M&Aアドバイザーとは?種類や仕事内容とM&Aアドバイザリーとの違いも解説!
M&Aアドバイザーとは、企業間の買収合併に関するアドバイスやM&Aに関連する一連の業務の取りまとめなどを行う職種です。よく似た用語にM&Aアドバイザリーがありますが、アドバイザリーは業務とそれを行う人の両方を指すことが多い用語です。
目次
M&Aアドバイザーとは
M&Aの概要、類似職種との違い、種類などについて解説します。
M&Aアドバイザーの概要
M&Aとは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略です。合併は2つ以上の会社が一つになることです。買収はある会社が他の会社を買ったりすることです。
アドバイザーとは「その人・組織が抱えている問題・悩みに見合ったアドバイス(助言・忠告)をしたり、関連業務の進行をしてくれる人」のことです。つまりM&Aアドバイザーとは、合併買収に関する重要課題のアドバイスを行い、M&Aに関連する一連の業務の取りまとめ役を担う人のことを指します。
M&Aアドバイザリーとの違い
アドバイザリーとは「企業の人材管理・組織運営・経営などに対して適切なアドバイス(助言・忠告)をする人やその業務」を指します。つまり、M&Aアドバイザリーは、M&Aに関するアドバイスをする人やその業務を意味します。ただし、M&Aアドバイザリーには人は含まず、業務のみを指す場合もあります。
一方で、M&Aアドバイザーは合併買収についてのアドバイスをする人のことです。まとめると、M&Aアドバイザリーは業務と人、もしくは業務のみ、M&Aアドバイザーは人のみを指す用語です。
M&Aコンサルタントや経営コンサルタントとの違い
コンサルタントとは、「consult(相談する、助言を求める)」という意味です。特定の商品を売るのではなく、課題解決のコンサルティング自体がサービスであり、その対価を受け取る職業です。
コンサルタントは一連の業務の中でも「課題の掘り起こし」をメインとしています。把握している課題に対して具体的な解決方法を提示するだけではなく、相談者も気づいていない潜在的な課題を洗い出して解決することで良い方向に導くのが仕事です。
コンサルタントとアドバイザーの違いは、どこの何が悪いのかを見つけ出し解決してくれるのが「コンサルタント」、どうすればいいのかを教えてくれるのが「アドバイザー」です。
ただし、M&AアドバイザーとM&Aコンサルタントは実態としては同じです。まとめると、M&AアドバイザーとM&Aコンサルタントはイコール、M&Aアドバイザーと経営コンサルタントは違いがあるということです。
経営コンサルタントは企業の経営戦略や今後の方針、計画など大枠を担っているのに対し、M&AアドバイザーはM&Aに特化した業務を担っています。
以上のことから、M&Aを成功に導くにはM&Aに特化したM&Aアドバイザー(M&Aコンサルタント)を利用することで具体的なアドバイスを受けることができるためおすすめです。
M&Aアドバイザーの種類
ここでは4つのM&Aアドバイザーの種類をご紹介します。
財務アドバイザー
財務アドバイザーは、企業の決算報告書等を確認し財務関連の問題についてアドバイスを行う人のことです。M&Aに関しては、買い手や売り手の求めに応じて、相手候補の選定、M&A戦略策定、譲渡価格等の条件交渉、資金調達などの助言を行います。
法務アドバイザー
法務アドバイザーは、買収スキームの検討や法務DD(法務デューデリジェンス)、最終契約書、基本合意書等の法務助言などを行う弁護士や法律事務所等のことを指します。
事業譲渡・株式譲渡をはじめとする様々な法律的な手続き、契約・株主・許認可・登記等の確認をし、リスクを洗い出し助言を行います。
税務アドバイザー
税務アドバイザーは、税務関連文書の作成・提出等、税務コンプライアンスに関する業務を行う人です。税務アドバイザーは単に財務情報を記録したり、税務書類を作ることだけが仕事ではありません。
税務アドバイザーに対しては、罰金の回避方法やタックスプランニング、節税のためにどういった工程を踏めば良いのか等の相談をすることができます。
事業を拡大する場合や、初めて日本で事業を行う場合など、いずれにおいても税務に関する問題というのは常に発生してきます。税務アドバイザーは、法人税確定申告、移転価格、税務会計などの複雑な業務の助言や進行を行います。
その他アドバイザー
その他アドバイザーは、上記3種類のいずれにも該当しない、もしくは上記3つのサービスを組み合わせて提供しているアドバイザーです。
M&Aアドバイザーが提供するサービスに絶対的なルールはないので、それぞれのアドバイザーが独自にサービスを提供しています。
M&Aアドバイザーのいる業種
M&Aアドバイザーが在籍している業種を7つご紹介します。
M&A仲介会社
M&A仲介会社とは、買い手企業と売り手企業の間に中立の立場で仲介する会社です。買い手企業と売り手企業の双方に対してM&Aに関するすべてのサポート・助言を行います。一般的に中小・中堅企業や小規模事業のM&Aを対象としています。このサイトを運営するM&A総合研究所も、M&A仲介会社です。
M&Aアドバイザリー(FA)
M&Aアドバイザリーは、ファイナンシャルアドバイザリーとも呼ばれます。譲渡を検討する会社や譲受を検討する会社からの依頼を受け、M&Aの一連のサポート業務を行います。
具体的には、企業の事業承継・経営戦略などに関する方針やM&Aを推進する社内チーム体制に基づき、具体的にM&Aを検討し実行します。
M&A仲介会社との違いは、譲渡会社あるいは譲受会社のどちらかと専属契約をし、M&Aに関するアドバイスや交渉等を行う点です。
各会社の代表としてM&Aアドバイザリー同士が、M&A成立に向け交渉等を担当します。一般的にM&Aアドバイザリー会社の対象は、大企業等比較的規模が大きいM&Aです。
証券会社
証券会社とは、有価証券の売買の取次ぎや引受けなどを行う企業です。M&Aを取り扱う証券会社もあり、このような証券会社ではM&A業務に特化したM&Aアドバイザリー部門を有しています。
証券会社は、株式を用いたM&Aのアドバイスを得意としています。なぜなら、証券会社は株式や債券などの金融商品を取り扱っているからです。株式を用いたM&Aとは、「株式譲渡」、「株式交換」、「株式移転」、「第三者割当増資」などです。
株式譲渡は、会社を丸ごと買収するM&Aです。株式交換は、100%子会社の発行済み株式を100%親会社に取得させるM&Aです。株式移転とは、既存の株式会社が新規に親会社を設立することです。第三者割当増資は、発行した新株を引き受けるM&Aです。
たとえば、証券会社は上場株式の公開買い付け(TOB)等株式を活かした戦略をサポートしています。TOB(Take Over Bid)とは、株式公開買付と呼ばれるM&Aの手法です。TOBは、買付期間など新聞等で告知し、売主の株式を証券取引所の市場外で買付を行うことです。
銀行
銀行でも、証券会社と同様、M&A業務に特化したM&Aアドバイザリー部門を有しています。メガバンクといわれる大手銀行では、すべての銀行でM&Aアドバイザー業に特化した部署が設置されています。たとえば、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャル・グループ等です。
信用金庫や地方銀行でもM&A支援業を行う場合があります。一般的に融資先の中小企業を対象としてM&Aの仲介等をしています。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームとは、企業の課題の発見や解決を行う機関のことです。たとえば、業務オペレーション改革や事業戦略、システム構築等の課題に対して意見を求められ、解決まで導きます。
コンサルティングファームはその業務領域により、IT系、会計系、戦略系、組織・人事系等に分類されています。必要に応じて該当分野に相談することが可能です。会社の様々な分析を行い、結果的にM&Aを実施することも多いでしょう。
会計・税理士事務所
会計・税理士事務所では、会計・税理士資格を有する方が、顧客の税務、財務に関する業務のサポート等を行います。
上記の5業種では、M&Aに関して総合的にサポートを実施しているのに対し、会計・税理士事務所ではM&Aの財務関連に特化した内容を取り扱っていることが特徴です。
法律事務所
法律事務所では、弁護士が法務関連の業務サポートを行います。M&Aに関しては法務デューデリジェンス等を担っています。会計・税理士事務所と同様に、専門分野に特化した内容を取り扱っているのが特徴です。
デューデリジェンスについて詳しくは後述します。
M&Aアドバイザーの仕事内容
M&Aアドバイザーの仕事内容を9つの流れに分けてご紹介します。
条件等のヒアリング
顧客の希望条件等のヒアリングをします。ここでより詳細なヒアリングをすることで顧客の抱えている問題や目的などの情報を吸い上げ、M&Aを成功に導きやすくします。
M&Aのヒアリングのポイントは、現状の把握、関係者との意思疎通、承継の方法、事業承継計画の内容などを詳細に確認することです。
たとえば、売り手側のヒヤリングのポイントは、譲渡価格や条件、時期、従業員の雇用継続等です。特に、従業員を雇用継続する場合は、給与水準や待遇、保険等今後について明確化し契約に反映するとよいでしょう。
マッチング(買収企業の選定)
顧客が買収側の場合、ヒアリングした条件にマッチする企業を選定します。M&Aアドバイザーは一般的に買収候補企業リスト(ロングリスト)やロングリストからさらに優先度が高い企業に絞ったショートリストなどを作成します。
買収企業を選定するにあたりシナジー効果(相乗効果)が重要です。シナジー効果とは、2社以上の企業を組み合わせることで、相乗効果を発揮し企業の業績向上や利益拡大などを期待できることです。
売り手側と買い手側の双方にとってwin-winであることが、M&Aを成功に導くためには必要不可欠です。双方にとってwin-winとは、M&Aを行うことにより、両社の売上やコスト、研究開発、財務など必要分の強化や削減が可能になり、今後の利益に繋がることです。
売却企業の資料作成
顧客が売り手側の場合、売却企業の資料を作成します。たとえば、企画概要書です。企画概要書は売り手側の情報を買い手側に提供する資料です。内容は主に、秘密保持契約書、資料収集、バリュエーション、事業分析などです。
その他、顧客が買い手側の場合、提携提案書を作成します。提携提案書は、買い手側から売り手側にM&Aを提供するために作成する資料のことです。
M&Aアドバイザーが、適切な資料を作成することで、経営者のM&A取引の決断に役立つことでしょう。
企業価値評価(バリュエーション)
企業価値評価(バリュエーション)とは、企業全体の価値を評価することです。企業価値評価を通して企業の経済価値を金額換算します。計算方法はコストアプローチ(ネットアセットアプローチ)、マーケットアプローチ、インカムアプローチなどです。
コストアプローチは、純資産を基準に企業価値を算出する方法です。マーケットアプローチは、対象企業と類似する他企業と比較して企業価値を算出します。インカムアプローチは、将来的な収益価値を基準として企業価値を算出する方法です。
評価資料を参考に選定した企業から絞り込みを行います。企業価値評価はM&Aの意思決定を大きく左右する指標となります。
トップ面談や交渉のサポート
選定をした後は、実際に売り手と買い手の経営者同士の面談やそこに至るサポートを行います。実際問題、100%条件通りは難しいためお互いの譲れない部分とそうでない部分を明確化し、交渉が長期化しすぎないよう落としどころを調整することもM&Aアドバイザーの役割です。
トップ面談のポイントは、相手に良い印象を与えることや、リスペクトを持った対応を心がけること、条件交渉を避けること、従業員・技術者への事前説明をしておくことなどです。
双方の人間性や経営理念、ビジネスなどについて理解を深める重要なプロセスです。
デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、買収企業の価値やリスクなどを監査することです。調査の範囲は、事業規模や買収企業の業種などによって異なりますが、一般的に「IT」「財務」「法務」「人事」「税務」等、多角的に行います。
財務デューデリジェンスの例を挙げます。財務デューデリジェンスは、キャッシュフローの状況や実態純資産、買収後に生じるリスクなどを調査します。中小企業の決算書は実態とは相違がある場合があります。そのため、念入りな調査が必要不可欠です。
法務デューデリジェンスは、債務状況、契約状況、株主・株式の状況、法令遵守、訴訟紛争などを調査します。たとえば、訴訟紛争を対象企業が抱えていた場合、内容によっては大きなリスクとなるので細かいチェックが必要です。
デューデリジェンスの目的は、リスクの把握と評価、企業価値評価、ビジネスチャンスの発見などです。経営統合に際し事前のリスク把握や今後の将来性を検討するための重要なプロセスです。
契約書作成
デューデリジェンスを確認し、売り手と買い手共に問題がないと判断した場合、契約書を作成します。契約書は「基本合意書」、「秘密保持契約書」、「最終契約書」などがあります。
基本合意書は、デューデリジェンス前の条件面等について双方の合意をまとめた契約書です。秘密保持契約書は、相手の情報を第三者に開示することを禁止した契約書です。最終契約書は、デューデリジェンス後の結果をもとに双方の最終合意をまとめた契約書です。
契約書の作成は、専門的知識を有するため一般的に法務分野に詳しいM&Aアドバイザーが対応します。
クロージング
M&Aのクロージングとは、最終契約に基づく契約が完了したことを指します。クロージングの手続きを進めるためには、クロージングの前提条件が重要となります。クロージングの前提条件とは、M&Aの実行において譲れない条件のことです。クロージングは最終譲渡契約書が締結された後に行われます。
上記のことからクロージングの前提条件が満たされなかった場合、条件の変更やM&A取引自体の見直しが行われます。最終契約締結を不安に思った場合は、M&Aアドバイザーにサポートを依頼しましょう。
PMI(統合)
PMI(統合:ポスト・マージャー・インテグレーション)とは、M&A成立後の統合プロセスのことです。M&Aの中で一番時間がかかる業務です。なぜなら、成立後の企業を新経営体制に整えていき、リスクの排除とM&Aで期待できる効果をより発揮できるためにはどのようにすればよいかを検討・実行するからです。
たとえば、統合後のリスクとして、社員の反発や離職、経営上の混乱と内部対立の顕在化、想定通りに統合が進まないための業績悪化などです。
これらのリスクを事前に排除することで、M&A統合後の利益拡大の可能性を推し進めることができます。
M&Aアドバイザーに相談するメリットとデメリット
M&Aアドバイザーに相談するメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
まずはメリットを紹介します。
買収企業を幅広く探してもらえる
M&Aアドバイザーは売り手と買い手の情報やネットワークを持っており、条件に合う企業を把握している可能性が高いです。また、M&Aについての専門性を活かし企業風土が合うかどうかや、シナジー効果が得られるかどうかなど、客観的角度から探してもらえる点もメリットです。
たとえば、企業風土が合うかどうかは、企業理念やビジョン、従業員の行動指針などM&A後に従業員の士気などが下がり離職してしまう恐れがないか等検討することです。
経営者の作業負担を軽減できる
M&Aを進めるにあたり、資料の作成や面談の調整、条件交渉など様々な業務があります。M&Aアドバイザーはそれらの業務の大半をサポートしてくれるため、経営者は自社の事業と並行してM&Aを円滑に進めていくことが可能です。
また、条件交渉等当事者同士で行うよりも双方の希望を汲み取り交渉してくれるので、スムーズな進行が期待できるでしょう。
M&Aのフローを円滑に進行できる
M&Aでは財務や税務、法律など多岐にわたる専門的知識が必要となります。M&Aアドバイザーから各分野でのアドバイスやサポートを受けることで、抜け漏れなく円滑にM&Aを進行することが可能です。
自分のみでやるには難しい部分として、経営者自身が本業の経営に集中できないという点です。また、慣れない資料作りや条件交渉、契約書関連など、見落としてはならない重要な部分です。
適宜M&Aアドバイザーにサポートを受けることで、M&Aのフローを円滑に進行できるので利用することをおすすめします。
不測の事態でも相談できる
M&Aでは専門的な知識が必要であり、不備不足があればM&Aの今後の事業に支障をきたす恐れがあります。M&Aアドバイザーに依頼することで不測の事態の対応を相談できたり、アドバイザー自身の経験や実績から予想されるリスクを回避できます。
不測の事態とは、思わぬ債務を引き継ぐ可能性があることなどです。たとえば、給与引当金・退職給与引当金や、回収見込みが低い売掛金、未払い残業代などです。
事前に調査・監査は行っているものの、売り手側の申告漏れなどで買い手側には見えない実態が存在する可能性もあります。そのような場合にも、実績や経験のあるM&Aアドバイザーに相談することで解決策が見いだせることでしょう。
成功の可能性を上げられる
上記の通り、M&Aアドバイザーに相談をすることで専門的な知識や経験、実績に基づきアドバイスをもらえるので、M&A成功の可能性を上げられます。
デメリット
次にデメリットを紹介します。
手数料が発生する
M&Aアドバイザーに相談することで手数料が発生します。事前にどのくらいの金額なのか、どのタイミングで発生するのか等確認するとよいでしょう。
手数料について詳しくは、後述します。
成功を保証するものではない
M&Aアドバイザーはあくまでも企業を紹介、契約完了までサポートをするだけで確実に希望に沿った企業との契約を保証するものではありません。
仮にアドバイスが原因でトラブルになった場合でも、M&Aアドバイザーに責任を追及することはできません。ただし、優良なM&Aアドバイザーであれば保証とまではいかなくとも最大限責任をもって対応します。
M&Aアドバイザーに依頼するときの報酬体系
ここではM&Aアドバイザーに依頼するときの4つの報酬体系をご紹介します。
着手金
着手金は依頼を受けて着手するときにかかる報酬です。そのため、契約不成立になった場合でも着手金が戻ることはありません。M&Aアドバイザーによっては、無料のところもあります。相場は0~200万円程度です。
中間金
中間金はM&Aの基本合意書を締結した段階に支払う手数料のことです。一般的に基本合意書は売り手と買い手のトップ面談後に締結します。相場は0~200万円程度です。
成功報酬
成功報酬とは、M&Aの最終締結終了後に支払う報酬のことです。相場は、売却費用によって異なります。一般的には、取引額をもとにレーマン方式という方法で手数料率を計算します。
レーマン方式の計算方法は以下の通りです。
成功報酬=基準額×手数料率
レーマン方式の基準額は、仲介会社との契約時にあらかじめ定められています。たとえば、株式価値基準やオーナー受取額基準などです。手数料率は、金額に応じて細かく分類されています。
詳しくはここでは省略しますが、おおよそ決められた基準をもとに算出するため、M&Aアドバイザーを依頼する際の目安を求めることができます。
完全成功報酬制とは
M&Aの契約が成立したときのみ発生する報酬形態のことです。着手金や中間金がかからないというメリットがあります。
リテイナーフィー
リテイナーフィー(月額報酬)とは、一定期間に毎月支払う定額顧問料のことを指します。相場は、月額0~200万円程度です。
M&Aアドバイザーの選び方
M&Aアドバイザーの選び方のポイントを5つご紹介します。
料金体系で選ぶ
まずは自社の予算を検討し、自社に合った金額のM&Aアドバイザーを探しましょう。一般的にM&Aアドバイザーの稼働時間が多くなるほど料金が高くなる傾向があります。
そのため、M&Aに関して最初から統合までをサポートしてもらう場合は料金が高くなりますが、専門的な部分のみサポートを受ける場合は比較的料金が安くなる傾向です。
もしくは、完全成功報酬制を導入しているM&A仲介会社に相談することで、初期コストを低く抑えることができます。
同業種の実績で選ぶ
業種とは、会社や個人が営む事業のことです。同業種の実績でM&Aアドバイザーを選ぶことも一つのポイントです。既に実績がある場合、類似した企業の調査を行っており提案が早いなどの利点があるでしょう。
たとえば、食品製造業同士のM&Aでは、衛生管理や品質管理、調達や販売における安定性がポイントです。状況を把握しているM&Aアドバイザーに依頼することで、業種独自の注意するポイントを押さえてサポートをしてもらえます。
業態で選ぶ
業態とは、営業形態の違いを基準とした分類のことです。つまり、商品をどのような売り方をするのか、で分けられたものです。M&Aアドバイザーの業態とは、大きく2種類に分類されます。アドバイザリー形式と仲介形式です。
アドバイザリー形式とは、M&Aの売り手側、買い手側のどちらか片方のサポートにつく業態です。メリットは、サポートする契約側の利益を最大化するよう目指してくれる点です。ただし、交渉が長期化するというデメリットもあります。
仲介形式とは、M&Aの売り手側、買い手側の双方と契約し中立な立場でサポートする業態です。メリットは、売り手側、買い手側の双方にとって納得しやすい条件でサポートを行う点です。デメリットは、買い手側の利益になるように進めたほうが良いことから、売り手側に不利な条件でM&A交渉が進められる可能性があるという見方もあります。
業種や規模の専門性で選ぶ
業種や規模の専門性で選ぶこともポイントです。総合的なM&Aの相談ではなく、特化した部分のみにM&Aアドバイザーを活用する方法です。
規模の専門性とは、中小企業を中心としたM&Aを取り扱ってるM&Aアドバイザーや大手企業を取り扱っているM&Aアドバイザーのことです。
アドバイザーの対応の誠実さで選ぶ
今までM&Aアドバイザーの選び方のポイントをご紹介してきましたが、一番の重要ポイントは「アドバイザーの対応の誠実さで選ぶこと」です。サービス自体はどのM&Aアドバイザーもおおむね類似してくるので、最終的にはアドバイザーの対応で選ぶケースが多いでしょう。
M&Aアドバイザーの中には、依頼主の利益よりも自社の利益を最優先して契約を進めるアドバイザーもいます。トラブルにならないために、そのようなアドバイザーを回避する必要があります。
初めの相談の段階で念入りに話し合い擦り合わせをすることで、依頼主の利益を優先する誠実なアドバイザーを見極めることが必要不可欠です。
M&Aアドバイザーに相談するときの注意点
M&Aアドバイザーに相談するときの注意点を3つご紹介します。
情報漏洩
情報漏洩とは、企業が有している重要な情報が外部へ流出してしまうことです。売り手企業の情報漏洩が発生すると、社会的信用を失うことによって売却価格が下がってしまう可能性があります。そのため、秘密保持契約等を交わして情報漏洩のリスクを減らしましょう。
費用発生のタイミング
費用発生のタイミングはM&Aアドバイザーによりさまざまです。たとえば、着手金と成功報酬制を組み合わせた費用体系や、成功報酬のみなど、M&A料金体制は千差万別です。
着手金、中間金、リテイナーフィー、成功報酬制などの費用感を比較検討し、自社の予算やM&Aの利益に見合った費用かを検討しましょう。
売り手は相談無料の完全成功報酬制がリスクが低くおすすめです。
契約の確認
M&Aアドバイザーとの契約の確認は思っていた内容と違うことの無いよう、念入りに擦り合わせ相談・確認することが大切です。M&Aを成功させるために、M&Aアドバイザーへの相談内容は洗い出しておくとよいでしょう。
契約書に業務内容の範囲が記載されますので、契約者は何をどこまでサポート可能なのかよく確認し双方合意のもと契約を行いましょう。
番外編:M&Aアドバイザーに必要な知識や能力
M&Aアドバイザーに必要な知識や能力を4つご紹介します。
M&A全般に関わる知識と業務経験
M&A全般に関わる知識(会計・税務・法務等)と数多くの業務経験が必要です。顧客から相談を受けた際に、即座に正しい知識と的確なアドバイスができないと、顧客側に不利益を与えることとなります。
たとえば、税理士の場合だと税金計算や申告など、弁護士の場合だと法務全般を得意としています。
担当する顧客の業界における一般的知識
M&Aアドバイザーは、担当する顧客の業界における一般的知識も把握しておくべきです。顧客の業界知識を把握していることで、顧客が抱える問題にスピーディーに対応することができるでしょう。
交渉力
M&Aの交渉において、売り手側と買い手側双方の希望を満足のいく形に締結することは一筋縄ではいきません。そのため、M&Aアドバイザーは双方の譲れない部分や譲っても良い部分等調整する交渉力が契約成立に際し重要な能力です。
コミュニケーション力とタスク管理能力
M&Aアドバイザーは売り手側と買い手側だけでなく、金融機関やM&A専門家、株主などあらゆる利害関係者とのコミュニケーションが必要です。あらゆる場面で想定外のトラブルや意見の対立などがあるでしょう。
たとえば、買収企業の調査が不十分で、実際の評価額よりも高値でM&Aを実施してしまうなどのトラブルがあるでしょう。
また、忙しい経営者相手に案件を進めていく難しさもあります。そうした場合にも、M&Aを成功させるためにスケジュール通り進めていくタスク管理能力も必要です。
番外編:M&Aアドバイザーに関連する資格
M&Aアドバイザーに関連する資格を3つご紹介します。
JMAA認定M&Aアドバイザー
JMAA認定M&Aアドバイザーとは、一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(略称:JMAA)が定める資格のことです。JMAA認定M&Aアドバイザーを取得すれば、協会が定める一定要件を満たし、協会の正会員としての入会を認められたM&Aアドバイザーであることを証明できます。
現在のところ、M&Aアドバイザーに公的な資格は必要ありませんが、JMAA認定M&Aアドバイザーは顧客の信用、信頼を得ることができる資格の一つです。
M&Aエキスパート認定制度
M&Aエキスパート認定制度とは、中小・零細企業の事業承継、ビジネスマッチングを支援する人材の養成資格制度です。
資格は3段階あり、スタンダードの「事業承継・M&Aエキスパート」、アドバンスの「事業承継シニアエキスパート」、プロフェッショナルの「M&Aシニアエキスパート」です。「事業承継・M&Aエキスパート」を取得すると、アドバンス、プロフェッショナルの養成スクールの受講へステップアップが可能です。
M&Aアドバイザーとして中小・零細企業をメインに対応する場合はおすすめの資格です。
士業系の資格
M&A専門の資格ではありませんが、士業系の国家資格(弁護士、税理士、公認会計士など)はM&Aを遂行するにあたり豊富な知識が役に立ちます。
M&Aアドバイザーに関するまとめ
本記事では、M&Aアドバイザーの概要や選び方、注意点をご紹介しました。優良なM&Aアドバイザーは顧客利益を最大化するために、様々なサポートを行います。逆に言えば、優良でないM&Aアドバイザーは、自社利益を最優先して顧客利益を軽視する可能性があります。
また、自社に合ったM&Aアドバイザーとは、希望に合う料金体系や自社の事業規模、同業種のM&A実績の有無など本記事で取り上げた項目を参考に自社で見極めることです。
経営者の方はM&Aを成功に導くため、優良で自社に合ったM&Aアドバイザーを検討しましょう。
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