえで意見を聞くのが重要です。

逆に言えばM&A以外の選択肢について質問しても良い回答が得られなかったりM&Aを押してくるだけだったりするアドバイザーの場合、契約しない方が良いかもしれません。M&A専門家との打ち合わせは、専門家を判断するという役割もあるということです。

M&A専門家との業務委託契約

売買先企業がある程度決まったら、M&A専門家と業務委託契約を結ぶ流れ・フローです。業務委託契約を結ぶことで、M&A専門家はM&Aの進行を全面的にサポートしてくれます。具体的には、資料作成、自社の弱みや強みの洗い出し、売買対象企業の選定、今後の戦略の話し合い、などの手順が挙げられます。

またM&A専門家の料金体系はバラバラです。成功報酬だけでなく、固定で費用がかかる業者もあります。事前に料金体系も確認し、想定以上に費用がかからないようにしていく必要があるでしょう。

また料金体系が不明瞭な業者は、サービスも良くない可能性が高いと考えられます。中にはM&Aの成立を引き延ばし、固定報酬を狙っているかのような動きをする業者もあるようです。

料金体系はサービスを判断する指標にもなるので、M&A専門家との契約前には売買の対象企業だけでなくM&A専門家についても調べておいた方が良いでしょう。

専門家との秘密保持契約締結

詳細な情報開示や交渉の前に、秘密保持契約を締結する流れ・フローです。秘密保持契約を締結することで、ノンネームシートや一般非公開情報を閲覧できます。秘密保持契約は専門家と締結しますが、これで相手企業とも秘密保持契約を締結したことになります。

情報の開示も秘密保持契約も専門家を通して間接的に行われるということです。またここでの秘密保持契約は、後の手順のデューデリジェンスによる調査の流れも含まれます。

譲渡企業の企業価値評価

売却側は自社の、買収側は対象企業の企業価値評価を行う流れです。買収側の詳細な調査は後のデューデリジェンスの工程で行う流れなので、ここでの企業価値評価は入手した資料をもとに行うのが一般的な流れです。

ただしもちろんこの段階で、インターネットや企業データベースでリサーチする流れでも問題ありません。むしろ時間があれば外部の情報も入手した方が客観的な評価はしやすいでしょう。

売却側は自社の企業価値を評価することで、適正な価格を提示できるだけでなく自社の企業価値を高める方法の検討や売却先選定の流れに役立ちます。

M&Aスキームの選択

M&Aのスキームは複数あります。具体的には、株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割、株式移転、株式交換が挙げられます。スキームは売買企業間の交渉によって当初の想定から変更される場合がありますが、売却側も買収側もベストなスキームを検討しておくことが重要です。

たとえば売買価格やその他の条件で交渉が難航した場合に、スキームの変更を提案することなども可能だからです。

売却側の交渉相手探し

売却側はノンネームシートを提示することで買収側を探します。ノンネームシートには、業種、本社所在地(細かい住所は省略)、事業規模、業績推移、売却理由(会社を特定できない範囲)、売却希望価格、M&Aスキームなどが記載されます。

ノンネームシートの段階では企業名は特定できないように作成することが重要です。自社がM&Aを希望しているという情報が流出してしまうと、従業員、取引先、消費者などからの印象が悪くなる可能性があるからです。M&Aの実施が困難になる場合もあるでしょう。

M&A仲介会社やアドバイザリー会社に依頼している場合、ノンネームシートはこれらの業者が作成します。

マッチングプラットフォームなど基本的に自社でM&Aを進めるサービスを利用している場合、ノンネームシートも自社で作成する流れになります。

買収側の交渉相手探し

買収側は提示されたノンネームシートやインターネットなどのリサーチをもとに買収対象を探す流れです。またノンネームシートなどに記載されている情報は、あくまでも客観的な評価です。しかし買収側にはそれぞれ狙いやもともと持っている事業があり、買収側の状況次第で売却企業の価値は変わってきます。

たとえばシナジー効果を発揮しやすい、事業拡大の目途が立ちやすい、といった場合は市場での客観的な評価よりも自社にとっての価値は高いということになります。自社の状況を鑑みつつ、目的に合わせて買収対象を探す流れです。

売却側の情報開示

上でもご説明した通り、売却側はノンネームシートを介して情報開示する流れです。どこまでの情報を開示するかは企業や状況によって異なりますが、企業名が特定されるような情報は避けた方が良いでしょう。

しかし情報を限定しすぎると買収側は判断材料がなくなり、結果的に売却先候補が見つかりにくくなります。M&A仲介業者などを利用している場合は、相談しながら最適なノンネームシートを作成する流れです。

また売却先候補の企業から提案書や情報開示依頼の資料が提示される場合があります。こういった場合、追加で情報開示を行う流れです。

秘密保持契約締結

譲渡側と譲受側で秘密保持契約を結びますが、仲介業者を挟んでいる場合は仲介業者との秘密保持契約が双方の秘密保持契約を兼ねている場合もあります。マッチングプラットフォームなどを利用している場合は間に業者が入っていないので、売買企業間で秘密保持契約を締結する必要があります。

IM(インフォメーションメモランダム)

IMは社名、会社概要、事業内容、事業系統、取引先、財務データ、資産、設備、雇用状況などが記載された資料です。IMは売却企業が提示した内容をもとに仲介業者などが作成する流れが一般的です。

つまり主観が入る余地も多いため、買収側はその前提のうえでIMを確認する必要があります。気になるポイントがあればリサーチや追加での資料請求を行う流れです。

プロセスレター

プロセスレターは入札方式の際に用いられる資料です。プロセスレターには、入札手順、入札ルール、スケジュールなどが記載されています。売却側が作成したプロセスレターをもとに、買収側は入札書を作成する流れです。

一般的には、1次入札で買収側企業の候補は数社に絞られます。この数社がデューデリジェンスを実施し、最終交渉の工程に入る流れです。

買収側からの要望

上で挙げた一般的な流れとは別に、買収側から独自の要望が伝えられる流れの場合があります。M&Aの流れはある程度型が決まっていますが、完全に型にはめて進めなければならないわけではありません。

後の交渉で要望を伝える流れも可能ですが、買収側にとっても早めに判断できるに越したことはありません。そのため、資料を確認した段階で要望を伝え、後の工程に進むかどうかを早めに判断する流れの場合もあるということです。

トップ面談

トップ面談は経営者同士の面談です。経営者のスケジュールを調整して面談する流れです。タイミングはスケジュールの問題もあるので明確な決まりはありませんが、早めの方が好ましいです。

トップ面談は具体的な条件を交渉するというよりは、理念や考え方を共有し、認識を合わせるためのものです。トップ面談で信頼関係を築くことができれば、その後の交渉がスムーズに進む可能性が高まります。

一方で考え方や性格的な部分で不一致が起きると、条件にかかわらずM&Aが頓挫してしまう可能性もあるでしょう。

基本合意書

売買企業双方の意向がM&Aを進める方向に固まったら、基本合意書を締結するプロセスです。基本合意書には、M&Aスキーム、売買条件、M&A成立までのプロセスなどが記載されています。ただし基本合意書はM&Aを確約させるものではなく、また記載されている内容も暫定的なものです。

入札方式の場合は基本合意書は締結せず、入札書の内容をもとにデューデリジェンスに進むプロセスです。一般的に基本合意書に記載される内容について解説していきます。

M&Aの条件内容

基本合意書にはM&Aの条件が記載されています。具体的には、売買金額、M&Aスキーム、M&A成立後に従業員の雇用が継続されるかどうか、給与水準、その他待遇などが該当します。基本合意書の内容は後から変更される可能性がありますが、条件面の大枠に問題があればこの段階で交渉した方が後々の大きな認識のズレを防げます。

今後のスケジュール

基本合意書には今後のスケジュールも記載します。スケジュールは、何か月目に何をするといった内容です。大枠のサンプルをご紹介します。

手順

期間

1

デューデリジェンスの実施

2ヶ月

2

最終交渉・最終契約書締結

1ヶ月

3

クロージング

1ヶ月

4

PMI

3ヶ月

上記は大枠の流れです。実際はそれぞれの工程を細分化します。たとえばデューデリジェンスはどの項目で実施するのかや、PMIではどのように統合していくのかといった流れを記載します。

独占交渉権

基本合意書には独占交渉権についての記載もされる場合があります。独占交渉権とは、売却側が交渉中の他の売却先候補と交渉することを禁止する権利のことです。独占交渉権は買収側にとって有利な権利です。逆に言えば、独占交渉権は売却側が買収側に有利な条件を提示するということになります。

独占交渉権の期間に法的なルールはありません。一般的には3か月~6か月程度が目安です。独占交渉権自体には法的拘束力を持たせるのが一般的です。基本合意書は全体的には法的拘束力がないので、独占交渉権は例外的な扱いになります。

また独占交渉権と似ている概念に優先交渉権があります。優先交渉権は、複数の買収先候補がある場合、優先交渉権を持っている企業が優先的に交渉できるという権利です。優先交渉権を持っている買収先候補は他の企業よりも優先されますが、優先交渉権を持っている企業間での優劣はありません。

独占交渉権はより厳しい制限、優先交渉権はより緩い制限ということです。

デューデリジェンスへの協力義務

デューデリジェンスは売却企業の調査なので、買収側主導で進められる流れです。ただしデューデリジェンスを適正に行うためには売却側の協力が必要不可欠です。そして基本合意書には、デューデリジェンスでの協力義務についても盛り込みます。

デューデリジェンスの協力内容としては、求められた資料の提示、質問への回答などが挙げられます。悪く言えばデューデリジェンスは売却側の企業を根掘り葉掘り調べていく作業なので、売却側の経営者によっては疑われているような感覚を持つ場合もあります。

しかし買収側にとってはリスク排除の観点から必須なので、快く対応した方が良いでしょう。どちらにしても根掘り葉掘り調査されるのであれば、快く対応した方が印象が良くなるからです。

最終契約段階の流れとプロセス

最終契約段階での流れとプロセスを解説します。最終契約段階はデューデリジェンスという重要な流れから始まります。デューデリジェンスの結果によっては、これまでの流れが覆ることもあるでしょう。

最終契約段階と言ってもここから交渉を行って契約条件が変わってくる場合があるということです。逆にデューデリジェンスで大きな問題が見つからなかった場合、これまでの工程通りの流れでスムーズに最終契約が進む可能性が高いです。

デューデリジェンス

デューデリジェンスはM&Aにおいて重要度の高い工程です。買収側が売却側の企業を複数の分野から調査します。売却側から提示された情報は、意図しても意図していなくても売却側に有利になっている可能性が高いでしょう。主観が入り込む余地があるためです。

この主観を排除し、客観的に売却側企業を判断するためにデューデリジェンスを実施します。売却側が意図的に情報を隠しているケースもあるので、情報を明確にするという目的もあります。

具体的には、法務、財務、税務、ビジネス、ITなどの分野が挙げられます。それぞれの分野のデューデリジェンスは各分野の専門家が担当します。買収側の企業に専門家が在籍していれば買収側企業で実施する場合もありますが、多くの場合は仲介会社が専門家を用意します。

最終交渉

基本合意書やデューデリジェンスの内容を踏まえ、最終契約に向けた交渉を実施します。買収側はデューデリジェンスの内容によって、買収価格やM&Aスキームを見直す可能性があります。売却側にもデューデリジェンスの結果は共有されるため、売却側もデューデリジェンスの結果を踏まえて考えが変わる可能性があるでしょう。

またデューデリジェンスでは売却側が把握していなかったことが発覚するケースが多いです。つまり、買収側が行うデューデリジェンスは売却側が自社の状況を把握するのに役立つというメリットがあり、最終交渉にも役立ちます。

スキームの変更

スキームの変更では、たとえば株式譲渡から事業譲渡に変更するなどが考えられます。デューデリジェンスの結果、特定の事業の問題や債務などが見つかったら、その部分を切り離して買収するということです。

スキームの変更を提案した結果その通りに進む場合もあれば、売却側がさらなる提案を行う場合もあるでしょう。具体的には、売却価格の引き下げ、債務の整理、特定事業の処分などです。

クロージングまでの売却側の義務

デューデリジェンスで問題が発覚したら、売却側は最終契約締結、もしくはクロージングまでに基本的には問題を解消する必要があります。買収側が容認したり、解消以外の提案を行ったりした場合は例外です。

またデューデリジェンス後の売却側の行動によって、売却企業の価値が落ちる場合もあります。こういった事態を防ぐため、買収側は売却側に企業価値を下げるようなことをしないよう求めることもあります。

クロージング後の売却側・買収側の義務

クロージング後、売却側、買収側の行動によっては相手側に不利益を与える可能性があります。買収側の義務としては、役員や従業員の待遇、雇用引継ぎ、社名やブランドの継続、経営者の退職金や個人保証の解消などが挙げられます。

売却側の義務としては、クロージング後の一定期間の営業サポート、知的財産権やブランドの使用許諾、競業避止などが挙げられます。競業避止とは、事業活動等の競争行為を行わないということです。

たとえば事業売却後にノウハウを活かして同じ事業を立ち上げた場合、その事業が競合になり買収側に不利益を与えます。競業避止義務の期間は売買企業双方で自由に決められます。

会社法上は20年が原則ですが、最大30年まで延ばせます。しかし実態としては、2~5年で設定するのが一般的でしょう。

最終売買価額の提示と偶発債務補償

デューデリジェンスの結果、企業価値算定が下方修正される可能性があります。この結果を踏まえて、買収側は最終売買価額を提示します。またデューデリジェンスの結果大きな問題があれば、偶発債務補償に関する内容が追記される可能性もあります。

大きな問題とは、たとえば滞留債権の不良債権化、追徴課税、訴訟敗訴の可能性などです。これらの損害が確定すると、買収側にとって大きな不利益につながる可能性があります。

そこで、損害が確定した場合は売却側が損害を賠償する旨の取り決めを行うということです。損害賠償への備えとして、売却側が金融機関に一部の資金を預託する場合などもあります。

最終契約書の締結

最終交渉がまとまったら、最終契約書を締結するプロセスです。最終契約書の内容は開示、届出の義務があります。そのため、最終契約書の内容は売買企業間だけでなく世間的にも公になります。最終契約書に記載される内容をご紹介していきます。

譲渡手段・譲渡価額などの調整

最終契約書には、譲渡手段、譲渡価格などが記載されます。ただし最終契約書の締結からクロージングの実施には一定期間かかるため、その間に売却企業の価値が変動することがあります。たとえば、株式、資産価値などが変動し、譲渡時に反映させる必要があるでしょう。

そのため、最終契約書には価格調整に関する規定が盛り込まれることが多いです。逆に言えば、最終契約書締結段階の価格で譲渡することを決定し、クロージング実施時の価格調整は行わない場合もあります。

表明保証

表明保証とは、契約に関する事実関係、法律関係の真実性、正確性を表明するために行うものです。表明保証の位置づけとしては、今までのM&Aのカバーです。事実関係や法律関係の中で網羅できていない部分があるはずなので、そこの部分を表明保証でカバーし、全体的に網羅していきます。

とはいえ細かい記載を行うわけではなく、たとえば「デューデリジェンスで明らかになったもの以外の偶発債務や簿外債務は売主の知る限り存在しない」といったものです。買収側は、少なくとも売却側が意図的に情報を隠した結果不利益を被るようなことは避けたいと考えています。

上記のような記載をすることで、売却側が不利な情報を隠したりしていないことを表明しています。

誓約事項

誓約事項には、最終条件交渉で合意された双方の義務を記載します。クロージングまでの義務とクロージング後の義務を誓約という形で記載することで、問題なく義務を履行します。

クロージングの前提条件

クロージングの前提条件とは、権利や義務に関する条件のことです。権利は、たとえば一方が条件に違反して他方に不利益を与えた場合、契約を解除できるといったものです。義務は、表明保証事項や誓約に規定された義務を履行しなければならないといったものです。M&Aは大きなお金が動くので、このように権利や義務については何重にも取り決めを行っています。

補償

補償は売買企業双方の利益を守るために規定されるものです。表明保証や誓約事項に違反した場合、補償が求められます。またデューデリジェンスで問題が発生した場合にも補償の対象になる場合があります。

ディスクローズ

ディスクローズとは、社内外への情報開示のことです。情報開示の対象は、幹部社員、取引金融機関、取引先などが該当します。ディスクローズのタイミングは明確に決まっているわけではないので、M&A関係者間で話し合って決めることができます。

タイミング次第でトラブルに発展する可能性があるので、タイミングの決定は重要です。M&Aを進めている際は条件面に意識が集中している場合が多いはずですが、M&A実施後の人間関係なども当然重要になるでしょう。

M&Aの後半は流れが決まってきて余力があるはずなので、M&Aに関係する人全般に配慮し、連絡や挨拶回りを行った方が良いです。

クロージングの準備

M&Aスキームと契約内容に合わせてクロージングの準備を進めるプロセスです。株主総会による承認決議のプロセスを踏む場合もありますが、これもクロージングの準備プロセスに含まれます。またクロージングでは、株式代金の受け渡し、株券の交付、資産の譲渡、設立登記などを行います。

公正取引委員会への届出

公正取引委員会は独占禁止法に基づく制限を行っている機関です。独占禁止法とは、公正な取引の侵害、私的独占の禁止、価格の調整および談合など不正取引を禁止する法律です。独占禁止法に抵触した場合、課徴金や刑事罰の対象になります。

そして、M&Aも独占禁止法の対象になる場合があります。独占禁止法の対象になるかどうかは、株式発行会社の売上高、議決権の保有割合の変化などを基準に決定されます。独占禁止法の対象になる規模の場合は、公正取引委員会にM&Aの計画書を届け出る義務があります。

届出の内容は公正取引委員会で審査され、結論が通知されます。届出に問題なければそのままM&Aを進行し、問題があった場合は計画書を修正して再度提出が必要です。

臨時報告書

臨時報告書は、有価証券報告書の提出義務がある会社が、一定の提出事由に該当した場合にその内容を記載して内閣総理大臣に提出することが義務付けられている書類です。一定の提出事由とは、ファイナンスの決定、主要株主や代表取締役等の異動、提出会社の財政状態や経営成績に重要な影響を与える事象が発生した場合などが該当します。

合併・会社分割・株式交換・株式移転の手続き

M&Aのスキームは複数あり、クロージングの準備ではそれぞれのスキームに合わせた手続きを実施する必要があります。まず合併の場合、基本的にM&Aの効力発生日までに売却側、買収側双方の株主総会でM&A契約についての承認決議を得ることが必要です。

会社分割は吸収分割と新設分割に分けられます。吸収分割の場合は、対価が株式の場合は株式交付、現金の場合は現金の払込を行います。新設分割の場合は対価として現金を交付することはできないので、株式を交付します。クロージングとしては、設立登記の申請が必要です。

株式交換は対価が株式の場合はクロージングで必要な手続きはありません。現金の場合はクロージングで払込が必要です。株式移転では現金の交付が認められていないので、対価は株式になります。

株式移転の対価で株式を交付する場合、クロージングでは設立登記の申請が必要です。

事業譲渡の手続き

事業譲渡の場合、クロージングで要請される特別な手続きはありません。一般的には、資産の譲渡や契約の移管等のための手続きが行われます。事業譲渡はクロージングでの労力は少ないのですが、全体としては手続きが煩雑です。

なぜなら、譲渡対象の資産、負債一つ一つ移管が必要だからです。そもそもどの資産、負債を譲渡の対象にするかも売買企業双方で交渉する必要があります。クロージング前の段階でやらなければならない手続きが多いということです。

株式譲渡の手続き

株式譲渡はM&Aのスキームとしてもっとも多く利用されていると言えるでしょう。株式譲渡は複数の場合に分けられ、それによってクロージングの内容も変わってきます。ただし、売却側から買収側への株式譲渡、買収側から売却側への株式代金の支払いという点では共通しています。

株式譲渡は以下の3種類で細部が変わってきます。

  • 株券発行会社
  • 非上場でかつ株券不発行の会社
  • 上場会社

まず売却側が株券発行会社の場合、株式譲渡には株券の交付が必要です。そのため、クロージングでは株券の交付を行います。また株式譲渡を第三者に対抗するために、売却側から買収側に株主名簿の名義書き換えに必要な書類か書き替え済みの株主名簿の写しを交付します。

非上場でかつ株券不発行の会社は、株券の交付のような特別な手続きは不要です。株式譲渡を第三者に対抗するためには、株券発行会社と同様に株主名簿の書き替えが必要になります。クロージングの際に行うという取り決めはありませんが、クロージング時に行うのが一般的です。

上場会社の場合、株式譲渡のクロージング内容は社債、株式等の振替に関する法律および証券保管振替機構の規定に従います。実務としては、クロージング時に売却側は振替申請を行います。株式譲渡の効力は、買収側の口座の保有欄に対象株式の数の増加の記載、もしくは記録を受ければ生じます。

許認可の申請

事業を行う際、国や都道府県からの許認可が必要な職種もあります。許認可では、必要資格保有者の要件、管理をする人の人員要件、設備要件、財務・資産要件などを満たす必要があります。

M&Aの際には、許認可に必要な要件を満たせているか、今後も要件を満たせるかを確認する必要があります。売却側が許認可を取得している場合、許認可も承継されます。しかしM&Aによって状況が変わる場合、再度許認可の申請が必要です。

プレクロージングとクロージング

プレクロージングとは、クロージングの準備のことです。クロージングを円滑に進めるために、プレクロージングを行います。またクロージング後の手続きはポストクロージングと呼ばれます。プレクロージングは実際のクロージングの数日前に行うのが一般的です。

クロージング後の手続き

クロージング後の手続きは、プレクロージングと逆のポストクロージングです。ポストクロージングの手続きとして、以下があります。

  • 株主総会および取締役会で必要な決議を取る
  • クロージング後における誓約事項の実施
  • M&Aの価格調整
  • 財務諸表の作成

上記の中でも価格調整は注意すべき項目です。最終契約で価格調整に関する項目が含まれている場合があり、この場合は価格調整が必要になります。価格調整では、最終契約日からクロージング日までの企業価値の変動をM&Aの価格に反映させます。

財務諸表の確定

財務諸表の確定手続きはクロージング後でないとできません。また最終契約書に譲渡対価の価格調整が盛り込まれている場合、上でご説明した通りクロージング時点の貸借対照表を用いて価格調整します。

事業譲渡における所有権や契約の移転

クロージング後は、事業譲渡における所有権や契約を移転する必要があります。具体的には、以下でご紹介する項目の移転です。

売掛金

事業譲渡の場合、売却側と買収側の間で債権譲渡契約を結ぶ必要があります。また第三者に対抗するためには、売却側が確定日付のある証書で債務者に通知し、債務者から承諾を得なければなりません。売掛金を引き継ぐ手続きをするか、もしくは売掛金をすべて清算しておけばこの処理は不要になります。

買掛金

買掛金の処理は、併存的債務引受と免責的債務引受の2種類があります。併存的債務引受は、売却側と買収側が連帯責任を負う方法です。免責的債務引受は買収側だけが責任を負う方法です。

併存的債務引受では債権者と買収側の間の契約で移転が成立します。または、売却側と買収側が契約し、それを債権者が承諾すれば成立です。免責的債務引受は債権者と買収側が契約し、その旨を買収側に通知すれば成立します。

動産

動産の所有権は事業譲渡契約によって自動的に移転します。そのため当事者間では手続き不要ですが、第三者に対抗するには引き渡しを実際に行う必要があります。

不動産

不動産は所有権、抵当権、地上権を事業譲渡契約によって移転する流れです。第三者に対抗するためには移転登記が必須です。

取引契約

取引に関する契約は、取引相手ごとに個別に交渉して契約を更改する必要があります。売却側が事前に取引先などに通知して交渉していれば、売却側の契約更改の流れはスムーズに進むでしょう。売却側は後々の流れを考えて対応すること、買収側は売却側に事前に確認しておくことが重要です。

知的財産権・ライセンス

売却側が所有していた特許、実用新案、意匠、商標的財産権は個別に移転登録を行います。売却側が第三者からライセンスを受けている場合、ライセンス発行者にM&Aの旨、ライセンス引継ぎの旨を連絡して承認を得る流れです。

事業譲渡以外のM&Aスキームでの所有権や契約の移転

事業譲渡以外のM&Aスキームで所有権や契約を移転した場合、個別の対応は行いません。自動的に権利義務が包括的に承継されるためです。ただし登記と知的財産権は外部機関に登録しているものなので、個別の手続きが必要です。

PMI(経営統合)の流れとプロセス

PMIはクロージング後100日程度で策定が目指されます。PMIはM&Aの準備段階から当然意識されるものです。なぜなら、どのように経営統合するかによってM&Aに期待する効果を発揮できるかどうかが変わってくるからです。

つまりPMIはM&Aの全工程の中でも非常に重要と言えます。ここでは、PMIの流れとプロセスを解説していきます。

PMIの目的と段階

まずはPMIでどのような問題を解決すべきか、どのような段階を踏むかを明確化します。経営統合後に解決したい問題はケースバイケースですが、一般的に以下のようなものが挙げられます。

  • 経営上、業務上の混乱
  • 内部対立の顕在化
  • 社員の離職や反発
  • 狙い通りのM&A効果が発揮できていない
  • 業績悪化
  • 財務諸表の作成遅延

これらのリスクを排除するために、幅広い対策が必要です。課題や状況は企業によって異なるので、具体的な対策を抽象的に挙げるのは難しいでしょう。ただし事前に業務の進め方を整備しておくことや、人間関係の悪化を防ぐためにコミュニケーションを取っておくことは重要です。

シナジー効果の発揮や業績を伸ばすためには、売買企業それぞれの分析はもちろん、市場分析や戦略立案も欠かせません。またPMIの実施項目としては以下が挙げられます。

  • 経営体制、組織統合
  • 制度の統合、整備
  • 業務システムの統合、整備
  • 業績評価基準の策定
  • 事業内容の精査
  • 取引先の精査

PMIでは上記のような項目を進める必要があります。どのようにスケジュールを作成するかは売買企業の現状や目的によるでしょう。いずれにしても取り組まなければならない項目は多いので、事前に洗い出し、段階を設定していく必要があります。

ランディングプランの策定

ランディングプランとは、統合計画のことです。上で挙げた課題や取り組むべきことをもとに、計画を策定していきます。事業面でのランディングプランは企業ごとに異なります。管理面では、組織規定、人事、労務、経営管理、経理、庶務などに関するものが一般的です。

100日プランの策定と実施

100日プランとは、クロージングから100日程度を目標に実施されるプランのことです。PMIは100日プランを元に実施されていく流れなので、プランの作成はPMIの中でも重要な工程です。

上で挙げた目的、段階、ランディングプランなどはどちらかというと長期的なプラン設定です。一方で、100日プランは中期事業計画です。100日程度で達成できる内容をプランとして盛り込みます。

100日プランを適正に実施することでその後のPMI、PMI完了後の事業が軌道に乗りやすいです。

フォローアップ

フォローアップはPMIの最後の工程です。PMIを実施した後に効果を検証し、検証結果をもとにフォローアップを行う流れです。フォローアップには、効果検証、プラン策定、実施のすべてが含まれています。

またフォローアップは一回だけ行うわけではなく、定期的に実施します。タイミングは企業ごとに異なり、たとえばM&Aの実施から6か月、1年、など節目を決めてフォローアップを実施する流れです。

検証ポイントとしては、業務効率、取引先との関係性、シナジー効果などが挙げられるでしょう。

PMIを成功させるポイント

PMIを成功させるには、スケジュール管理が重要です。言い換えるとスピード感が重要とも言えるでしょう。時間をかけてゆっくり経営統合していけば良いという見方もあるかもしれませんが、初期の段階では時間がかかるとM&Aのデメリットが大きくなってしまう可能性が高いでしょう。

具体的には、業務の混乱、人間関係の悪化、従業員のモチベーション低下、シナジー効果獲得の失敗などが挙げられます。PMIが進まないと上記のような問題が発生し、また一度問題が大きくなると改善は困難です。

そのため軌道に乗せるまでは集中的にPMIを進める必要があります。だからこそ、100日プランというものが存在します。またPMIを迅速に進めるためには項目の整理も重要です。整理方法は一つではありませんが、サンプルをご紹介します。

  • 経営統合(理念・戦略、マネジメントフレームの統合)
  • 業務統合(業務・インフラや人材・組織・拠点の統合)
  • 意識統合(企業風土や文化の統合)

上記のように、統合する項目ごとに分類する場合もあります。単純に課題と解決方法で整理する場合もあります。どの方法が適しているかは、企業ごとに異なるでしょう。上記のように項目を整理し、どこから着手するか、何をいつまでに実施するかなどを決定します。

またこちらも一般的なものですが、以下のようなものがPMIの成功に重要と言われます。

  • トップダウン型の基本方針の提示
  • 統合準備室を中心とした検討体制の整備
  • PMIプランの作成と機動的な運用

業務の進め方はトップダウンの流れの場合もあれば、ボトムアップの流れの場合もあります。もしくはそのいずれでもなく、流動的に進める流れや、フラットに話し合いながら進めたりする流れもあるでしょう。

しかし、PMIはスピード感が重要です。そのため、トップが方向性を決定し、トップダウンの流れで進めていくのが一般的になります。

PMIのために、統合準備室などを用意する場合もあります。名称は別の場合もありますが、PMIに特化して進める人員を用意する流れです。PMIプランについては上でも説明してきた通り綿密に練る必要があります。

しかし、計画に縛られて効率が落ちると本末転倒です。つまり計画自体は綿密に作り、運用は機動的かつ臨機応変な流れで進めていくということです。そのためには、指示系統はトップダウンの流れにしながらも細部は各担当者に任せる流れが重要になります。

トップダウンの流れでありながら各担当者に任せる、緻密なプランがありながらも臨機応変に対応する流れ、といった二面性の流れがPMIの成功には重要です。

M&Aの流れまとめ

M&Aの流れは売買企業ごとに異なりますが、大枠の流れは概ね共通しています。また途中からは売買企業が同じ流れで役割分担しながら進めますが、初期の段階では動きの流れが異なります。

たとえば売却側はノンネームシートを作成して買収側を募集する流れ、買収側はノンネームシートやインターネット上の情報などをリサーチして買収先企業を選定する流れです。

M&Aの流れはどれも重要ですが、PMIは特に重要な流れです。買収側はPMIまで検討しているケースが多いですが、売却側も初期段階でPMIまで視野に入れることで前の流れも変わってきます。

買収側の考えも理解できるようになるため、自社のアピールにも役立つでしょう。買収側の意図を理解したうえで企業価値を高めるように動けば、売買価格も高くなります。

M&Aに重要なポイントは複数ありますが、本業もあるのですべて自社で対応するのは困難です。そのため、早めにM&A仲介会社やアドバイザリー会社に相談するのがおすすめです。

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